岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド
とりあえず過去執筆した作品、未完成も含めてここへ残しておく

1 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編)

2019年08月03日 15時29分00秒 | 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編)


鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編)



 特に大した出来事もなく俺は、平凡な中学生になろうとしていた。
 小学校時代を振り返ると、母親が出て行った事と、福山先生との出会いが最も強く感じる。
 五、六年生のクラスである最後の担任が倉橋先生だったというのもあってか、卒業式に泣くような事はなかった。何故なら倉橋先生は、同じクラスにいた従兄弟の洋子ちゃんの意見だけを聞き、一方的に俺の心に土足で入り込んで来たからだろう。むしろやっとこの忌々しいクラスから解放される。そんな思いのほうが強い。
 三年生の時の担任、福山先生だったらきっと感動できたんだろうなと思う。あの先生は今頃どこかで教師を続けているのかな?
 習い事の中で唯一、続けていたピアノは、小学六年生の途中ぐらいから、いつの間にか行かなくなっていた。先生の俺に接する態度に違和感を覚えたせいもあるのだろう。
 そんな事を考えながら道を歩いていると、近所の洋服屋さんが「神威さんですよね?」と声を掛けてくる。
「え、ええ……」
「あの~、お父さんに学生服、うちも扱っているんで、よろしくお願いしますって伝えておいて下さいね」
「は、はあ……」
 何で子供の僕に、そんな事をいちいち敬語で話してくるのか分からなかったけど、とりあえず返事だけはしておいた。でも、うちにはもうおじいちゃんが新品の学生服を二つ買ってあるんだけどなあ。
 家に帰っておじいちゃんに洋服屋さんから言われた事を伝えると、「何だ、『はい』」って言っちゃったのか、また付き合いで買うようだ」と財布を出して渋い顔をしていた。

 中学生になると、今までのように私服でなく学生服を着るようになる。
 この辺の中学校一帯は、すべて男は坊主にしないといけない。指先で髪の毛を挟み、少しでも出ているとバリカンで髪を刈られる。つまり男は五分刈り、女はおかっぱという訳だ。
 これから行く富士見中学は、今まで通っていた近くの中央小学校とは違い、一キロ半ぐらい歩くようだった。東武東上線の川越市駅の奥、目印は武州ガスという大きなタンクが二つあるその向こうに学校はあった。
 大きなガスタンクの手前には急な上り坂の踏切があり、『開かずの踏切』と呼ばれている。一本の上り電車が通過すると、また下り電車のランプがつき、それを待っているとその間にまた上りのランプがつく。酷い時なんてこれが五回ぐらい続くので、待つほうは溜まらないだろう。
 ここには『踏切の女』と呼ばれる不思議な人が出没した。
『踏切の女』は、寒い時も暑い時もいつだって半そで短いスカートで鼻水を垂らしながら、踏切前のT字路の縁石に座っている。けたたましい音が鳴り、遮断機が降りると彼女は嬉しそうな表情をしながら「おほー」と奇声を発し、踏切に捕まった車へ近づく。
 日曜日になると色々なところへ連れて行ってくれるおばさんのユーちゃんの車に乗り、俺はこの『開かずの踏切』で『踏切の女』を見た。
 俺たちの乗る車は踏切から三台目に停車し、電車が過ぎるのを待つ。そこへ『踏切の女』は先頭に待つ車から「おほー、おっほおっほ」と、リズミカルにボンネットを両手で叩き出す。そんな事をすれば当然運転手は怒り、窓を開けて「何をやってんだ、キサマッ!」と怒鳴りつけていた。
 すると彼女は満足そうに次の車へ向かい、「おほー」と同じように車を叩くのだ。
 ヤバい。次は俺たちの車じゃねえかよ……。
 そう思った時、運良く遮断機が上がり、おばさんのユーちゃんはホッとした顔をしながら車を発信させた。『踏切の女』はボーっと走り行く車を見ながら、腹を手でポリポリとかいていた。

 学生服というものを初めて着て、中学へ向かう。朝、近所の町内でまとまって登校するというものも、これからはする必要がない。
 そんな事を知らなかった俺は、家の隣の定食屋『よしむ』の二つ年上の良子ちゃんっていつも一人で学校へ行っていたから、きっと友達がいないのだろうと思っていた。
 少し緊張気味の登校初日。
 男は坊主頭、女はおかっぱなのに、一人だけケツまである長い髪の女がいた。この学校の校則では、三つ編みさえしていれば女子はどんなに長くてもいいルールがあるらしい。俺は彼女を見て、『週刊少年ジャンプ』で連載中の『キン肉マン』に登場するキャラクターの『ラーメンマン』を思い出す。もし彼女と同じクラスになったら、いつか額に『中』と書いてやろう。そんな事を想像していると、一人で「ププッ」と吹き出していた。周りに並ぶ生徒たちは不思議そうに俺を見ている。きっと変な奴だなあと思っているんだろうな。
 入学式が終わり、自分のクラスへ向かう。俺はクラスを見渡した。
 俺の通う中学は、近くの小学校四校が混合して編成されている。クラスの半分ぐらいは、同じ小学校出身だった。
 仲の良かった洋介君や純治君の姿が見えないから、別のクラスに分かれたのか……。
 一人の女子生徒に視線がとまる。
「あれ? 愛ちゃん」
 父親方の姉の娘である従兄弟の愛ちゃん。彼女とは偶然にも同じクラスだった。俺が声を掛けようとすると、後ろから「ひゅーひゅー」とからかう声が聞こえる。
「何だよ、いきなり別の小学出身の女を気に入ったのか?」
 いやらしそうな顔をしながら同じ小学出身である岡崎龍典が近づいてくる。
「何だよ、ちゃぶ台か。全然違うって。あの子は水洗寺愛子っていって、俺の従兄弟なんだよ」
 彼のあだ名は『ちゃぶ台』。何故そう呼ばれるかは小学時代の六年間、一度も同じクラスになった事がないので分からないが、みんなそう呼んでいたので俺も彼の事を『ちゃぶ台』と呼んでいた。
「へえ、そうなんだ。神威さ、おまえはどこのクラブに入る?」
「まだ何も決めてないよ。ただ暗そうに見られるから文化部だけは入らないだろうな。ちゃぶ台は?」
「おいおい、決まりきった事を聞いてくるなよ。俺の場合、決まっているだろ」
「ああ、吹奏楽部か」
『ちゃぶ台』はちょっとませた同級生だけど、ドラムの腕は天下一品だった。小学校の吹奏楽では常にドラムを叩き、市内でもピカ一の評価を得ていたのだ。当時、音楽の先生からは絶大な信頼を得ているのを知っていた。そういえばあの音楽の先生は、自分の気分次第で女でも平気で平手打ちする酷い奴だったなあ……。
 俺とちゃぶ台で話をしていると、桶川俊彦がニコニコしながらやってきた。彼は小学六年生の最後のほうでいきなり転校してきた男で、額が妙に広いので、みんなから『デコリンチョ』と呼ばれていた。本人はそのあだ名をとても気に入らないようで、何度も『デコリンチョ、デコリンチョ』と繰り返すと、顔を真っ赤にして襲い掛かってくる。でもちゃんと栄養を取っていないのか、ガリガリの蚊トンボみたいな体なので、喧嘩はまるで強くない。彼は父親がどうしていないのか分からないが、母親とアパートで二人暮らしだった。なのでよく家に遊びに来ていた。
「おう、トシも同じクラスか」
 とりあえず入学そうそう『デコリンチョ』なんて呼ぶのも可哀相に感じ、俺は別の呼び名である『トシ』を選択した。
「へへ、神ヤンも一緒か」
 何故か照れくさそうに笑う『デコリンチョ』。まあ彼も知り合いが同じクラスだったので安心しているのだろう。
 他には本屋の息子の吉村辰夫。通称『タタ』と、連繋寺にあるみんなの遊び場『ピープルランド』の息子の川原竜司。あだ名は『川ヤン』。
 俺もそうだが、あだ名で苗字の頭を取って『何々ヤン』という呼び方の生徒は多い。何故かというと、『藤子不二雄』の『パーマン』に出てくるパーマン四号が『パーヤン』という関西人に受け、俺は『神ヤン』、川原は『川ヤン』といった具合で呼ばれるようになったのだ。
 そして小学三年生の福山先生が担任時代に因縁があった沼田正行がいる。みんな同じ小学校出身だ。
 従兄弟の愛子ちゃんが教室を出るのが目に入る。とりあえず挨拶ぐらいしておこうと思い、俺はちゃぶ台とデコリンチョを置いて廊下へ向かった。

 窓から見える外は快適な青空が広がる。従兄弟の愛子ちゃんは一人で窓枠に手を置き、空を眺めていた。
「おっす、愛子ちゃん」
「あ、龍ちゃん!」
「同じクラスだね」
「ほんと?」
「ああ」
「先週さ、うちのお母さんとユーちゃんたちと行ったレストランのハンバーグ。あれ、すごいおいしかったよね」
「うん、俺なんてお皿まで舐めたていたら、ユーちゃんに怒られちゃったもんな」
「龍ちゃんは本当に食いしん坊だからなあ」
 他愛ない会話をしていると、背後にゾワッとするような鋭い視線を感じた。
 振り向くと、母親方の従兄弟である洋子ちゃんが廊下に立ったまま、俺を睨んでいた。そうだ、この女も同じ中学だったっけ……。
「神威の家はね、よってたかってお母さんを家からみんなで追い出しちゃったんだよ」と、とにかく誰にでも言い触らす虚言壁のある優等生。勝手に母親が出て行っただけの話を何故そうやって嘘をみんなに伝えるのか不思議でしょうがない。おそらく俺の母親からデタラメな話を聞いて、鵜呑みにしているだけなのだろう。
 俺にファーストキスを奪われたくせに馬鹿な女だ。こっちもそれを言い触らしてやろうかと思ったが、そんな事をしたら、これから始まる中学生活の三年間、誰からも相手にされなくなるような気がしてやめておく。
「誰、あの子? 何か龍ちゃんをずっと睨んでいない?」
「愛子ちゃんは親父側の従兄弟でしょ? あいつが母親側の従兄弟なんだ」
「あー、前にレストランで食事している時に言っていた子?」
「そうそう、あいつ、変な噂ばかり流すから、気をつけたほうがいいよ」
「ずいぶん気の強そうな子だね」
「うん、母親側の血筋が入っている分、筋金入りだ」
「何だか怖いねえ……」
 しばらくこちらを睨んでいたが、やがてプイと首を大袈裟に振って、隣のクラスへ入っていく。同じクラスじゃないからホッとする。
「そういえば愛子ちゃんの兄貴の分太ちゃんは、三年生にいるんでしょ?」
「そうだよ。体操部みたい」
 俺の家が男三兄弟に対し、従兄弟の水洗寺家も同じ三兄弟だった。うちと決定的に違うのが、長男、長女、次女と、妹がいる点である。ユーちゃんがよく彼女の家に連れて行ってくれたので、昔から仲のいい関係を築いていた。
 幼い頃から一緒だから、何でも話せる間柄。しかし、俺は母親から受けた虐待の事だけは言えないでいた。

 教室へ戻ると、クラスの生徒は仲のいい相手を個々に見つけ、笑顔で話をしていた。
「ん……」
 ガヤガヤと賑やかな中、一人だけポツンと椅子に座っている男子を見つける。飯田誠という名前の生徒だけど、どこの小学校だったっけ? ちょうど俺の席の前だったのもあり、話し掛けてみる事にした。
「どうも~」
「あ、どうも……」
 声に振り向く飯田君。
「どうしたの、一人で? 同じ学校の子って誰?」
「いや…、僕はちょうど卒業と同時にこっちへ引っ越してきたから、誰も同じ小学の子がいないんだ……」
「そうなんだあ。じゃあ、ちょっと寂しいよね」
「うん、でもしょうがないんだけどね。神威君はどこの小学?」
 そう言った飯田君は寂しそうだったけど、無理に笑顔を作っているように見えた。
「中央小だよ。あ、それから呼び方は、神ヤンでいいよ。君付けなんて、何だかくすぐったいし」
「じゃあ、僕も飯田だから『飯ヤン』かなあ……」
「う~ん、それじゃあ『ええやん』って関西人が断る時に話す言葉みたいだから、やっぱ俺は飯田君って素直に呼ぶよ」
 その時ドアが勢いよく開く。メガネを掛けた背の小さな男の先生が教室へ入ってきた。
 この人が、中学になって新しい担任の先生なのかな?
「今日から君たちを受け持つ、鈴本正樹だ。教科は英語を担当している」
 教壇に立ち、大きな声で自己紹介をする先生は、少し殺気のある怖そうな感じだった。
「…でさ、この間なんかよー」
 沼田正行が無視して話していると、鈴本先生の目つきが鋭くなる。
「おい、そこの! おまえ、先生が話しているのに何をくっちゃべってんだ?」
 シーンと静まる教室。みんなの視線が先生と正行を交互に見ている。
 何だか本当に怖そうな先生だ……。
 正行は困ったように辺りをキョロキョロと見回した。俺の存在に気づき、目が合うと表情が変わる。まだあの時の事を恨んでいるのだろうか?
「すいませんすね~」
 妙に粋がった口調で答える正行。鈴本先生は無言で近づくと、問答無用で正行の頬を平手打ちした。
「……」
 正行は涙目になりながら顔を押さえ、少ししてテーブルにつっぷした。
 小学校時代はこんなおっかない先生なんていなかったぞ? 俺が想像していたよりも、中学って嫌な場所かもしれない。
「龍、中学に入るとすごい怖い先生がいるぞ。前にバットで生徒を叩いて新聞沙汰になった人がいるんだから」
 そういえば従兄弟の愛子ちゃんの兄の分太ちゃんが、前にそんな事を笑いながら言っていたけど、ひょっとしてこの先生がバット事件の……。
 鈴本先生の話が終わるまで、みんな背筋をピンと張りながら黙って聞いていた。
 小学の時は音楽の授業以外、すべて担任の先生が教えていた。でも中学の授業は、各科目ごとに教える先生がいるらしい。
 いきなり正行を叩いた鈴本先生が全部の授業を見る訳ではないから、少しホッとした。
 入学初日から雲行きが怪しくなってきたが、みんな暗い表情のまま校舎を出て、親に合流する。みんな、ほとんど母親が入学式に来ていたが、中には父親の姿も見えた。俺の場合、親父が来る訳ないから、代わりにおじいちゃんが来てくれた。
 明日からは授業がちゃんと始まる。あの怖い先生のクラスで……。

 小学四年になった龍也と、二年になった龍彦。弟たちは、俺の中学の様子を興味深く聞き耳を立てて聞いていた。中でも担任の鈴本先生のピンタの話になると、二人はビックリしている。
 俺も福山先生に「掛かって来い」とクラスの生徒を体育館に集め、晒し者にされた事があった。だけどもちろん悪いのは自分で、先生はクラスのみんなにも気づかせたいという意図があったのだ。あの時は小学三年生だった俺の頭を手で押して、倒すぐらいの事しかしていない。
 過去、先生に二度ぶたれた事があるが、二人とも一、二年の時と五、六年の時の女の担任だった。
 一つは給食の時間、友達が余ったものを大食管に入れておかわりできなくなったのを先生が怒った事。「これで誰がおかわりできるの?」と怒る先生に対し、「はい、僕ができます」と友達を助けたつもりが、からかっていると勘違いされ平手打ち。
 もう一つは出て行った母親側の従兄弟の洋子が、担任に都合のいいように吹き込み、「神威君、お母さんと会ってみない?」とクラスの生徒が半分も残っている掃除の時間中に言われ、「放っておいて下さい」と答えたら平手打ち。この件で、『僕』と自分を呼んでいたが、『俺』に変えた。一つの決意表明のつもりだった。相手の話を一方的に聞いて、勝手に判断をする先生のやり方に嫌悪感を覚えたのである。
 福山先生のが愛の鞭だとすれば、二人の女の先生のは暴力だ。言い方を代えれば、自分のエゴで叩くと暴力になる。では、鈴本先生のピンタはどちらになるのだろう? おそらく半分以上感情によるものだから、あれは暴力になると思う。だから新しい中学生活が始まったというのに、気分が重いのだ。
 同じクラスになった沼田正行。殴られた彼を気の毒に思うが、少しスッとしている自分もいる。反抗するような口調で話した正行。あれは俺を見てからあのような行動をしたと感じる。
 当時、幼馴染の斉木洋介君といつも一緒に帰っていた俺。そこへ割り込んできた正行。独占欲の強い彼は、俺を嫌い、洋介君を束縛しようとした。クラスの生徒数名がその行動を見ていられず、俺に注意しないかと相談に来た。なので俺は五、六人の友達と彼の元へ行き、注意を促す。きょとんとした表情の正行は、家に帰ると「学校へ行きたくない」と親に泣きつき、登校拒否を起こした。それを見て学校へ乗り込んでくる母親。担任の福山先生は、適切な処置でみんなの意見をまとめ、見事問題を解決したのだ。
 福山先生の粋なはからいで、クラスに自然と溶け込めた正行。しかし、代表で注意をした俺に対し、どこかしこりが残っているような気がした。俺を恨む事で、彼のアイデンティティーは保たれていたのである。
 以前のような明るさを取り戻した正行。あの時俺を見た目は、未だしこりがある事を証明している。厄介な男と同じクラスになったものだ。

 鈴本先生は英語と、日活の授業も担当するようだ。日活が始まると、みんなの自己紹介からやろうと席の座る順から促す。
「吉村辰夫です。家は本屋をやっています。この学校とか近くの学校の教科書は、僕の家の本屋で扱っています」
 教室のどこかから笑いが起きる。通称『タタ』はニヤリと笑って席に座る。
「はい、次」
「川原竜司です。みんな知っていると思うけど、家は連繋寺にある『ピープルランド』をやっています。遊びに来て、『俺の友達だ』と言っても、うちの親父はお菓子とかサービスしないからちゃんと買って下さい」
 これにはクラス中みんなが吹き出した。
「はいはい、静かに」
 あまり表情が変わらない鈴本先生。静かな声で言ったのでいまいち効果がない。正行などはワザと大袈裟に笑っていた。
「オラッ! うるせーぞっ!」
 先生の怒声と共に、クラスは一気にシーンと静まる。
「はい、次」
「は、はい…。お、桶川俊彦です」
 今にも泣き出しそうなデコリンチョは蚊の鳴くような声で短く挨拶を済ませ、すぐ席に座る。こんな感じで一人一人自己紹介を終えていく。
「豊田直美です。月越小学校から来ました」
 背が低く、少し天然パーマの入った小麦色の肌を持つ豊田。可愛い子だなと思った。大きな目に自然と視線が行く。
「小森彩、泉小出身です。ピアノが得意です」
 鼻筋が通った美人という印象を受けるが、いまいち俺のタイプではない。
「水洗寺愛子です。小森さんと同じ泉小から来ました。よろしくお願いします」
 父親方の従兄弟である愛子ちゃん。富士見中学のグランド側のすぐ裏に家がある。小さい頃からよく一緒に遊んだので、こうして同じ学校同じクラスとなると、変な感じがした。
「益田清子と言います。中央小から来ました。あだ名は『キーちゃん』です」
 彼女とは小学一年から四年生まで同じクラスだったが、中学でも一緒か。
「矢幡敦です。月越小から来ました」
 妙に厚ぼったいタラコ唇のメガネ男。性格はとても暗そうだ。
「山岡猛。今成小から来ました、よろしく」
「鈴本勉です。月越小から来ました」
 ん、どこかでこいつ見た事あるような…。あ、そうだ。俺が通っていた双葉幼稚園で、確かいたっけ。小学が違ったから六年ぶりの再会になる。あとで話し掛けてみよう。
「沼田正行です。中央小からです」
 昨日ぶたれたせいか、多少ふて腐れながら正行は挨拶を済ませる。
「飯田誠です。僕はちょうど中学が始まる前に転校してきたので、大塚小ただ一人です」
 あ、飯田君、ちょっと長めに紹介しているよ。次は俺か……。
「神威龍一です。同じく中央小で、六年の時は梅組でした」
 普通に紹介をしたつもりだった。
「何だよ、梅組って」
 誰かが後ろから言うと、中央小出身の生徒以外、ほとんどの人が笑っていた。そんなにおかしな事を言ったのだろうか?
 あとで聞いた話だが、中央小以外はすべて一組、二組、三組と呼んでいるそうだ。松竹梅桜と呼ぶのは、自分の母校だけだったという訳である。

 中学では絶対に部活動へ入らなければならない。特にこれといった興味のない俺は、どのクラブへ入ろうか迷っている。
 ドラムを叩く腕がある岡崎龍典こと『ちゃぶ台』のように、即決でブラスバンド部と決められる人が羨ましい。
 仮入部という制度もあるので、焦る必要もないか……。
 当然人気は野球部、サッカー部が独占し、柔道部や体操部などは運動系の部活の中でも人気がなかった。文化部は、クラスでも影が薄いタイプの人間が行くというイメージが先行する為、どうしても気が向かない。
 おでこが広い桶川俊彦こと『デコリンチョ』や飯田誠君に、どこへ入るのか聞いてみる。
「トシはさ、どうするの?」
「う~ん、やっぱ俺はサッカー部だよね」
 このデコリンチョは、『週刊少年ジャンプ』で連載中の『キャプテン翼』が大好きで、小学校の頃からサッカーボールをいじっている。俺もよくトシと遊んだので、ちょっとぐらいは齧った。その影響で『キャプテン翼』も見るようになり、中でも『日向小次郎』という強引なドリブルや、「でぇーい!」と言いながら豪快なシュートやスライディングタックルをする選手に憧れていた。でも中学でいきなりサッカーを始めてもなあ。いまいちふんぎりがつかない。
「飯田君は?」
「僕は小学校の頃からリトルリーグ入っていたから、やっぱり野球しかないよね」
「ふ~ん……」
 二人とも向かうべき道が決まっている中、俺だけがどんどん取り残されていくような感じがした。
 廊下を歩いていると、思わず目が点になるような美少女が見え、俺はその場で固まってしまう。入学式の時に偶然すれ違い、心を一気に奪われたような感覚がした子。これまで女に興味などなかった俺。だけどこの子が好きなんだと、すぐに自覚していた。確か四組の田坂幸代って子だよな……。
 休み時間になると廊下に出て、つい田坂幸代の姿を探している自分がいた。彼女はどの部活へ入るのだろう? 田坂は数人の女の子と楽しそうに話している。さり気なく近くを通り掛かり、会話に聞き耳を立てた。
「幸代はどうするの、クラブ」
「う~ん、どうしよっかなあ~」
 すごいいいタイミングで通り掛かったようだ。俺は自然と歩くスピードを遅め、視線は正面を向きながら、耳に全神経を集中させる。
「みーこは?」
「私は女バスかなあ」
「じゃあ、私もバスケット部にしよっかな~」
 バスケット部か。俺はそれを確認できると、早足でその場を通り過ぎた。
 自分の教室である一年六組に戻り、窓からグランドを眺める。
 校舎からすぐ近くにテニスコート。その先にはバレー部。さらに奥には野球部とサッカー部が陣地を半分ずつ分け合って共存共栄している。サッカー部の裏側には、あの田坂幸代が入るかもしれない女子バスケット部がある。さらにその奥には男子バスケット部。まあ、こっちはどうでもいいか。
 特に運動が得意という訳じゃないけど、頑張ってレギュラーを獲っちゃえば、彼女の目にとまるかもしれない。特にサッカーが好きという訳ではないが、野球よりはいいかなと思った。それに野球部じゃ、女子バスケとは逆になるので意味がない。よし、決めた。俺の選択するクラブは、サッカー部だ。
 この事をデコリンチョに言うと、「え、何で神ヤンが?」と目を丸くして驚いていた。さすがに田坂幸代がバスケに入るからなどと、口が裂けても言える訳がない。
「トシ、おまえがよくサッカーを教えてくれたろ?」
「ああ、あくまでも遊びだけどね」
「中学生になったんだし、本格的にやってみようかなと思ってさ」
 入学して間もないのに、俺は嘘をつきながらも堂々と胸を張っていた。

 授業ごとに違う教師が来て違和感を覚えたが、やる事はそう小学生の時と変わらないだろう。
 小学六年生の時は、担任の倉橋先生が大嫌いだったから、狙って全教科百点満点の次はオール八十五点といったやり方をしてきた。そんな方法ぐらいしかできなかったが、せめてもの反抗のつもりだった。しかし、もう中学でそんな事をする必要はない。勉強もできるところを見せて、頭がいいという噂が、あの田坂幸代の耳に届く事を祈る。
 社会担当の高梨敢先生はとても変わった人で、自分の事を『ノータリン』だと自己紹介した。
「じゃあ何で先生になれたんですか?」
 正行がつっ込むと、クラスはドッと笑いが起きる。
「分かってないなあ。私の言う『ノータリン』とは馬鹿という意味でなく、脳みそが人よりも足りないって意味だ」
「脳みそが足りない?」
 俺がそう言うと、高梨先生はこちらへ向かって歩いてくる。そして俺の手首をつかみ、頭のほうへ持っていこうとした。
「ほら、神威君。私の頭を指で触ってごらん」
「え、いや…、別にいいですよ」
「いいから、ほら」
 中肉中背で四角いメガネを掛けた中年男の髪の毛を触るなんて、気分のいいものではない。拒もうとすると、力づくで頭に触らせた。
「あれ?」
 思わず出てしまう声。俺の右手の中指と人差し指は、先生の頭に大きな穴というか空洞のようなものがあるのに気づく。不思議な感覚だった。人間の頭の中に、指が入るぐらいの穴がある。そう説明する以外、どう表現していいか分からなかった。
 待てよ…、何で人間の頭に人差し指がすっぽりと入るスペースがあるんだよ? 普通なら脳みそがある場所なのに、何で俺の指先が当たる部分がこんなに硬いのだろう……。
 そんな当たり前の事を考えると、「うわっ、気持ちわりー」とすぐに手を離した。
 俺以外の生徒は、みんな意味不明なようで、こちらに注目している。
「この先生、本当に脳みそがねえぞっ!」
「嘘つくんじゃねえよ」
「何だよ、そりゃ?」
 口の悪い男子生徒がブーイングを飛ばす。触った人間じゃないと、あの気味悪さは絶対に理解できないだろう。
 高梨先生は、うるさく話す生徒のところへ向かい、俺と同じ事をやらせた。
「何これ? うわ、気持ちわりー」
 触ったクラスメイトは、ほとんど俺と同じような反応をする。ざわめくクラス内。それを見て、先生はどんどん生徒に自分の頭に空いている穴ボコを触らせて歩き回る。
「いや~っ!」
 中には泣き出す女の子もいるぐらいだ。クラスは大パニックになりそうだった。
 黒板の前に戻った先生は、教壇に両手をつき、ゆっくりと口を開く。
「私が子供の頃は、君たちのように都会へ住んでいた訳じゃない。辺り一面畑ばかりでね。かくれんぼぐらいした事あるだろう? トウモロコシ畑にうずくまって隠れている時なんだけどね。ちょうどその時農家の人がいた訳。その人は『熊手』を持っていて、何回も畑に向かって、上から叩きつけるように耕していたんだ。かくれんぼに集中していた私は、その農家の人の存在などまったく分からなかった。それは向こうもそうだったと思うんだよね。…で、うつ伏せの状態で畑にいた私の頭に向かって、その熊手が……」
 そこまで聞くと、大きな悲鳴を上げる女生徒がいた。構わずに高梨先生は続ける。
「もう大変な事故だったよ…。私は意識不明のまま病院に担ぎ込まれてね。でも、奇跡的に助かったんだ」
「うっそだぁ~」
 ちゃぶ台が大きな声で叫ぶ。
「嘘なんかじゃないよ。だからこうして今も頭に穴が空いているし、その分私は脳みそが足りない。だから最初に『ノータリン』なんだと説明したろ」
 これはあの奇妙な穴を触った人じゃないと、信じられないだろう。疑う人間は、実際に触ってみればいいのだ。俺はもう二度と触りたくないが……。
「あと私は水虫を足に飼っていてね。あまり授業を中断するような騒ぎをした場合…。ほれ、こうして裸足をくっつけるぞ?」
 先生は靴を脱ぎ、裸足でちゃぶ台の足元へ近づけていく。
「や、やめて下さいよっ!」
 必死な形相でちゃぶ台は、先生の裸足を拒んでいた。
 担任の鈴本先生は暴力教師で、社会科の高梨先生は『ノータリン』で水虫。本当にこの中学は大丈夫なのかと疑ってしまう……。

 次の授業は美術。担当の先生はとても綺麗な女性だった。名前は吉川先生。茶色のウェーブが掛かった髪をなびかせながら、自己紹介を始める先生に対し、ませた男子生徒が「彼氏はいますか?」とからかうように声を掛ける。その瞬間、吉川先生の表情が悪鬼羅刹のように変わり、「おい、そこの! うっせーぞっ!」と怒鳴りつけた。
『綺麗な薔薇にはトゲがある』と言うが、何で女の先生なのにこんなおっかないんだ? あまりふざけた事をこの先生に言うのはやめておこう……。
 国語を担当する先生は婿養子で結婚した為、今は村田という苗字を名乗っているがあだ名は『ちゃたろー』と呼ばれた。何でも旧姓が『加藤』だったので、おそらく『加藤茶』から文字ってのあだ名だろう。皮肉な事に今のフルネームは『村田太郎』と言う。
 数学の教師は、妙にひょろっとしたメガネを掛けたカマキリみたいな小菅先生。一見まともそうに見えるが、声は妙に甲高く、何か変だ。
 理科の教師も、白髪混じりのメガネマンだ。自分であだ名を『カマキリ』と言っていたが、やっぱりちょっと変だ。この大山先生が数学の小菅先生と違う部分は、ちょっとした事で妙に怒りっぽいというところだろう。
 理数系って文字通り理科と数学だが、こういうカマキリをイメージさせるような外見とメガネが共通事項なのかもしれない。俺は心の中で『メガネブラザース』と名づけた。
 音楽の授業を受け持つのは高橋という女の先生。地味で可愛くも何ともないが、多分こういう人が一番まともなんじゃないかと思う。
 体育の授業は、隣の五組と混合で行う。その為教える先生は二人いて、女の清川先生と、男の井田先生。この先生は学校で酒でも飲んでいるのかと思うほど、いつも酔っているように見える。ジャッキーチェンの映画『酔拳』に出てくる白髪のおじいさんのようなイメージだ。反対に女の清川先生は、妙に背が高くガッチリした体系で、プロレスラーの『ハルクホーガン』を何故か連想させた。唇の上に小さなホクロがあるので、本人は『マリリンモンロー』に似ているなんて言っているけど、どう見てもそれは違う。大きな間違いだ。
 技術家庭の那覇先生は、背が低くてガッシリした筋肉質の暗い先生だ。上に兄貴のいるクラスメイトが言っていたが、この先生を怒らせるとかなりヤバいらしい。
 そして我がクラスの担任鈴本先生の教える英語。
 俺はおばさんのユーちゃんがラジオで毎日放送している『基礎英語』を薦めてくれ、教材やテープ一式を買ってくれた。だからクラスのみんなよりも、英語が進んでいる。そのせいか鈴本先生の話す英語は発音がちょっと、いやかなり変だ。でも本人はきっと格好いいと思っているのだろう。
 本当ならからかいたいところだが、この先生はすぐ暴力を振るうのでやめておいた。
 実際に授業を受けてみて感じたのが、怖い一面だけではないという部分。つまらないけど冗談だって言うし、笑顔も見せる。『週刊少年ジャンプ』で連載している人気漫画『北斗の拳』が好きなんだと言っているので、案外子供っぽい性格なのかもしれない。
 こうして色々な先生を授業ごとに見てきたが、バリエーションが広がったせいか小学校の時よりも面白いんじゃないかと感じた。少なくても従兄弟の洋子に惑わされ、出て行った母親の事を望んでもいないのに、チクチクと言ってくる倉橋先生に比べれば、かなりマシな環境だ。
 掃除の時間、デコリンチョが俺に「神ヤン、プロレスしようよ」と絡んできたので、「やめろ」と逆水平チョップをお見舞いすると、蚊トンボのような体はヒョロヒョロと倒れた。
 それで嫌になったのか、今度は真面目に掃除をしている飯田誠君に「おら、カニ挟みだ」といきなり足を挟んでいる。飯田君は迷惑そうな表情で「やめろよ、トシ」と言っていたが、俺のようにすぐ逆水平チョップをお見舞いするような性格じゃない為、口調も優しい。
「おまえら掃除の時間に何をやってんだぁ~?」
 鈴本先生の怒鳴り声が廊下から聞こえる。俺は見て見ぬふりをしてホウキで床を掃いた。
「先生は、真面目に掃除やらない奴は嫌いなんだぁ~」と言いながら、桶川俊彦の頬を平手で引っ叩く。ああ、デコリンチョもとうとう毒牙に掛かってしまったか……。
「おら、飯田。おまえも何を掃除の時間中にふざけてんだぁ~」
「いえ、先生…、僕は……」
「言い訳なんぞ、するなじゃねぇ~」
 そう言いながら問答無用で、飯田君まで叩かれた。彼まで叩くのは違うだろと思ったが、下手に口出しをすると俺までやられそうなので、黙っていた。
 その場につっぷしてワンワン泣くデコリンチョ。気丈にもグッとこらえる飯田君の表情が妙に印象的だった。
 この先生には言い訳が一切通じない。あの時デコリンチョに逆水平チョップをお見舞いしといて本当に良かったと思う自分がいる。

 すべての授業が終わり、掃除が済むと放課後になる。そのあとでクラブ見学になった。入学以来とても気になる四組の田坂幸代が、本当に女子バスケに入るのかどうか。それが俺のサッカー部入部の試金石になる。言い方を代えれば彼女がバスケをしないなら、別にサッカー部なんぞ用はない。
「俺はもう決まってんだから、もう今日は帰るよ」
 ちゃぶ台はニコニコしながら、さっさと一人で帰ってしまう。
 まだ目を真っ赤にしながら手でこするデコリンチョ。本当に可哀相なのはこいつのせいで叩かれた飯田君だけど、それでも少しは同情できる。
「おい、トシ。部活見たら、あとは帰るだけなんだから元気だしなよ?」
「うう…、う……」
 俺たち新入生は、個々に興味のある部活へ近づき、先輩の練習風景を眺めていた。
 テニス部の前と通ると、どこかで見た事のあるような顔が目に映る。あ、『みっつ』だ。家と隣の定食屋『よしむ』の間にある路地を進むと、裏に一つ年上の野田光秀という先輩がいた。光秀の頭文字を取って『みっつ』と呼んでいる。昔からおとなしい性格で、たまに俺たちがドッジボールをやっている時まぜてあげた事あった。運動神経がないみっつは、いつも俺に強烈なボールをぶつけられ、外野で球回しをしていた。数えるぐらいしか一緒に遊んだ事がないが、一度彼の木造の家で『週刊ゴング』というプロレス雑誌を見せてもらい、ブッチャーは本当に悪い奴、ミルマスカラスは華麗なる空中殺法を得意とするんだと教えてもらった事がある。まったくプロレスというものを知らなかった俺は、あれで興味を持ち始め、おばあちゃんと一緒によく見るようになったっけ。
 今、そのみっつが新入生たちの前で練習試合をしているのだ。あれ、こいつ、こんな運動神経良かったっけと思うぐらい、みっつの動きは機敏だった。
「みっつ~」
 俺は右手を大きく振りながら、みっつに声を掛ける。一瞬みっつの動きがとまり、テニスボールが股の下を通過する。ちょうど俺のところにボールが転がり込んできたので、手で拾う。そしてみっつに「頑張れー」と言いながらボールを投げ返した。
「あれ?」
 みっつは俺の投げたボールを拾おうともせず、こちらを睨むようにジッと見ていた。そしてその周りにいる先輩たちも、何故か俺を睨んでいる。何でこの人たちそんな怒った顔をしているんだろう? その場に居づらくなった俺は、別のクラブを見るようなふりをしてテニス部をあとにした。
 慌ててデコリンチョがあとをついてくる。
「おい、神ヤン。ちょっとマズいんじゃないの?」
 さっきまで泣いていた奴が、不安そうな表情で言った。
「何が?」
「先輩に向かってタメ口で『みっつ』」なんてさ…。みんな、神ヤンのほう睨みつけていたじゃん」
「知るかよ。だって俺とみっつは幼馴染みたいなもんだよ? それで親しい口を利いてさ、何がおかしいの?」
 つまらない事ばかり考えているから、こいつはおでこが広くなったのだろう。それを指摘すると、また顔を真っ赤にして怒るからあえて言わないけど。
「……」
「何だよ、黙っちゃってさ。まあいいや。サッカー部見に行こうよ」
「あ、その前にさ、ちょっと体操部見ない?」
「構わないよ」
 俺たちは、体操部が練習を行う鉄棒の方向へ歩いていた。

 

 

2 鬼畜道~天使の羽を持つ子~(二章 中学編) - 岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

体操部の練習場所まで歩いていくと、他のクラブとは違い、新入生の見物する人数が少なかった。俺たちを除けば三名しか見学者がいない。「お、八幡敦だ」タラコのような分厚...

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