潮路のとはずがたり雑記 **shioji's notes

*好き*を日々、つらつらと。
本、コミック、海外ドラマ、ベランダ園芸、雑貨、DIY、オカメインコなど思いつくままに。

鵺の絵師3,4

2016-06-09 19:24:00 | コミック
 買い直し、注文し直しのAma便で一緒にやって来たのは、猪川朱美『鵺の絵師』3,4(朝日新聞出版)でした。うむ、価格的にちょうど良かったというか。単に4巻の発売日が近くて、それに気付いたときには3巻はとっくの昔に売っていたという(^_^;。ですが、いい買い物でした。

 Nemiki+の購読を止めてしばらくになりますが、やっとというか、この4巻から未読のエピソードに入ってきました。しかもこの巻に気に入った話がいくつか。
 以下、ネタバレもありますので未読の方はご注意。


 元々、いい作家さんだなあと思ってきたのですが、4巻収録の『背中の女』は私的にベストエピ。仕事を依頼にやって来た女性は彫り師の未亡人で、彼女が描いて欲しいものは、自身の背中に夫が二年かけて彫り込んだ天女でした……。
 もともと、作中で関東大震災に触れたり、阿部定の噂話をしたり、五・一五事件が起きていたりと、時代考証ははっきりしています。そんな時代の彫り物師って、こんなふうだったのかとそれだけでも感動もの。
 この中の回想シーン、女性の背中を夫となった彫り師が直に触れる場面がなんともいえず絶品です。艶っぽいというか、色香を感じる場面。あ、あくまで濡れ場ではありません。こういうのがいいんですよね、前に買った某単行本はあまりに露骨、いやそれ以前の問題でした。そういったニーズがあるのは分かるけど、きちんと線引きはすべきかと。
 話を元に戻して。ほか『ほういちの恋』もいいお話でしたね。うん、4巻まで来てこんな出会いがあるとは予想外の驚きです。

 猪川さんってもともとは油絵描きの方なんですね。いや、なんかそういう雰囲気はありましたけど、画力がかなりある方だなあとは思ってました。話作りも巧いし。しかし惜しむらくは、話と絵柄両方が地味目なこと。もう少しなにかあったら、がつんと売れる人だと思うんですけどね。比べるのはまずいかもですが、(某誌押しの)○○さんよりずっと話作りが巧みで、漫画家としての画力もあると個人的には感じてます。
 ふむ、5巻が楽しみ~。

コメントを投稿