岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド
とりあえず過去執筆した作品、未完成も含めてここへ残しておく

5 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編)

2019年08月03日 15時39分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編)

 

 

4 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

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 寝台夜行列車に乗り込む。行き先は九州の宮崎。これから何時間も掛けて、電車に乗る訳だ。
 俺の寝るベッドは二段ベッドの二階だった。中学生の俺の体でも少し狭く感じるぐらいのベッド。カーテンを引けば、中を外から見られる事はない。俺は駅の売店で買ったコーラを飲みながら、紙袋を開ける。
 来る途中、川越駅まで真っ直ぐ伸びる『サンロード』という名称の商店街を歩いている時、デパート『ニチイ』の先、『武蔵野銀行』の向かい側に小さなハンバーガー屋さんがあった。そこでは百円でハンバーガーを売っているので、電車の中で食べようと、俺は五つ頼んで持ち帰りにしてもらう。あとはポテトフライもお願いしたが、何故かこれはハンバーガーより高く二百円も取られた。ちょっと損をした気分だ。
 注文してから作るスタイルの店だったので、店員のお姉さんは美人な顔立ちなのに、ケチャップを絞る時すごい変な顔をしながらハンバーガーに掛けていた。口をひょっとこのようにするから、綺麗な顔が台無しだ。
 それを思い出し、一人でクスクス笑う。一階にいたお兄さんは、上を向いて変な奴だなあって思っているんだろう。

 一口食べてみる。
「……」
 何かすげーマズい……。
 あのハンバーガー屋、シンプルにケチャップだけを掛けておけばいいものを訳の分からない白いオリジナルソースも一緒にしているから、まったくうまくない。
「私がほしいものを我慢して、コツコツ貯めたお金なんだ。龍一、これでちゃんと計算しておみやげまで買うんだぞ。分かった?」
 でもこのハンバーガーは、ユーちゃんがコツコツ貯めてくれた大事なお金なんだ。残す訳にもいかない。俺は頑張って、三つ食べた。もう限界だ。マズ過ぎる。お腹はいっぱいになっていないけど、あと二つは時間置いてからにしよう。
 カーテンを閉めると薄暗いので、枕元の室内灯をつける。『カンナぶし』などの本は一度読んだせいか、あまり集中して読めない。
 暇を持て余した俺はベッドを降りて、電車の中を探索する事にする。二車両ほど同じような配置だが、三車両目は小さめのカウンターがある変な車両だった。
 その先を行くと食堂車がある。家の前にある映画館のホームランでおそらく回数を一番多く観た映画『銀河鉄道スリーナイン』を思い出した。主人公『哲郎』と『メーテル』。彼らのアンドロメダへ向かう電車の旅は、幼かった俺に夢と希望を与えてくれた。時間城の『機械伯爵』のシーンに出てくるバー。そこで唄う女性の歌は未だ脳裏に媚びりついていた。
『そ~れがほしいとゆ~ぅ~の~…。わたし、それともあい~……』
 その歌を聴き、酒場の隅で泣いている人々が今でも印象的だった。
 今、俺はスリーナインに出てくるような食堂車の前にいるのだ。もの凄い興奮が全身を包む。さっきハンバーガー三つ食べたけど、まだまだ食べられる。ユーちゃんの大事なお金、俺は憧れだった食堂車で使わせてもらうからね……。
 左右にテーブルが並び椅子まで設置された食堂車。あまり可愛くないウエイトレスが俺の姿を見て「いらっしゃいませ」と声を掛けてくる。黙ったまま空いている席に座り、メニューを眺めた。
 た、高い……。
 何だかすごい高いぞ? どうしよう……。
「お冷をどうぞ」
「す、すみません……」
 ヤバい。これで逃げ場がなくなった。安いもので八百円ぐらいから、高いものだと二千円近くのものもある。行く前ですでに千円ぐらい使っていた。残り七千円しかない。でも今さら帰れないしなあ。
「カ、カレーライス、い…、一丁……」
 馬鹿、何でカレーライスが一丁なんだよ。落ち着けって……。
「お客さま、ご一緒にお飲み物はいかがでしょうか?」
「い…、いえ…、お、お金あまりないから……」
「かしこまりました。復唱します。カレーライスをお一つで、よろしいですね?」
「は、はあ……」
 ウエイトレスは「クスッ」と微笑んでから向こうの車両に消えた。
 何か思い切り恥ずかしかったぞ。憧れの食堂車なのに、『銀河鉄道スリーナイン』の事なんてとっくに頭の中から消えていた。残り約六千円。

 カレーを食べてから自分のベッドへ戻る。もうちょっと量があってもよかったのになあ。いまいち満腹感を感じない。
 アドベンチャーゲームブックの『火吹き山の魔法使い』をやってみる。この本のいいところは、選択肢によってストーリーが変わってしまう事だ。主人公が途中で死んでしまう事もあれば、ハッピーエンドもある。何回も楽しめるのだ。
 夢中になって本のページをめくったり戻したりする。こんな面白いものがこの世の中にあったなんて……。
 これを教えてくれた従兄弟の和ちゃんには、本当に感謝しなきゃなあ。
 弟しかいない俺は、兄気代わりにいつだって和ちゃんに懐いていた。でも小学校一年生の時、一回だけ喧嘩をしてしまった事がある。頭に来た俺は、おじさんやおばさんがとめるのも利かず、歩いて南大塚駅から本川越の自分の家まで国道十六号をひたすら真っ直ぐ歩きながら帰った記憶がある。一年生の俺が何故そんな道を知っていたかと言うと、親父が配達の時に隣へ乗せて、南大塚まで何回も行ったおかげで道を覚えていたのだ。確か夏だったと思う。足の裏が焼けるように熱くて、何度も途中でしゃがみ込んだ。真横でビュンビュン車が通り、怖いからまた立ちがあって何とか歩き、やっと家まで辿り着いた。あの時だけは母親が、妙に優しく出迎えてくれたっけな……。
 あ、昔を思い出していたら、どのページに行くか忘れてしまったみたいだ。でも、あれからもう六年も経つんだな。母親が出て行ってからは、五年以上の月日が流れている。
 あの頃、強くならないと殺されると思っていた。
 だから映画館で観た『酔拳』のジェっキーチェンに憧れた。
 ようやく開放された時、自由を感じる事ができた。しかし俺はその自由を間違った方向へ勘違いして捉えていた。それを叩きのめしてくれたのは、小学三先生の担任だった福山先生。
 そのあと、親父の暴力が始まった。もちろん俺が殴られるのは嫌だけど、それ以上にユーちゃんが殴られるのが堪えられなかった。理不尽な暴力に立ち向かうには、力という純粋で分かり易い強さが必要なんじゃないだろうか。サッカー部でも冷遇され、今は勉強でいい成績を取る事が目標の俺。昔思ったんじゃないのか? いくら勉強できても、殺されたら意味がないと……。
 母親がいなくなってからは、ユーちゃんが親代わりに育ててくれている。この夏休みを利用して今、九州一人旅という貴重な体験を味わおうとしている。さっきの食堂車では緊張してしまい、よく覚えていない。だけど時間さえ経てば、それさえいい思い出になるような気がした。
「すみませ~ん、駅弁とお茶」
 その時、下から声が聞こえる。カーテンをこっそり開けて隙間から見ると、ちょうど通路で駅弁を売りに来ているところだった。
 駅弁とお茶か…。何か素敵な響きだ。先ほどカレーを食べたばかりだけど、まだ胃袋には入る。俺はすぐカーテンを開け、「すみません、駅弁とお茶下さい」と声を掛けていた。
「はい、千円と五十円です」
 高いなあ…。中身を見ると、あまり好きじゃない魚料理がメインの弁当だった。こんなんで千円もするのかよ。下にいるお兄さんに「おいしそうに注文なんてするんじゃねえ」と怒鳴りつけてやりたい気分だ。はあ、これで残り五千円ちょっとになってしまった……。

 暇だ。本当にやる事がない。
『火吹き山の魔法使い』をひと通り読んでしまった俺は、退屈で仕方がなかった。新しい小説でも図書館に行って借りてくれば良かったなあ。
 せめて二階のベッドじゃなく、下だったら良かったのに。ジッとしているのが元々性分に合わない俺は、またベッドから降りて通路をウロウロと歩き回った。しばらく窓の外を眺める。
 目の前には壮大な海が広がっていた。川越は山も海も何もない街だ。
 家の目の前の川越日高線を真っ直ぐ大宮方面の十六号へ向かうと、途中で小さな橋がある。右手にはバッティングセンターがあった。そこに流れる赤間川。さすがにジャンプして飛び越せるような距離ではないが、十メートルもない小さな川である。
 俺は弟の龍也と龍彦を連れ、するめイカを餌にザリガニを釣って遊んだ。たまに近くの草の近くに「ゲロゲロ」とカエルの鳴き声が聞こえると、俺はザリガニを放り出しすぐ逃げ出した。
 それで兄の弱点を知った龍也と龍彦は、一度カエルをポケットに忍び込ませ、俺を驚かした事がある。その時だけは優しく「可哀相だからカエルを逃がせ」と言い、実際に目の前にいなくなると、コテンパンに殴ってやった。あとで親父から倍返しで殴られたのは痛かったが、これであいつらも二度とカエルを使った悪戯などしなくなる事を考えれば安いものだ。
 赤間川のバッティングセンターには、ほんの数台だがゲーム機も置いてあった。しかしここは一ゲーム百円もするボッタクリぶりである。同級生の川原の家『ピープルランド』は十円のチンケな台もあれば、百円にゲームと良心的な料金設定だった。蔵造り通りの松崎スポーツの横にあるスリーナインは、すべて位置ゲーム五十円。だからボッタクリバッティングセンターではよほどの事がないと、絶対にゲームなんかしてやらなかった。
 何で俺は海を見ながらゲームセンターの事でここまで考えなきゃいけないんだ。発想が非常に乏しい。悲しくなってきたので、隣の車両へ向かう。
 この先はもう食堂車になるだけ。また顔を出した時、「いらっしゃいませ」なんて水を出されたら、またお金を使ってしまうだけだ。あのブスなウエイトレスめ、ひと言ぐらい「うちは高いですよ」って最初に言ってくれればいいのに……。
 俺はプンプン怒りながら自分のベッドへ戻った。階段を上がる時、カーテンの隙間から男性の姿がちょっと見える。俺がこっそり見ているのも知らずに男はポリポリと頭をかいていた。こいつも考えてみればふざけた奴だ。何が「駅弁とお茶」だ、気取りやがって。こっちまで釣られて買ってしまったんだぞ。ちょっとだけ睨みつけてから、ベッドに体を転がした。
 こういう時は寝るに限る。横になり目を閉じるが、まったく眠くない。当たり前だ。真昼間なのだから。
 何か楽しい事を考えようじゃないか。
 残り五千円ちょいの持ち金で、クラスメイトやサッカー部の馬鹿共におみやげを買わなくちゃいけない。全員に渡す義理なんぞないが、七、八人に買うだけでも大変だ。それにしてもどんなおみやげがいいだろう。九州じゃないと買えないおみやげがいいな。お菓子だと多分一つ五百円ぐらいするから、七名だとして三千五百円もする。もっと安いものにしよう。細長い三角形のペナントなんてどうか? あれなら一つ三百円ぐらいだし、八名に買っても二千四百円だ。俺はまだ三千円ぐらい使える計算になる。うん、ペナントにしよう。これに決めた。
 まだどんなおみやげが売っているかさえ分からないのに、そんな事を考えていた俺はいつの間にか寝てしまった。

 我がマドンナ田坂幸代と『ピープルランド』で楽しくデートをしている夢を見た。笑顔がとても似合う彼女。俺はニコニコしながら『ふ菓子』を買ってあげる。いや、こんなの一本十円じゃないか。ケチるな。もっといいものを食べさせないと。
 でも、ここでそんないいものなんて売ってないんだよな。あるのは駄菓子とミニラーメンだけ。
「田坂さん、何か食べたい?」
「え、私?」
「うん、そうに決まってんだろ」
「う~んとね~……」
「遠慮なんてしないで好きなもの言ってよ」
「じゃあ、ラーメン食べてみたいなあ」
「お安いご用だ」
 俺は川原のおじさんに、ミニラーメンの代金二つ分の百円を払う。包んであるビニール袋を開けて近くにあるポットのお湯を入れていると、おじさんが口を開いた。
「あ、ごめんよ、神威ちゃん」
「ん、どうしたんですか?」
「ラーメンさ、十円値上がっちゃって一個六十円になったんだよ」
 俺はポケットへ手をつっ込み、二十円を取り出そうとする。
「……」
 あれ、ない。何でだ? 今日は二百六十円あったはずなのに……。
「悪いけど、あと二十円もらえるかな?」
「ちょ、ちょっと待って下さいね……」
 何でないんだよ? おかしいだろ。家から出る前にはあったのに……。
「じゃあ、悪いけど一つ返してもらうよ」
「はい……」
 俺は四十円を返してもらい、お湯を入れたミニラーメンを一つだけ持って、田坂幸代が座っているテーブルへ向かう。まったくあのおじさんもケチンボだな。俺なんて昔からの常連客なんだから、こんな時ぐらい気を利かせてラーメンの一個や二個サービスしたっていいのによ。
 いや、プリプリするのはやめよう。せっかくあの田坂とデート中なのだ。笑顔を絶やさないようにしないとな。
 席に着くとラーメンを置いて、田坂と学校の話をする。他愛ない会話をしながら、何故俺がサッカー部に入ったのかをいつ話そうか、タイミングを見計らっていた。
「神威君、ラーメンふやけちゃうよ?」
「あ、そうだね」
 フタを取り、小さなフォークをビニール袋から取り出す。その最中、「ねえ、私はちょっとでいいからフタの上にラーメンを少しだけ乗せてよ」と言われた。
 ずいぶん変な食べ方をするんだな。口には出さず、フタの上に数本の麺を取って乗せた。
 ズズズ……。
 可愛い顔して、汚らしい音を立てながら食べるんだな。俺はさり気なく田坂の顔を見ようと顔を上げる。
「うわっ!」
 目の前に座っていた女はマドンナの田坂ではなく、別の女だった。どこかで見た事があるような……。
 あ、思い出した。小学生の頃ここで太郎ちゃんと一緒に遊んでいた時ラーメンをたかりに来た馬の鼻のような女だ。以前俺と太郎ちゃんは、この女のポケットにそのまま入っていたアンドーナツを無理やり食べられさせ、ジョルジョおばさんの話をしやがったんだ。
 馬女はおいしそうにラーメンを啜っている。今の内に逃げよう……。
 その時ギリギリともの凄い歯軋りの音が聞こえた。あまりのうるささに耳を塞ぐ。それでも歯軋りの音はさらに大きくなって、鼓膜を破るような勢いで侵入してきた。

 ガバッと起き上がる。見慣れない薄暗く狭い空間。どこだ、ここは……。
 そうか、今は寝台列車の中だったっけ。
「夢だったんだ……」
 そっと呟いてみる。本当に夢で良かった。
 下から強烈な歯軋りが聞こえている。俺の夢を妨げたのは、こいつか……。
 あの馬女、当時は気持ち悪い話を聞かせやがった。ジョルジョおばさんという人がいて、駅にあるタン壷にストローを差し込んで『ジョルジョ』と飲んでしまう薄気味悪い話。アンドーナツを食べていた太郎ちゃんは「もう僕いらない」と捨てたら、それを拾って強引に食べさせようとしたっけな。太郎ちゃん、口の周りがあんこだらけになってたし。
 一緒に逃げた先にいた作業服の変なオヤジ。俺たちを助けてはくれたが、変態だった。太郎ちゃんの指を持ちながら、変態オヤジは自分のチンチンを出して強引に触らせていた。不意に金的へ蹴りをぶち込むと、俺は太郎ちゃんの腕をつかんで逃げた。
 そういえばあの時そうやって助けてやったのに、よくも龍也の誕生日会の時、サッカー部の連中にチクってくれたもんだ。月に一回ぐらい小遣いで中田パン屋のパンを買ってやっていたが、もう買わない事にしよう。
 あまりにもうるさい歯軋り。これじゃ眠れない。
 外へ出ると、もう夕方ぐらいになっていた。
 窓の外を見るぐらいしかする事がない。夕日を背景に広がる海。綺麗だなと本能的に感じる。またこういった風景を頭の中で思い浮かべて絵を書いてみるか。
 そういえばまた腹が減ってきたなあ……。
 またベッドに戻り、買っておいたハンバーガーの残り二つが入った紙袋を手に取る。中から取り出すと、早速齧り付く。
「うっ……」
 咄嗟に口から吐き出してしまう。夏場だから、もうこのハンバーガー腐ってやがる。あの店員のお姉さんが、ひょっとみたいな口をしながらケチャップなんか掛けるからだ。いや、あまり関係ないか。
 残りを袋へ戻し、ゆっくりと階段を降りる。その時小さな声で「うるせえなあ」と聞こえてきた。
「……」
 この駅弁野郎、歯軋りでうるさいのはおまえじゃねえかよ。顔を実際に見た訳じゃないが、どう考えても向こうのほうが年上だし、心の中で呟くだけにしておく。
 ゴミ箱の前へ行くと、「ユーちゃん、本当にごめんなさい」と言いながら腐ったハンバーガーの入った紙袋を捨てる。
 グーグーと何度も鳴る胃袋。腹が猛烈に減っている。仕方ない。今度は緊張せず、堂々と行こう。
 俺は食堂車へ真っ直ぐ向かった。
 千二百円もする『焼肉定食』を頼み、テーブルの上に両肘をつく。また来たのって顔で俺の事を見ていやがったな、あのウエイトレス……。
 これで残り、四千円。

 結局俺は九州へ到着するまでに何度も食堂車へ行ってしまい、残金数百円になってしまった。食堂車で出てくる食事の量が少なかった為、すぐお腹が減ってしまうのだ。
 お札が一枚もなくなった財布を見ながら心細くなる。やってしまったものはいくら後悔しても取り戻せない。何で俺ってこんなに馬鹿なんだろう。俺は荷物をリュックにまとめると、溜め息をつきながら夜行寝台列車から降りる。
「神威の龍ちゃんかな? はじめまして、大山です」
 ユーちゃんの友達である大山さん家族が、笑顔で俺を出迎えてくれる。お父さんにお母さん、そして息子の正一君に、妹の里子ちゃん。全部で四人家族。
 大山家は「お腹減ってないか?」と僕にカレーうどんをご馳走してくれた。関東のカレーうどんは、汁がカレー風味になっているぐらいである。まず見てビックリしたのが、お湯を切ったうどんを皿に乗せ、その上にドロッとしたカレーを掛けたものだった。ご飯の代わりにうどんを引いたような感じだ。鶏肉が妙にゴロゴロ入っているのも特徴的である。これが九州のカレーうどんなんだと変な感動を覚えた。
 まだ幼い兄弟の正一君は小学二年生、里子ちゃんは幼稚園の年長だった。二人は年上の俺に懐いてくれ、何もするのにあとをくっついてくる。一度お菓子屋でラムネやスナック菓子を買ってやると大喜びしたが、俺の残金はあと六百円になっていた。
 小学校の時に出てきたハニワ。それらがたくさん並ぶ平和台公園というところへ連れて行ってもらう。道を歩いていると、そこら中に立っているハニワ。手で実際に触ってみるがザラザラした手触りだった。
 正一君たちは近所で何度も来ているせいか、ハニワを珍しそうに見る俺を眺めながらニコニコしている。
「ねえ、お兄ちゃん、この平和台公園ってハニワだけじゃないんだよ」
「ふ~ん、ほかには何があるの?」
「こっち来てよ。すごいのあるよ」
 そう言いながら正一君は走り出した。
「待ってよ、お兄ちゃん」
 里子ちゃんも慌ててあとをついていく。そしてすぐに足をもつれさせ転ぶ。俺は泣いた里子ちゃんを抱きかかえながら、正一君のあとを追う。自然に囲まれた道を進むと、大きな広場が見えてきた。
「ほら、あれ見てよ!」
「うわぁ~……」
 思わず声が出てしまうような壮大さ。
「すごいでしょ? あれが平和の塔って言うんだよ」
「へー……」
 目の前には大きな塔がそびえ立っており、『八何とか一宇』と書かれている。二番目の文字は難しかったので読めなかった。
 空高くそびえ立つ平和の塔には、四つの大きな像が立っている。こういう格好いい塔が近くにあるなんて、宮崎っていいなあ……。
 平和の塔に向かう階段の手前、広場の中央には六角形の石がある。
「お兄ちゃん、その上に乗って」
「え、この石の上?」
「そう。それでね。両手を塔に向かってパンって叩いてみて」
「何で?」
「いいから」
 両手を一度合わせてから、少し離し、手を叩く。
「ビ~ン」
 そんな不思議な音が、塔のほうから返ってくる。ここは青空の下だっていうのに、どういう仕掛けなんだ? キョロキョロと見回す俺を見て、正一君と里子ちゃんは無邪気に大笑いしていた。

 大山家に向かい、俺は泊まる部屋を用意される。
 地元川越ではほとんどの同級生の家が商売人だった為、普通の家に入ったのはこれが初めてかもしれない。普通の家の中ってこんなに静かなんだと感じた。
 家の場合、いつもお客さんの洋服をプレスするプレス機の音や、アイロンの「プシュー」という音。さらに洗い場では機械を回す音や、タンブラーといって洋服を乾かす機械が回る音。そしてボイラーを石油で炊く騒音。ドライクリーニングの機械の音。おまけに家の目の前にある映画館ホームランから流れてくる音。その横にある『三井病院』に年中来る救急車の音。生まれた時からそれらを聞いていたから、こんな静かな場所というのが本当に珍しかった。
 畳六畳間の部屋に布団を敷き、そばに自分のリュックを置く。一週間ほどここへ滞在する訳だが、おばさんのユーちゃんからその期間にちゃんと仮題を与えられていた。それは夏休みの自由課題を仕上げるというものだった。
 題材はもう決まっている。飯田君を図書館に連れていった時、夏休みの自由課題はこれしかないと思っていた。自分で小説を書くのだ。九州の宮崎に来た日記を書く訳じゃない。日頃自分が思った事、そして考えた事などを元に一つの物語を作るのだ。だからリュックの中には原稿用紙がたくさん入っている。
 内容としてはひたすら自分の思想を書くといった陳腐なものであるが、母親が家を出て行った事や、小学時代嫌な目に遭った事は除く。明るい思想といったら変かもしれないけど、自由になってどれだけ嬉しかったか。それを中心に書くのだ。
 正一君のお父さんは、そんな俺に小さなテーブルを用意してくれた。シャープペンシルも用意してあるし、詰め代え用の芯だってある。ちょっとした小説家気分だった。
 題名は決めていた。
『ここに僕がいる』
 主人公は小学生の男の子。俺は当時を振り返り、文字を書いていった。
 頭の中で思っている事を書くだけなのだから、スラスラ書ける。原稿用紙にシャプペンシルで文字を書き、空白を埋めていく。十枚ぐらい書くと、右手が痛くなってきた。
 そのまま後ろに寝転んで、少し休憩を取る。
 残金六百円という重い現実が、心を暗くさせていた。
 ユーちゃんが大事に貯めたお金を俺は、食べるという事だけですべて使い果たしてしまったのである。思い出してみると、あの食堂車の食事はあまりうまくなかった。駅弁だってそうだ。それなのに繰り返し同じ行為をしてしまった自分を悔やむ。してしまった事は、もう取り戻せない。おみやげだって六百円でどうするんだよ? 百円のチンケなおみやげが売っていればいいけど、それだって六個しか買えない。
「はぁ~……」
 溜め息しか出てこない。
 中学に入学して、田坂幸代に惚れて勝手にふられて、学校じゃみじめな思いをして。
 勉強はまだいい成績を保持しているが、サッカー部では最初の時だけ。俺って本当に中途半端だなあ……。
 一週間後、ユーちゃんは弟の龍也と龍彦を連れて大山家に来る。せめてそれまでの間には、自由仮題の小説を完成させておかないとな。原稿用紙五十枚ぐらいは書かないと駄目だろう。
 右手が痛いなんて言っている場合じゃないか……。
 俺は再び体を起こし、また文字をせっせと書き出した。

 俺が必死に小説を書いている間、正一君と里子ちゃんはそばでジッと眺めている。
「ねえ、お兄ちゃん、一緒に里子と遊ぼうよ」
「馬鹿、お兄ちゃんはね。今、大事な勉強をしているんだ。邪魔しちゃ駄目だよ」
 お兄ちゃんらしく正一君は、妹の里子ちゃんを説得していた。うちは男三兄弟だから、里子ちゃんみたいな妹がいたら、良かったなと感じる。
 いや、もし妹なんかいたら、母親のいた時代だとどうなってしまっていたのか?
 違う。ほぼ男だらけの家の中だったから、母親はあのように錯乱してしまったのかもしれない。親父は毎晩外へ遊びに行くし、子供は男だけ。唯一同性であるおばさんのユーちゃんやおばあちゃんとは仲が悪い。誰も味方なんていなかったのだ。俺はまだ幼かったし、弟たちは何も分からない状態。
 妹が、母親にとって娘がいたら、ああまで錯乱なんて、そしてヒステリックになる事もなかったのではないんじゃないか……。
 思い出すと、年中親父と母親は夜中になると口喧嘩をしていたっけ。
 確かに従兄弟の洋子が学校で言い触らすように、家中で寄ってたかって母親を追い出すようにしてしまったのかもしれないな。
 でも、それによって俺は少なくても本当の自由を手に入れる事ができた。笑いたいと思ったら笑える。お腹いっぱい食べられる。それがどんなに幸せな事か、同級生たちじゃほとんど分からないだろう。
 今書いている『ここに僕がいる』は、具体的には恥ずかしくて書けないが、自分のこういった心境とやるせなさを文字で表現する。
 何故今、ここで小説なのか?
 小学五、六年生の担任だった倉橋市子先生の影響も多分ある。
「私の尊敬する先生はね。国語を専攻している方でね、素晴らしいのよ。どう素晴らしいかというと、職員室で他の先生がお茶をどうですかって言ったの。すると、その先生は、はい、お茶の葉を五グラム、八十三度のお湯で、湯飲みに入れて下さい。入れる前に湯飲みは、ちゃんとお湯を一度入れて、温めて下さい…。そんな適切に言葉を話す人なのよ。私はこのような先生になりたいですね」
 こんな事をみんなの前で堂々と言ってのけた馬鹿。国語が得意だと自認していたようだが、相手の気持ちを思いやる点ではまるでない女だった。
 まだ今でも鮮明に思い出す。教室の掃除の最中、クラスの生徒が半分も残っている状態で俺を呼び出す先生。洋子の言葉をすべて鵜呑みにして、俺へ母親と会えと言ってきた。誰もが俺たちに注目しているのが分かった。余計な事はするな、家の事は放っておいてほしいと言った俺に、あの先生はピンタをしてきた。
 心の奥底にしまい込んでいた傷。そこへ土足でズカズカと入ってきた倉橋。反抗すると、暴力で訴える。
 母親の暴力には泣き叫び、怯えるしかなかった。親父の暴力には必死に防御するしか手立てがなかった。倉橋の暴力には、怖くなかったから抵抗した。だから俺はあの件で『僕』から『俺』と呼び方を変えたのだ。
『ここに僕がいる』とは、まだ『僕』と自分の事を呼んでいた頃の自由を感じ、楽しんだ時の心境。それを書きたかったから題名でも『僕』という言葉を使ったのだ。
 手が痛かったが、構わず書き殴る。
 気付けば原稿用紙十五枚まで書けていた。

 宮崎の夏はとても暑い。でも、川越の夏よりはジメジメしていない。夕方になると、正一君と里子ちゃんを連れ、近所の原っぱへ行く。
 幼い里子ちゃんは何度も「高い高いして」と言ってくる。俺は体力の限界まで何度も持ち上げてやった。
 草原を走り回り、その上で寝転んで空を眺める。すっかり夜になると、星がたくさん見えて本当に綺麗だった。この間おばあちゃんが買ってくれた星座の本をよく読んでいたから、何個かの星は分かる。
 南の空に見える何個かの星がサソリのような形をしている『さそり座』。一番目立つ星アンタレスはさそり座の心臓部分に位置していた。映画『銀河鉄道スリーナイン』でも出てきたキャラクターの名前。あのアンタレスのおじさんは本当に格好良かった。
 そこから斜め下に伸びるサソリの尻尾。そこには北斗七星を小さくしたようなあまり目立たない『南斗六星』がある。
 その南斗六星の中にある『射手座』。まるでさそり座の心臓部アンタレスを狙っているように見えた。
 十字を描くような『白鳥座』。
 その横に、何でこれがと思うようなチンケな星『琴座』。
 その下辺りにある『鷲座』
 東の空に見えるこの三つの星座の中で、明るい光を放ちながら直角三角形を作る三つの星を『夏の大三角』と呼ばれている。白鳥座の『デネブ』。琴座の『ベガ』。鷲座の『アルタイル』。その中でも最も明るい星であるベガ。七夕で有名な『織姫星』とも呼ばれ、『彦星』がアルタイルだった。
 本で得た知識を正一君や里子ちゃんに教えながら、指をさしてゆっくり話す。正一君は「へぇ~」と関心したような顔で星を見て、里子ちゃんは何を言っているのかよく分からない顔をしながら「もっと高い高いして」とせがんでくる。
 妹がいたら、こうやって可愛がっていたんだろうな。正一君が羨ましかった。
 三人で一緒にお風呂に入り、体を洗ってあげる。
「お兄ちゃんも里子が洗ってあげる」と、一生懸命体を洗おうとするが、幼い里子ちゃんの力だと、くすぐったいだけだった。
「里子ちゃん、本当にお兄ちゃんは大丈夫だから」
「里子が洗う」
「いや、あのね…、お願いだから自分で洗わせてくれないかな?」
「嫌だ、里子が洗うの」
「あの…、ギャハハハハ…。お願い、やめて! すげーくすぐったい」
 正一君もそれを見て釣られたのか、変な笑い方をして腹を押さえていた。
 昼間は小説、夜は外で遊ぶ。そんな状況で数日を過ごした。
 近所の『愛子』ちゃんという小学一年生の女の子も時には「私も一緒に遊んで~」と仲間に入ってくる。この子は肩車をされるのが本当に好きな子で、俺がフラフラになるまで肩車をさせられた。
「お願い、ちょっと休ませて」
 原っぱに寝転ぶと、大の字になった。
 九州って、のんびりできていい場所だな……。
 草原を横になりながら見渡す。自然の匂いって気持ちいい。親父が付き合っていた三村の化粧品臭い匂いに比べたら、何て壮大で素晴らしい匂いなのだろうか。
「ん?」
 何か地面の上を動いているものが見える。目を凝らし眺めると、小さなトカゲが草の上をせっせと動き回っていた。
 手を伸ばし、トカゲを捕まえようとする。
「あっ!」
 トカゲは自分の尻尾を切り離し、どこかへ行ってしまう。俺は手の上に尻尾を乗せて、じっくり見てみる。不思議だったのが、尻尾だけなのにしばらく俺の手の上でグネグネと動いていた。
 生命力にあふれた生き物も日常にいる九州宮崎。
 いつかこういう場所で住めたら嬉しいな。
 こんな体験をさせてくれたおばさんのユーちゃんには、本当感謝しなきゃ……。

 俺が夜行寝台列車に乗って宮崎に来てから一週間。おばさんのユーちゃんが龍也と龍彦を連れて九州へ上陸した。あまり時間の取れなかったユーちゃんは、飛行機でやってきた。
 正一君のお父さんが車を運転し、空港まで迎えに行く。
 行きの食堂車の中で、もらったお金を使い果たした俺はいきなりユーちゃんにピンタを食らう。
「この馬鹿野郎が!」
 ユーちゃんは本当に怒っていた。当たり前だ。必死にコツコツ貯めたお金を全部俺の胃袋で消えてしまったのだから……。
 何度も謝ると、ユーちゃんは許してくれた。
 一週間も会っていないと、毎日のように顔を合わせていた龍也や龍彦の顔が妙に懐かしく思える。俺たち兄弟は手を取り合って、再会を喜び合う。
 正一君のお父さんは、海に連れて行ってくれた。
 川越ではない海。昔、従兄弟の南大塚の和ちゃんのおじさんが茨城の海に連れて行ってくれた。でも、茨城の海は汚かった思い出がある。宮崎の海は本当に綺麗だった。
 水着に着替えた俺たちは、波が押し寄せる砂浜の上を走り回る。時たま大きな波がやってくると驚く事もあったが、大自然の中で大いにはしゃぐ。
「龍一、おまえは本当に水を怖がらないねえ。確か幼稚園の時から泳げたんだよね」
 ユーちゃんが笑顔で声を掛けてくる。
「え、そうだっけ?」
「お兄さんが市営プールへ連れて行った時、一・五メートルのプールに放り投げたらしいよ。慌てて監視員が飛び込んだけど、おまえはまったく怖がってなかったって」
「え、そんな事あったの?」
 まったく見に覚えがなかった。そういえば小学生の時から、自然と泳ぐのが得意で、リレーではいつもアンカーを務めた。一年生の時スイミングスクールへ強引に通わされたが、どうやって教わったかすら記憶にない。それでも水が怖いと思った事はなかった。
「まったくお兄さんも危ないよね。おまえはケロッとしていたみたい。たまたま大丈夫だったから良かったけど、一歩間違えたらトラウマになって二度と泳げない性格になっていたかもしれないしね」
「そんな事あったんだ……」
 大方、親父はプールへ幼稚園生の俺を投げ込む事で、目立ちたかったんじゃないだろうか。何せ小学の時、消防団の格好でそのまま授業参観へ来たぐらいだ。
 昔から自分のしたいようにやっていたけど、それで母親は出て行った。親父って本当に今のままでいいのだろうか?
「ねえ、ユーちゃんって、いつぐらいから親父に殴られたの?」
 ふとそんな事が頭によぎり聞いてみる。
「う~ん、物心ついた時ぐらいからかなあ……」
「え、それって四歳とか五歳とかの時?」
「そうだね」
「だって今の里子ちゃんぐらいの頃でしょ? 何で?」
 さすがにそれは信じられなかった。
「あれ買って来い。これをしろっていつも命令するから、嫌だって言ったら、『口答えするな』ってすぐ殴ってきたよ」
「小学生や中学生になっても?」
「うん…、入学した時なんてさ、誰も友達なんていないから廊下でお兄さんを見掛けた時、ニコッて笑うでしょ?」
「そりゃそうだね」
「家に帰ったら、『何を微笑んできやがんだ』って突然殴ってきてさ」
「酷いね」
「学校では同級生や先輩たちに『格好いいお兄さんだね』とか『素敵なお兄さん』だねって言われたり、大人になっては『お兄さんには先日ご馳走になりまして』って言われる度に、世間ってみんな分からないものなんだなあって実感したからね」
 中学生になって通知表を初めてもらった日を思い出す。隣の『よしむ』で親父は陽気に酔い、周りにいた人間に酒を振舞っていた。でも俺ら三兄弟に、こうして九州へ旅行とか連れて行ってくれた事もないし、お金だって出してくれない。今、こうしてここにいるのも、ユーちゃんが地道に貯めたお金なのだ。
 母親は家にいる状況がとても辛かったのだろう。だから家から出る事で逃げた。
 でもユーちゃんは、俺ら三兄弟がいたから逃げようがなかった。辛くても歯を食い縛り、必死に我慢してきたのだ。
 母親がいた時代のユーちゃんを思い出すと、今のようにそんな逞しくなかった。幼かった俺が記憶している姿とは、母親に怒鳴られるとすぐに泣くユーちゃんだった。
 以前喧嘩した時、「お嫁に行け」と嫌味を言った事がある。いつも親父がユーちゃんに対し文句を言う言葉の一つが「嫁にも行けないくせによ」と言うものだった。多分昔から何かある度に聞いていた台詞だったので、それがいけない事なんだと思っていたのかもしれない。でも、全然違う。
 お嫁に行かないんじゃない。平日は家の仕事、休みの日はいつだって俺たちをどこかへ連れて行ってくれた。おじいちゃんはよく政治家の人たちに連れられ、ほとんど家にいない。病弱なおばあちゃんは入退院を繰り返していた。だから俺たちを育てられる人間は、家だとユーちゃんしかいなかったのだ……。
 自分の婚期を犠牲にしてまで、こうして育ててくれるユーちゃん。大きくなるにつれて、知ってしまう無情な現実。
 悲しくなった俺は海に向かって駆け出し、両手で海水をすくい、頭に何度も掛けた。目に塩水が入れば、涙が出てもおかしくない。
「目に染みる~」
 そんな陽気な声を出しながら、自然と同化して俺は泣いた。

 

 

6 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

サボテン園というところに行く。植物にあまり関心のない俺はたいした興味も持てず、正一君や里子ちゃんを構って時間を潰す。どこかのキャンプ場で、バーベキューをやった。...

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