キプロスへのユーロ圏の金融支援をめぐり、混乱が深まっている。
問題点をQ&Aでまとめた。
(ベルリン=宮下日出男)
Q
キプロスはなぜ危機に陥ったのか
A
ギリシャ危機で投資家が一部債権を強制的に削減され、キプロスの銀行が大きな損害を受けた。
政府は銀行に資本注入するための資金を用意できず、昨年6月、ユーロ圏に支援を要請した。
今月16日に銀行預金への課税を条件にした100億ユーロの支援で合意したが、キプロス国会は拒否。
課税で見込んだ資金を確保する代替策が焦点となっている。
Q
預金課税にはロシアも強く反発した
A
キプロスの銀行預金の総額は約680億ユーロ(約8兆円)で、外国人の保有額は3~4割にのぼる。
大半はロシア人の高額預金とみられ、課税されればロシア人が大きな損害を受けるためだ。
キプロスは「租税回避地」(タックスヘイブン)的な存在でもあり、資金洗浄や脱税への活用が懸念されてきた。
ユーロ圏は、ロシア人の脱税マネーなどを税金で保護するわけにはいかず、応分の負担を求めようとしている。
Q
どうしてロシア人の預金が多いのか
A
キプロスは近年、非居住者の資金調達や運用に便利なオフショア金融センターとして発達。
法人税率を10%に抑えるなどした結果、オイルマネーなどで潤ったロシアの資金が流入したからだ。
キプロスはロシアに対し、既存融資25億ユーロの返済期間延長や、地中海の海底ガス田への投資などを通じた協力を求めている。
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