集中治療専門医への道

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乾燥人血液凝固第Ⅸ因子複合体製剤(PPSB-HT ニチヤク)の当院における使用基準

2014年08月17日 | 日記

当院で作成された第Ⅸ因子製剤の使用基準です。いまのところ自分では使用経験がありませんが、思わず使用したくなるような夢の?!薬のように思えたので共有します!


◆ 適応 
■ 経口抗凝固療法中(原則的にワーファリン内服中)の患者における頭蓋内出血に対する使用を基本とするが、外傷性頭蓋内出血および全身の重篤な出血性疾患に関しては家族に十分説明したうえで使用を考慮してもよい。6時間以内の緊急手術を予定されている患者が対象となる。
■ 尚、新規経口抗凝固薬(Dabigatran、Rivaroxabanなど)に対する有用性は理論上に留まり文献上のデータが少ないため、主治医の判断に委ねられる。

◆ 説明・同意
  ■ 輸血同意書に準ずる。

◆ 用量・用法
  ■ 200単位製剤、500単位製剤が販売されているが、当院には500単位製剤のみ常備
    しておりこれを使用する。
■ 使用量に関しては文献上一定の見解はなく、当院では採血における初期測定
PT-INR の数値を参照して2010カナダのPCCガイドラインに準じて投与量を決定する。体重換算による使用基準もあるが詳細な投与量の調節は費用の面からも無駄が生じる可能性があり、下記投与量を基準とした上で増減は主治医の判断の基に行うものとする。
■ 使用量 INR 2以上を使用基準とする。尚、院内常備は4本である。
  PT-INR < 3.0 PPSB 1000U (2本)
   3.0 < PT-INR < 5.0 PPSB 2000U (4本)
   5.0 < PT-INR PPSB 3000U (6本)
  ■ 規定の溶解液に希釈し、投与速度100U / min 以上かけてシリンジポンプで投与。 
  ■ 投与速度が速くなるとアレルギー反応・血栓形成のリスクが上昇する可能性がある
    ため注意を要する。

◆ 禁忌
  ■ HIT(Heparin Induced Thrombocytepenia) 患者

◆ 非推奨
  ■ 予定された侵襲的処置のリバースに用いる場合
  ■ 出血がない、もしくは外科的処置の必要性を有さないINR 上昇の場合
  ■ 大量輸血を行っている場合
  ■ 肝機能障害に伴う凝固異常を有する場合
  ■ 心筋梗塞やDIC など最近の血栓症既往を有する場合

◆ 併用薬剤
  ■ 使用に際しては、ビタミン K(ケイツー)を5-10mg 投与することで継続的な凝固
   機能の回復を得られるため、原則的に併用を推奨する。
  ■ FFP の投与は利便性、容量負荷、アレルギー反応など考慮したうえで主治医の判 
  断のもと使用を考慮してもよい。その際の投与量は15ml/kg が推奨される。なお多
  発外傷などによる凝固因子の消耗が予測される時には併用による効果が期待される。


参考文献
① Recommendation For Use of Prothrombin Complex Concentrates in Canada. National Advisory Committee on Blood and Blood Products 2011
② Dar Dowlatshahi ら. Poor Prognosis in Warfarin-Associated Intracranial Hemorrhage Despite Anticoagulation Reversal.Stroke 2012;43:1812-1817
③ Elise S. Eerenberg ら.Reversal of Rivaroxaban and Dabigatran by Prothrombin Complex Concentrate :A Randomized, Placebo-Controlled, Crossover Study in Healthy Subjects
. Circulation 2011;124:1508-1510
④ Cindy A. Leissingerら. Role of prothrombin complex concentrates in reversing warfarin anticoagulation: A review of the literature. American Journal of Hematology 2008;83:137-143
⑤ W. Frank Peacock ら.Emergency Management of Bleeding Associated With Old and New Oral Anticoagulants. Clinical Cardiology 2012;35:730-737
⑥ Hagen B. Huttner ら.Hematoma Growth and Outcome in Treated Neurocritical Care Patients With Intracerebral Hemorrhage Related to Oral Anticoagulant Therapy : Comparison of Acute Treatment Strategies Using Vitamin K, Fresh Frozen Plasma, and Prothrombin Complex Concentrates. Stroke 2006;37:1465-1470
⑦ Meena Zarehら.Reversal of Warfarin-Induced Hemorrhage in the Emergency Department. Wes J Emerg Med 2011;12:386-392
⑧ Giovanni Barillari1ら.Emergency reversal of anticoagulation: from theory to real use of prothrombin complex concentrates. A retrospective Italian experience. Blood Transfus 2012;10:87-94
⑨ Eric M. Bershad ら.Prothrombin Complex Concentrates for Oral Anticoagulant Therapy-Related Intracranial Hemorrhage: A Review
of the Literature. Neurocritical Care 2010;12:403-413


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