スカパー漂流記

CS放送「スカパー」で放送されている番組について語れればいいなぁと思う次第でございまして・・・

File-058 アルマゲドン (for ムービープラス)

2005年07月05日 | Weblog
 プチヲタ得意の「迎合」・・・いや「時事」ネタつーコトで、今回は「アルマゲドン」を取り上げます(笑)。
 てか、「時事ネタならディープ・インパクトの方だろう!」というツッコミもあるかとは思いますが、ぶっちゃけプチヲタは「ディープ・インパクト」の内容に関してほとんど覚えていません(タイトルに反して「ノー・インパクト」な映画だった、と・・・。^_^;)。
 もっとも映画としての「出来の悪さ」ならどちらも五十歩百歩なのですが、キャスティングの差がそのままインパクトの差になったってカンジです(やはり「腐ってもB・ウィリス」ってコトですナ)。

 さて、冒頭でいきなり結論を言ってしまいましたが、この作品、ハッキリ言って内容はヒドいです。
 ハリウッド得意の「誇大宣伝」で客を集め、「1800円も払ったんだから感動しなきゃ損!」と考えてくれる、映画会社のとっては本当に「神様」みたいな「お客様」にはそれなりにウケたようですが、プチヲタのように「神ならざる凡庸の徒」である客からは悪評フンプンでした。

 ちなみに本作の内容を知らない方のためにストーリーを悪意に満ちて(笑)要約すると・・・
 ある日、地球に「こっそり」接近してくる小惑星が発見され、その大きさから「この小惑星が地球にぶつかったら、人類はあぼーんだ!」という結論に到達。
 そこで「偉大なる」アメリカ政府はグレートな人々を結集して事態の打開策を検討。
 最初こそ「地球上で最強の破壊力を持つ核ミサイルを撃ち込んでも、小惑星が大きすぎて表面を焦がす程度のダメージしか与えられない。破壊するなら、小惑星の地下深くに核爆弾を埋め込み、内部から崩壊させるしかない!」とマトモな議論を繰り広げるものの、会議の途中で酒が入ったのか、それとも素でバカなのか、「地中に核を埋め込むなら穴掘りのプロが必要だな。そうだ!石油採掘の職人で一番ウデの良いヤツをシャトルに乗せて小惑星に送り込もう!」というあり得ない結論に辿り着く(この時点ですでに物語は破綻)。
 そこでグレート・アメリカン政府に選ばれたのがB・ウィリス演じる採掘屋のオヤジ。
 で、このオヤジが、娘にちょっかい出した部下にショットガンを向けるような「キチガイ」・・・否「ナイスガイ」なんですワ。
 ここからはもう説明は不要でしょう。
 オヤジ以下「娘にちょっかい出した部下」を含めた穴掘り職人軍団が宇宙に飛び出し、最後は件の部下を娘のためにオヤジが助け、オヤジ自身はついで(笑)に地球も救うため、その身を犠牲にして小惑星とともに宇宙のチリとなって消える・・・と。

 いや~、ヘドが出るくらい感動的って言うか、マジでヘドしか出ませんな、この物語は。
 え?良い話じゃないかって?
 ま、単純に観ればそうかもしれませんね(実際、感動していた人間も少なからずいたみたいだし・・・)。

 でも、プチヲタ的にはやっぱ「ヘドが出る」映画です。
 「こういう風に作っとけば、アホな観客は感動して大泣きしよるな、ガハハ!」といった、製作側の客を小馬鹿にした姿勢がアリアリと見て取れて、本気でムカつきます。
 いくら「分かりやすい」ことがハリウッド映画の身上とはいえ、「分かりやすい」ことと「デタラメ」は全然違うのですから・・・。

 穴を掘るには「穴掘りのプロ」がいる?
 だったら核爆弾を扱うには「核爆弾のプロ」が必要でしょうに。
 ところがその部分は「簡単に扱える装置にしたから、そこは素人でも大丈夫」みたいな設定をこじつけて、とにかく重要なのは「穴掘りのプロ」ってトコだけ(その穴を掘るのも実質的には「機械」がやってるつーの!)。
 これはどういうコトかと言うと、早い話が「ブルーカラー」、即ちこの映画の「コア・ユーザー」になるであろう人々に媚びてるだけのことなんですよ。
 極論すれば「アメリカ人であれば穴掘り職人でも世界を救うことが出来る!オー、素晴らしきかなアメリカ。アメリカ万歳!」って話です。

 これは別に穿った見方じゃありません。
 だって普通に考えれば、「穴掘り職人」なんてマイナーなことこの上ない職種の人間に「人類の命運を託す」って話の方が甚だ不自然じゃないですか?
 そもそもこの物語の主張に従えば、宇宙ステーション建設のために必要なのはNASAの宇宙飛行士じゃなくて、建設会社の作業員ってコトになりますよね?

 普通の人間が、普通に本作の基本設定を元にストーリーを考えたら、「穴掘り職人」が宇宙に行くという発想はまず出てこないでしょう。
 また、才能ある脚本家がシナリオを書いても、このように「ふざけた」物語にはならないと思います。
 この映画のクソみたいなストーリーは、客をナメてる製作者が、その客に媚びようとしたがゆえに生まれたモノとしか考えられません。
 だからヘドが出るのです。

 ここからはプチヲタの戯れ言になりますが、もしプチヲタがこの「ふざけた」プロットのまま脚本を書かざるを得なくなったとしたら、少なくとも次の点は以下のように変更するでしょう。

 まず、政府が「三顧の礼」をもって主人公を迎えるということはしません。
 地球の危機をニュースで知った主人公が、「小惑星を破壊するには内部から崩壊させるしかない」と聞き、「だったら世界一ウデの良い俺に穴を掘らせろ!」と自ら政府に売り込むようにします(もちろん政府は相手にしません。でも主人公を「主体的」に物語へ関わらせるのは大事なことですし、何より「この先どうやって主人公が希望を叶えていくのか?」という興味を観客に持たせることができます)。

 次に、政府が選抜したNASAのエリート宇宙飛行士たちが小惑星破壊の為に宇宙に出向き、小惑星には到着したものの、穴を掘るのに手間取り、それが原因で全員が殉職します(これにより「穴を掘る」という行為自体に価値を持たせることができます)。

 作戦の失敗によってシャトルが失われ、アメリカは打つ手をなくしますが、ロシアに「極秘開発されたスペースシャトルのコピー機」があることが発覚。アメリカはロシアに共同作戦を持ちかけますが最初は拒否され、苦肉の策として「アメリカの宇宙技術の全面供与」を約束して交渉が成立(これにより「アメリカだけが世界を救える」という傲慢さが打ち消されます)。

 最初の作戦の失敗を受け、政府は「作戦のキモは穴を掘る作業にある!」と考えるようになり、かつて門前払いした主人公に助力を求め、主人公はこれを快諾します。

 そして、ロシアの宇宙飛行士&アメリカの(理想を言えば「世界の」)穴掘り職人が「いがみ合い」ながらタッグを組み、やがて一致団結して作戦に臨み、小惑星を見事破壊する。

 別に取りたてて斬新な要素も無いですし、意表をつく展開もありません。
 だとしても、オリジナルのそれよりは「真っ当」な、少なくとも破綻の少ない筋書きになっていると思うのですが・・・(^_^;)。

 もっとも「真っ新」な状態で脚本を一任されたら、プチヲタはめっちゃ破天荒なドラマを書きますよ!
 例えば小惑星破壊の方法として、軍の「生体兵器研究所」で生み出された「怪獣」(キングギドラみたいな、凶悪そうなヤツ)を使うとか。
 で、この怪獣が自由奔放なキャラクターで、小惑星より先にニューヨークを火の海にしたりして、役に立つ(=人類の味方になる)のかどうか全然分からない、と。
 もちろん言うまでもなく、この映画の監督は「R・エメリッヒ」で決まりですよ(爆笑)。

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