
2024/11/28 thu
前回の章
部屋に戻ると最近していなかった執筆をしようとパソコンを立ち上げる。
岩上整体の末期に書き始めた『パパンとママン』。
二章まで書いて、しばらく放置していたままだった。
望が続きを見たいと言ってくれた。
結構間空いたよな……。
俺は内容を確認する為、ワードを立ち上げる。
パパンとママン
第一章《置き土産》
先輩らと一緒にゲームセンターへ行った日の事だった。
十八歳で免許を取ったばかりの僕は、目的もなく家の車を乗り回し、暇してた先輩を途中で乗せた。
「おい、努! おまえの運転、危ねえよ」
「大丈夫っすよ。心配しないで下さい」
「絶対に事故るなよな。そういやあ腹減ってねえか?」
「じゃあ、牛でもしばきに行きますか~」
金のない僕らは牛丼を胃袋に詰め込んだ。
たまには分厚いステーキを食べてみたいが、今の身分では難しい
近くに新しくできたゲームセンターがあるというので、僕らは今、そこへ向かっている。
「何だよ、そんな大した大きさのゲーセンじゃねえな」
到着するなりブツブツと先輩は言っている。
建物の横が駐車場になっており、一番右に車を停めた。
辺りは雑草がぼうぼうに生い茂った状態で、少しは刈ればいいのにと思う。
ゲームセンターの中は最新のゲーム機があったので、両替を済ませ、早速プレイしてみた。
普段ならゲームに集中するはずの僕が、店内に漂う妙な臭いがして非常に気が散る。
何だ、この臭いは……。
辺り一帯、何故かウンコ臭いのだ。
建物も新しいのに、何でこんな臭いが……?
あまりにも臭いのでクンクンと鼻で嗅いでみると、臭いの元は下からきていた。
どこかに犬のクソでも落ちているのか?
「……!」
この時、自分の右足の裏に妙な物体がついているのに気付く。
まさか、これは……。
靴を脱ぎ裏返すと、臭いを嗅ぐ必要もない事が分かった。
僕が車から降りた時に、犬のクソを踏んづけていたようである。
土踏まずの部分に、こんもりとついたクソ。
僕は辺りを見回しながら、入口のカーペットのところでクソをなびりつけた。
すぐにトイレへ向かい、トイレットペーパーで靴の底を拭く。
溝に入ったしまったクソはなかなか取れない。
水を掛けてみたが、非常に頑固である。
多少はしょうがないか……。
帰ったらこの靴は捨てよう……。
再びゲームをしようと椅子に座ったが、先ほど入口でなびったクソが気になり、ゲームに集中できない。
あまりキョロキョロして店員に不審がられても嫌なので、僕は入口が自然と視界に入るようなゲーム台に移動した。
五分ほどして、暇そうな店員が店内を歩き出す。
入り口のほうへ近づいた時、店員の表情が険しいものになる。
あの臭いが漂っているのだ。
気付かない訳がない。
店員は臭いの元を探しているのか立ったまま近辺を見渡していたが、下を見た時に動きが止まった。
「何じゃ、こりゃ!」とでも言いたそうな店員の驚いた顔。
入口のカーペットになびってある黒い物体をしばらく凝視していた。
僕はその表情を見て吹き出しそうになったが、懸命にこらえる。
ここで笑ったら、「犯人はあなたですか?」と真面目な顔で詰め寄られそうだ。
絶対にバレる訳にはいかない。
ゲームに熱中していた先輩の肩を叩き、「もう帰りましょうよ」と言ったが、「まだ来たばっかじゃねえか」と帰る気はないようだ。
「じゃあ、先に車の中にいますよ」
「お、おい、待てよ!」
僕は先輩の声も無視して入口へ向かった。
カーペットのところでは店員が二人に増え、話し合っている。
「誰だよ…。こんな酷い事しやがったの……」
「普通、入口にクソなんてなびらねえよな。今いる客の誰かか?」
店員同士の会話が聞こえてきた。
かなり頭にきている様子だ。
当たり前だろう。
これからこの二人は、僕のなびったクソを何とかしなくてはならないのだから……。
今、入口に近づくは危険過ぎる。
「お客さん、ちょっと靴の裏を見せてもらえますか?」なんて言われたら、僕だと分かってしまう。
店員がこっちを見たので、自動販売機のジュースを見るふりをして誤魔化した。
非人道的な行為をしているのは百も承知だが、バレたらヤバい。
後始末をさせられる。
僕は常に入口を監視できる場所に行き、店員がいなくなるのを確認すると、ダッシュで外へ逃げだした。
「ちょっとすみません、お客さん……」と、背後から声が聞こえたが、構わず僕は全力で逃げた。
実家の食堂で働く僕は、家を継ぐ決心がある訳ではない。
どこへ行っても長続きしないので、いつも金欠状態だった。
見るに見かねたうちのパパンが
「ただ飯は食わせねえぞ。少しはうちを手伝え」と怒られ現在に至る。
雀の涙ほどの給料をもらい、嫌々働く毎日。
僕の仕事は頭に捻りハチマキを巻いたような汚いオヤジ連中の飯を運び、後片付けと皿洗い。
それに掃除ぐらい。
この状況を抜け出すには、就職するしかない。
「ねえ、ママン。もしさ、僕が他で働き口を見つけたら、パパン怒らないかな?」
「う~ん、そうねえ……。できれば、このまま頑張ってほしいんじゃないかな。ああ見えて、努が食堂を継いでくれるの、パパンは楽しみにしてるんだよ」
現実問題として一人っ子の僕しか家業を継ぐ者はいない。
あんな小汚い店で働いて生涯過ごすのを考えると、ゾッとした。
「でもさあ、まだ僕は十八だよ? 色々世の中を見て、勉強する時期なんじゃないかなと思ってさ」
「だってあんたさ、この半年で三つも職を変えたでしょ。すべて一ヶ月持たないし。私だってパパンだって、そりゃ心配するわよ」
「今までの仕事が僕に合わなかっただけだよ。だって嫌々続けて年を取り、やり直しのきかない年齢になったらまずいでしょ。それなら見切りをつけるのは早いほうがいいに決まってるしさ」
「石の上にも三年って言うでしょ」
「嫌々三年も続けたって意味なんかないよ」
「じゃあ、好きになさい」
「ああ、好きにするよ」
自分の部屋に戻り、布団に寝転がった。天井を眺めながら、何がしたいかを考えてみる。
元々サービス業は向いていない。
かといって黙々と作業をこなす仕事も合わない。
可愛い女の子に囲まれながらデスクワークが理想だが、パソコンの知識も何もない僕を雇ってくれる会社などない。
偉そうな事を言ってみたところで、僕には力など何もないのである。
とりあえず牛をしばきに行っても卵やお新香は我慢して、数ヶ月家業を頑張って小銭を貯め、新しい仕事を探すしか、今の僕には方法がないのだ。
それにしてもパパンは厳しい。
「僕が憎くてしょうがないのか?」と言いたくなるぐらいだった。
天井の木目をジッと眺めながら考えていると、急にチンチンが立ってくる。
彼女のいない僕は右手だけが恋人さ。
以前、左手でやってみたが、どうも気持ちよくない。
右手が一番しっくりくるのだ。
ズボンのボタンを外し、チャックを下ろそうとした時だった。
「おい、努。明日の仕込みをするぞ」
下からパパンの声が聞こえた。
今日は日曜日で休みなんだから、仕込みなんて明日にすればいいものを……。
いや、何よりも、人のテッシュタイムを邪魔しくさって……。
まあ、いきなり部屋のふすまを開けられ、現場を見られるよりはマシか。
僕は仕方なく階段を降りていった。
「はい、炒飯!」
「はい、味噌ラーメン!」
大きな声を出しながら、テキパキと料理を作るパパン。
「へ、へぃ……」
「おい、努! 何だ、その覇気のない声は! ちゃんと『へいっ!』ってデカい声で言え」
お盆に料理を乗せて運ぼうとすると、パパンが怒鳴ってきた。
「へ、へいっ!」
チクショウ、何も客がいる前で文句を言わなくたっていいのに、パパンの意地悪……。
各テーブルに料理を置いていると、入口の戸が開いた。
また客か……。
「い、いらっしゃぃ……」
「へい、らっしぇーっ!」
背後からパパンの威勢のいい声が聞こえる。
二人組の若い客は、入口近くのテーブルに腰掛けた。
パパンの店は、そんなに大きな店ではない。
カウンター席が六席に、四人掛けテーブルが三つある。
ビッチリと詰めさせたとしても、十八名しか入らないのだ。
現在客は七名。
このぐらいの数なら僕もやりやすいが、たまに馬鹿みたいに「水、水」と何度も飲む奴がいると面倒である。
先ほど入ってきた二人が「お兄さ~ん、注文いい?」と言ってきた。
僕にはちょっとした能力がある。
客の顔を見ていると、だいたい何を食べるのかが分かるのだ。
この客はナポリタン、こっちは焼そばといった感じで脳裏にその映像や言葉が浮かんでくる。
しかし、正解率百パーセントではないので、あまり意味のない能力であった。
客の顔を見ると、《焼肉定食大盛り》、《メンチカツ定食》というキーワードが、頭の中で浮かび上がってきた。
でもこの客、うちの店に来るのは初めてだけど、どこかで見たような……。
「俺はメンチカツ定食」
「う~ん、俺は焼肉定食の大盛り」
「へ、へぃ……」
注文を聞きながらも、どこかで見た事のある人だなと思っていたが、どこで会ったのか思い出せない。
向こうも僕の顔を見て、「おや?」という表情をしていたが、それ以上特にお互いの会話はなかった。
「注文です。メン定一丁、肉焼き大一丁」
「おいす。メン定一丁、肉焼き大一丁! ウォンチュ!」
パパンが決めた妙な掛け声。
メニューにはメンチ定食と書いてあるのに、僕が言う時は「メン定」。
焼肉定食も何故か逆に置き換えて「肉焼き」と言わされていた。
最後の「ウォンチュ」は多分、了解したという意味合いなんだと勝手に思っている。
「チェックして~」
常連客の竹花さんが席を立った。
「へ、へぃ、六百三十円になります」
レジに行き、客の出した千円札を受け取る。
「三百七十円のお返しです」
「ごっちょさん」
「ありがとうございました」
この時、妙な視線を感じ、その方向を振り返った。
すると、注文したばかりの二人組が真剣な顔で僕を見ていた。
ひょっとしてホモなのだろうか?
そう思った瞬間、僕の体は鳥肌に包まれた。
「ちょっとお兄さん」
例の二人組に呼ばれる。
今晩付き合えとでも言うつもりだろうか?
最悪の場合、厨房にパパンがいるから問題ないだろう……。
恐る恐る近づき、「何でしょうか?」と聞くと、二人組は、「先週の日曜日、ゲームセンターにいませんでしたか?」と聞かれた。
先週の日曜日は、先輩と牛をしばいて……。
あ、そうだ。
駅近くにできた新しいゲーセンに行ったな。
けど、この人たちは初対面の僕に、何故、そんな事をわざわざ聞いてくるのだろう。
「はぁ……」
「それって駅から近いところのゲームセンターですか?」
「はあ、そうですね。それがどうかしましたか?」
「いえいえ、どこかで見た顔だなと思いましてね」
そう言うと、二人組はニヤリと笑った。
ひょっとしてこいつら、ゲーセンにいた時から僕を狙って、この店までつけてきたのだろうか?
だとしたら、筋金入りのホモだ。
「はい、メン定。それと肉焼き大!」
パパンが料理を作り終えたようだ。
「ちょっと失礼します」と、僕は料理を取りに行く。
ホモたちに家まで知られては、張られる可能性も高い。
色々な状況を考えていると、暗い気分になってしまう。
しかし、二人組は料理を食べ終わると、何事もなかったように帰っていった。
僕の杞憂に過ぎなかったかと、ホッと胸を撫で下ろした。
ホモ二人組は、翌日もパパンの店にやってきた。
昨日と違うのは、妙にうすらデカい男を連れてきた事である。
水を置く僕に、「どうも」と愛想のいい挨拶をしてくるが、油断させる罠かもしれない。
「あ、すみません。トイレってどこですか?」
大男が身体に似合わないハスキーな声で聞いてくる。
「一番奥になります」
「そうですか」
注文する前に、大男はトイレに行ってしまった。先に注文しろよな、二度手間なんだからさ……。
「ご注文は……」
「あっ! いっけね……」
「え?」
「すみません。俺たち、ちょっと大事な用事を思い出しちゃって…。またあとで来ます。まだ注文してないからいいですよね?」
そう言うなり、二人組は大男がトイレに行っているのに注文もせず、店から出て行ってしまった。
何だ何だ?
僕の身体が目的じゃなかったのか?
あの大男はどうするつもりなんだ。
トイレから帰ると、来たばかりの連れがいない状況。
八つ当たり気味に店で暴れられても嫌だな……。
「お~い、努ちゃん。ビール、それと餃子ちょうだい」
「コロッケ定食ちょうだい」
他の客から声が掛かりだし、僕は店内を世話しなく動き回る。
「はい、味噌おでん!」
「はい、唐揚げ!」
「はい、きりたんぽ鍋!」
「へいっ!」
ママンも二階でテレビを見ているのなら、少しは手伝ってくれればいいのに……。
奥から大男が、のそっと出てくるのが見えた。
「あの~、お連れの方、用があるって出て行ってしまいましたが」
とりあえず声を掛けると、大男は「あ、そう」と大して驚いた様子もなく、外へ出て行ってしまう。
テーブルの後片付けやレジの会計をしつつ、料理を運んでいると、客の一人がトイレから出てきて、「くさっ!」と大声を上げた。
何があったんだと思い、その客のところへ行くと、「何だよ、あの便所。臭くてたまんないよ」と非常に不機嫌だった。
うちのトイレは和式の便器である。
客があまりにも「臭い、臭い」と連呼し大騒ぎするので、仕方なく様子を見に行く事にした。
ドアノブに手を掛け少しだけドアを開くと、凶悪な異臭が鼻をつく。
「う、うぐぁ~!」
バタン……。
思わずドアを閉めてしまうぐらいの臭さだった。
一体、今の臭さは何だ?
一瞬気の遠くなるようなもの凄い臭さだ。
最後にトイレに行った客は、あの大男しかいないはずである。
あの野郎め、うちでクソだけして帰りやがったのか……。
どっちにしても、トイレをこのままの状態にしておく訳にはいかない。
客だって僕だってパパンだってトイレを使う。
僕は勇気を奮い立たせ、再びドアノブを掴んだ。
眼前には、大きな大きなウンコがあった。
横四センチ、長さ二十センチぐらいの巨大グソである。
それはもの凄い異臭を巻き起こしていた。
僕はレバーを「大」の方向へ押し、便器に水を流す。
「ゲッ……!」
巨大グソは、ビクともしない。
タンクに水が溜まるまで、一度外に出て、ゆっくりと新鮮な空気を肺に入れる。
あの大男め、身体通りのデカいクソをしやがって……。
一体、どうすればいいんだ?
少しだけドアを開けてみる。
異臭が隙間を掻い潜って店内に漏れだした。
「何だ…? く、くせっ!」
トイレに一番近いカウンター席に座っていた客が、鼻を押さえながら大声で騒ぎ出した。
店内の客が、一斉にこちらを見た。
別に自分が悪い訳ではないが、このままではマズいと感じる。
早くあの巨大グソを何とかしなければ……。
あんなデカいクソは生まれて初めて見た。
常軌を完全に逸した世界標準のクソ。
いや、あんなデカいのは、世界を探しても稀だろう。
大きく息を吸い込んで、トイレの中に入る。先ほどと変わらない状態で巨大グソは横たわっている。
もう一度、水を流してみるが、やはりビクともしない。
他に方法が思いつかないでいると、「おまえ、さっきから何をやってやがんだ?」とパパンが入ってきた。
「うぉっ、何じゃこりゃ?」
パパンは鼻を押さえ、トイレから出てしまう。
僕も一旦、外へ出る事にした。
店内の客たちは食べるのも忘れ、野次馬根性丸出しでトイレの近くまで集まっている。
「マスターどうした?」
「何があったんだ?」
「ん、何か臭いな、この辺……」
このままだと近所で「デカいクソのある店」と変な噂を立てられてしまう。
「おい、努。何だ、ありゃ?」
「し、知らないよ。多分、さっき飯も頼まず、トイレだけしていった大男のせいだ」
「流しても駄目なのか?」
「二回流してみたけど、ビクともしないよ」
「ふ~む……」
僕たち親子は二人して腕を組みながら、巨大グソの対策を考えた。
「まずは窓という窓を全開に開けよう。この悪魔のような異臭が店に染み込んだら、誰一人、客なんか来なくなるぞ」
「おいおい、マスター。俺たちを侮るなよ。俺たちゃよ、マスターの料理が食いたくて、毎日のように来てるんだ」
常連客の竹花さんが、自信満々に言った。
「ふん、この臭いを嗅いでも、そう言えるのか?」
パパンはドアを少しだけ開く。
「ゲッ、くさっ! 何だ、このドブの腐ったような臭いは…。冗談じゃねえ、こんなところで飯なんか食えるかよ。マスター、カウンターに勘定置いとくからな」
そう言って、常連の竹鼻さんは帰ってしまった。
おぞましい臭いは、人間の温かい心までいとも簡単に破壊してしまう。
「ちょっと、どうかしたの?」
ママンが下まで降りてきて、トイレの前にいるみんなに向かって不思議そうな顔をしていた。
とりあえず今日の営業は終わりにして、入口ののれんをしまう。
残っていた客には、「お代は結構ですから」と強引に帰ってもらった。
店に残されたのは僕と、パパンとママンの家族のみ。
この巨大グソを何とかしないと、店の死活問題になってしまう。
うちの二階にはトイレがなかった。
パパンが店を建て直す時、工事代をケチったから、一階だけになってしまったのである。
「普通に流したんじゃ、ビクともしないクソだ。努、バケツに水を汲んで来い」
一気に流せば、あのクソも流れるかもしれない。
パパンはなかなか冴えている。
無駄に年だけ食っている訳ではないのだ。
バケツに水を汲み、僕は急いでトイレまで向かう。
「よし、寄こせ」
パパンはドアを開き、一気に水で流し込んだ。
「……」
巨大グソは、僅か二センチほど奥へ移動した。
大きさに比例して、重さも半端ではない。
「何て強情なクソなの……」
ママンは吐き捨てるように言った。
「努、もっと水持って来い。少しずつでも動いてはいる。何回か繰り返せば、いずれ奥まで行き流れるはずだ」
親子連携のバケツリレーが始まった。
「うんしょ、ほれママン!」
僕が厨房でバケツに水を汲み、カウンターまで置く。
「ほいきた、パパン!」
ママンが必死の形相でトイレまで運ぶ。
「よっしゃ、うりゃさ!」
パパンが受け取り、便器に向かって水を流す。
この中で一番嫌な役といえば、やはりパパンだろう。
凶悪な臭いの元に一番近いのだから……。
「駄目だ…。座礁してしまった……」
七回ぐらい繰り返すと、パパンが言った。
「座礁?」
「ああ、座礁だ……」
気になったので、厨房から出て僕もトイレへ向かう。
「……」
見た瞬間、僕は声を失った。
「少しずつ便器の奥に向かって動いていた巨大グソは、とうとう先端が浮いた状態になり、もう少しだと我々を期待させた。しかし、とどめとばかり勢いよく水を流すと、三分の一まで浮いた状態になったが、それ以降はまったく動かなくなってしまったのだ…。まるで船が浅瀬で乗り上げ動かなくなった座礁のようにな……」
バケツで流しても駄目だった。
どうやら僕らは、次の手を考えなければいけない展開まで追い詰められていた。
「普通なら折れるよな?」
「う~ん、あれ、本当にウンコなのかな?」
「あなたたち、喋ってないで何とかしてよ」
ママンが不甲斐ない僕らに怒鳴りだす。
「そうだ、努。割り箸で真ん中辺りを突き刺して、割ってしまえばいいんだよ」
「そっか、パパン。頭いい!」
パパンは立ち上がると、テーブルの上にある割り箸を取り、僕に渡してくる。
「え、ひょっとして……」
「そうだ。俺は作る側だから、臭いが身体に染み付いても困る。おまえはまだ若いから大丈夫だ、多分……」
「た、多分って何だよ? 多分って……」
「まあまあ努も、たまにはお父さんの言う事ぐらい聞きなさい」
ママンまで僕を戦場へ駆り出そうとしている。
しょせん人間なんて我が身が一番可愛いのだ。
もし、大地震が起きて食糧不足になったら、パパンとママンは僕を食べてでも生き残るんだろうな……。
それにしてもこの割り箸で、あの巨大グソを真っ二つにできるのだろうか?
いや、やらなくてはならないのだ。
異臭漂うトイレの中。
僕は割り箸を割り、座礁した巨大グソに突き刺した。
「ん? 思ったより楽に入ったぞ…。うっ……」
つい口を開いてしまったので、悪臭が口内に侵食してきた。
慌てて外に出て体勢を立て直す事にする。
「パパン、水!」
「何をすんだ?」
「いいから、早く!」
念入りにうがいをして口の中をゆすいだ。
あの臭いが口内に染み付いたら困る。
気を取り直し、僕は便器へ向かう。
割り箸は三分の一ほど、突き刺さった状態。
ここからどう動かすかによって、状況はいくらでも変わってくるだろう。
無難に外側へ向けて割り箸を動かせば、うまく真っ二つに割れると思う。
それとももっと深く突き刺せば、その勢いで割れるかもしれない。
しかしこの場合、リスクがある。
勢い余って僕の指まで巨大グソに触れてしまうかもしれないのだ。
それだけは勘弁願いたい。
そっと外側に向けて動かそう。
僕は外に出て新鮮な空気を目一杯吸い込み、勝負に出た。
パキッ……。
「あっ!」
割り箸が途中で折れてしまった。
駄目だ。
僕には荷が重過ぎる。
「どうした、努?」
パパンが来た。
「こ、これ……」
「わ、割れたのか?」
巨大グソに突き刺さった三分の一ぐらいの割り箸。
これで、水で流す選択は無くなった。
折れた割り箸を手で取ろうにも、あの凶悪な巨大グソに触れてしまう事は必須。
いくら何でもそんな事まではできない。
割り箸で中をほじくったせいか、異臭はさらに強くなっている。
ママンが軍手を持ってきて、僕に手渡しながら言った。
「努、これで割れた箸を取りなさい」
「嫌だよ。冗談じゃねえよ」
「だってあなたが割ったんだから、自分で責任はとらないといけないわ」
「無茶いうなよ」
「大丈夫。軍手なら捨てていいから」
「嫌だよ! そういう問題じゃない」
「じゃあ、ちょっと待ってなさい」
ママンはビニールの手袋を持ってきた。
「おお、これなら安心だ。頑張れよ、努」
他人事だと思って、パパンが白い歯を見せながら無責任発言をしてくる。
「ママンがやればいいじゃん」
「じゃあ、努はもうご飯いらないのね?」
「何でそうなるんだよ? 関係ないじゃん」
「あるわよ。私のこの繊細な指にあんなものがついてごらんなさい。食事の支度なんて、一生できなくなるわ」
「……。じゃあ、パパンに……」
「俺だって同じだよ。誰がこの店の料理を作るんだ? やるのは、おまえしかいないんだって。男ならいい加減腹を決めろ! 俺はそんな軟弱に育てたつもりはないぞ」
調子のいい事を……。
何だかんだ言って、結局、僕に押し付けているだけじゃないか……。
「分かったよ。やればいいんだろ、やれば……」
こうなったらヤケクソだ。
力無き僕は、一人では生きていけない。
汚れ仕事はすべてやらなければ、明日などないのである。
ビニール手袋に手を通し、ゴミ箱も一緒に持っていく事にした。
引き抜いたあと、すぐ捨てなければ危険だ。
生命の危機にもなる可能性がある。
これまでの人生で一番慎重に動き、ジッと目を凝らす。
指の先端が折れた箸に接触したので、そっと掴む。
軽く引っ張ってみたが、ビクともしない。
やはり指先を巨大グソの中まで入れなければ、割り箸はとれないようだ。
「てやぁーっ!」
覚悟を決め、クソの中に指を沈める。
気色悪い感触と共に、何ともいえない香りが鼻をつき意識を失いかけた。
でも、ここで力尽きる訳にはいかない。
よし、掴んだぞ。
僕は一気に折れた割り箸を引っ張った。
その勢いで、不沈艦のようだった巨大グソは真っ二つに折れた。
「やった……」
クソが割れた瞬間、この世のものとはいえない強烈な臭いが身体に飛び込んでくる。
僕はそれで意識が遠退いていった。
「おい、努。大丈夫か?」
ん、何だか声が聞こえるぞ。
パパンの声……。
「努、しっかりして」
これはママンの声……。
目を開けると、両親が覗き込むようにしていた。
「パパン、ママン……」
「良かった。意識を取り戻したぞ」
「パパン…、あれは?」
「大丈夫だ。もう問題ない……」
心なしかパパンの目は潤んでいる。
「あなたの勇気と行動がね。あれを二つに割り、便器の下までようやく沈んだのよ」
ママンは泣きながら言った。
「じゃあ、早く流さないと……」
「それがまだ、デカ過ぎて流れないんだよ」
「え……」
「だから今、しばらく放置して水につけているところだ。明日になれば、幾分浸って柔らかくなるはずだ。本当におまえはよくやった。おまえは俺の息子だ」
パパンの目から一粒の涙がこぼれた。
流れない巨大グソ。
店にとっては非常に迷惑なものだったが、この強敵に挑戦する事で家族の結びつきが前よりグッと増したような気がした。
当時整体の患者たちから「何というカオスな作品」と称された『パパンとママン』。
確かにクソがテーマなんて、どうしょうもない小説だ。
しかしこの先、内容は違えど、漫画家永井豪の『バイオレンスジャック』的な、これまで書いた作品のキャラクターを随所に出したパロディー小説として書きたかった。
俺はブログ『智一郎の部屋』で悪ノリした記事を書く。
この『パパンとママン』に実名で登場したい方、募集中。
そうすると、そこそこの人間が名乗りをあげた。
※現在の出演者
・竹花さん
・ムッシュー石川
・れっこさん
・うめちんさん
・タマはん
あくまでも私のフィクションとして人物を書いていますので、実際の本人とはまったく違います。
ご了承下さい。
出演者の女性三名は、まず北海道奥尻島に住む人妻の青木玲子ことれっこ。
島根県に住む人妻であり『新宿の部屋』時代から繋がりのある新道貴子ことうめちん。
岩上整体時一度だけ抱いた事のある中学時代の同級生の熊倉瑞穂ことタマはん。
残りの男性二人は、先輩の岡部さんの店『とよき』の常連であり、俺の試合にも応援に来てくれた竹花さん。
彼は読売新聞販売所を手掛け、そこそこいい暮らしをしている。
そしてムッシュー石川は、現在共に働く大日本印刷の同僚でもあり部下。
何故ムッシュー石川なのかというと、彼はミクシィもやっていてマイミクになった時、その名前を使っていたのでそのまま使った訳である。
ちなみに男性陣二人は、俺が許可なく勝手に物語へ出す事に決めた。
事後報告だが、二人とも笑っていたので許可を得たと俺は思っている。
れっことはミクシィの自衛隊関連に関するコミュニティで知り合い、仲良くなった。
俺が岩上整体をしていた二千七年の頃。
退役軍人会というコミュニティで副管理人を務めていたれっこ。
俺はそのコミュニティで『自衛隊でやられた酷い事』というスレッドを岩上整体時立てた。
箇条書きで当時のありのままを書く。
・ 酷い上官になると、腕立ての姿勢のまま一時間放置
・ ガスマスクをつけて五キロ走らされる
・ 二十人の上官に呼び出されフクロ
・ 前期教育終了時、班長に班員各一万ずつとられた事
・ ベッドの上からのパラシュート部隊(腹にニードロップ)
・ 第五歩伏前進時に、頭を踏んづけられ、顔に傷をつけろ
・ 催涙ガスを炊いたテントの中で、サザエさんの歌詞本を渡され、五番まで歌わされる
・ 仰向けで、両足を垂直に持ち上げたまま、一時間放置
※辞めてから、キッチリお礼参りしたけど。
こんな感じの体験談をみなさん、どうぞ。
れっこ
なんか訓練とは言えないものも多いですね……。
タチの悪い高校みたいになってますが…、爆。
怖い~、駄目な上官がつくとこういうことまでするんですね
新宿トモ
そうですね。
もう十数年前の話ですが……。
当時、俺もめちゃめちゃイケイケだったので、上官らも気に食わなかったのでしょう。
ワックの件も、あえてモテない上官へ、からかうように話したら、殴りかかってきましたからね
剣恒光
>酷い上官になると、腕立ての姿勢のまま一時間放置。
>仰向けで、両足を垂直に持ち上げたまま、一時間放置。
何らかのペナルティーだろ。
ペナルティーを受ける方が悪い。
その上、体力錬成でもある。
(要領のかまし方の錬成でもな)
>ガスマスクをつけて五キロ走らされる。
当然の訓練、化学状況の時、戦闘しない気か?
化学防護衣(ブチルゴムのやつね)装面、の上に、放射線防護衣(鉛の服十キロ位)をきて、テッパチにアルファ線遮断シールド(二キロ位か?)をつけ、その上に防弾チョッキ、戦闘装着セット一式、小銃に線量計をもって、CQBの訓練があったぞな。
核施設に立てこもったゲリコマを偵察及び民間人の救出と言う想定で。
>催涙ガスを炊いたテントの中で、サザエさんの歌詞本を渡され、五番まで歌わされる。
ガスの辛さを身体で憶える為。
どこでもヤル当然の訓練。
その内耐性が出来てしまって全く平気になる。
>第五歩伏前進時に、頭を踏んづけられ、顔に傷をつけろ。
頭が浮いていたのであろ、撃たれて死ぬよりマシだろが。
身体で憶えるもんだ。
>前期教育終了時、班長に班員各1万ずつとられた事。
施設修繕費や教育補助費ではないのか?
納得いかない募金は拒否できる
説明聞いた?
>二十人の上官に呼び出されフクロ。
二、三人からのリンチなら暴力事案であろうけど、二十名と言う事は理性的行動であった事が想像できる。
受けた方に問題があったのではないか?
>ベッドの上からのパラシュート部隊(腹にニードロップ)
暴力事案ですな。
上から四つは全く問題ない
五つ目も対した問題ではないね
おいらは床尾でテッパチ殴ってたけど。
六つ目、七つ目は判断着かない。
八つ目は暴力事案として報告義務がある。
納得いかない訓練は説明を求める権利があるし、改善をも止める権利もある。
また、訴える場所もある。
そのために警務隊や監査があるんだ。
泣き寝入りやお礼参りなどは組織の改善に全く役立たないばかりか、同じ穴のムジナである。
新宿トモ
剣恒光って奴へ。
何か、理詰めで偉そうに言ってるけど、おまえ、何様?
こんな連中と、同じ穴のムジナだ?
馬鹿じゃねえの?
あまり、偉そうに上からモノ抜かしてると、みっともねえぞ?
まず、口の利き方から直して、出直せ。
自衛隊でやられた酷い事っていうテーマだろ?
くだらないおまえの理論など、どうでもいいよ。
ふにょー
お互い様なのかな。
剣恒光
>新宿トモ氏
まず、口の聞き方が無礼であった点は謝る。
推敲せずダダッと書き込んだ故、慇懃な口調を心がけるのを失念していた。
酷い事っていうテーマ。
酷い事といっても、理由があり必要な物であれば、辛い事ではあっても酷い事ではないのだと思われる。
このコミュは公開コミュ故、不特定多数が閲覧できる。
それ故、一方的捉え方からの文章だけでは、自衛隊に対するネガテブイメージを植え付ける事になる。
(タチの悪い高校みたいになってますが…てね。)
であるから、その酷い事と主観できることも、実は辛い訓練ではあるが、理由がある。
と言うものは、補足説明する必要があるであろう。
何様?ってのは初めましてトピや自分のプロフィールを見て頂ければ分かるかと思います。
新宿トモ
剣恒光さんへ
こっちも少し言い過ぎました。
気を悪くしたら、ごめんなさい。
自分が在籍してた当時は、あまりいい印象なかったから、嫌なイメージが残り、あのような事を書いたけど、確かにまともな人だってたくさんいますね。
俺自身、補足説明が無さ過ぎたかな、確かに……。
あれれ、同世代なんだ。
剣の事はよく分からないけど、お互い頑張りましょう。
剣恒光
いえいえ、こちらこそ。
自分も陸士の始めの内は理不尽!って思ってた事も多くあり、理解は出来るんです。
数年経ってから分かった事、自分が指導する立場になってから分かった事などなどがあります。
今だに疑問な所もありますけど。
新宿トモ
まあ、自衛隊が自分の社会人の原点な事は、間違いないです。
その後、探偵→全日本プロレス→ホテルバーテンダー→新宿でラウンジの店を経営→歌舞伎町裏稼業→総合格闘技で現役復帰→ピアノ→小説→サラリーマン→整体を経営って感じで、滅茶苦茶自由にやってますけどね。
上官に一万とられたっていうのは、前期が終わる際、「おまえらは俺に世話になったんだ。PXに俺のほしいものを注文してある。各一万ずつ出せば足りるものだから、みんな出すように…」って、どうしょもない野郎だったので。
集団のリンチの件は、中隊忘年会なのに、コンパニオン五人しか呼ばず、俺が一番可愛いのを酔ったふりして掻っ攫ったので、上官らの怒りを買ったんでしょう。
部屋の目の前に自動販売機あるのに、わざわざ一番遠い隊舎の「どこどこの四階にある自動販売機のコーラを買って来い」とか嫌がらせする奴多かったので、お礼参りしたまでですね。
こういうのは、自衛隊でもごく一部、優しい人もたくさんいたので、感謝する部分はしてますよ。
まあ、イケイケだった俺にも問題あったのでしょう。
名無し
自衛隊でやられた酷いこと、ですか。
俺はいじめで辞めました。閉鎖社会縦社会に加え、俺、学徒でしたし(少年工科学校)。
今は知りません。が、十四年前は確かに陰湿な虐めありました。
具体的に言うとこの学校は八人の共同部屋で、全寮制の生活をするんですが、寝ている間も殴られました。
まあ、ここにかけない内容のほうが多いですかね。
つらい訓練、教育的指導も多々ありましたが、それは今となっては良き思い出。
仮想ガス状況下での童話合唱は
きつかったけど、結構楽しかったですね。
とレスしておいてなんですが、安易にこういうトピを立てるのは
は好ましくないかなと、書きたかった。
ただそう指摘するだけでは、過剰反応されそうでしたので、俺の身の上も書きました。
もっと、ポジティブに行きましょう。
双子のたいしょう
このコミュはやめたが良いと思いますわ。
元自ならなんとか理解できるけど、今から自衛隊目指そうとしてる人がみたらドンビキでしょう。
このコミュはマイナスな部分が多すぎると思います。
新宿トモ
双子のたいしょうさんへ
別に存在自体は否定してないですよ?
ちゃんと、全部のコメント読んでます?
俺は、自衛隊でそういう事もあるって書いただけの話です。
俺なりの自衛隊の悪い部分を言ったまでで、いい部分だってあります。
これ読んで、自衛隊目指そうとする人が辞めるなら、目指す事自体、辞めておいた方がいいですね。
臭いものには蓋をする……。
だから公務員の汚職隠蔽などが、絶えないんじゃないでしょうか?
世の中、綺麗事だけじゃないので。
まあ俺も酷い事だけでなく、いい事も書けば良かったですけどね。
マキュアス
俺は 新宿トモ を支持するよ。
つらい事・酷い事。
それくらいに耐えられる強靭なハートが無いと務まらない仕事とだけ書かせてもらおうかな?
ご意見伺おう!!
ヨシタケ
俺は、このコミュニティは、タイトルからみて 自衛隊OB主体のものだと思う、だから、新宿トモ氏のカキコは、元自衛官の本音でよいと思う。
俺は、陸上自衛隊というコミュを開設しているが、コミュの性格から、陸自ファンクラブ的な感じとなっている。
元自衛官が、本音をいうコミュとしてのこのコミュの存在理由もあると思う。
冷たいようだが、このコミュに異論を感じるのなら、退会して自分のカラーのコミュでも作ればと思う。
上辺だけのカッコつけるよりも、本音をいうことも大事だろう。
ただ、最初の出だしで、少々挑発的というか、知らない人からみたら、自衛隊は怖いところというイメージはあったかも知れない。
最後に書いておくが、精神的にヤワな人間には、自衛隊は務まらないと書いておこう。
新宿トモ氏の発言は、粗削りな部分もあるが、文面からみて、彼は、ハチャメチャなところも見えるが、根は熱い真面目な人間だと思う。
だから、このコミュのスタンスはこのままでよいと思う
れっこ
コミュのことでしたら、トピにも書いてあるように、管理人さんにお願いします!
賛否両論だと思いますので、それぞれ自分の意思により継続・脱会を決めてくださいね!
トピに対する不満も管理人さんまでよろしくお願いします!
新宿トモ
あれれ……。
いっぱい意見ありますね。
まず、自分に賛同してくれた方、ありがとう。
…で、反対意見の方へ……。
何を言われようと、自分の意見を言うって大事な事だと思います。
大事なのは、誰の前でも同じ事、同じ行動が出来るかどうか。
自衛隊に限らず、どの企業でも陰湿な部分って組織が大きくなればなるほど、あると思います。
これは俺の過去の経験から、そう感じました。
内輪の問題点を曝け出さないと、いつまで経っても悪循環です。
時には膿を出す事も大事かと思います。
ご意見あれば、俺は逃げずに待ってますよ。
きもをたく見習い
れっこさん、俺も変なレスの仕方ですいません。
俺はこのコミュ好きですし、ずっと続いてほしいと願ってます。
コミュっていろんな人の意見が聞けるから楽しい。
そんな輪に俺も入れたことを有り難く感じてます。
新宿トモさん、本音を言うと最初のあなたの口調に反感を覚えた俺ですが、後に続くレスを読んで心から賛同する部分が大きいです。
やはり自分の意見を表に出すというのは大事だと俺も思います。
「これがダメだ」だけにとどまらず「なんでだめなんだ」というディスカッションに発展できれば
素晴らしいですね。
れっこ
きもをたく見習いさん>
いえいえ私は別にそういう意見もあるでしょうから…ってことで言っただけですよ。
きもをたくさんにではなく、個人的には双子さんの意見のことを言っていたのですが……。
誤解あったみたいですみませんね。
なんでも管理人挨拶にもありますように管理人に言っていただければ…って思ったんですよ。
コミュについてのことはね。
意見の交換ってことで、賛成・反対あるでしょうが、反対の意見もないと話も発展しないので、全員同じ考えではないでしょうから、じゃんじゃん話して意見を言うのって大事だと思います!
私は部外者ですが、どこの会社にでも似たような(ここまで酷くないでしょうけど)ことはありますよね?
そういうのも退役した方は、今の会社にもあるよとか、そうでもないよとか意見交換できればいいなって思います。
名無し
私も退役組ですけど、部隊の陸士が「戦争になったら逃げるよ」なんて簡単に言ってくれて、「そんなこと偉そうに言うな」と喧嘩になり、上官に相談したらそいつの肩を持っていたし。
幹部は身の保身しか考えてなかったし。
役所みたいなとこになっていたので自衛隊に幻滅した部分はありましたね。
それと十八入隊の陸士は往々にして社会人モラルを知らないかな……。
自衛官として通用してもシャバじゃあ通じない。
かつての歳四コ下の先輩士長が私の除隊後にシャバで会った時に、相変わらず先輩面してたから軽くお説教しちゃいました。
「俺は民間人だし、君の人生の先輩だ。言葉遣いに気を付けなさい」
嫌味かもしれないけど社会っそういうもんですよね
ヨシタケ
>>それと十八入隊の陸士は往々にして社会人モラルを知らないかな…
>>自衛官として通用してもシャバじゃあ通じない。
そういう俺も十八歳入隊組。
確かにありますね、俺は、二十歳そこそこで諸般の事情で依願退職したが、まだ、自衛隊にどっぷり浸かっていなかったから、社会の仕組みに順応しました……。
しかし、この状態で定年退官したら、完全に自衛隊の悪いところが染みついて、民間企業にでても使い物にならないと思う。
自衛隊は若年定年制であり、定年退官しても社会ではまだまだ現役で働ける年でもある。
まあ、上級幹部で退官すれば、まあ、天下りとまでは行かなくても防衛関連企業での顧問という席があるようだが、それ以下の曹やペーペーの幹部の場合は、どこか仕事を探さないといけない。
で、そういう部分で躓いて第二の人生での企業で退職も余儀なくされるようだ……。
自衛隊は階級社会ですからね……。
そういえば、自訓(自衛隊の自動車教習所)で、俺より年下の生徒上がりの陸曹が、俺よりも階級が上だと言うことで偉そうな面をしていたな……。
ちなみに今は、俺も即自だが、訓練時は指揮命令の関係上、年齢は関係なく階級で指示しないといけないが、課業外は、自分より階級が下でも年齢が上の人は、その方を立てて敬意を表しています。
其れが社会人の常識ですからね。
新宿トモ
きもをたく見習いさんへ
いえいえ、出る杭は打たれるのが、世の性ですからね。
確かに冒頭のコメントのままなら、何の発展性もなかったので、色々な意見が飛び交って良かったと感じますよ。
れっこさんへ
さすが動物占い、自信家の虎な事はあるなあと。
種類は違いますけど、一部上場会社でも、酷いのってたくさんありますよ。
整体やる前に俺がいた企業は、本当腐っていましたね。
資本金七百五十九億円だとか社員えばってエリート面してましたけど、やっている事は本当にエグいなあと感じました。
自衛隊は、まだ馬鹿できるところあって、スカッとする部分多いのですが、中には陰湿なだけで、酷いなここってところも多いですよ。
余談: 歌舞伎町浄化作戦時、俺がパクられた時の話だけど、同室で現役自衛官の子がいました。
隅で両膝を抱え、ずっと暗い表情で無口でした。
俺が話し掛けると、「もう自分はおしまいです…」それしか言いません。
その子は二十一歳でしたけど、留置所にいる間の約十日間、自衛隊の仲間、誰一人も面会に来ませんでした。
同室のヤクザが、「岩ちゃん、自衛隊ってもっと連帯責任ってもんがあんじぇねぇーの? あれじゃあ彼、可哀相じゃん。うちらの稼業の方がまだ義理人情あるよなあ……」と寂しそうに言ってきたのを未だに覚えてますね。
このコミュニティのやり取りで、俺の小説に興味を持ったれっこは、今後色々と奥尻島から応援してくれる事になった。
れっこ曰く当時のスレッドのやり取りを見ていて、非常に衝撃的だったようだ。
全日本プロレスを目指す二十歳前後の頃、北海道奥尻島には少しだけ縁があった。
和食レストランとんでん。
そこで働いていた奥尻島出身の女子大生がいた。
意気投合し、俺はよく彼女の一人暮らしのマンションへ入り浸る。
料理も作ってくれる家庭的な子だったが、ある日台所から「あっ!」って声がしたので駆け寄ると、手に包丁が刺さり血だらけになっていた。
俺はそれ以上傷つけないよう包丁を取り、彼女へ声を掛けた。
それでも放心状態のまま上を見上げている。
「どうした? 大丈夫か?」
必死に声を掛けると、ようやくそこでボソッと口を開く。
「今…、島で何かあった……」
「島? 何が?」
その時奥尻の島を大部分飲み込む地震による津波が起きた瞬間だった。
あとでテレビのニュースを見て、ゾッとした記憶がある。
あの子には、何か神のお告げ的な感じる力があったのだろう。
れっこへその事を伝えると、狭い島なので誰か分かると言うので、それ以上その話を止めた。