アメリカ人夫妻の息苦しいような関係、
警官とアフリカ系アメリカ人のやりとり、銃の危うさ、
そのバラバラなエピソードが渾然一体となってる所が
去年映画で観たバベルを思い出しました。
バベルについては前にも書きましたが、
明確にされない部分がどうもモヤっとして引っかかってしまいました。
でもそこも含めて、ぞれぞれ、その人なりに持ってるセンサーに
良くも悪くも反応する映画だったと思います。
また逆に万華鏡のようにあえて一箇所にとらわれないで
全体を観たほうがいい映画なのかも知れません。
そんな感じがこの映画からも漂ってきて、
ちょっと欲張りなくらいエピソードが盛りだくさんで、
それを追って、ラストまで来て観終わって、
「えっ!これで終わるの。。。」
と取り残されたような気分を味わいました。
それはラヴェルの曲のボレロを初めて聴いた時のように、
これから盛り上がるんだろうなぁ。。。
とずっと期待を持って注意深く聴いてるうちに、
それまで厳かにただひたすら待ってたシンバルが最後に「ジャン!」と鳴って、
そのまま淡々と終わってしまって戸惑ったのに似てました。
でもこの曲は、期待を裏切られたような気がしないでもないのに案外好きです。
この映画もそれに似て、つかみどころはないのですが、
荒っぽい中にも救いがあったりして、
決して後味は悪くない、しみじみとしたいい映画だと思いました。
☆以下ネタばれ☆
魔法の防弾マントは父の娘への愛情を表現し、
空砲は娘の父への愛情を表現してるようでした。
空砲っていう種類があること自体知らなかった私は、
店主が弾を売る時に、なぜか「赤い箱、赤い箱」
って言ってる意味がさっぱり分からず、
最後に謎が解けた時は、「アメリカ人なら、最初からわかってたのかな?」
って、背景や宗教や事情を分からずに観てる自分がどこまで分かったのか
に疑問も持った次第です(^^;)