土曜日は、私がのめり込んでいるライトノベルについて書いています。ブログ中で最も人気が無いようですが、気にせず続けます。
今回は、数ある大河ドラマ的なライトノベルの中でも、最も大河ドラマな『本好きの下克上』です。ちなみに、ここで言う「大河ドラマ」とはNHKさんで放送している「大河ドラマ」を主にイメージしており、長い歴史の中で様々な人々が関わりながら重厚長大な物語が展開していく…という感じで使っています。
大河ドラマ的なライトノベルとしては、『転生したらスライムだった件』や『無職転生』などもあります。
しかし、私は『本好きの下克上』に最も大河ドラマ的な雰囲気を感じます。それは何故かを考えると、30巻を越える大作であるなど様々な理由があるのですが、シリーズ全体の構成の巧みさが一つの大きな要因だと考えられます。
『本好きの下克上』は、現代日本で異常なほど本が好きな女性だった主人公が死んだ後、中世ヨーロッパ風の異世界に少女マインとして転生する…という物語です。ほとんど本の無い世界で、主人公マインは本を大量に普及させるために努力を積み重ね、その結果、この世界でのし上がっていきます。
最初のシリーズ「兵士の娘」では、主人公マインは何の力もありません。魔法や魔物のいるファンタジー世界ですが、魔法も使えないし、地位も低いので権力もありません。そもそも病弱で、普通の子供並みの体力すら無いのです。そんな彼女が本を作るための第一歩として、紙を作るまでの悪戦苦闘を描いているのが「兵士の娘」です。ほぼ魔法が出てこないため、ファンタジーな異世界の物語だと忘れてしまう程です。
それが次のシリーズ「神殿の巫女見習い」になると、少しずつ魔法や魔物が登場してきます。そして、「領主の養女」「貴族院の自称図書委員」「女神の化身」とシリーズが進むにつれて、どんどん魔法も魔物も凄くなっていきます…が、最初の「兵士の娘」が身近でリアルな雰囲気だったため、そんなに違和感なく読み進める事ができます。
この、無理なくファンタジー世界に引き込んでいくシリーズ構成の巧みさが、大河ドラマを感じさせる一因だと私は思います。
大河ドラマを感じさせる要因は、まだあります。長くなったので、それについては来週の金曜に書かせていただきます。