恋の方程式が解けません in goo

よくわからないまま引っ越してみた?

こういうのはありかしら?

2016-10-27 07:36:37 | 日記
毎年、この季節になると近所で、稲が終わった田んぼでは花フェスタと称して、

ひまわりとコスモスが植え付けられる。

で、ちょうど、今週の末に、ささやかなイベントが行われる。

もちろん、近所なので、よく通りかかり花が開いていく経過をしっかりと、

見ていられる。季節的には少し遅く感じられるが、黄色の絨毯を目の当たりに

してしまうと、そんな違和感も吹っ飛んでしまう。

昨日、地元新聞でこの様子が掲載されたので、ちらほら見物客の姿が現れ始めた。

これは、その向日葵の顔が揃い始めた時の話。

朝焼けの綺麗な晴天の日。僕は、畑に向かう途中、田んぼに無造作に植え付けられた

向日葵の黄色が目に入り、今年の咲き具合の確認にいこうと思い立つ。

特に、このプロジェクトに関わりがあるわけでもないが、

日頃、懇意にしていただいてる顔見知りの諸先輩方が世話をしているのと、

今年の悪天候による生長状況が知りたかった。

すれ違う車はそれぞれの農作業に向かう軽トラックと、遠方に職場のある通勤の車。

一、二台だが、知り合いだろうかと目を凝らす。

知り合いだったら、運転していても軽く会釈をしないと、何を言われるかわからない。

僕は目があまりよくないので、たまに抜かる。

知り合いじゃない人に手を振るのもおかしいが、知ってる人に手を振らないのは

もっとおかしいとされている。田舎独特の風習。

いいのか、わるいのか・・・。結論などいらないだろう。

とにかく、挨拶大事。

なんて、野暮なことを考えているうちに二か月前まで田んぼだったひまわり畑に到着。

心持ち、通行の邪魔にならないように、道の脇に車を停める。

まだ朝日の差さない向日葵が群生している光景はなんとも神秘的で、

なんとも形容しがたい発色をしている。

その姿は、目が覚めたのに、まだまだベッドの上でまどろんでいるようにも見える。

影のない時間帯。僕は、軽トラのエンジンを止める。先程まで耳をくすぐっていた

ラジオの音が消えると、遠くの高速道路で通行する車の走行音がかすかに聞こえる

のみになった。これほどの色彩の渦の中だからこそ静寂が引き立つ。

どこから沸き立つ衝動なのか分からないが、何故か写真を撮りたくなる。

が、探せど探せど、携帯電話がない。どうも、自宅に置き忘れたようだ。

こういう事は日常茶飯事だから、また次の機会にしよう。

明日でも全然撮影できるだろう。そうして、再び、エンジンキーに手を描けたとき、

ひまわり畑から彼女は現れた。

全然気がつかなかった。彼女はじっとこちらを見ている。

彼女のまっすぐな視線に、敗北感を味わいたくなくて僕もしっかりと見つめ返す。

自他ともに認める人見知りの自分は、あまり人の目を見ないのだけれど、

この時はどうしたものか、彼女を見つめる事に何の負い目もなかった。

彼女は少し身を屈めたままで、身動ぎ一つしない。

頭の中で、どうする、どうする。と、僕の次の行動計画が巡っていく。

同時に、ひまわり畑の中の彼女が何故ここにいるのだろう。

本来なら、違和感を覚えそうな光景だが、意外とマッチングしていて、

奇妙に、美しさを称えている。

携帯電話を忘れた後悔の念。様々な思いがぐるぐるする。

その時、彼女の視線がすっと外れる。

と、同時に僕の身体も意に反して動いてしまい、何かにぶつかった物音がした。

彼女はその物音なのか、僕の動いてしまった事になのか、わからないが、

ビクッとして、様子見から警戒態勢に入ってしまった。

その時、僕の背後からの車が僕の横を通り過ぎる。

一瞬、その車に意識を取られて視線を外してしまった。すぐに彼女に視線を戻したが、

そこに彼女はもういなかった。

いや、正確には、元いた場所から畑の奥に移動する途中だった。

なにかしらの後悔、なにかしらの安堵。

彼女の背中に、『じゃあ、またね』と声にせずにつぶやいて見送った。

彼女は、その周りに咲くひまわり負けないくらいまっすぐな尻尾で

『まあ、また会うこともないでしょうけどね』

と、答えたように聞こえた。

僕は一つ軽い深呼吸をして車をエンジンをかける。

向日葵に猫。絶対、なんとかして写真に一枚収めたかった光景。

何年前に、飛行機に乗ったとき、雲に落とした飛行機の影に虹が架かっていたのを

思い出した。あ、ずっと彼女って思ってたけど、あの猫、メスだよな~。


    おしまい




※まあ、ブログの表紙に貼った写真がそのひまわりです。去年のだけど(笑)

では、こういう感じはいかがかな?っと書いてみました。

ちなみに、ノンフィクションです。





『僕と黒い石』(仮題) 解説として

2016-10-21 00:01:09 | 日記
さて、第二弾の『ボクと黒い石』(仮題)の解説をあとがきにかえてお送りします。

◎世界としては、イメージしたのは、東南アジアの水上生活をしている地域です。

もしも、日本が水上生活するようになったら・・・。って、感じです。

で、なぜ、そんな状況になったのか?

正直、細かい理由は考えてない。なるときゃなる。じゃダメですか?(笑)

書いた2000年ぐらいの頃はオゾン層がどうのこうので南極の氷が溶け出して

海面が何メートル上昇した。

とか、騒がれていたような。最近は、あんまり言わなくなってきましたね。

まあ、『止まない雨はない』とか『明けない夜はない』とかいうでしょ?

いや、あるよ!って話です。

もう時代の流れが早すぎて、本当、古臭くなってしまったテーマですね。


◎登場人物として

ミサキ・・・オカマちゃん設定。二十代半ば。気絶していた間の夢を語っちゃて
      いい感じで泣いちゃうぐらいにピュアな子です。
      名前の由来は、まだ見ぬ世界を夢見て旅立ちたいが旅立てずにいる。
      その場所の象徴「岬」から取った名前です。

オザキ・・・ちょっと年上のクールな兄さん設定。なんとなく無精ヒゲがおしゃれな
      イメージ。いい兄さんで無口でもないのに、どっかミステリアス。
      名前の由来は、現状を打破するために先々の事を考え、実行に移している
      ので、方向的に正しいかはわからぬままに、先に進んでいるので、
      「お先」から取った名前です。

アサギ・・・普通の女の子設定。普通の少しだけ夢見がちな女の子。
      少しの夢といえば、あさきゆめみしでしょ~。って事で。
      (思いつかなっただけとは言わせない。

イサギ・・・登場しない設定。アサギといい関係を気づいたのは、オザキとの連絡を
      円滑にするため・・・。なのか?

てな感じです。単に海を感じさせる「崎」で統一させたかったのもありますね。
ほんと、文章だと読みにくかったことでしょう。すまん。


◎物語として

個人的に、寮生活とか下宿とかしたことないので、まったく想像でしかないのですが、
こういう共同生活的な事をしてみたいな~っと思いまして描いてみました。

あ、肝心の『黒い石』の話をしてなかった事に気がついた。

『黒い石』っていうのは、ある意味、この物語における世界、そのものといっても
いいんじゃないかな?なんだかよくわかない。けど、手を出しようがない。
で、いざ触ってしまうと三人に何かしらの変化をもたらした。
最初は『モノリス』的な存在にしたかったけど、舞台の制作上の都合を考えているうちに
希薄な存在になっちゃった。ある意味いらんかったかも・・・。
でも、出したかった。ので、出した。きっぱり!


◎まとめ

もう、15年ぐらい前に書いたものを載せてみたけれど、思うことは色々で・・・。
何か新しいものを書こうっていう原動力になるかなって思ったのですが。
やっぱ。レスポンスがその気力の源なんだよな~。

アクセス数が減ってるのが、充分レスポンスとして評価なんだろうけどね(笑)

ま、また、機会があったら、過去脚本載せますね。←発見できたら。

と、いいつつ、11月には旅エッセイが控えてるからな~。

最後に、一部でも目を通してくださった方々に感謝の言葉を贈りたい。

『これに懲りずにまた来てね~。ありがとう~。』

じゃあねぇ~ヽ(*´∀`)ノ



『僕と黒い石』(仮題) 最終回

2016-10-19 22:04:47 | 日記
  (オザキ、そっと部屋を出て行く。光の差す方角から船外機の音がする。)

ミサキ「あ。オザキ・・・。」

  (船外機の音。だんだん大きくなり、停船する音に変わり、拡声器で男性の声。)

男の声「え~。こちらは国土管理局の者です。そちらにオザキさんはおられませんか?」

アサギ「何?どういうこと?」

ミサキ「わ、私に聞かれても・・・。」

アサギ「今、国土管理局って言ったよね。て、オザキを。」

ミサキ「え?まさか。」

  (ドアが激しくノックされる。)

アサギ「あ、オザキ?」

ミサキ「違うわ。オザキはノックなんかしないもの。いいわね。余計なことは言わないでね。」

アサギ「分かってる。」

  (恐る恐るミサキがドアをあける。ドアの向こうに管理局の男。後ずさりするミサキ。
  その時、アサギが窓の外にオザキを発見。指を差し)

アサギ「あ、ああ~。」

ミサキ「何?アサギ?」

アサギ「・・・来て。あそこ、あそこ。」

  (ミサキ、窓に駆け寄る。視線の先にオザキ泳ぎなら逃げている。)

ミサキ「あ、オザキ!何、やってるの?」

アサギ「ね、あれって。逃げてるつもりかなぁ。あ、こっちに手を振ってるよ。お~い。」

  (アサギ、オザキに手を振る。止める、ミサキ。管理局の男はオザキを追いかける足音。)

ミサキ「やめなさいよ。見つかっちゃう。」

アサギ「(無視)お~い。あ、オ~ザ~キ~。後ろ、後ろ。がんばって~。」

ミサキ「もう、そんな事したら・・・。あ、危ない。ちょっとぉ、オザキ~、聞こえてるの~?
    後ろから追いかけてくるってぇ。あ、右からも。」

アサギ「あ、ホントだ。オザキ。右だよ。み~ぎ~。」

ミサキ「うふ、うふふふふ。」

アサギ「何、笑ってるの?」

ミサキ「だって、あれ。おかしくない?さっきといい、あんな必死なオザキ。見たことないもの、うふふふふ。」

アサギ「そういえば、そうだね。あ、危ない。がんばれ~。」

ミサキ「がんばれ~。」

アサギ「がんばれえ~。オザキ~。聞こえてるぅ?三つ目の質問だよ~。帰ってくるよね~。私、待ってるからぁ。」

ミサキ「わ、私も待ってるからぁ~。」

二人で「待ってるからぁから~。」

  (激しい照明消える。)

アサギ「行っちゃったね。」

ミサキ「うん、行っちゃったね。」

  (そこへ電話。アサギ、電話取る。)

アサギ「もしもし、あ、イサギさん。ごめん、ちょっと、待って、私の部屋から描け直すから・・。」

  (アサギ、受話器を置いて)

ミサキ「いいのに。」

アサギ「いいの、いいの。私も決めたから。」

ミサキ「え?何を?あ・・。」

  (アサギ、部屋を出て行く。ミサキ、一つため息ついて、窓を締める。小さなノック音。)

ミサキ「なあに。アサギ、ノックなんて。」

  (ミサキ、ドアを開ける。ドアの外にオザキ。)

ミサキ「あ、オザキ。」

オザキ「し~。声が大きです。」

ミサキ「だって、びっくりしちゃって。ずいぶん、早いじゃない。」

オザキ「いえ、そうではなくて、きちんとしたお別れを。」

ミサキ「私の中ではさっき終わったつもりだけど、ま、入ったら?」

オザキ「いえ、ここで結構。」

ミサキ「あ、そう。でも、大丈夫なの?」

オザキ「確かにあんまりいい状況とは呼べません。ボスは捕まってしまいましたし、仲間も次々と・・。」

ミサキ「夢、叶えられなくなるわね・・。ねえ、私も一緒に行きたい。私も一緒に夢を叶えたい。オザキの夢。」

  (ミサキ、オザキの胸に飛び込む。)

ミサキ「最初はうまく出来ないかもしれないけど、足手まといになるかもしれないけど、いっぱい練習するから。
    お願い・・・。」

  (その間、抱きしめるかどうか悩むオザキ。しかし、抱きしめる事なくミサキの両肩に手を置く)

オザキ「馬鹿な事を言ってるんじゃないですよ。そんな事をしたら、更にお天道様の顔を拝めなくなりますよ。
    アサギさんもあなたも本当の人生がこれから始まったばかりなんですよ。私のようにひん曲がった道を
    歩んではなりませんよ。でも、でもですね。困った時、本当に困った時には私を呼んでください。
    地球の裏側からでも泳いでまいりますから。」

  (オザキ、ミサキのおでこにチュウ!オザキ、部屋をでる。ミサキ、うっとり。そこへアサギ。)

アサギ「ふん。あ~ああ。やになっちゃうな~。私には。お元気で!だけなのに。何が平等よぉ。かなりの
    差がありましたねえ。私もあんな優しい言葉を掛けてくれる殿方を探さなくっちゃだわ。」

ミサキ「イサギさんは?」

アサギ「別れちゃった。」

ミサキ「いいの?」

アサギ「いいの、いいの。まあ、詳しい話はおいおいするけど、イサギさんってオザキの仲間なんだって。
    で、だから、これ以上、迷惑かけられないからって・・・。」

ミサキ「なんだか、色々ありすぎて驚けないわ。」

アサギ「そうだね。ま、これを期に、私、男にスガって生きるのやめる。ちゃんと働く。」

ミサキ「え~、あんたがぁ?」

アサギ「でね、聞いてくれる?」

ミサキ「嫌です。」

アサギ「え~、まだ聞いてないのに。なんで。なんでぇ?」

ミサキ「それはですね・・。」

   (照明、フェードアウト。)


                  おしまい


※てな感じです。長々と書いてしまった。よければ、もう一度最初から読んでいただけると・・・

  次は『僕と黒い石』(仮題)の解説編です。

  でわでわ、じゃあねえ~ヽ(*´∀`)ノ

  

『僕と黒い石』(仮題)その11

2016-10-18 04:23:19 | 日記
アサギ「座って!」

オザキ「はい。」

アサギ「どうなの?」

オザキ「何がです?」

アサギ「とぼけない。」

ミサキ「あさぎぃ~」

アサギ「ミサキは黙ってて。どう思ってるの?オザキ。」

オザキ「え。え。それは・・。勿論、私の事、ですよね。えとえと。」

アサギ「どうなの?オザキ!」

  (アサギ、軽くちゃぶ台を叩く)

ミサキ「取り調べじゃないんだから。」

アサギ「そういうミサキが一番知りたいんじゃないの?オザキの気持ち。」

ミサキ「は?あっはっはっは。やあねえ~、もう。そんな事。この子ったら何を言い出すのやら。ねえ、オザキぃ。」

  (ミサキ、オザキの肩をバンバン叩く。)

オザキ「いた、いたたた。痛いです、ミサキさん。痛いです。」

ミサキ「あ、ごめぇん。痛かった?この子があんまりバカチンな事を言うもんだから。ごめんね。」

オザキ「いえいえ、痛いというよりびっくりしたんです。大丈夫ですよ。」

ミサキ「ほんとに?無理してない?ほんとにごめんねえ~。」

アサギ「ほらね。ほらね。わざとやってるとしか思えないぐらいの仲の良さの説明をしてみなさいよ。」

ミサキ「(ちょっと怒)しつこいよ。アサギ。その説明を聞いてどうしようと言うの?それに私とオザキが仲がいい事に
    アンタに何の関係があるの!アンタにはまったく無関・・・」

オザキ「ミサキさんっ!」

アサギ「あっそ、あっそ。じゃあ、勝手にすればいいよ。そうやってごまかして、はぐらかして。いつまでも、自分に素直に
    なれずに嘘で固めて。熱くも冷たくもないぬるくベタついた水は、もうたくさん。嫌なの。嫌いなの。暗くていつも
    雨ばかり、水が溢れて出かけることもままならないこんな世界が嫌いなの。私だって、私だってぇ~。
    ま、関係ないんでした。はいはい。こりゃまた、すんずれい(失礼)しました。どうせ、私は関係ないんでした。
    三人での仲良し共同生活も、単なる嘘っぱちのママゴトでしかないのよね。」

  (ミサキ、アサギにビンタ。)

ミサキ「ちょっとアンタ。いい加減にしないとぶつわよ。」

アサギ「もうぶってるよ、なにすんのぉ。」

ミサキ「やる気?表に出なさいよ。」

アサギ「上等だあ!水の底に墓穴掘って、年の数だけ昆布供えたらぁ~!」

ミサキ「こっちこそ、アンタの尻にプロペラつけて八十日間で世界一周させたらぁ。」

アサギ「ぬぅぅうぅうぅぅ。」

ミサキ「はぁぁあぁぁぁ。」

  (ミサキとアサギ、取っ組み合いしかけて)

オザキ「私。私、触ります。触ります。この石。」

ミサキ「え?」

アサギ「ちょ、ちょっと待って・・。あ!」

オザキ「えい。」

  (オザキ、黒い石に触る。凄い衝撃。気を失いかけるが。)

オザキ「びゃぁぁぁ。」

ミサキ「オザキ。」

アサギ「え、え、え、え、・」

ミサキ「やだ。な、何をやってるの?」

  (ミサキ、オザキを黒い石から引っペがそうとするが、弾かれる。)

ミサキ(あいた、触れない。凄いシビれる。どうしよう・・。)

  (アサギ、黒い石を掴んだオザキの手を飛び込んで剥がそうとする。が、跳ね飛ばされる。ミサキ、加勢。)
  (やっと剥がれる。)

オザキ「私、いつも考えております。ミサキさんのこともアサギさんの事も、そして、自分の事。少し高慢な言い方ですが、
    私も含め私にまつわり関わる人たちがいかにして幸福になるかを・・・。見せかけでなく、心の底赤ら湧き出る
    笑顔を芽生えさせるために。考え悩み迷ったあげく、正解とは程遠いやもしれませんが、一つの結論を出すこと
    は出来ました。それは、人が人たるべき姿に還るべきだと・・・。」

  (アサギ、何か言おうとして、オザキに制される。)

オザキ「水の上での生活になんの疑問も感じなくなった私達。忘却の彼方にほううむりさられようとする大地への記憶。以前、
    私の恩師は、大地より与えられる恵みをどこまでも喰らい尽くした罪に対する罰なのだと言いました。だからこそ、
    私はその鋼材のためにも人は平等たるべきだと考えたのです。完全なる平等。そんなものは理想や空想と笑われよう
    と平気でいられるように、私は心を改造してきました。あくまで万人には均等なる友愛を注げるようにと。
    だから・・・。」

アサギ「それ、なんか違う。なんだかよく分からないけど違う気がする。」

ミサキ「ごめん。オザキ。私も。間違いではないけれど・・・。それって。」

オザキ「ええ、確かに私のこの考え、いえ、信念に賛同者は必要ありません。ただ、これだけは忘れないで欲しい。私は私。
    あなた方はあなた方であるということ。それでもなお、湧き出るあなた方に対する・・・。」

  (その時、窓から強烈な光が差し込んでくる。)

アサギ「え?なに?この光?」

  (ミサキ、光を手で遮りながら。)

ミサキ「まぶしい、え?え?あ、この光って・・・。」

アサギ「もしかして、ねえ、こっち(窓)って東だよね。」

ミサキ「そう、東よ。東。と、言うことは・・・、ねえ、今何時?」

アサギ「六時、朝の六時・・・。と、言うことは・・・。」

  (オザキ、立ち上がり部屋を出ていこうとする。)

アサギ「あれ?オザキ。どこ、行くの?」

オザキ「私には、まぶしすぎます。」

  (オザキ、そっと部屋をでていく。)


  つづく


※またまた、最後の最後でラピュタネタとか(笑)

んで、次が多分、最終回でーす。

お楽しみに~。(楽しんでもらえるかしら・・・)じゃあね~ヽ(*´∀`)ノ

『僕と黒い石』その10

2016-10-16 22:48:13 | 日記
オザキ「ミサキさん、どうなさいました。やはり、ご気分が・・・」

ミサキ「ごめん、ごめん。」

アサギ「何、謝っているの。ねえ、ねえってば。」

ミサキ「ごめん、ごめん。」

オザキ「とにかく、落ち着いて。一旦、お座りください。」

  (オザキとアサギ、ミサキを座らせる。ミサキ、溢れる涙を一生懸命、手の甲で拭う。
  アサギ、ミサキの肩を抱いてさすってる。)

ミサキ「ごめん、ごめんね。涙が止まらないの。」

アサギ「いいの、いいの。私達がいてあげるから。ずっと、涙が止まるまで、ずっと、こうしてあげるから。」

ミサキ「ごめんね。ごめん。」

オザキ「いえ、こちらこそ、申し訳ありません。いつも気丈なミサキさんに甘えてばかりで、ミサキさんの
    柔らかい部分に気づかずに過ごしてしまっていたようです。」

  (アサギ、オザキを見て。「出て行け」のサイン。オザキ、了解。静かに立ち上がろうとして)

ミサキ「いいの。オザキ。いて。やだ、まだ涙が止まんない。あのね。聞いてくれる。」

オザキ「無理に喋らなくていいですよ。私達は、あなたを充分に理解してますから。」

アサギ「そうだよ、落ち着いてからの方が・・・。」

ミサキ「ううん。今、聞いて欲しい。あのね、さっき、アサギにも話したんだけど、私、この黒い石を触ってしまって
    気を失ってる間、夢を見てたの。空を飛ぶ夢。まあ、空というより大気圏外まで放り出されたといった方が
    いいんだけど。そこへ太陽が昇って来て。アサギにはここまで話したよね。」

オザキ「え?息は?呼吸はどうなされたのですか?」

アサギ「オザキぃ~。とんちんかんな事を言ってないの。夢よ、夢。ね、ミサキ。で、そこで目が覚めたのよね。」

ミサキ「ええ、そうだと思ってたわ。でも、でもね。さっき、アサギとオザキが寄り添った瞬間に思い出したの。」

アサギ「何を。何を思い出したの。」

オザキ「アサギさん。」

ミサキ「雲を突き抜けて地球に帰るというか、落ちていくって言ったほうがいいのかな。その私が落ちてきた後に
    穴が開いて光が追いかけてきたのよ。まるで光が私の背中を押してくれてるような、そんな感じがした。
    それから気がついたら、雲を抜けて暗い広い広い水の上に浮いていたの。
    で、私のいた光がそのまま小さな島に伸びていたの。あ、私、あの島に落ちるんだなぁってぼんやりと
    考えていたのよ。その島に近づくにつれて、小さな協会があるのが見えて、あの屋根の十字架に刺さっちゃう
    のかな~って馬鹿なことを考えていると、空中の何メートルかな。十メートルぐらいのかな。
    そのあたりでピタッと止まったのよ。あれれって、思った時だった。その小さな島の小さな協会で小さな結婚式が
    挙げられていたのが分かった。新郎は薄紫のタキシード。新譜は淡いピンクのウエディングドレスをマトって、
    腕を組んまま少しも動かないの。私、ちょっとでも近づきたくて、必死でもがいて平泳ぎっていうのも
    おかしいけど、空中で泳ぐように必死で近づいて、その二人の顔が見える位置までたどり着いたの。
    (うつむいて)二人・・・だった・・・。」

アサギ「私と・・・。オザキ・・・?」

ミサキ「あ、二人だって思った瞬間にバランスを失って水に叩きつけられた。あとは覚えてないわ。」

アサギ「なんか、なんかね。」

オザキ「なんと、申し上げてよいのやら・・・。」

ミサキ「夢だよ、夢。えへへ、なんでそんな夢みちゃったのかしら?ねえ、オザキ。」

オザキ「(びくっ)は、はい!」

ミサキ「オザキは夢判断とか夢占いとか出来ないの?」

オザキ「は、はあ、申し訳ない。そちらの方は門外漢でした・・。」

アサギ「(小さな声で)分かってるじゃん、分かってるじゃん。」

ミサキ「何?」

オザキ「あ。そうだ。しまった~。スープ。スープがぁ~。こうしてるバヤイではありません。スープがすっかり
    冷めてしまいましたよね、きっと。私、温め直してきますね。」

  (オザキ、すごすごと立ち去ろうとする)

アサギ「オザキ。」

オザキ「あ~。参っちゃうなぁ。温め直すと具が硬くなっちゃうんですよね~。何か硬くなった具を柔らかくする裏ワザとか
    ないですかね~?あ、そうですよ!自分で発明開発してテレビに採用されて三十万!」

アサギ「オザキ!」

オザキ「ひゃい!」


  つづく


※最後の最後で「伊東家の食卓」(1997~2007)ネタとか・・・・。

  でわ、続きであいましょー。じゃあね~ヽ(*´∀`)ノ