以前の記事でも簡単に書いた内容だが、多くの会社で間違った冷却法を採用しているのでもう一度記事にします。 金型冷却水の流量を上流で調整している工場が意外に多いことを特許庁公報で知った。大手M社の鋳造工場でも上流に弁を設置して流量を調整しようとしている。
これはダイキャストマシンメーカーが、親切(?)で冷却の為の配管をバルブ付きで設置してある為、マシンと金型をホースでつなぐだけで冷却は出来る。これが業界では習慣となってしまったためと思われる。
しかし上流側にバルブを設置することは、冷却にとって問題が多い。上流に弁を設置することにより
1)冷却水の圧力が下がってしまい、その結果流量が減少・変動してしまう。圧力と流量は比例関係にある。
2)圧力が制御できなくなる結果、流量の変動が大きくなり(管路抵抗の影響をまともに受ける)金型温度が安定しない。
3)圧力が下がることで沸騰温度が低下し、金型冷却穴全面に冷却水が接触しなくなる。
以上のように問題ばかりです。M社の鋳造工場も、ぜひ下流側に流量調整弁を設置して金型温度のコントロールを意のままに行ってください。
追伸:今年のダイカスト展に調整弁一体のコンパクトなマニフォールドを出展する予定です。
追記:'18.11.12 2018ダイカスト展において、A社の若手技術者と話す機会が有り、上記の問題を確認させてもらったところ、現状はやはり上流で流量調整を行っているが、冷却効果が大きく低下すること認識しているとの事。早く下流で調整を行うように社内の意見統一をしたいが守旧派の抵抗を受けてなかなか変更が出来ないでいるとのこと。 私も同じ意見の技術者が確認出来てうれしかったが、ぜひ社内での健闘を期待します。
小生も間もなく赤いちゃんちゃんこのお世話となる世代となりました。
巻き込みと鋳巣では、Y社の文献に、低速速度ランナー形状の適正化で改善事例がありました。
まだまだ課題は尽きません。お互い健康に留意しましょう^^;