詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

「悪魔に魂を売った女 沙羅」NO.1~「潮騒」続編~

2010年12月08日 | 小説「悪魔に魂を売った女 沙羅」
この小説は、オリジナルストーリーで完全なフィクションです。
WEB公開するのを直前までためらった
通常の作者とはかなり異なるタッチの小説になっております。
ご了承の上、お読みください。


前作のシナリオ風小説「潮騒」の続編になります。
「潮騒」をお読みになっていらっしゃらない方は下記からお願いいたします。

http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/f03e0f2b4a27e49ae5f0485daa09d4a0



オリジナル小説 「悪魔に魂を売った女 沙羅」



第一章 BLACK

「きゃあ!!!何これ!!」山口小百合は、マンションの新聞受けに新聞を取りに行こうとしたところ、玄関の前に無残に切り刻まれた、黒猫の死骸がおいてあった。
「どうした」小百合の甲高い叫び声にびっくりして、秋吉駿が玄関を飛び出してきた。

小百合の早朝の叫び声に、マンションの住民は何人か好奇心旺盛に覗きに出てきたが、猫の死骸だとわかるとめいめい自分の部屋に戻った。

「大丈夫か?」と駿が小百合をだきしめながら聞いた。
「うん。ちょっとびっくりしただけ・・・新聞取ってくるね」
というと小百合は10階から1階の郵便受けまで朝刊を取りにいった。

(誰がこんなことを・・・・)駿はおびえる小百合をみて苦しい思い出を思い出していた。

駿は、予備校時代からあこがれていた、松岡沙羅という美少女にずっと恋をしていた。
大学にはいり、同じ、経済の授業をとっていることを知って、彼女を半ば強引に自分のはいっているサークルに一緒にいれた。


「駿・・・・これ」小百合は真っ青な顔をして、駿に一通の手紙を差し出した。
真っ黒な封筒に差出人不明。

二人してドキドキしながら、封書をあけてみると、黒い便箋に一言「真紅の血」で「怨」とだけかかれていた。

プルルルルプルルル  ふいに小百合の携帯電話がなった。
「もしもし・・・?」ガチャリ

プルルルルプルルル もう一度小百合がでてだまっていると
ガチャリときられた。

プルルルプルルル 「今度は俺が出るよ。」といって駿が、小百合の電話機を受け取った。
「もしもし、太刀の悪いいたずらはやめてくれ!!おまえは誰だ・・・」
「くくくく・・・・・地獄の業火に焼かれるがいい がちゃり」
送話機にハンカチをつけたくぐもった男の声が聞こえた・・・

「どうしたの?駿」心配そうに小百合が駿の顔を覗き込んだ、
「太刀の悪い悪戯だよ・・・・気にするな。とりあえず携帯の非通知からの着信は拒否をしておいたほうがいいな・・・・・」
「うん。」と小百合がいうと駿は小百合と駿の両方の携帯電話の非通知からの着信を拒否にした。


駿と小百合は、幼馴染だった。
幼稚園の時の、「ずっと小百合ちゃんを守ってあげる」という駿の言葉を信じて小百合はずっと駿のことが好きだった。
でも、駿は、いつのまにか同じサークルの松岡沙羅に惹かれて、告白をし、そしてひとつに結ばれ、つきあうようになった。
それがきっかけで、小百合はうつ病になり、何度も何度も自殺未遂を繰り返した。
そんな小百合のけなげさと情にほだされ、駿は結局沙羅と別れ、小百合を選んだのだった。


プルルルプルルル ガチャリ
プルルルプルルル ガチャリ

今度は、自宅の電話に2回コールをしては切れた。

「松岡さんよ!!きっとあの人が私たちに復讐をしているんだわ!!」
真っ青な顔をして、震える小百合を抱きしめながら駿は小百合に言った。

「沙羅は死んだんだ・・・・」

そう松岡沙羅は、駿と別れたあと、絶望の淵にたたされ、二人の思い出の海に行って、
靴と遺書だけを残して海に身をなげたのであった。


駿は後悔をした。死ぬほど・・・・「俺のせいで、沙羅という大切な女性の命を絶ってしまった」ことを・・・

「小百合だって、一緒に沙羅のお葬式にいっただろう」
「うん・・・・あのときの松岡さんのお母さんのこと見ていたら、すごく、すごくつらかった」


「人殺し!!沙羅を返して!!」沙羅のお通夜にいった二人をみるやいなや、沙羅の母親は、二人に向かって叫んだのであった。そのまま、駿につかみかかってきたのである。
駿と、小百合は、土下座として詫びたが、沙羅の母親は、「人でなし、人殺し、悪魔!!」
とすべてのこの世の中にあるすべてののしりの言葉をそんな二人に浴びせた。

沙羅の父親と叔父に押さえつけられて、ようやくおとなしくなった沙羅の母親だったが、
最後に沙羅の父親から「もう二度とこのうちの敷居をまたがないでくれ」といわれた


(沙羅は一人で内面に秘めてしまう子だった。
もし、沙羅が小百合のように、俺のことを責めていたら、同じ用に病気になってしまっていたら、俺は最終的にどっちを選んだのだろうか・・・・)

「とりあえず学校にいく時間だから、小百合、支度しろよ。俺も支度するから。」

現在、駿と小百合は両方の親の承諾を得て今二人でマンションに一緒に住んでいるのであった。

「うん」小百合は真っ青な顔をしながらもゆっくりと学校に行く用意をしはじめた。




第二章 PINK

小百合と駿は学校につくとそれぞれの教室にむかった。
やけに今日は、小百合はみんなに注目をされているような気がした。

「よくやるわよね・・・あの子でしょ」
「私だったら、絶対に恥ずかしくて」
「まさかあの山口さんがね・・・・」
ひそひそと話をしている声が小百合の耳元に聞こえてきた。

ちょうどそのとき、小百合の仲がいい磯島みどりがとおったので、小百合は話し掛けた。

「みどり・・・」

小百合に呼ばれるとみどりはギョっとした顔になり足早に走り去っていってしまった。
小百合は何がなんだかわからないまま、一時限目の「英語」の授業にでた。

いつもの席に座っていると、なぜかみんなが遠巻きに小百合をみていた。
英語やフランス語のような語学の授業は、経済とかの一般教養とは違い普通小教室で行われるのであった。

英語の先生、武田先生が、入ってくるなり、「ちょっと山口さんいい?」
と呼ばれた。
「どういうことなのか説明してほしいので、授業が終わったら私の研究室に来て」
といきなり言われた。

小百合は、授業の内容などまったく耳にはいることなく、武田先生から授業が終わった後にどんな話をされるのかとそればかりが気になっていた。

いつもなら積極的に話し掛けてくる磯島みどりも、今日は小百合の席から遠く離れたところに座っていた。
小百合にとって、長い、長い90分の授業が終了した。


~つづく~

第二回目へ
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