詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

小説「時空恋話~JIKUU-RENWA~No.17

2011年03月11日 | 小説「時空恋話」
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十七章 旅立ちの日

未来の幹部柿谷から携帯メールがはいっていた

『沢田・・よくがんばった。お前の任務はあと一日で終了だ。明日昼12時、遅れることなく未来・・・この時代に帰ってくるように』
『かしこまりました。』

文字を打つ手は震えていた。ボイスメールだったら、柿谷に心の動揺が伝わってしまっていたであろう。

「とうとう紗枝・・今日で僕は未来に帰る」
「うん・・・・その前にあって欲しい人がいるの・・・・・」

お互いの気持ちが通じ合った後、紗枝は何度か宏幸を家に連れてきていた。
今日も紗枝手作りのレモンパイを二人で食べていたところだ。
「どうぞお入りください。」
「!!!!」
「父さん、母さん・・・・」
「宏幸・・・立派になったな・・・あれは宏幸が7歳のときだから」
宏幸の記憶よりもずっと白髪が増えた宏幸の父親がそこにたっていた。
「13年前だよ・・・・」
「もう宏幸も20歳なのね・・・」

宏幸の母親は、そっと息子を抱きしめた。

「父さんと母さんが元気そうでよかった。」

宏幸は泣きそうになるのを必死にこらえていた。

「実験は成功だったの?」

「いや・・・本当は50年前に行くはずだったのが20年前に到着した。」

「そう・・私の病室にね・・・」

「病気で死んだ有名政治家を助けるミッションだったの」
「俺達は、未来型通信機すべてがいかれていて、あれ以来柿谷さんとかに連絡がとれてないんだ」
「俺は、両親が生きていることを幹部に報告すべきかどうか悩んでいるからまだ何も言ってないよ。」
「ありがとう」

というと父親は、宏幸の手を握った。

「俺と一緒に未来に帰る?」
「そのことでなんども母さんと話をしたんだが結論がでないんだよ・・・
とはいえ、この時代で大きな医学的研究をしたら未来を変えてしまうしね」
「そりゃそうだよ。未来の技術力をもって、研究なんかしたら、それこそ医学の歴史を変えてしまうよ。父さんと母さんは、優秀な医者であり、研究者なんだから」
「わかってるのよ・・・宏幸。私も、お父さんも・・・」

「沢田・・・沢田さん・・・聞こえますか???」

未来通信機・・・いわゆる携帯電話の光画面から3Dの沢田の姿が見えた。

「か・・・柿谷さんご無沙汰しています。」
宏幸の父親は、いきなり柿谷から、話し掛けられてちょっとびっくりしながら未来型通信機に話し掛けた。

「よかった。本当によかった。無事だったんだね」
そういう柿谷の目には、涙が光っていた。

「柿谷教授。申し訳ございません。任務をまっとうできなくて」
「君達が無事だったのがなによりもだよ・・よかった本当によかった。
今回の件では宏幸君に迷惑をかけたね。
宏幸君よく未来に帰るのを決断してくれた。沢田君ご夫妻も是非一緒に未来に帰ってきて欲しい。
宏幸君には申し訳ないが、時々君の様子を超小型監視装置で見させてもらったよ。別に監視の意味じゃない。私もこの目で実際の20年前の日本を見てみたかったからね。
それから・・
渡辺紗枝さん・・・」

「はい・・・」

紗枝は3Dの映像に急に話かけられビクっとした。
「本当に君にも申し訳ないことをしたね・・・・宏幸君が君に惹かれたのはよくわかるよ・・・」
「私を未来に連れて行ってください!お願いします!」
紗枝は、未来通信機を握り締めると、柿谷に懇願した。

「・・・・・。」
「お願いします。私は宏幸さんが心から好きなんです。 」
「君は・・・20年後も生きている・・・そうすれば40歳だ・・・」
「・・・・?」
「君が40歳の姿形で未来にくるのならば歓迎をしよう」
「40歳???」

紗枝は、柿谷が何を言い出したのかわからなかった。

「君は、この時代に40歳の君として生きているんだよ。わかるね。今現在、こちらの世界では、君の年齢は40歳だ。宏幸君は、未来に戻っても20歳のままだ。その20歳の年の差を君は受け入れられるのかい・・・・?」
「・・・・そ・・そんな」

柿谷のいおうとする意味がわかり、紗枝は青ざめた。

「20歳~40歳の間は、人間は一番いろんなものを吸収する貴重な時間だ。それを君は一瞬で飛び越え年をとることに耐えられるか・・・・」
「紗枝・・・・・無茶だ!君の青春を奪うなんて僕はできない・・・」
「青春なんて古い言葉だわ・・・・私はそれでも宏幸さんと一緒にいたい。
宏幸さんさえよければ・・・・」

紗枝は、真剣な目で柿谷を見つめた。

「君の両親はどうする。君がいきなりいなくなったら悲しむだろう。それとも両親の君との思い出も全部抹消するのか・・・・?」
「・・・・・・・そんな・・・・」
「君は7歳の時に一度死にかけた。それを沢田夫妻に救われ、なにも知らない両親はさぞかし喜んだであろう・・・・その両親の喜びをまた哀しみ色に塗り替えるのか?」
「できない・・・・私・・・そんなことできない・・・」

紗枝は思わず涙が次から次へと頬を伝うのを感じた。

「君はまだ若い。宏幸君との想い出を消去してもまだまだ出会いはある。運命の人に出会うこともできる」
「嫌です!!宏幸さんのことを忘れたくありません。
ひとつお願いがあります。」
「なんだね・・・」
「私の記憶を・・・宏幸さんとの思い出の日々を消さないでください。
私決して誰にも話しません・・・というか話をしても絶対に誰も信じないと思います」
「いままでもそういった少女、少年、青年をたくさんみてきたが、皆最後は自分が苦しくてだれかに話をしてしまうんだよ」
「私は少女じゃありません。私を信じてください。絶対に宏幸さんのこともご両親のことも話をしません。実際にご両親にしていただいたことはこの13年間一度も話をしたことがありません」
「では・・・こうしよう」

~第十八章「柿谷の言葉」はこちらから~
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