スカパー漂流記

CS放送「スカパー」で放送されている番組について語れればいいなぁと思う次第でございまして・・・

File-052 F1GP/第9戦・アメリカ (for フジテレビ721)

2005年06月22日 | Weblog
 まずは左の添付画像をご覧下さい。
 手前の道を走っているのが、レースを「ボイコット」するためピットに戻る7チーム14台のF1マシン(の一部)、奥にある道を走るのはレースに「参加」する3チーム6台のマシン(の一部)でございます。

 いや、まったくもって本当に「しでかして」くれましたよ、F1界の連中は・・・。
 先日の「閑話休題」で、プチヲタは「最高のレース」として「92年モナコGP」を紹介しましたが、今回のアメリカGPは間違いなく「最低のレース」の筆頭候補になるでしょう。

 でも、プチヲタは全然怒ってなどいません。
 それどころか、もうスゴくワクワクしています。
 だって、「レース」よりも「F1界のドロドロとした裏側」をチェックするのが好き(笑)でF1ファンになったプチヲタにとって、件の出来事は最高にエキサイティングな状況なのですから!

 プチヲタもまだ事態の詳細について完全に把握しているわけではありませんが、断片的に伝え聞いた話を総合して今回の騒動を解説すると、おおよそ次のような顛末らしいです。

 F1はレース本番当日より前に、「フリー走行」と言われる一種の「テスト走行」を行うのですが、その「フリー走行」において「ミシュラン」(フランスのタイヤメーカー)製のタイヤにトラブルが多発(11件ほどあったらしい)。
 そこで「ミシュラン」が自社のタイヤをチェックしたところ、アメリカGP用に持ち込んだ「新型タイヤ」は「耐久性」に問題があることが分かり、急遽、本国フランスから「別のタイヤ」を空輸させました。
 ところがF1の規則(レギュレーション)には、「持ち込んだタイヤを変更してはならない」という決まりがあります。
 なので、FIA(F1を管理・統括する組織)はミシュランに対し、「タイヤの変更はまかりならん!」と通達しますが、するとミシュラン側は「だったらタイヤの負担が減るように、コース上にシケインを作ってくれ」と言い出しました。
 自分たちのタイヤは耐久性がないので、タイヤの負担が減るように「コースの形を変えてくれ」というわけです。

 己のミスを棚に上げて「コースの形を変えろ」とはおこがましいにも程がありますが、F1の世界ではこういう「手前勝手な主張」は珍しいことではありません(ムチャでもとりあえず言ってみて、もし認められたらラッキーってな世界なのです)。
 今季これまで8戦全勝のミシュランは、F1の全10チーム中7チームを「ユーザー」として抱えており、これらのチームは当然ミシュランの提案を支持します。
 しかし、この主張はたった1チームの反対で頓挫させられました。
 そう、ミシュランのライバルである「ブリヂストン」を履く王者「フェラーリ」が、「寝言をぬかすな!」とばかりに、その戯れ言を一蹴したのです。

 これらは一見すると「単純」な対立の構図に思えますが、そこはF1、実はその裏側に根深い「怨念の図式」が隠れていたりするのですヨ。
 ちょっと長くなりますが、この図式を知っているのと知らないのとでは「昨今」のF1に対する理解が全然違ってくるので、簡単に説明しましょう。

 前述したように、F1は「FIA」という組織によって統轄されていますが、そのFIAはF1が生み出す利益(TVの放映権料など)の大半も吸い上げており、「もっと利益を分配しろ」と主張するチーム側と、若貴も真っ青な確執を年中無休で繰り広げています。
 ただ、FIAは自己の利益確保の方法を「法的」にガッチリと固めているので、チーム側がどれだけ騒ごうと、あまり意に介しませんでした。
 で、そんな状況に業を煮やした一部チーム(正確には、F1に参戦している「欧米」の自動車メーカー)が、「利益を分配しないなら、俺達は自分でF1に対抗する新しいグランプリ・シリーズを立ち上げる!」と言いだし、そのリーダー格として、F1誕生の瞬間から参戦し続けている唯一のチーム「フェラーリ」に白羽の矢が立ちます。
 「F1=フェラーリ」と言われ、「フェラーリなくしてF1なし」と自他共に認める超名門チームの造反となれば、いかなFIAといえど心中穏やかであろうはずがありません。
 FIAは表面上ではあくまで平静を装い、「やれるモンならやってみそ」というスタンスを保ちながらも、形勢逆転の機会を窺い続けます。
 
 そして、つい先日とも思える今年の春先のこと・・・・。
 一つのニュースが、F1界に激震を巻き起こします。
 「フェラーリがコンコルド協定更新に単独で署名!」
 それは、まさに青天の霹靂でした。

 「コンコルド協定」
 FIAと各チーム・オーナーが「合議」の上で定めたこの約定は、例えて言うならF1界の「憲法」です。
 レースの競技規定についてはいかなる独断専行も許されるFIAも、この協定に関しては何の裁量権も持っておらず、チーム側にとっては「唯一最大の武器」となる頼みの綱。
 その「コンコルド協定」の更新期日が08年に迫り、早く全チームから更新承認のサインを得て体制の安定を図りたいFIAと、前述した「新しいグランプリ・シリーズ」などをネタにギリギリまで交渉し、できる限り有利な条件(放映権料の分配比率なども、これで定められています)の「新協定」を発効させたいチーム側との綱引きが続く中、突然フェラーリが他の9チームを出し抜く形で更新承認のサインをしたのです。
 そしてそれは、フェラーリが今後もF1に参戦し続ける、即ち反乱軍(笑)が画策する「新しいグランプリ・シリーズ」とは袂を分かつとの意志表示でもありました。

 これは明らかな「裏切り」行為であり、各チームは激怒しますが、他方フェラーリにはフェラーリで、この「裏切り」に対する正当な理由がありました。
 というのも、ここ数年あまりに「無敵すぎる」フェラーリに対し、昨シーズンあたりから他の強豪チームが露骨な嫌がらせを仕掛け、中でも「タイヤに関する攻撃」は、王者フェラーリの逆鱗に触れました。
 フェラーリの強さの一因を「ブリヂストン」のタイヤが占めているというのは、もはや疑いようのない事実です。
 フェラーリ以外に「強豪チーム」を抱えていないブリヂストンは、まさに「フェラーリ」専用と言ってよいタイヤを作り、その勝利に貢献してきました。
 そこで他のチームは「タイヤをワンメイク(1社独占)にしよう」と言いだし、「ワンメイクにするなら使用チームの多いミシュランで決まり」などと勝手な主張を繰り広げます。
 加えて「テストの日数も制限したほうがいいんじゃね?」(テスト日数が減ると、フェラーリでしか「開発テスト」が行えないブリヂストンが圧倒的に不利になる)と宣うに至り、もはや「フェラーリvsその他9チーム」はガチンコ対立モードに突入!

 で、その確執を見て取った「妖艶な美女」(笑)FIAはフェラーリにしなだれかかり、耳元でこう囁きます(いや、知らないですケドね。おそらくこうではなっかたかとの勝手な推測です・・・・^_^;)。
「ねぇ~ん、アンタは世界のフェラーリなんだからぁ、あんなゴミみたいな程度の低い連中と本気でケンカなんかしてちゃダメよン。それより、アンタの力を世の中に示す良い方法があるわ。コンコルド協定に今すぐサインするの。そうしたら、あのゴミたち大騒ぎになるわよ。もちろん最初にサインしてくれたらアチキが色々便宜をはかってあげる。だってアンタは最高のF1チームなんだから・・・。正直アンタがいないと、アチキだって生きていけないわン」

 「種馬」・・・否、「跳ね馬」フェラーリ、一発でサインです(恐るべしFIA。笑)。
 端から、特に「和をもって尊しとなす」が身上の日本人の目から見ると、この一連の動きは不可解というより滑稽です。
 一方で「共闘」を誓い合いながら、もう一方で「盟友」の足を引っ張ろうとする。
 でも、それがF1なのです。
 そしてプチヲタは、F1の「そういう部分」が大好きなのですヨ(^_^;)。

 さて、以上のような構図から「ミシュラン」とその関係チームの提案は退けられたわけですが、時速300kmで競うF1に「欠陥タイヤ」で臨むことを望む(笑)者など誰もいません。
 なので「ミシュランとその仲間たち」は、「安全上の理由」という名目でアメリカGPをボイコット(正確には「フォーメーション・ラップ」という行為には参加しているため、「ボイコット」ではなく「リタイヤ」扱いですが・・・)するという前代未聞の事態に発展。
 出走台数6台、完走すれば入賞確定という、客がコースにペットボトルを投げ込むのも無理はないというレースになってしまったという次第。
 
 とはいえ、今回の「騒動」は、事が事だけにこのまま収まるとはとても思えません。
 きっと「FIA」「ミシュラン」「不参加チーム」の各々が「スケープゴート」を探して、醜い「責任転嫁」争いを繰り広げてくれることと思います。
 
 そう考えると、今から胸のワクワクが抑えられません(歪んでますか、私?)。

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