潮路のとはずがたり雑記 **shioji's notes

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鵼の絵師9

2020-12-27 19:24:00 | コミック
 出かけたらさくさくっと買い物して、速やかに帰宅する。
 ……って買い物から帰ってみたら、まだ朝の10時過ぎでした(^_^;。でも正月準備の買い物、大分進んだんですよ。

 猪川朱美『鵼の絵師』9(朝日新聞出版)、届いていたのに何日も放っておいて、やっと読みました。はぁ……良かったですわぁ。今回、千人針の話があって思わず調べてみたのですが、発祥自体はかなり前なのですね。太平洋戦争中のイメージが強かったので驚きました。

 以下、内容にも触れますので未読の方はネタバレにご注意。


 千人針の話が出て来て、戦争の色がまた濃くなってきた時代のようでした。二話目も戦死した画家の話でしたし。
 でもこの巻は三話の連続モノの『再会の時』がメインでした。関東大震災で亡くなった、画業を志していた女性、幸子の軌跡を探し求めるエピソードで、時代の流れの中で失われてしまったものがあまりにも多く、キャラたちに感情移入してしまってとても切なくなる読後感でした。
 この幸子(こうこ)、前にもちらちらと出て来たような気がするけれど、はっきりと思い出せない……というか、むしろぼんやりとして描かれていなかったような気が。既刊を引っ張り出して読んでみなければ。ただこの主人公の過去の核になるようなキャラを追うエピソードを描いたことで、話を少したたみに入っているような気がしたのですがどうなんですかね。

 ともあれ、あとがきによると連載開始から十年が経過したところで、作中では五年ほど経っているそうです。ひと昔もそれ以上も前、昭和の時代だと戦争は親たちやちょっと上の世代で、小説や漫画でも描かれることが珍しくなかったのですが、今はあまりに遠くなって直接たぐり寄せるのが難しいご時世。その中でこのような作品を抵抗なく受け入れられるのは、昭和にノスタルジーを感じるわれわれ世代だけってことはないですよね?

 おまけ。
「げっぷ」でなく「月賦」、うちの母はフツーに使ってましたよ。例のあの博物館行きになった足踏みミシン、本人曰く「勤めていた頃に月賦で買ったのよ!(つまり高価だった)」と。昭和40年頃の話かしらん。

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