2025/05/31 sta
俺が19歳の頃だから、35年も経つ
起龍のタケさんとか、あの当時スナックパピリオへ通っていた人たちはどうしているんだろう?
起龍の横にあった二階のスナック、パピリオ
その目の前にあったBAR
またマスターに会いたいけど、果たして生きているのかすら分からない
せっかく上の記事見つけたけど、喜龍として復活したけど現在は閉店しているようだ
7月から暇になるので、北海道の倶知安へ行ってみたかったけど、もう誰一人知り合いいないのだろうな……
携帯電話も何も無い時代
古き遠い場所の手掛かりを調べるのは難しいものだ
帰り支度を済ませ、香織の部屋を出る。まだ香織は眠っていた。起こすと絶対に見送りに来るだろう。そんな事されたら、俺は地元に帰れなくなってしまう。
寝ている香織にそっと優しくキスをした。
あと一時間で汽車に乗らないと、飛行機の搭乗時間に遅れてしまう。
駅に向かう最後に、世話になったスナックの前を通る。ママや他の女の子の顔を思い出しながら、しばらくシャッターが閉まっている状態の店を眺めた。
「あれ、そろそろ行っちゃうの?」
誰かが声を掛けてきた。
「あ……」
昨日、俺に大ジョッキを奢ってくれた人が、スナックの横にあるラーメン屋の前で立っている。なんという偶然だろうか。俺は嬉しくなって満面の笑みを浮かべた。
「どうしたんです、こんな時間に?」
「あれ、言ってなかったっけ?俺、ここの店で働いているんだよ。まあ、実家でもあるんだけどね。これから店を開けるところなんだ」
「俺、寄っていってもいいですか?」
「汽車の時間、間に合うの?」
「ええ、まだ一時間ぐらいあります」
「そっか。じゃあ寄ってきな」
「あ、あのお名前をできれば教えてもらってもいいでしょうか?」
「俺?タケって言うんだよ。まあ入りな」
まだオープン前だというのに、その人は快く俺をラーメン屋に入れてくれた。看板を入る前に見る。『喜龍』と言う名前だった。
俺はカレーライスを注文する。北海道最後に食べるものがカレーライスというのもいいものだ。
タケさんは、すぐにカレーを持ってきてくれた。
「へい、お待ち」
テーブルの上に置かれたカレーを見てビックリした。もの凄い量のカレーだったのだ。
直径三十センチぐらいの皿に、ラーメンに使う丼一杯分ぐらい、ご飯が盛ってあり、その上に皿から零れんばかりのカレーのルーがたっぷりと掛けてあった。いくら食欲あるほうだといっても、これだけの量を食えるかどうか……。
「あれ、少なかった?」
そう言いながら、親切な人は笑って奥に消えていく。またこの店にも来てみたい。素直にそう思う。本当に北海道は暖かい人ばかりである。
汽車に乗り、景色を眺めながらこの七ヶ月間を思い出した。