関根研日記

立教大学理学部生命理学科 関根研究室の日常をご紹介。

2021年度 業績報告会

2022-03-09 16:46:32 | Weblog

こんにちは! M2の田中です!

全然更新できず、申し訳ありませんでした。。。

 

今日は2月1日のB3の特別演習発表会、2月3日のB4の業績報告会、2月4日のM2の業績報告会についてご報告いたします!

 

2月1日はB3で特別演習生の木村彩乃さんと岡田陽菜さんの2名が発表を行いました!

 

木村さんは病原性大腸菌O157がもち(K-12には存在しない)、関根研が見つけたnon-coding RNAであるEsr74ファミリーを研究テーマに実験を進めています。

この1年Northern blottingで苦戦をしておりましたが、さまざまな試行錯誤をした末に、最終的に目的のバンドを検出できました。すごい粘り強さでした。

発表でもスライドが非常に見やすく作られており、3年生ながら非常に洗練された発表でした!

 

岡田さんは須藤直樹さんが立ち上げた系であるHfqとの合成致死スクリーニングを利用して、未知のsRNAの機能を明らかにすることをテーマに実験を進めています。

初めて聞く人には複雑なことが多い内容ですが、話すべき内容が非常に取捨選択され、過不足のないとてもよい発表でした!

岡田さん的には「やらかした」そうですが、内容だけでなく、質問にもきちんと答えられており大変すばらしい発表だと聞いていて思いました!笑

 

B3の2人は授業もあり、大変忙しい1年だったと思いますが、その中でも一生懸命実験をして、先輩や先生とDiscussionを重ねている様子はさすがでした。

残りまだ3年間あるので、今後の活躍と研究の発展が非常に楽しみですね!

 

1日空いて、2月3日はB4の5人の発表でした。

 

B4のトップバッターは「なごちゃん」こと、名合美憂さん。バクテリアにおいてストレス下でエネルギーの浪費を防ぐためにリボソームを不活性化する因子として同定されたHPFの葉緑体におけるホモログであるPSRP1についての研究をしています。

さまざまなモデルが想定されるテーマの中、それらを区別するための実験を考えて、B3の特演生時代から取り組んでいます。非常に考えることが好きなんだなーっていうのをいつも話していて感じております。笑

植物を使う性質上、どうしても時間のかかる実験が多い中、うまくスケジュールを組んでいつも実験をしているところはすごいと思います!

名合さんは大学院に進学し、あと2年あるので、これからもおもしろい結果をたくさん期待しています!

 

B4の2人目は山崎のどかさん。リボソームリサイクリングファクターであるRRFについて研究をしています。RRF自体は教科書などでも目にするリボソームのRecyling時に働く因子で、大腸菌では必須遺伝子です。関根先生を含む過去の方々 (20年以上前!)の研究により、RRFが翻訳の正確性にも寄与していることが示唆されました。その当時は実験技術的 (次世代シークエンサ―など)に解析が難しい研究でしたが、ようやく時代が関根先生に追いつき、今年から再開した研究です。笑

自分が4年生のころ、このテーマがあったら、これ選んでたかも、と考えてしまうくらい内容的に非常に面白い研究テーマです。まだ、再開して1年の研究内容なので今後どうなるか、非常に楽しみですね! 

外部の方との共同研究も多く、関根先生が過去に取り組んでいたこともあり、プレッシャーが大きかったと思いますが、粘り強く実験に取り組んだ甲斐もあって、聞いていて非常に面白い発表でした!

山崎さんも大学院に進学するためあと2年、頑張ってください!

 

 

B4の3人目は富田柚香さん。IEEと生菌数の低下をテーマに研究をしています。

IEEは病原性大腸菌O157に存在し、染色体上からISをきれいに切り出す因子として発見されました。それ以外にも関根研の解析によりIEEにはさまざまな活性や特徴があることがわかりました。IEEを過剰発現することで引き起こされる大腸菌の生菌数の減少もその1つです。

富田さんはその生菌数の減少が緩和される株を丹念にスクリーニングして、IEEの生菌数減少にかかわる因子を特定していきました。それは生菌数減少のメカニズムを明らかにすることだけでなく、岸野さんが行っているタンパク質精製にも応用され、IEE研究に与えた影響は非常に大きいと思います。

決してうまくいく実験ばかりではなかったと思いますが、そのたびに一生懸命考えて先生や先輩とdiscussionを重ねている姿がとても印象的でした。まだ、2年あると思うので、今後もたくさん面白い結果を楽しみにしています! 発表も4年生とは思えない程の結果と、それを無駄なくまとめていてとても素晴らしいものでした!

 

B4の4人目は「べし」こと渡部剛士くん。わたべ氏がだんだんとべしとなっていきました。笑

べしも岡田さんと同じHfqが関与する遺伝子発現制御をテーマに研究を進めています。

Hfqと合成致死を示す遺伝子の同定は慣れていないとかなり手間取る実験であり、この1年かなり苦戦している様子をみてきました。

それだけでなく、クローニングもなぜかうまくいかないという日々が続きましたが、そこであきらめず何度も何十回もやり直して、Hfqと合成致死を示す遺伝子の特定をしていきました。

陸上部で鍛え上げられた根性を感じました。毎朝20キロ走っているだけはあります。笑

べしは外部進学ですが、進学先でまったく違うテーマの研究でもあきらめずに粘り強く取り組んでいくんだろうなと確信しております。

発表はなかなか意地悪な質問が来ましたが、焦りつつもきちんと回答しており、すごいなと感じました。

 

B4の5人目は永井千晶さんです。IEEにランダム変異を導入し、IEE過剰発現時の生菌数低下を回避する変異体を取得することで、IEEの機能に大切な領域を探索することをテーマに研究を進めてきました。

ひたすら大腸菌を形質転換して、シークエンスでスクリーニングをしていくというなかなかに骨の折れる実験が多かったと思いますが、岸野さんのもと、研究をすすめて、配列比較だけではわからないIEEにとって大切なアミノ酸を同定していきました。このような情報は今後のIEE研究の財産になっていくと思います。

発表も落ち着いていて、何度も練習したんだなということが伝わってきました。

永井さんは僕(田中)をコナンくんと呼んでおり、非常になめているなと感じた1年間でした。笑

まぁでも悪意は感じなかったので、許します。笑

永井さんも外部進学で環境が変わり大変だと思いますが、ますますのご活躍を期待しております。笑

 

以上が4年生の発表でした。皆それぞれが1年間の成果をきちんと発表しており、さすが関根研!ということを感じました。

 

2月4日は院生の業績報告会で、関根研からはM2の田中健太、武藤駿太郎、杉本亮太の3名が発表しました。

 

M2の1人目は「田中氏」こと、私、田中健太の発表でした。笑

私は名合さんと同じPSRP1について研究を行なってきました。

私は植物にとって極めて重要な環境要因の光条件に着目して、暗所ストレス下でのPSRP1の機能解析を行ってきました。その結果、暗所条件下でPSRP1が葉緑体リボソームの翻訳を抑制すること、葉緑体リボソームの不安定化を抑制していることなどがわかりました。また、精製PSRP1タンパク質を使った生化学的な実験にもチャレンジして、PSRP1が二量体を形成してリボソームに結合することやin vitroで翻訳抑制能を検証することなどPSRP1の多種多様な働きを発見することができました。

PSRP1研究には長い歴史があり、さまざまな先輩方が関根先生のもと、時間と労力をかけて作った土台があったからこそさまざまな実験にチャレンジすることができました。

業績報告会では優秀発表賞をいただき、PSRP1研究のおもしろさを生命理学科全体に知ってもらうことができ、大変光栄でした!

 

M2の2人目は「むとうくん」こと、武藤駿太郎くんです。

IEEが発現した細胞ではプラスミドなどの外来DNAが染色体上に取り込まれる融合体形成反応が起こることが関根研の解析で明らかになりました。武藤くんはその融合体形成反応に必要なIEEの活性を生化学的に特定していくことをテーマに研究を進めてきました。

さまざまな変異を入れたIEEをひたすら精製してin vitroで活性測定をしていくことはなかなかに骨が折れる作業であり、難易度も高いものだったと思いますが、本当に一生懸命に取り組んで結果につなげていきました。

なかでも業績報告会の発表の直前の時期に、プルダウン法を利用してIEE-IEE相互作用を検出していたことはあっぱれでした!

武藤くんが出してきた結果は融合体形成反応だけでなく、IEEの他の活性を考える上でも非常に意義深いものであり、今後のIEE研究の発展の基礎を作ったと思います。

発表も練習開始直後は緊張感があり、堅い印象を受けましたが、練習を重ねていくごとに洗練されていき、本番は落ち着いた発表だと聞いていて感じました。

 

M2の3人目は「スギちゃん」こと、杉本亮太くんです。

スギちゃんは木村さんと同じく、Esr74ファミリーの機能解析をテーマに3年間研究を進めてきました。

Esr74ファミリーはtRNA様の2次構造を取ることから、タンパク質と相互作用することが予測できました。

スギちゃんは4年生のときから、この相互作用の検出に取り組んできては失敗し、そのたびに挫けそうになっている様子を目にしてきました。

そんな中でも自分で新しい実験を考えて、LacZアッセイなどを利用してこれまでとは全く違ったEsr74ファミリーの機能解明にチャレンジしていきました。

病原性大腸菌を使った実験をするため、感染研まで足を運び、知らない人に囲まれながら実験をするなど、大変な思いをしてきたと思いますが、文句を言いつつもなんだかんだやる、というところがスギちゃんらしさだと思っています。笑

発表の直前に先生にこういうまとめ方をするといい、というアドバイスを受け、そのスライドをすぐに作って、発表に盛り込んでいたのはすごいと思いました。

 

以上、業績報告会の報告でした!

 

富田さんからもらったホットアイマスクで業績報告会の疲れを癒す武藤くんとスギちゃん。笑

 

関根研の現役メンバーはOBOGの方々の研究を引き継ぎ、それをさらに発展させて一生懸命に研究に取り組んでいるということが少しでも伝われば幸いです!

 

 

「集合写真で一人だけ前で寝そべって目立ちたがるやつ」をやるM1寺島くん。とそれを無理やりやらせる関根研2021年度メンバー笑

 

私は今年で卒業なため、これで最後になると思いますが、優しく、そして聡明な関根研の先輩、同期、後輩に囲まれて3年間研究ができて本当に幸せでした!

何度生まれ変わってもまた立教の関根研に入りたいと思えるような素敵な研究室でした!

 


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