
2052/06/13 fry
2025/07/09 wed
前回の章
二千十四年四月二十七日。
今日の夜は高橋満治が絶賛するフレンチレストランへ敦子を連れて行く。
仕事を終えると伊勢佐木モールと並行して関内駅から真っ直ぐ伸びる国道十六号沿いを歩きながら帰る。
途中で『東方餃子酒場』をいう店を発見。
餃子を食べてから帰るか。
ランチタイム時で店内はそこそこの入客状況。
ランチメニューを拝見すると、餃子のセットは何と五百円。
一番高いもので七百八十円と非常に良心的なお店だ。
焼き餃子セットを注文すると、五百円なのに凄いボリュームで、しかも餃子が本当に美味しかった。
ご飯やスープ、前菜などもついてこの値段でやっていけるのか心配になってしまう。
おそろく今後ここへ通ってしまうのだろう。
フレンチレストランは夜の九時に予約をしているので、七時頃敦子には俺のマンションへ来るよう伝えてある。
完全に熟睡すると起きない俺は、ドアのカギを開けたままにしておくので勝手に入ってきて起こしてほしいと頼んだ。
風呂に入り洗濯を済ませ、布団に横になるとすぐ睡魔に引きずり込まれる。
身体をゆすられた感じがして目を覚ます。
いつの間にか敦子が部屋の中にいた。
「あ、やっと起きた。おはよう」
「今何時?」
「もう夜の七時過ぎているよ」
二時過ぎには寝たはずだから、結構休めたのか。
目覚めると傍に敦子がいる。
いい感じの幸せだ。
「九時に野毛のレストラン行くからね。俺の友達って言っていいのかな…。一回り年上なんだけど、医大を目指す生徒の先生やってる人がいてね。その人が今日紹介してもらうんだ」
「へえ、それは楽しみだね」
彼女を抱き寄せ優しくキスをする。
一時間以上まだ余裕があるから抱こうと思ったが、先日のラブホテルでの状況を思い出す。
ここをあれだけの潮を出されたら後々大変だな……。
食事のあとホテルへ行けばいいか。
「ちょっとお風呂入ってくるね。適当に寛いでいて」
熱いシャワーを浴びながら、そういえば俺は今まで同棲すらした事が無い事に気付く。
もし敦子と一緒に住むなら、もうちょっと広めの部屋を借りなきゃいけない。
八時半になったので、俺たちは野毛へ向けて部屋を出た。
待ち合わせ場所は野毛のぽあろの前。
時間通り到着すると、高橋の姿が見える。
「高橋さん、こちら彼女の敦子です。今日はよろしくお願いします」
「はじめまして、高橋です。ではそろそろワイズへ向かいましょうか」
三階に入っているぽあろと同じビルの二階にフレンチレストランはあった。
元ニューグランドホテルの総料理長だったというシェフの料理はとても楽しみだ。
カウンター席のみのこじんまりとした隠れ家的レストランで、席数は六席ほど。
「いらっしゃいませ、高橋さん」
「今日は元全日本プロレスのレスラーを連れて来ましたよ」
「だから高橋さん、それは止めて下さいって」
コース料理はお任せで頼んであるようで、フレンチ料理らしく手順を踏まえて料理が出てくる。
まずはアボカドの生ハム巻き。
正直アボカドって食べた事がないんだよな……。
それでも初対面のこのような店で、好き嫌いを言う訳にもいかない。
「そういえば岩上さん……」
「何でしょう?」
「あいだのママと何かあったんですか?」
「…と言いますと?」
だいたいの内容は分かっていたが、素知らぬふりをした。
「岩上さんへ女性を紹介したら、急に連絡が取れなくなったと、私に連絡が来まして」
本当にウザったいババーである。
敦子が俺の右腿へそっと手を置く。
堪えてくれという合図なのだろう。
続いてつぶ貝のエスカルゴ風が出てくる。
エスカルゴといえば、新宿プリンスホテルの地下一階にあるイタリアンレストランのアリタリアを思い出す。
よく連れていった小川誉志子や浅野美香は、元気でやっているのだろうか?
うこっけいのポーチエッグ。
食べた事のない料理がどんどん出てくる。
隣りで敦子は満面の笑顔で楽しんでいた。
俺は複雑な心境だった。
別に俺は何一つ後ろめたい事など無い。
それなのに裏で高橋満治まで話題を持っていくあいだのババー。
よく商売をしているのに、客の風評被害をベラベラと吹聴できるものだ。
真鯛といかとフルーツトマトのカルパッチョ。
この料理で驚いたのが、フルーツトマトである。
トマトがこんなに甘くて柔らかいものだなんて思いもしなかった。
「このフルーツトマトはフランスの農家と契約して送られてくるのですが、一つで六百円するんですよ」
「え! トマト一つで六百円?」
かなり希少なものを目の前に出されているのかと驚く。
唯一の救いはこのワイズのコース料理が素晴らしく、感動さえ覚えられる点だ。
アサリのクラムチャウダー。
一つ一つの料理がとてもエレガントに見える。
「美味しいー!」
舌鼓を打ちながらかなり満足な様子の敦子。
彼女の為に俺はあいだに対して、理不尽な我慢をしている。
メジマグロ香草パン粉焼き。
俺がこれまで作ってきた料理とは何なのだろうかと思うほど、腕の差に天と地ほどの開きがある。
メイン料理のグレッサの鴨肉のぽあれ。
素晴らしいとしか感想が浮かばない。
デザートにチーズケーキ。
ワインも、赤と白をシェフからいいものをチョイスしてもらい、いい感じの時間を過ごせた。
「このワイズから上のぽあろへ行くのを私は黄金コースと名付けているんですよ」
高橋が黄金ルートと呼ぶのは確かに相応しい連携だ。
いい店を紹介してもらったので、俺が会計を払おうとすると「割り勘にしましょう」と諭される。
こっちは敦子もいるので俺が二人分出す形で金を出す。
横浜に来てというよりも、これまでの飲食店とレベルが違うワイズ。
是非ともまた来てみたいお店だ。
ワイズを出て、そろそろ敦子とホテルへしけ込もうかなと思っていると「岩上さん、次は結構いい店あるんですよ」と声を掛けられた。
「いや、高橋さん…、ちょっとこのあと……」
「敦子さんも良かったら、もう一軒どうでしょうか?」
俺が答える前に高橋は敦子にも誘っている。
「ええ、是非よろしくお願いします」
一軒目のワイズがいい店だった事もあり、即答されてしまう。
付き合いたてなんだから、高橋も空気を読んでくれよ……。
仕方なく俺たちは高橋の後を付いて、二軒目へと向かった。
ワイズのあとはインターコンチネンタルホテルの森田も合流し、『HAG』というバーへ入る。
Uの字カウンターのみのこじんまりとした店の割に、店内は満席状態。
ちょっとだけ付き合って二人きりになりたかったが、高橋がカラオケを歌い出し、抜けるに抜けられない状況になっていく。
森田からもあいだのババーから連絡があったと聞いた。
一体何人巻き込めば気が済むのだ?
確かに敦子とのきっかけはあの店である。
しかしそのあと俺が誰とくっつこうが、店に行く行かないも自由だろうが……。
あのババー、何がしたいんだ?
苛立ちがさらに増す。
会計を済ませ外へ出ると、高橋はタクシーを捕まえ「次行きましょう」と声を掛けてくる。
断ろうとして口を閉ざす。
敦子までが笑顔でタクシーへ乗ってしまっていた。
三軒目は国道十六号沿いのアポロへ。
敦子にしてみれば目新しい店ばかりの梯子なので、楽しくて仕方がないようだ。
彼女が抑えてとお願いするから、俺はあいだへの怒りを抑えている。
ストレスが溜まる中、陽気にはしゃいでいる敦子。
高橋にしても付き合いたての俺たちカップルに対し、少しは気を遣ってほしいものだ。
みんなが盛り上がる中、俺は入口近くに置いてあるジュークボックスへ行く。
百円で三曲選べるようだ。
俺はビリージョエルのオネスティを選曲する。
好きな洋楽が掛かっているというのに、イライラが収まらない。
「次行きますよー」
陽気な高橋は、四軒目にスペインバーを選ぶ。
皮肉な事に、スナックあいだの二軒隣りの店だった。
通り過ぎる時、あいだの看板を蹴破ってやろうかと思ったほどだ。
この店はスペイン人男性と日本人女性の夫婦が営んでいる店。
だいたい敦子が抑えろと言うから抑えているのに、それが仇となって高橋や森田にまで飛び火している。
より苛立ちが増す俺に対し、無邪気にはしゃぎ回る敦子。
金を使っているのは俺だ。
少しくらいの気遣いすらできないのか、この女は……。
「敦子! おまえのせいで周りまで巻き込んでいるのに、何で気にせず酒に酔いはしゃいでいるんだよ!」
気付けば俺は彼女へ怒鳴りつけていた。
シーンとなる店内。
突然怒り出した俺に対し、敦子は逆に睨み付けてくる。
高橋や森田が慌てて俺に声を掛けてくるが、もうどうでもよかった。
財布から二万円取り出し、テーブルの上に置く。
「これだけあればここの会計足りますよね?」
それだけ言うと俺は出口へ向かう。
敦子が背後から文句を言ってきたが、口論する気にもならなかった。
「もう…、おまえはいらない」
それだけ伝えるとスペインバーをあとにする。
外へ出てスナックあいだの看板を蹴飛ばす。
気分が酷く混乱していた。
タバコに火をつけながら行く当てもなく横浜の街を彷徨い歩く。
高橋や森田辺りから電話が掛かってくるかと思ったが、携帯電話はまったく音がならなかった。
目に付いたキャバクラへ入る。
席に着いたキャバ嬢が色々と話し掛けてくるが、鬱陶しいだけだった。
浴びるようにウイスキーをストレートで飲む。
面倒なだけなので、スナックあいだのママをフェイスブックでブロックした。
ずっと無言のまま、五本目のタバコへ火をつける。
「あ、あのー…、私何か失礼な事をしましたか?」
キャバ嬢の問いに対し、少しだけ冷静さを取り戻す。
「いや、ごめん…。君はまったく悪くないよ。俺が悪かった。もう帰るよ」
席を立つと、慌ててキャバ嬢は止めてくる。
店に入って二十分も経っていなかった。
黒服の男性従業員が駆け付けてくる。
「ごめん、この店は何の落ち度も無いよ。気にしないで」
それだけ言うとキャバクラを出た。
怒りで充満していた感情が虚しさに変わる。
時刻は深夜二時を回っていた。
再び当てもなくフラフラと街を歩く。
もう今日はこのまま帰ろう。
伊勢佐木モールから国道十六号を横切り、横浜橋通商店街方面へ向かいながら歩いていると、ボロチャリの前に出る。
初めて高橋と色々な店を回った内の一軒のバーだ。
一杯飲んでから帰るか……。
カウンター席へ腰掛け、グレンリベットをストレートで注文する。
昔からそうだ。
こんな遣る瀬無い気分の時に、いつだってこの酒は俺を癒してくれる。
一杯だけのつもりが、マスターが一度しか来てない俺を覚えていて話し掛けてきた。
「マスターも一杯どうぞ」
気付けば他愛ない話をしながら何杯も飲んでいた。
時計を確認する。
朝の四時半過ぎ。
わざわざ仕事を休んで俺も何をしているんだか……。
そろそろ帰るか。
席を立つと、店の前に一台のタクシーが停まる。
「あ、岩上さんじゃないですか!」
中から酔った森田や高橋、そして増山敦子の姿が見えた。
敦子の顔を見ると、向こうも俺を見て不機嫌そうな表情をしている。
「岩上さん、一緒に飲みましょうよ」
高橋が声を掛けてくる。
確かに付き合っている女を置き去りに、一人先に帰ってしまった俺も悪い。
しかし高橋は最初からいたのだから、少しくらいフォローしてもいいんじゃないか?
それを俺に連絡一つせず、人の女を連れて何軒も飲み歩くのはどうかと思う。
「すみません、私そろそろ帰りますね」
バツが悪そうに敦子は来たタクシーへ再び乗り込む。
俺は無視して再びボロチャリへ入った。
ズレた歯車はもう二度と元には戻らない。
あれだけ欲したはずなのに、彼女に対し何の未練も無かった。
敦子を乗せたタクシーが遠ざかっていく。
敦子との一件があった為、高橋や森田となし崩し的に飲む流れとなってしまう。
間違った方向へ怒りのエネルギーを出してしまった俺。
彼女には半分八つ当たりだったのも自覚していた。
しかし最初の時点で俺があいだのママへハッキリ文句を言っておけば、それだけで済んだ案件なのだ。
そもそも一番おかしいのはあいだである。
冷静になった今、自分の行動がおかしかったのも理解できた。
もっと違うやり方をすれば、敦子とも別れずにうまくやれたのだはないか?
いや、未練がましい考えを持つな。
彼女への想いは急激に冷めてしまったのだから。
ボロチャリを出ると、次はトンカツの『長八』へ向かう。
時刻は朝の六時を回っていた。
たくさんの酒を飲んだあとなので、さすがにフライ物はキツい。
朝食メニューの出る時間帯だったので、鮭の定食を注文する。
あれだけ怒っていた感情も一度爆発したので、もうどうでもよかった。
かなり酔っていたからかもしれない。
朝九時まで飲み続け、部屋へ帰ると泥のように眠る。
起きてからゆっくり風呂へ入り、昨日からの一連の騒動を思い返す。
すべてはもう終わってしまった事。
元に戻せないし、敦子との関係が終わった事を悔いても仕方がない。
本当に許せないのはスナックあいだのママだ。
もう二度と絡んでくる事が無いよう俺はフェイスブックで記事を書いた。
人の書く記事に陰でこっそり見て、コソコソ動き回っている輩へ。
俺が正々堂々何をしようと何の関係もないし、自由だろうが!
あまりしつこいと小説のネタにしてやっからな。
人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ。
商売をしながら人の心が分からないような馬鹿だから、説明もちゃんと付けといてやる。
他人の恋愛を邪魔するような事は無粋の極みだから、往来を歩いていると人にも馬にも蹴られるだろうよという事。
無粋を蔑んで言う。
これ、思い当たる節のある奴。
さすがに俺も本当に怒りそうなんで、着信拒否とフェイスブックのブロックさせていただきました。
ご了承しろと言うか、今後俺の人生に関わりを持つ事を止めろ。
できればいつだってニコニコしながら平穏無事に過ごしたいだけだから。
事情を知らずにこの記事を見た人は、何があったのか混乱するばかりだろう。
もちろんスナックあいだのママへ宛てた見せしめの記事である。
無駄な金と時間を使い、苛立ちだけが残った。
いつまでもあんなどうでもいいババーなど、構っていても意味が無いか。
ぐっすり寝たから腹が減っている。
美味いものでも食べに行こう。
横浜橋通商店街の宝水産のマグロづくし丼を食べる。
一週間程度の付き合いで消滅した増山敦子。
果たして付き合ったとさえ呼べるのか?
やはり俺は一人で気ままに横浜生活を満喫しているのが相応しいだろう。
酒ばかり飲む堕落した生活を送り過ぎた。
今日はトレーニングをしたあと、仕事前までゆっくり部屋で過ごそう。
一通りの事を済ませ、熱い湯に浸かる。
タバコを吸いながら寛いでいると、一通のメールが届く。
敦子からだった。
あれだけ揉めたのに、普通の文面で次にいつ会うかという内容。
『俺たちもう終わっただろ? 岩上』
短いメールを送り返す。
その後彼女からの連絡は一切無くなった。
高橋から飲みの誘いがあったが、丁重に断る。
確かにフレンチワイズは素晴らしいレストランだった。
あの時敦子を連れて行かなかったら、まだ関係は続いていたのだろうか?
いや、それは無い。
何かしらで衝突していたはず。
それがたまたまあの日だったのである。
気分転換に料理を作ろう。
前回作ったスパイスを調合したカレー。
同じような感じでパスタのソースに活かせないか?
野菜を刻み、オリーブオイルを入れて弱火で丹念に炒める。
トマトホルダー缶を入れてから、香草系はオレガノ、バジル、タイム、そしてローズマリーを使う。
調味料はブイヨン、ガーリック、ナツメグ、パプリカ。
トマトソースを作ってじっくり煮込む。
先日行ったフレンチワイズの料理に比べれば児戯に等しいが、それでも美味しいソースができそうだ。
ここから一晩寝かせて味を落ち着かせよう。
翌日ののお昼はまた東方餃子酒場へ行き、ランチを食べる。
前回食べた餃子美味しかったので、今回は豚と大根の餃子も一緒に注文。
期待して食べたところ、不味くはないけど、やっぱり普通の焼き餃子が一番美味しいという結論になった。
部屋へ戻ると、昨日のトマトソースの続きを開始した。
肉は鶏の胸肉を香草焼きしてから、トマトソースと一緒にコトコト煮込む。
またじっくり寝かせて、味を落ち着かせる作業。
それを繰り返してみる。
麺を茹でサーバーを使って丸めて皿へ盛る。
トマトソースと香草焼きチキンを乗せて完成。
味は基本さっぱりした感じだが、あとから程好くスパイスが利いてくる感じのソースになった。
料理は奥が深い。
本当なら敦子にトマトソースを振る舞い、暖かい食卓を……。
止めろって。
自分で関係をシャットダウンさせて終わらせたのだろう?
過ぎた事を女々しく考えるなよ。
俺は異性と付き合ってはいけない人種なのだから。
四月も終わり、五月へ入る。
月が替わって今さら気付いたが、世間一般はゴールデンウィークの真っ最中。
全然気にならなかった自分が怖い。
増山敦子の一件もあり、そのあとずっと働いていたのでそれどころではなかったのだろう。
裏稼業は仕事に出て給料何ぼなので、サラリーマンのように休みが多い訳ではない。
中々休みを取りずらい環境にいるせいも手伝い、翌日の二日に仕事を大遅刻してしまう。
一時間半の遅れ。
完全に寝過ごした。
遅刻自体非常に珍しい俺。
海より深く反省する。
弛んでいるというよりも、肉体的にも精神的にも疲れが溜まっている証拠だ。
一度ちゃんと休んだほうがいい。
下陰さんに交渉し、次の休みは十日に決定する。
まだ一週間以上日にちがあるが、それまで気合い入れて頑張ればいい。
一人旅でも行って自身を癒して来ようかな。
仕事帰り、横浜橋商店街の俺のマンションとは逆側の平行する細道にある洋食屋の狐狸庵へ入ってみた。
レトロ感漂う歴史のありそうな店だ。
ランチタイムでハンバーグが千三百円。
結構な値段を取るが肉に掛けるソースは五種類もあり、好きなものを選べるようだ。
今回はハンバーグのガーリッククリームソースを注文。
ちゃんとサラダやコーンポタージュスープにライスも付いてくる。
味も盛り付け方も及第点であるが、この半分以下の値段でイタリーノのランチが食べられると思うと、俺はそちらを選んでしまうだろう。
部屋へ戻ると、すぐ横になりしっかり睡眠を取る。
起きてからご飯の準備をした。
夜は手抜きで炒飯としょうが焼きを作り、簡単に済ませる。
十三日になれば、ジャンボ鶴田師匠の命日。
二千年の五月に亡くなったから、もうあれから十四年の月日が流れようとしている。
あの頃必死に取り組んだストイックさを忘れるなよ。
今の俺はとてもだらしなくなってしまった。
今一度初心に返り、気を引き締め直そう。
酒ばかり飲んでグダグダしている場合じゃない。