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孔子/井上靖

2014-02-03 10:05:14 | 書評
☆ 孔子/井上靖

井上靖の最後の長編。野間文芸賞受賞作。
架空の「孔子」の弟子・えん薑(きょう)が、「孔子」死後に開催された「孔子研究会」に駆り出され、孔子の言葉の背景や孔子の有名な弟子(顔回等)の業績を数回にわたり公演するストーリー。勿論、作者井上靖の創作であり解釈でありましょう。

乱世の中、孔子は自身を役立てくれると君子を求めて旅を続けたが、最終的にそれが叶わない。前向きに生きながら、目的を果たせないという「人生はかくありき」といえる一生であったようです。

ただ、弟子を連れての行脚の中で、後世に伝えれられるエピソードを、「えん薑」が独自の解釈していきます。先述した様に井上靖の言葉だと思います。詳しく述べることは止めにしますが、以下の孔子が述べたと言葉が本書において、大きな意味があったと思います。

・「美なる哉、水、洋々こたり。丘がわたらざるは、これは命ならんか。」
晋に向かおうとし、黄河を渡ろうとした際に、晋の政変にて二人の賢大夫が亡くなったを聞いて、孔子の言。

・「帰らんか、帰らんか。吾が党の小子、狂簡にして、ひ然として章を成すも、これを裁するゆえんを知らず。」
楚の昭王に会うために「負函」に滞在していたが、昭王の急死となり、孔子が弟子たちに向かって「魯へ帰ろう」というシーンにて。

・「子曰く、鳳鳥至らず、河、図をださす、吾れやんぬるかな」
魯に戻って、晩年に孔子が述べたというこの言。最後の「吾れやんぬるかな」の解釈。弟子等の死やひたひたと迫り来る死の影があって、孔子がそう言ってもおかしくないという井上靖の解釈ではないでしょうか。

その他、多くの言葉にも言及されていますが、ここでは割愛させて頂きます。


【タグ】 孔子 井上靖








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