集中治療専門医への道

集中治療専門医になるべく日々修行の身である若手の医師のつぶやきや情報

医療搬送

2014年02月19日 | 日記

夫の仕事でアメリカに住んでる姉から来月日本に帰ると連絡があった。旅行好きで英語はほぼ話せないながらも世界40−50カ国飛び回った僕としては飛行機に乗れる・・・、そんなことさえうらやましく思ってしまいます。たわいもない話をして以前に何度か飛行機で患者搬送を行ったことがあることを思いだし、何となく知識が曖昧でNEJMを調べるとにそれらしき答えが出て来たのでまとめてみます。

飛行技術に伴い、毎年10-20億人の人間が世界中を旅行している。そのうち0.5%未満の患者で飛行機を使った患者搬送が必要とされ、毎年数千人単位で飛行機を使った患者搬送が行われている。

<患者搬送が必要な病態>

①緊急処置が必要な神経、血管、外科、心疾患

②呼吸・循環動態的に致命的な状況

③産科の患者で搬送中に本人やお腹の子供に悪影響が及ばない状況

④乳幼児で産後、敗血症、髄膜炎後2時間以上に渡って呼吸・循環、さらには代謝的に致命的な状況

⑤緊急処置が必要な電解質異常や中毒

⑥移植が必要な程度の臓器障害

⑦高圧酸素療法が必要な状況

⑧熱傷センター搬送

⑨銃による眼障害を含む、命や四肢損傷に関わる外傷

詳細はGuidelines for air medical dispatchを参照。

 

・搬送の際に血液は他国に持ち込めないので、出血のリスクが高い患者では、輸血のストックがたくさんある病院に搬送することが望ましい。

 

<患者搬送の禁忌>

絶対禁忌

①パイロットが安全な搬送が確保出来ないと判断した場合

②末期状態

③感染症でヒトに移す病期の間

④飛行機や乗組員などに対して攻撃的であったりコントロール不良な状態

相対禁忌

①CPA

②一方弁付きのチューブが挿入されていない気胸

③減圧症

④動脈塞栓

⑤腸閉塞

⑥頭蓋内亢進

⑦固定されていない頸椎損傷

⑧腸重責症

⑨7日以内の手術歴

⑩気脳症

⑪7-14日以内の眼手術

⑫ガス壊疽

⑬7日以内の脳出血

⑭Hb < 7.0d/mlの貧血

⑮コントロール不良の不整脈

⑯治療の施しようの無いほど重度の心筋梗塞

⑰肺うっ血を伴う心不全

⑱COPDや喘息の急性増悪

⑲出産間近の妊婦

⑳不穏/せん妄

 

<高度が人体に影響を及ぼす問題>

①低酸素

機内の圧は海抜5000-8000ftに維持される。この場合、健常な人でもSpO2は94-95%程度となる。

②ガス膨張

海抜8000ftではトラップさえている気体は35%も増量することが知られている。

 

また特定の感染症を有する患者の搬送は制限されている。

①Influenza viruses that cause pandemics or have pandemic potential

②Severe acute respiratory syndrome (SARS)

③Cholera

④Diphtheria

⑤Infectious tuberculosis

⑥Plague

⑦Smallpox

⑧Yellow fever

⑨Viral hemorrhagic fevers

上記9つの感染症を有する患者の搬送は認められていない!

 

などNEJMには装備なども記載されていた。。恐るべし・・・。また患者搬送に行きたいな。


CAP; community acquired pneumoniae ~Review~

2014年02月08日 | 日記

直近のNEJMにCAPのレビューが掲載されていましたね。。

それ以外にLancet neurologyに脳梗塞のsecondary preventionのレビューもありました。

今日はその内のCAPについてまとめました。。

 

INTRODUCTION

・下気道感染症で死亡する割合は世界的に見て死因の第3位である。350万人/年で死亡していると報告がある。

・アメリカでは5万人が毎年肺炎とインフルエンザで死亡している(2010年)が、過小評価されている。

・入院を要する重症なCAPは基礎疾患の無い若年者でも死亡率が高く、またICUに入る例では経済的にも負担あり。

 

STRATEGIES and EVIDENCE

DIAGNOSIS

・基礎疾患に心臓疾患や肺疾患の無い例では診断に苦慮することはない。

・肺炎の3徴 

感染徴候:発熱、悪寒、白血球増多

呼吸器症状:咳嗽、痰の増加、呼吸困難、胸痛、身体所見での肺の異常

新たな浸潤影:レントゲンなど

DIFFERENTIAL DIAGNOSIS

ABNORMAL CHEST RADIOGRAGH

 ・心不全、誤嚥性肺炎、PE、IP急性増悪、気管支拡張症急性増悪、急性好酸球性肺炎、過敏性肺臓炎、血管炎、クラックラング

NORMAL CHEST RADIOGRAGH   

 ・COPD急性増悪、インフルエンザ、気管支炎、百日咳、気管支喘息

※ 基礎疾患に肺がん、肺繊維症、他の慢性肺疾患、心不全がある患者ではCAPの診断は難しいことがある。

※ 非典型的な症状から始まる場合は診断に苦慮することがある。

※ 高齢者では意識変容のみの症状で肺炎であることがあり、診断が遅れることがある

※ レントゲンの影も読影が難しく、15%で診断を誤ることがあると言われている。また、同時に2人の放射線医師が読影をした際に、10%で所見が違うことがある。

INITIAL MANAGEMENT

肺炎の患者が来た時にまず考えること

  ・抗生剤の選択

  ・肺炎の診断を行うための追加の検査

  ・外来か入院、入院でも一般病棟かICUか

抗生剤の選択

 外来

・治療の鍵は、肺炎球菌と非定型肺炎(マイコプラズマ・レジオネラ・クラミジア)のカバーを十分におこなうことである。

・外来患者、特に若年者では非定型肺炎のカバーは重要である。若年者では肺炎球菌ワクチン接種により肺炎球菌性肺炎の占める割合が少ないとされているから。

・抗生剤の選択は最近の抗生剤投与歴とコストから選定し、マクロライド系、ドキシサイクリン系、ニューキノロン系が最良と思われる。

 入院

・IDSAガイドラインでは1st lineの抗生剤選択として

   ①フルオロキノロン(モキシフロキサシン400mg/日かレボフロキサシン750mg/日)

   ②2ndか3rdセファロスポリン系とマクロライド系

   ③ICUに入室例ではマクロライド系orキノロン系抗生剤とセファロスポリン系combination Txが推奨

※ マクロライド系とキノロン系の抗生剤は同スペクトラムだが、マクロライド系抗生剤の方が免疫修飾といった抗菌作用以外の面で有効とされている。

抗生剤の投与時期

・最初の症状発現から6時間以内に投与すべきとされている。

※ この値は後ろ向き研究から症状発現から抗生剤投与までの時間が4時間以上になると予後が悪くなることから導かれている。

※ しかし抗生剤投与を早まると不適切な抗生剤投与が増え、CDADなどのリスクを上げたり、診断ミスから予後を悪くする、など問題が出てくる

・最近のIDSAガイドラインでは早期に抗生剤投与をするのではなく、診断してから早期に抗生剤投与を行うよう推奨している。

・ショックの場合は例外で、ショックになってから1時間以内に抗生剤投与を行うよう推奨している。(8%/hで死亡率が上がる)

抗生剤の投与期間

・CAPの場合、5-7日が推奨されている。

・免疫抑制患者をのぞいては、それ以上の投与期間にエビデンスはない。

 

MDRが予想される患者の治療選択

   ・多くの場合は上記抗生剤選択で問題はないが、MDRのリスクのある患者の場合は違う選択を考慮する。

   ・HCAPの場合はMDRのリスクがある。 

HCAPのクライテリア

Original criteria
・90日以内に2日以上入院歴がある
・ナーシングホームに在住
・抗生剤を含む長期薬剤投与を行っている方
・30日以内の透析患者
・在宅創部ケアを行っている
・家族にMDRを有する者がいる
・免疫抑制
Pneumonia-specific criteria
・90日以内に2日以上入院歴がある
・90日以内の抗生剤投与歴
・寝たきり
・チューブフィーディング
・免疫抑制
・PPI/H2block

   ・HCAPの場合は想定する菌にCAPやVAP同様MRSAやMDRのGNRなどを検討すべきである。

   ・カバーすべき菌は緑膿菌とMRSAだが、広域抗生剤を使用する事で過治療となっているとの報告もある。

   ・他にMDRのリスクのある患者に気管支拡張症やCOPDといった肺の器質的異常のある患者が入る。           この場合、緑膿菌の割合が増えるとされる。

   ・MRSAの出す外毒素は下記症状を引き起こす。

     ・空洞病変、急速に増加する胸水、血痰、インフルエンザ随伴肺炎、好中球減少、結節性紅斑、若年者など

   ・こうした症状を呈する際は、バンコマイシン+リネゾリドやクリンダマイシンの併用が予後を良くする。

診断

・診断の際に使う検査は、多くの場合に治療を変えないので賛否両論である。

血液培養、痰培養、尿中肺炎球菌・レジオネラ、インフルエンザ、胸水培養

・HCAPや重症肺炎では上記検査が推奨される。 

 

一般病棟の場合

   ・CAPの30-40%は入院となる。

   ・PSIやCURB-65などのスコアリングで短期の予後を推定出来るようになっている。

   ・PSIは計算が煩雑だが、CURB-65よりも有効である。

   ・スコアリングでもってだけで判断するのではなく、個々の症例で判断する事が大事である事はお忘れなく。

ICU入室の場合

   ・一般病棟からICUに入室する症例は最初にICU入室する症例よりも予後が悪い。

   ・肺炎でICU入室する割合は5-20%と幅がある。

   ・IDSAガイドラインでは、ICU入室のクライテリアとしてマイナー基準の3つ以上があればICU入室を検討

マイナークライテリア

①意識変容 ②BUN上昇 ③頻呼吸 ④浸潤影 ⑤低酸素 ⑥血小板減少 ⑦低血圧 ⑧低体温 ⑨白血球減少

   ・このスコアリングシステムはEDで有用とされ、3つ以上満たす場合により注意深く患者の診療にあたることで、     死亡率(23⇒6%)や一般病棟からICUへ入室(32%⇒15%)が減ったとされる。

 

AREA OF UNCERTAINTY

   ・HCAPの過大評価の結果、広域抗生剤の乱用が進んでいる。

   ・HCAPの場合でもMDRである場合は少なく、多くは培養陰性である。

   ・HCAPの診断の下に広域抗生剤投与を行った場合に予後が悪くなったという報告もある。

   ・MDRを想起すべき患者の選定ははっきりわかっていない

   ・肺炎に特化したMDRのリスク評価がIDSA-ATSガイドラインから言われている。

   ・3つ以上を満たさない場合ではそこまでMDRのリスクは高くない。

   ・MRSAは例外

     ※ 以前のMRSA感染、定着、長期の透析、心不全の1つあれば検討

   ・あとはローカルデータを参照にMDRも検討する。

   ・HCAPの治療を始めて培養が陰性であればCAPに準じた治療で可

GUIDELINES

   ・CAPのIDSA–ATS guidelinesは7年前に作成されたが、ほとんど変更は無い。

   ・HCAPの診断や治療法は正直使えないのが現状で、さらなる改訂が待たれる。

   ・ヨーロッパのガイドラインではβラクタム系単剤治療の選択肢やキノロンの不使用の推奨などの記載がある。


中心静脈カテーテル 総論

2014年02月01日 | 日記

最近CVC挿入を自分でする機会が減っていますが・・・だからこそその意味や適応などまとめてみました。

Introduction

1929年にドイツで最初に挿入が行われたとのこと。

werner frossmanが自身の肘静脈に尿カテーテルを挿入したのが最初です。その後全世界に広まり、1994年にはイギリスで200,000例/年でCVカテの挿入が行われるようになった。CVカテは有効性は疑う余地はないが、一方で15%以上の合併症が指摘されている。

what are CVC?

内頚、鎖骨下、鼠径から挿入

右から挿入:Zone Bが良いとされる。

右内頚:13-15cm 右鎖骨下:13-15cm

左から挿入:Zone A or C

左内頚:15-18cm 左鎖骨下:15-18cm

what are the indication and contraindication to CVC?

適応

Access for drug

 抗がん剤 カテコラミン TPN peripheral accessが困難 長期投与(抗生剤など)

Access for extracorporeal blood circuits

 腎透析 血漿交換

Monitoring or intervention

CVP 中心静脈サチュレーション PAC ペーシング 頻回の採血 TTM(target temperature monitoring)

※CVP測定のみでCVCを挿入する事は徐々に廃れて来ている。システマティックレビューでCVPと血管内水分の相関性、さらには輸液に対する反応性における相関性が無いと言われている。

※最近ではleg raisingの有効性が言われている。

禁忌

凝固異常 血小板減少 気胸 血胸 血栓による血管閉塞 感染 同側にすでにCVCが挿入されている

what types of CVC are available and how are they selected?

種類は4つ

①皮下に這わせる必要がない 期間:数日から3週間程度

②PICC 期間:数週から数ヶ月

③皮下トンネル式 期間:数ヶ月から数年

④埋め込み型 期間:数ヶ月から数年

それぞれに特徴がある。

①:末梢静脈ルートの確保が困難 カテコラミン投与 短期間のTPN 抗がん剤

②:末梢静脈ルートの確保が困難 中期にわたる抗生剤投与 TPN 抗がん剤

③ / ④:長期間の抗がん剤投与

At what anatomical site should I insert the CVC?

様々なファクターで挿入部位は決める。

挿入の適応、投与期間、以前に投与されていた場所がどこか、禁忌がないかどうか

合併症関連合併症のリスクは内頚と鎖骨下で差がないと言われている(コクランレビュー)。

短期間であればカテーテルコロナイゼーションや血栓のりすくは鼠径部より鎖骨下より多いと言われている。(それぞれRR:6.43 / 11.53)一方で内頚、鎖骨下、鼠径で感染合併の有意差は無いとの報告もある。結果、エコーでの描出のことから内頚が久しく第一選択となっている。ただ、透析の場合は、鎖骨下、鼠径ではカテーテル関連合併症に有意差は無いとされるが、内頚の場合は機械的合併症(圧アラームなど)が多いとの報告もある(コクランレビュー)。現在のKDIGO(kidney disease Improving Global Outcomes) guidelinesでは右内頚、鼠径、左内頚、鎖骨下の順で透析の際のカテーテル挿入の優先順位を出している。

technique of insertion a cannula into the internal jugular vein.

Skin preparation

 2%クロルヘキシジン(ポビドンヨードよりカテ感染のリスク軽減とのメタアナリシス)

Ultrasound guidelines

 NICE(National Institute for Health and Care Excellence) guidelinesがエコー下を推奨

what are the complications of CVC?

Immediated complications

mechanical : 動脈穿刺 動脈留置 出血 気胸 血胸 不整脈 気道損傷 タンポナーデ

thromboembolic:ワイヤー血栓 

Delayed complications

mechanical:タンポナーデ 静脈閉塞 血栓

Infection:CRBSI

thromboembolic:カテ関連血栓 PE 空気塞栓 

Infective complications

BMJ2013の報告では、イギリス215ICUsで20ヶ月の経過の中で2/1000であった。ただ血流感染を起こすと死亡率、ICU stay、医療負担、などが増加するため重要な問題である。 

what are the clinical signs of line infection?

臨床症状で特異的なものはなく、熱のみであることが多い。挿入部の発赤や膿性浸出液などは特異度は高いが感度は高くないとされる。他の感染が否定され、挿入部の発赤が認められてから熱が出れば疑われる。

 診断基準(CDC definition)

・CRBSI

  ・CVCが挿入されている。

  ・SIRS+感染:敗血症の状態であり、かつ他の感染否定 

  ・カテ感染がLaboで疑われる

    ・カテ抜去→定量 / 半定量的にカテ先を培養し陽性

    ・カテ残存→カテからの培養と末梢の培養が一致

          時間差で採取した培養が一致

・CLABSI

  ・SIRS+感染症

  ・48時間以上の挿入

  ・培養で疑わしい:GPC, CNS, candida,腸球菌

  ・他の感染が否定的

what are the common causes of CVC infection or colonisation?

 colonisation : ルーメン外 or 中

 ルーメン外:挿入早期に生じる 手技に際するものなど

 中:挿入後期に生じる シュアプラグの扱いなど

Infection:診断基準は上記

Do antimicrobial or antiseptic impregnated catheters reduce the rate of CVC-BSI?

 抗菌活性のある物質を塗り込んだカテーテル(クロルヘキシジンやスルファジアジン銀など)の使用でカテ感染は減少させることが出来る(コクランレビュー)。しかしICU以外では死亡率や感染の割合を減らす事が出来なかった。現在草稿中のガイドラインでは5日以上の挿入期間が見込まれる際やカテ感染が高率で起きている部門での使用が勧められている。

Do muti-lumen CVC increase the risk of infection?

メタアナリシスではmultiの方がsingle lumenよりわずかに感染のリスクが高いとされるが、質の高いRCTのみで見ると有意差はないとされる。基本的には最小限のlumenを使用するようにする。

Do antibiotic prophylaxis reduce infection rates?

コクランレビューで挿入間にバンコマイシンorテイコプラニン投与する事で感染を減少させないとされる。現時点ではルーチンで抗菌約の予防投与は勧められておらず、逆に耐性の問題から使用しないことが懸命である。

what interventions will reduce infective complications?

dressing剤でどれが有効であると言ったものはない。

ガーゼとテープ固定でもポリウレタン固定でも一緒。ガイドラインでは透明のポリウレタンで固定するよう勧められている。固定をルーチンで変える事は勧められておらず、血液や水で汚れたり剥がれてしまいそうになれば変えればよい。シュアプラグを扱う時はクロルヘキシジンで消毒する。

カテ自体の入れ替えもルーチンでは必要は無い。カテの入れ替えで血栓のリスクが減り、colonisationや感染のリスクが上がったとのメタアナリシスがあるが、いずれも有意差は無かった。基本的にはカテ感染が疑われる際はガイドワイヤー下で入れ替えはしないことが望ましいが、合併症のリスクが高い、現在挿入中のカテは感染が生じていないなどを満たせばガイドワイヤー下で交換は可能。

クロルヘキシジンで毎日挿入部を消毒する事で感染のリスクを下げる事が言われている。

大事なことは常に何時抜くかを考慮する事である。

 system based strategies to reduce rates of CVC-BSI

・手洗い

・クロルヘキシジンでの消毒

・鼠径部を避ける

・不必要なカテの抜去

その他VAP予防や良好なコミュニケーションもカテ感染を下げるのに有効とされる。

what are the risk and complications of CVC related thrombosis?

カテーテル挿入だけでも血栓のリスクはあるが、カテーテル挿入が必要である患者はそれ以外でも血栓のリスクがある。

患者要因:過凝固状態 癌 年齢 DVTの既往

デバイス要因:素材 ルーメンの数 カテ先端の位置 ライン感染 挿入部位

症状:さまざま 患側の腫脹 疼痛 発赤 微熱 コラテの拡張 肺塞栓(0-17%) 感染(血栓は恰好の培地) ライン閉塞 

頻度:2-67% 症候性となると0-28%

また、post-thrombotic syndrome(PTS)といって、長期間の渡るDVTに関連した合併症もある(静脈弁の損傷から血流が滞り更に血栓傾向が強まる事で左記症状が起こること)。症状は疼痛・腫脹・潰瘍など様々である。治療は弾性ストッキングである。

How can catheter related thrombosis be prevented?

一部抗凝固療法によりカテ関連血栓のリスクを下げるとの報告もあるが、肺塞栓や予後には寄与せず、現時点では抗凝固療法は予防としては無効であるとされている。

how should I treat catheter related thrombosis?

抗凝固療法:血栓合併⇩ PTS⇩ 血栓再発⇩

適応:DVT要する患者

ガイドラインでは担癌患者で症候性カテーテル関連血栓症のある患者は三ヶ月の抗凝固療法が推奨されている。血栓溶解療法は賛否両論だが、世界中で広く行われている。

Peripherally inserted central catheters

適応:長期間の抗生剤投与 TPN 抗がん剤 輸血 採血

期間:数ヶ月の留置が可

これまでのCVCよりも合併症が少なく、最近日の目を浴びているが、メタアナリシスでは上腕での血栓のリスクが高いとの報告もある(特に重症患者や担癌患者)。

また、PICCの方が先端の位置異常、血栓性静脈炎、カテ機能異常の頻度が多いとの報告もある。しかも、2012年に出さされたAm J Med / Anaesthesiaでは既存の物に比べて感染の差は無いとのことであった。これまで好意的に思われて来たPICCだが、挿入の際には要注意を。

Caring for the CVC

保護シールの交換:週に1回 or 汚れた可能性があるとき(血液のしみだしなど)

その際は、クロルヘキシジンで挿入部を消毒する。

使わないラインは週に1回ルーメン内を生理食塩水で血液の逆流を確認しフラッシュする。

基本はシャワーのみで湯船につかったり、泳いだりはしない方が良い。また、激しい運動は控えるようにする。埋め込み型であれば気にしなくてもよい。

 

いろいろ書きましたが、最近CVもPICCの入れる機会が無い自分に喝を入れるために今日適応のある症例が来たら入れます!特に鎖骨下は以前勤めていた病院で上の先生があまりに上手でほれぼれしていました。自分もそうなれるよう頑張ります!