そこは小さな部屋でした。
遠い国から流れついた木の枝は、海がよくよく撫でたので、手触りはすっかりなめらか。あの子が集める時も、少しも苦労はありませんでした。
彼女は、まるでコスモスの花束を抱くように軽やかに、自分の背丈ほどもある枝を、たくさん持ち帰ってきました。
僕はそれを、ひとつひとつつなぎ止め、天井に飾りました。
彼女はうれしそうにそれを、いつまでも眺めていました。
すると一本の木の枝が、歌を歌い始めました。どこかで聴いたことがあるような、懐かしい歌です。
僕は、長いことしまったままだったアコーディオンを取り出し、それに合わせました。
歌は少しずつ拡がって、やがてすべての枝が歌を歌うこととなり、僕のアコーディオンととけあって、部屋いっぱいに響き渡りました。
彼女はいっそうにこにこ顔です。自分が集めてきた枝たちが、こんなにも歌がうまいとは、思いもしませんでしたから。
そんな彼女を見て僕はうれしくなり、いつまでもいつまでも、アコーディオンを弾き続けました。
ふと気付くと彼女は、部屋のすみで小さくまるくなって眠っています。
その姿がまるで猫のようだったので、ぼくはおかしくなってしまいました。
しあわせな夜だなぁと思いました。
遠い国から流れついた木の枝は、海がよくよく撫でたので、手触りはすっかりなめらか。あの子が集める時も、少しも苦労はありませんでした。
彼女は、まるでコスモスの花束を抱くように軽やかに、自分の背丈ほどもある枝を、たくさん持ち帰ってきました。
僕はそれを、ひとつひとつつなぎ止め、天井に飾りました。
彼女はうれしそうにそれを、いつまでも眺めていました。
すると一本の木の枝が、歌を歌い始めました。どこかで聴いたことがあるような、懐かしい歌です。
僕は、長いことしまったままだったアコーディオンを取り出し、それに合わせました。
歌は少しずつ拡がって、やがてすべての枝が歌を歌うこととなり、僕のアコーディオンととけあって、部屋いっぱいに響き渡りました。
彼女はいっそうにこにこ顔です。自分が集めてきた枝たちが、こんなにも歌がうまいとは、思いもしませんでしたから。
そんな彼女を見て僕はうれしくなり、いつまでもいつまでも、アコーディオンを弾き続けました。
ふと気付くと彼女は、部屋のすみで小さくまるくなって眠っています。
その姿がまるで猫のようだったので、ぼくはおかしくなってしまいました。
しあわせな夜だなぁと思いました。