アトリエ・きき

ここから何が始まる?

手の中の真実

2015-06-29 01:26:38 | Weblog
今こうして感じる 膝の上のわずかな重み。
手のひらに伝わるやわらかな温かさ。
ゆっくりと上下する 小さな腹。

そんなものを わたしは信じる。

テーブルに連れてきた クリーム色とピンクのミニバラ。
ひっそりと光る ガラスの中の金魚。
電球の灯りを頼りとするポトス。

そんなものを わたしは信じる。

挽いたばかりのコーヒーから立ちのぼる香りや
お湯が元気に沸く音や
注がれたカップの熱さなど

そんなものを わたしは信じる。

早朝の庭の湿った空気と
この目に移る野山の変化と
犬と歩く地面の感触と

そんなものをわたしは信じる。

耳に直接届く音と
隔てるもののない絵と
この舌に拡がる味と
その場その時の 目の前の笑顔と

そんなものを わたしは信じる。

これら他愛のない
広すぎる世界の片隅にある
たったひとつの手の中の真実。

それだけを わたしは信じる。

そして

誰にも邪魔されることのない夢を
自由に思い描き
地の果て宇宙の果てまでも旅をし
あらゆる人と景色とに出会い
いつか静かに拡散し 消えていく。

そういう人で
わたしはありたい。





月の夜に

2015-06-28 04:09:38 | Weblog
三日月ってきれいだよね。

でも七難八苦を与えよと祈ったお侍さんもいる。

うん。三日月さんは、そんなものを与えるイメージじゃないけどね。

もっと細い、猫の爪みたいなの、あれって、すご~いってわくわくする。

ごくたまにしかお目にかかれない気がする。

少しずつ太っていって、普通になって、それで半月。

半月ってさ、なんか哀しい感じしない?

それまでは特になんにも思わないんだけど、半月まできちゃうと、なんか
哀しいんだよ。

ほんと、ぽっきり半分ない、って感じ。

半分までくると、欠けてるもう半分の存在を描いちゃうのかしらね。

それよりちょっとでも太ると、もうなんとも思わないんだけどさ。

あの半月って、なんか特別だよね。まっぷたつに割れてる。

片割れがいない感じで、妙に哀しいんだよなぁ。

あ、いるんだけどね、ほんとは。見えないだけでさ。ちゃんとくっついてる。

しかし見事に半分暗いよね。明るいほうの半分と、どうなのあの差は。

明暗を分けるって言葉があるけど、月が一番近いんじゃないの?

てか、月から生まれたんじゃない?その言葉。

ルナティックっていうのは狂った様子を言うんだよね。

そうなの?へぇ~。なんでルナが狂った様子なんだろ。

満月で狼男に変身したり、月ってけっこうこわい描かれ方してるよ。

ウサギが餅をついてるなんて長閑な話ばかり聞くけどね、日本じゃ。

月の砂漠とか雨降りお月さんとか、みんなきれいだよね。

月と太陽とどっちが好き?

月。なんかロマンがある。目でちゃんと見られるし。形変わるし。

変わらないものもすてきだけど、変化するのもいいよね。

うん。わたしは好き。暗い空にくっきりとかぼんやりとか、どっちも。

今夜の月なんてさ、大きな青黒い紙を、ぷすってストローでさした穴みたい。

そお? 目悪いんじゃないの?笑  ただの穴には見えないよ。

穴だよ。ずーっと、宇宙の向こうまで続いてるの。すてきでしょ?

おお。いいねぇ。それはすてきだ。明るい穴だし。

じゃあ行ってみましょ。






あなたのために

2015-06-25 01:24:25 | Weblog
あなたのために
心の一箇所をとっておいた

そこは とても居心地のいい すてきな場所
お気に入りの時間が作り出してくれる 特別なところ


あなたのために 
夢の中のひとときを用意した

それは ゆったりと しあわせに眠れた時にだけ現れる
すてきな空間

行きたくても 行けないことのほうがずっと多い あこがれの時間


あなたのための時間と場所はは いつだって遠い 
自分の中にあるのに いつだって遠い

だからあなたの方から 
トントン 「こんにちは」 と やってきてくださいな



あなたはだれ?





月の夜に

2015-06-24 06:48:34 | Weblog
神々しい明るさが夜空に満ち、
あたり一面に、ほんのり白い光が積もる夜。

世界は何かを語ろうとしている。

何だ。何なのだ。

わたしは目を閉じ、心を開き、
答を待つ。

風の感触が思い出させるものを、探ろうとする。
瞼をよぎる影を、つかまえようとする。
胸の奥にうごめくかすかな記憶を、たぐりよせようとする。

答はやってこない。
どれだけ待ってもやってこない。

月は変わらず、
星とわたしを支配している。





この季節に

2015-06-23 06:21:07 | Weblog
この季節に

活字追うよりも一人思うを選び

瞳凝らすよりもなべて眺めるをよしとし

雑多な言葉よりも簡素な思い信じ



木々の緑豊かなるを目にしてはため息をつき

枝先天に広がりたるを見ては涙し

いにしえよりの切なき願い胸に溢れ

鈴掛と楓見下ろす草地に座すを夢見る



いまだ

緑の玉座に値せざる者は

進むことも

さりとて退くことも

加えて立ち止まることも許されず

交わらぬ位置を行き過ぎる刹那に

すべてを悟らんと欲す



風は

何も語るまい

雨は

心潤すか

月は

更なる沈思に導くか

星は

この世の奇跡証すか




横たわる猫のみ知る真実ありと聞き

いつの日か其より

いつの日か我に

捻華微笑

あらんことを念ず






夢見る猫たち

2015-06-22 01:48:35 | Weblog
夢を見ている。いつからなのか、わからない。
僕は、まだ夢を見ている。

うすい光がさしてきて、早く早くと呼ぶけれど、
どうしても目を覚ますことができないんだ。


君と、ひとつ前の夢の中で会った。
夢の中の君は、変わらずやさしくて、
ふんわりしていて、静かだった。

ただほほえんでいるだけなのに、
なんでも知っているみたいで、あたたかくて、
僕は泣きたいような気持ちになった。


言葉はどこにもないんだ。でも、
もしかしたら、夢を見ているのは君なのかもしれないと、
君を見ていて思った。

僕は、まだ覚めない夢に眠っている。





風に揺れる緑

2015-06-21 04:05:45 | Weblog
瑞々しい千の緑
鳩羽色の空の下
うっすらと紗のかかった世界で
声なく 山々の膨らみを彩る

生まれては朽ちる 永遠のうねり
約束された自然の営みの前に
笑い 泣き 怒り 
大いなる流れに乗って 宇宙を旅する

誰が呼び止めても
誰に押されても
ただ ただ 同じ早さで今日を歩く

緑は何も語らない
だが すべてを知っている

感嘆と 感激と 憤りの嵐をくぐり
踏みしめる土の硬さを全身で受け止め
ただ ただ 同じ早さで歩き続ける者の
魂のつぶやきを

手をつなげ
固く抱擁せよ
振り向くな
顔を上げよ

緑は 何も言わない
だが 千の言葉を持っている

文字にする必要のない 声なき声が
今もひとりを 揺さぶり続けている






とりとめのない遊び

2015-06-19 01:11:52 | Weblog
よく見てごらんよこの文字。



笑ってる。あはは。うふふ。
木陰で妖精たちがくすくす。

お次はこの字。



えっへんと男の子がいばってる。
風は気まぐれ。いたずらが大好き。

こちらはどうです?



ほのぼののどか。
いつもこれから。いつもクレッシェンド。

ではこれは?



いかついようでも実はのんびり。
あじさいの葉裏這う、かたつむりなのさ。

こんな字もある。



心の奥で 涙を流す。
黙って 一人で 涙を流す。

これには気付いた?



ひらひら。そよそよ。
なびく。なびく。やわらかく。

怖いのもある。



ほらもう怖い。
怖いのは心。怖さを作るのは気持ち。

そして。



透明感のある文字。
どこからでもつつける無防備さ。

それから。



贅沢だね。四本も。
シンメトリーでおすまし。

今は。



月が見える。物語が生まれる。
いろいろなものがひしめきあって、屋根の下。

眠らない鳥がいて、片目をつぶる紳士がいて、世界をハスに見る女性がいて。
恋も始まる。
帽子をおしゃれにかぶり、さあお出かけ。

来ます、来ます。



輝きに満ちた文字。まぶしい時間。
月も白い幻となって寄り添う。

朝が来る前に、おやすみなさい。
物語は夢の中。いつだって夢の中。一生だって、夢の中。


"Azisai"





さよならでなくさようなら

2015-06-18 05:28:01 | Weblog
ひろがれひろがれ彼方を目指せ

足もとは見なくていい

見すぎれば

飛べることを忘れてしまう


見つて見つめてその手を見つめて

目をそらせば

足りないものが見えてこない



耳をすまし 心を開き 

口は閉じて 目は美しいものを求め

厳しい言葉を味わい やさしい匂いに敏感であれ



表わすのは

形に込められた本当の自由であり 

嘘のない心であり

宇宙であり

小片の上の一葉である



さようならは左様なら

それならそこに 何が続くだろう

また始めること 歩き出すこと 忘れること 胸に刻むこと

言えるのは 

決して終わりではないということ

いつでも旅の途中

いつでもスタートライン



左様なら また明日

左様なら 右側に無限の未来

左様なら いつまでも見ている





音ののこしてゆくもの

2015-06-15 08:54:16 | Weblog
やすらぎ  切なさ 

かつて居た場所の匂い

あこがれ  まだ見ぬ人

涼やかな風



輝く瞳は 深く澄んで

細い金色の髪 なだらかな胸に踊り

少女の時と同じほほえみがこぼれる 音に満ちた時間の中

ただ人は 

いくつもの笑顔が とわにこわれぬようにと願うばかりで



小さな心ひとつ まるい椅子の上に残し

今日も開く にび色の扉



歌声は消えない

音楽は終わらない



見上げてごらん

音の波は宙に漂い 

やがてきこえなくなる耳にも響き

確かな記憶となって また刻まれるはずだ








にび色になるまで

2015-06-14 17:04:25 | Weblog
金に輝く思い出を巡りながら
小さなろうそくを灯そう

かすかに揺れる炎に ひとつひとつをかざして

やがてその輝きが ほの暗いすすを纏い
透明な湖に沈んでいく様を  静かに眺めよう


置いてきたのは

憧れでも
哀しみでも
叫びでもなく

ただゆったりとした 安堵の呼吸だった


振り向けば
花が咲き  小鳥が鳴き  生き物が集い

ひた走れば
山を臨み  海が迫り  道は続き


おそれるものは何もなく
あたたかさに満ちた時間が
いつものことのように  淡々と流れた


今ここを生きるために
今ここに 端座する

揺れる5000年の光を たなごころにあかく映し
命の重さにとまどいはしても
しばらくは 深い夜にとどまろう


金の思い出が 少しずつ向こう側に流れ
美しいにび色になるまで

積もってゆく記憶の層に
それを上手に刻めるようになるまで







心ほどいて

2015-06-13 04:51:21 | Weblog
心を

ほどいて

ほどいて

ほどいていったら

そこに何が残るだろう

諦めか

感謝か

孤独か

やすらぎか



それが何であったとしても

シンプルに

シンプルに

ただシンプルに



今を生きたい

今を見つめたい

今を感じたい

今をつかみたい



言葉を持たない猫が

どんなに自由か



猫はとらわれず

猫は考えず

猫は気楽で

猫は哀しい



哀しいのはわたし

猫を見ているわたし



猫の背中は語らない

でも猫は

ほんとはすべてをしょっている

わたしという

すべてをしょっている



わたしが映っている背中

わたしが映っている呼吸

わたしが映っている毛並み



わたしより3度高い体温が

わたしを温める

わたしの心を温める



そんな時

心を

ほどいて

ほどいて

ほどいていけば

ありがと という

小さな言葉が残る




”海の眠り”






時のない箱庭

2015-06-12 07:08:23 | Weblog
遠い記憶を携えて

歩く 歩く 歩く


いつか見た風景に助けられて

笑う 笑う 笑う


今しかない時間の淵は

危うくて 落ちそうで 

でも確かで きっとやさしい


時のない箱庭で

ひとりしゃがんでいたら

風に声をかけられた

風は花の匂いも運んでいたし

陽の光も乗せていたし

妖精のおしゃべりまで包んでた


箱庭のまわりにある

海と 山と 花の

そんなすべての時間は

日常のひずみを

ふっとフラットにしてくれる

絡み合った糸も

しゅっとすべらかにしてくれる


そして今

雨音がきこえる

落ち着きなさいと

休みなさいと

そしてまた歩きなさいと

そしてまた笑いなさいと


だから今

こうして言葉を紡ぐ

一日が動きだす前の

小さなインターバルに



"Dream of the sea"







海の眠り

2015-06-10 06:02:58 | Weblog
いつも dream dream

夢を見ているあの子は

今も dream dream

夢の中にさまよう

長い夜超え 

探す 朝の窓

いつかわかる 

本当のこと

誰も見えない 

言葉の向こう側

今は sleep sleep

眠れ

待っているから



君の dream dream

夢は 醒めることがない

だから dream dream

夢に呑み込まれてる

そっとさしのべる手は

届かない

けれど

そこに 見つけたもの

それは きっと

消えはしないでしょう


そして sleep sleep

眠れ

たった一人で

たったひとりで

https://www.youtube.com/watch?v=GoWn9nvqRjY






白い朝に

2015-06-08 00:27:07 | Weblog
朝は いつでも少しわくわくする


見上げれば 無数の霧の子が

地上の気を巻き取って

空へ 空へ

踊るように舞い上がっていく


朝は いつでも少し切なくなる


過ぎた時間の思い出や

懐かしい笑顔の一片が

あちらこちらから挨拶にくる


朝は いつでも少し自由になれる


光の当たる場所や

白い板壁の隙間に置いてきた思いが

作ってきた時のトンネルを抜けて

静かに拡散していく



音は歌になり

声は言葉になり

いつかつかまえられないどこかに行ってしまうとしても

ただ 今を生きるんだ



少しわくわくする朝に

少し切ない気持ちで

少しの自由に感謝し

また緑のカーテンを開けた