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Sayju Game工房BLOG

自作 World Wide Adventure(WWA)物体と背景の円舞曲(ワルツ)に関係する事柄についてのあれこれ。

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル シナリオ解析 その1

2007年12月16日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第34回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活 の14回目です。

今回から、 < 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル > のシナリオを細かく見ていきます。
その前に・・・。

< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1~10>を読んでいない方は まず、そちらから お読みください。
また、前回をお読みになられていない方は 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その3 をお読みください。

読んだ方は 続きをどうぞ。


・・・・・・。
---------。

レディース アンド ジェントルメン!
早速・・・・・・ううぅ・・・くぅう・・・。
レミ「えっ? どうしたの? 何で泣いてるの?」

久しぶりだなぁ・・・このセリフ・・・ああ、何もかも懐かしい。
レミ「・・・(大げさねぇ)。はやく始めましょうよ。」

ああ、すみません。それでは気を取り直して・・・。
レディース アンド (割り込み) レミ「それはもういいから。」

・・・それでは、シナリオを細かく見てみよう。
< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1 >
これは、 ロクラルの若者が兵士になる お話だ。

兵士になるには 自己申告が必要。
< 強制労働として無理やり兵士にさせられる >ことも 考えたが、火族は どの階級も上流階級になることを夢見ているので、無理やりロクラルを兵士にしなくても、成り手は沢山いるので強制する必要はないと考えて <自己申告>にした。
それでなくても、ロクラルは さげすまされているからね。一緒にいたくないんだよ。
レミ「・・・・・・。」

あ(しまった。)・・・えと・・・それは火族の中だけで、その他の種族は そうは思っていません。
レミ「・・・。」

オホンッ!(ダメか。)
えーと。それでは 細かく見てみよう。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1を見てくれ。
------で 囲まれている部分はシナリオだ。その後に解説が入るからね。


------
火族は茶褐色の大地(岩、砂、火山)に囲まれた場所に住んでいます。
(中略)
火族が争いを続けるのも、これらの生活環境が関係しているかもしれません。
------

この部分は、火族が この世界で過酷な生活を送っていることを示している。
火族が戦争を始めた原因が ここに隠されていることを示唆しているんだ。
それでも他種族に手を借りれば解決することかもしれんが・・・まあ、それじゃあ 違うゲームになるし・・・。(そういうゲームも作ろうかな。)


------
火族は階級社会です。
(中略)
そして、最も住みにくい環境の場所に無数のロクラルの村があります。
------

これは、火族が階級ごとに生活場所が区切られていることを示す文章。
伝えたかったのは最も住みにくい環境にロクラルがいるということ。
どんな所なのか書いてないからシナリオとしては減点だな。反省。

------
それでは、ロクラルの日常を見てみます。
------

以下、話が動き出す。
ロクラルの若者が兵士となって、ロクラルの人生そのままに死んでいく
< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル >の始まりだ。

------
ロクラルの村の入り口に、二人の若者がいます。
(中略)
二人の話を盗み聞きしましょう。
------

以下、レイが兵士に志願する理由と、ロイが村に残る理由を示すエピソードが続く。
最初の構想では レイが兵士になる理由を示す予定だったんだが
< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その1 >で言ったとおり、レミが誕生したんで ロイが村に残った理由も出来てしまった。
ホント、偶然って恐ろしい。レミの誕生で 話がどんどん大きくなっていったんだよね。

レミ「・・・私のせい?」
いい意味でも悪い意味でも 君の存在が この物語を支えたといっても過言では・・・ないよ。
レミ「この・・・って何?」


---------。
・・・・・・。

次回、

< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1 >の
ロイ「・・・そうか、兵士に志願するのか・・・。」

の解説から始めます。

お楽しみに!

レミ「ねえ、・・・に意味あるの?」

お楽しみにぃ!!

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その3

2007年12月02日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第32回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活 の13回目です。

今回も、前回に引き続き < 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル > のまとめ、総括 の続き をお送りします。
その前に・・・。

< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1~10>を読んでいない方は まず、そちらから お読みください。
また、前回をお読みになられていない方は 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その2 をお読みください。

読んだ方は 続きをどうぞ。

・・・では、始めます。


・・・・・・。
---------。

ロイ「レディース アンド ジェントルメン!」
レミ「・・・ロイくん、何してるの?」

レイ「いや。あいつがライル達に捕まっているから、俺が進行をつとめようかと・・・。」
・・・それより、この人達を止めてください。

ドリル「さあ、話してもらおうか。」
・・・はい、その前に それ(槍)を下ろしてもらえますか?
・・・・・・はあ、やっと落ち着ける。一週間って 長いな。
おっと、ドリルさんですね(・・・まだ、睨んでる。)。まず、

A.ロクラルは火族(ロクラル以外)にとって、人間扱い(仲間扱い)されていない。戦闘に置いては、消耗品扱いされる。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その1。参照)

ことを表すエピソードとして
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.4 で

< 前略 >

隊長は冷ややかな目でレイを見ています。・・・いえ、相手を見下した目です。周りの兵達が二人に注目します。 

(↑ 人間扱いしていない隊長。 ↓ 消耗品のように扱う。)

レイ「何故、兵を撤退させたのですか?! 敵の本陣は目の前だったのに!」

火族兵隊長「敵陣の前・・・それがどうした。お前等は俺の命令をきいていればよいのだ。

・・・ここまで書いたら レイが殺されそうな勢いになってしまったんだ。
でも、ここでレイを殺すわけには行かないから それを回避する為に登場したのが ドリルだったんだ。
ちなみに 前記の < 周りの兵達が二人に注目します。 > は ドリルがレイに気づいた事を表すために付け足した文だ。

殺されそうになったレイを助ける為には 殴られて倒れるようなことをしないと収拾がつかないと思ったので ドリルには レイを思いっきり殴ってもらった。
でも、それだけでは ゆるいと思ったので、ドリルに無様な格好をしてもらったんだ。これくらいすると 隊長も許してくれる(呆れる。殺す価値も無い。)と思ったんだ。

レイ&ドリル「・・・・・・。」
レイを助ける為の重要な人物としてドリルを誕生させたんだよ。

レイ&ドリル「・・・・・・・・・。」
・・・あの、聞いてます?

ドリル「俺を殺したのは何故なんだ?」
・・・ドリルはレイに言ったよね。

< 前略 >

ドリル「・・・あんな所・・・? ここは戦場だ。何処だろうと関係ない。生きるか死ぬか・・・それだけだ。」

その例に漏れず ドリルにも死んでもらった。戦場の冷徹さを表すエピソードさ。
ちなみに < ドリルは そんなレイの肩を優しく叩き、この場を立ち去ります。 >は、ドリルが冷たい人間だと思われないよう配慮した文だよ。

ドリル「・・・ふーん・・・。ライル、もう殺してもいいぞ。」
ライル「・・・あっ、逃げた!」


---------。
・・・・・・。

次回から 先週言ったとおり
各パートが如何にして作られたのかを 細かく説明する予定です。

お楽しみに!

ドリル「あ、ここにいたぞ! ライル、こっちだ!」

------脱兎------。

ロイ「お楽しみにぃ!」

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その2

2007年11月25日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第31回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活 の12回目です。

今回は、前回に引き続き < 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル > のまとめ、総括 の続き をお送りします。
その前に・・・。

< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1~10>を読んでいない方は まず、そちらから お読みください。
また、前回をお読みになられていない方は 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その1 をお読みください。

読んだ方は 続きをどうぞ。

・・・では、始めます。

・・・・・・。
---------。

レディース アンド ジェントルメン!!
早速、前回からのゲストをお呼びしましょう!!

ロクラルの兵士 レイ!
レイ「久しぶりだな。」

ロクラルの若者 ロイ!
ロイ「レイの親友のロイです。」

ロクラルの女の子 レミ!
レミ「こんにちは。レミです。」

新しいゲストを紹介しましょう!

ロクラルの兵士 ライル!
ライル「君がロイで、君がレミか・・・。なるほど、俺に似てるな。」

・・・(トーンダウン)・・・ロクラルの兵士 ドリル。
ドリル「確かに。ライルそっくりだ。」

・・・あのぉ、皆さん? 聞いてます?
ロイ、レイ、レミ、ライル&ドリル「・・・何してンの? そこで。」

・・・前回の続きですけど・・・。
ロイ、レイ&レミ「・・・続いてたんだ。」

・・・ひどい・・・。
レミ「冗談よ、冗談。分かってるから。言ってみただけ。」

・・・(すねている)・・・。
レミ「えーと、何処まで話したんだっけ? 私が思いつきキャラで・・・。ひどい・・・。」

・・・(しまった)・・・当初の予定では 最初に考えたストーリーを元に4回で話を完結させようと計画していたんだ。
つまり・・・。

A.ロクラルの若者が兵士になる。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1

B.戦いに明け暮れ 自分を見失う(見失いながらも戦いは続く)。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.6

C.今いる場所が自分の村であることに気づかずに戦っていた ことに気づく。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.8
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.9

D.絶望して死を選ぶ。
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.10

の 4話で完結させるつもりだった。
但し、これには、レミとライルとドリルは存在していなかったから(エピソードを考える以前の段階) もっと短い話になっていたけど。

ライル&ドリル「・・・えっ?」
・・・だからね、君達も思いつきキャラだったの。

ライル&ドリル「・・・何だと?(怒)」
あっ(怖い)、ライルは ロクラル兵にとっての戦場の非情さ を盛り上げる為に生まれたキャラなんだ。
当初は B. のエピソードとして

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.3 で
命を削って懸命に戦っているロクラル兵の事を全く考えずに撤退命令を出した隊長を見て、ロクラル達が戦場でも人間扱いされていないと感じ 自分の存在価値を見失う。

っていう話を作るつもりだったんだけど、「そんなンで見失わねーよな。」って 思った時、「もっと感情移入できる相手が死んだ時には そんな気持ち(自分を見失う)になるかもしれないな。」と気づいた時に生まれたのがライルなんだ。

ライル「・・・つまり、俺は最初から死ぬ予定だったということか。」
・・・そうです。

ライル「許さん。」
・・・お願いですから、槍の先を喉元から どけてください。

ドリル「やめろ、ライル。殺すのは俺のエピソードを聞いてからだ。」
・・・そんな殺生な。

ライル&ドリル「殺生は これからだぞ。」


---------。
・・・・・・。

次回はドリルが どのようにして 生まれたのかを説明いたします。
その後、各エピソードが如何にして作られたのかを 細かく説明する予定です。

お楽しみに!

ライル&ドリル「楽しみにしているぞ。」
・・・2週間後には生きていないかも・・・。

ライル&ドリル「・・・何だと?」

お楽しみにぃ!

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル まとめ その1

2007年11月18日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第30回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の11回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~10 の続き)です。

今回は、先週まで10回に渡ってお送りした < 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル > のまとめ、総括を行います。その前に・・・。

< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1~10>を読んでいない方は まず、そちらから お読みください。
読んだ方は 続きをどうぞ。

・・・では、始めます。

・・・・・・。
---------。

レディース アンド ジェントルメン!!
早速、今日のゲストをお呼びしましょう!!

ロクラルの兵士 レイ!
レイ「・・・こんにちは・・・。」

ロクラルの若者 ロイ!
ロイ「・・・こ、こんにちは。」

ロクラルの女の子 レミ!
レミ「・・・・・・。」

レミ・・・さん・・・? (機嫌が悪い?)
レミ「・・・ひどい・・・。」

はい? ・・・レミさん?
レミ「ひどいじゃないですか、私達を殺しちゃうなんて!」

すっ、すみません。最初っから そういうお話なんですコレ。
今回の話で伝えたかったのは

A.ロクラルは火族(ロクラル以外)にとって、人間扱い(仲間扱い)されていない。戦闘に置いては、消耗品扱いされる。
B.ロクラル出身の兵士の生存率は非常に低い。ロクラルを抜け出すことは皆無。

なんです。

これらを最も悲惨的なシチュ、それでも よく見られる光景で表現したので今回のような結果になりました。

レミ「・・・それは あなたのサジ加減一つで、私まで殺さなくても・・・。」
ロイ&レイ「(心の声:えっ? 俺はいいの?)」

はあ、でも あんた最初いなかったから そこまで考えなかったんだよね。
レミ「えっ? いなかった ってどういう意味? それに 何でタメ口?」

つまり 最初に考えたストーリーが、
< 兵士になったロクラルの若者が 戦いに明け暮れ、自分を見失い、今いる場所が自分の村であることに気づかずに戦っていた ことに気づいた若者が絶望して死を選ぶ。 >
なんだよね。

まず、ラストの絶望するシーンとして、若者の友達を 友達と気づかずに(敵と間違えて)殺してしまった って言う場面を思いついたんだ。
その時にレイとロイが誕生したんだ。
俺ってクライマックスシーンから お話を作る人なんだよね。最初の場面とクライマックスを まず考えるんだ。

レミ「・・・私は いつ出てきたの?」

あんたが生まれたのは < 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.1  >の

< 前略 >

ロイ「・・・そうか、兵士に志願するのか・・・。」
レイ「ああ、俺はこんな所で一生を過ごすつもりはない、第二階級まで上り詰めてやる。最後には火貴族になるんだ。」

ロイ「・・・ ←ココだよ。

レミ「・・・・・・はいぃい?。」
だからね。キミが生まれてきたのは タダの思いつきなんだ。ココで指が勝手に動いたんだ。
あえて言うなら、お話に華を添えるヒロイン要員かな。ラブロマンスだよ。

レミ「・・・だよ、って。 そんなシーン無かったじゃないの。」

あったよ、< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.7 >に。

レミ「あれは日常って言うの。しかも ちょこっとだけ。ロマンスじゃないでしょ?」
日常の中にこそ ロマンスがあるのさ。

レミ「分けわかんない!」
まあ、キミが生まれた後は レイを絶望に追いやる重要人物になったわけだけどね。

レミ「やっぱり ひどいぃ!!」


---------。
・・・・・・。

まとめ、総括 って言うより
< WWAゲームシナリオ 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル の作り方。 >
って感じになりました。
次回からも(今回を含めて) その路線で行きます。

お楽しみに!

レミ「ところで、何でタメ口だったの?」

お楽しみにぃ!!

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.10

2007年11月11日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第29回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の10回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~9 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.2 火族、地族 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~9( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


第五兵士「行けぇ! 容赦するな!」
ロクラル兵「おお!!」

盗賊「ぎゃぁあ!」
村人「やめてくれぇ!」

村の あちこちで、兵士の 盗賊の 村人の 叫び声が聞こえています。
村の あちこちで火の手が上がり、建物が 地面が 崩れていきます。
何十年 何百年 何千年 何万年 このような光景が繰り返されて来たのでしょうか?

そして、ここにも。
何度繰り返されて来たのか分からなくなるまで 繰り返されて来た光景があります。

盗賊の槍が レイの身体を背中から突き刺さります。
その瞬間、家の外の喧騒がピタリと止まったように感じました。

レイ「・・・・・・。」
盗賊「はあ はあ はぁ・・・。」
高揚した盗賊の顔と生気を失ったレイの顔。
ここには二人だけの時間がゆっくりと流れているようです。

レイ「・・・・・・・・・。」
盗賊「・・・。(心の声:・・・何だ・・・? 何だ、この感覚は?)」
微動だにしないレイに盗賊は違和感を覚えます。
さっきまで高揚していた盗賊の心が急速に乾いていきます。

レイ「・・・もう・・・終わりにしよう。」
盗賊「・・・・・・え?」

ぎゃああ! うぉおお!
家の外の喧騒が戻ってきます。

レイ「・・・ロイ・・・レミ・・・三人一緒に暮らそう・・・ドリル・・・ライル・・・約束だ・・・ロイとレミを紹介してやるよ・・・今・・・行くからな・・・。」
盗賊「・・・・・・・・・。」
レイの身体が 赤い光りに包まれて。ゆっくり その姿が薄くなって消えてなくなります。

盗賊「・・・何だ? 何なんだ 一体?」
別の盗賊「おい! 何をしている?! 敵がそこまで迫っているぞ! 急げ!」
慌てた様子の盗賊が家に入って来ました。

盗賊「お・・・おう! 今行くッ!」
盗賊は外に出て。一瞬だけ家の中を振り返ります。
そして、それから・・・。

何事も無かったかのように、戦闘に復帰しました。
レイを殺したように、火族兵を次々と倒していきます。
その後は、人ごみに混ざって。どうなったのかは 分かりません。


< 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル :終わり >


< 解説 >
ロクラル兵が 一年後に生存する確率は全体の40%です。
第六階級に昇級するのは その内の5%です。
ロクラルから火貴族になった者は1人もいません。第三階級が最高です。

< 次回 >
風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル のあとがき、総括を行います。

お楽しみに!!

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.9

2007年11月04日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第28回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の9回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~8 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.2 火族、地族 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~8( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


一軒の家に入ったまま出てこないレイ。
どうしたんでしょうか?
行ってみましょう。

------。
・・・。
家の中に呆然と立ち尽くすレイの姿があります。
その足元に さっきの盗賊が倒れています。
レイが倒したのでしょう。

・・・・・・あれ?
・・・家の中を見てみます。
家の中央には 囲炉裏が設置され、鍋が置かれています。中身は空っぽです。
囲炉裏の前には薄い布が敷かれています。
それ自体はロクラルの一般家庭にある物ですが・・・。

待ってください。
ここは・・・・・・ロイの家・・・?
待ってください。
この盗賊・・・・・・ではありません。
ロイです! ここに倒れているのはロイです!
それでは・・・レイは・・・。
この村は、もしかして!

ロイの身体が 赤い光りに包まれます。段々と その姿が薄くなって消えてなくなりました。
レイはその様子を呆然と見つめます。

レミ「・・・誰・・・ロイくん・・・?」
レイ「! あっ・・・! レ・・・ミ・・・。」
部屋の片隅に布に包まれたレミがレイを見ています。
レミは青白い顔でぐったりと身体を横たえています。

レミ「・・・お兄ちゃん・・・? お兄ちゃんなの?」
レイ「レミ!」
レイがレミに駆け寄ります。

レミ「・・・お兄ちゃん? 帰ってきてくれたの?」
レイ「・・・ああ、・・・帰って・・・帰ってきたよ。」
レミが差し出す手を握り返します。
レイはレミの身体を起こそうとしましたが、止めました。

レミ「・・・嬉しい・・・ロイくんには会ったの? 傷薬を取りに行ったのだけれど、まだ戻ってない?」
レイ「! ・・・あ・・・ああ。まだ・・・会ってないよ・・・。(心の声:いや、会ったよ。ここに入ってすぐに会ったよ。お前、見てなかったんだな。)」
レイは努めて冷静に・・・静かな口調で言葉を確かめながら話します。

レミ「そうなんだ・・・はやく戻ってくればいいのにね。」
レイ「そうだな・・・はやく・・・会いたいな・・・。(心の声:会えないんだ・・・レミ・・・もう、レイには会えないんだ。)」

レミ「少し前に盗賊がやってきて村を明け渡せって。私達、抵抗したけど駄目だった。この村は盗賊に取られたの。でも、もう大丈夫よね。お兄ちゃんが盗賊をやっつけてくれるよね。」
レイ「ああ・・・大丈夫だ・・・もう心配はないよ。だから・・・お前は怪我を治すことだけを考えろ。(心の声:ひどい怪我だ・・・これは・・・。)」

レミ「・・・私・・・死なないよね・・・。」
レイ「当たり前だ。お前が死ぬわけ無いだろ。(心の声:・・・駄目だ・・・駄目なんだ・・・。)」

レミ「うん・・・はやく怪我を治して・・・ロイくんとお兄ちゃんと私と・・・三人で暮らそうね・・・お兄ちゃん。」
レイ「ああ・・・ああ、そうだな。三人一緒だ・・・いつまでも・・・一緒だ。(心の声:レミ・・・それは無理なんだ・・・俺が・・・ロイを殺してしまった。盗賊と間違えて・・・。そして・・・お前も・・・。)」

レイ「(心の声:お前の その傷の状態、見たことがある・・・いや、いつも見ていた。戦場で・・・火族も地族も関係なく・・・。その傷では・・・もう・・・。)」
レミ「・・・お兄ちゃん・・・泣いてるの? ・・・私、大丈夫・・・だから、泣かないで・・・。ほら、見て お兄ちゃん。私、大丈夫でしょう?」

・・・何が、大丈夫なのでしょう。
何も起こっていません。それなのに、レミは何度も「大丈夫」を繰り返します。

レミ「ね? 大丈夫でしょう? お兄ちゃん。」
レイ「ああ、そうだな。大丈夫だ。レミ・・・大丈夫だ。(心の声:レミ、もう駄目だ、もう、お前は・・・。)」

レミ「・・・はやく・・・ロイくん、戻ってこないかな。・・・三人で・・・これからは・・・一緒に・・・三・・・に・・・ん・・・。」
レイ「・・・・・・。」
レミが消えました。赤い光りをまとい、消えていきました。

レイ「・・・何が・・・今日の俺は無敵だ・・・だ。」
感情を搾り出すように、つぶやきます。

レイ「・・・何が・・・相手が何処から来るのか 手に取るように分かる・・・だ。」
震える声で、つぶやきます。

レイ「・・・何が・・・身体が軽い・・・だ。」
こぶしを強く握り締めて、つぶやきます。

レイ「ここは、俺の村じゃないか! 生まれ育った村じゃないか! ロイと! レミとで! 走り回った村じゃないか! どこに何があるか! 分かるに決まってるだろ!」
天に向かって叫びます。大きな声で叫びます。

レイ「俺は、今まで何をしてきたんだ! 自分の村が分からなくなるまで、何をしてきたんだ! 俺は、何の為に兵士になったんだ!」

レイの脳裏に レミの姿が、ロイの姿が、ライルの姿が、ドリルの姿が 浮かびます。自分が殺した兵士の姿が、盗賊の姿が 浮かびます。

ガタン! ガタン!!
家の外から大きな物音が聞こえます。
そして、人影が レイの背中に迫ります。

--- レイ! 危ない!


< 次回 >
ロイとレミを失ったレイ。
この物語の結末を お話します。

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.8

2007年10月28日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第27回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の8回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~7 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.2 火族、地族 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~7( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


第五兵士「ロクラル、行け!」
ロクラル兵士「うぉおおお!!」
次々と村に突入するロクラル兵士。その後を第五兵士がゆっくりと村に入っていきます。
ここは、今回のレイの戦場。盗賊の本拠地である村です。

それでは、村の中を見てみましょう。

村の中には、第五兵士 ロクラル兵 その中にレイの姿があります。
そして、盗賊と思われる人の姿があります。ある者は火族兵達に戦いを挑み、ある者は逃げ惑います。

レイが盗賊に切りかかります。盗賊もレイに切りかかります。
半年前、最初に戦闘に出たときから比べると、格段に腕を上げています。
攻撃するたびにつけられていた傷も 今では上手く避けることが出来ています。

レイ「!!」
物陰から盗賊が飛び出してきます。
身をひるがえして 槍を突き立てます。

盗賊「ぎゃあああ!」
盗賊の叫び声。それに気づいた別の盗賊がレイに切りかかります。
それをも上手にさばいて、盗賊を次々と倒していきます。

家の陰から いきなり切りかかってくる盗賊も 屋根の上から飛んで来る槍も レイには通用しないようです。

レイ「身体が・・・軽い。相手が何処から来るのか 手に取るように分かる。今日の俺は無敵だ!!」
今日の自分の出来に満足しているようです。

実際にレイが一番 敵を倒しています。その戦果には目を見張る物があります。
これだけ出来れば ロクラルを抜け出せるかもしれません。

レイ「あれは! 盗賊か!?」
一軒の家に一目散に走って行く人影を目撃しました。
武器を持っていませんが盗賊でしょう。兵士の姿ではありませんでした。
盗賊が家の中に入ります。

盗賊「うわぁあ!!」
後を追って レイが家に入った瞬間、中で盗賊の叫び声が響きます。
外にいても聞こえてくる叫び声です。

・・・。
・・・・・・。
---------。

レイが出て来ません。
何かあったのでしょうか?

まさか、レイの身に何かが・・・?
怪我でもしたのでしょうか?


< 次回 >
盗賊を追いかけて一軒の家に入ったレイが そこで見たものをお話します。

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.7

2007年10月14日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第25回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の7回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~6 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.2 火族、地族 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~6( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


今は兵士の休息場所として使われている風国寄りにある無人の村に、戦いに疲れながらも 立ち続けるレイの姿があります。
今日も相変わらず戦いの号令を待ちます。

火族兵隊長「今日は、これから盗賊どもの本拠地を襲う! 我が王にあだなす愚民どもを皆殺しにせよ!」
火族兵士達「おお!」
隊長の言葉に こぶしを天に突きたてる兵士達。
どうやら今回の作戦は盗賊達の討伐のようです。

兵士達の中にレイの姿もあります。天にこぶしを突き立てるのは 我が王の為ではなく、自分の精神を保つ為のように思えます。
目の前の敵を倒すこと。
それが今のレイの全てのようです。
レイの心の中にロイの姿はあるのでしょうか?

ロイの村は今どうなっているのでしょう?
レイの事は心配ですが、ロイの様子も気になります。
今からロイの村に行ってみましょう。
レイの戦いに間に合うように、時間を さかのぼります。


------。
・・・・・・。
着きました。
ここはレイの生まれ故郷にしてロイが住む村。
レイが盗賊の討伐に向かう2週間前です。

トントン! ガンガン!
若い村人「おおい! その杭を持ってきてくれ!」
別の村人「ちょっと待て! それは こっちで使うんだ! 別の杭にしてくれ!」
木槌で杭を地面に打ち付ける村人達。杭を荒縄で固定させます。
沢山の村人が忙しそうに歩き回っています。何をしているのでしょう。

・・・。
・・・・・・。
村の周りに高さが3メートルぐらいの大きな柵を作っているようです。
一見 活気に満ちている様に思われますが、何かに怯えているようにも見えます。一体何があったのでしょう。

・・・あっ! ロイです。ロイがいました。
どうやら自分の家に向かっているようです。
後をついて行きましょう。

ロイ「ただいま レミ。」
レミ「あっ、お帰りなさい ロイくん。今食事を作っているから ちょっとだけ待っててね。」
家の中に入ったロイ。家の中央に設置された囲炉裏に置かれた鍋をかき混ぜていたレミが出迎えます。
・・・レミ? ああ、似ていますね。レイの妹のレミです。目元がレイそっくりです。

レミ「もうすぐ出来るから待っててね。」
ロイ「ああ。なるべく はやく頼むよ。」
レミ「はーい。」
元気良く返事をして再び鍋をかき混ぜるレミ。
窓から行き交う村人を何となく見てから、ロイは囲炉裏の前にある薄い布の上にレミと向かい合って座ります。

レミ「・・・ねえ、ロイくん。本当に盗賊が襲ってくるの?」
ロイ「ああ。近くの村が襲われたようだ。だとしたら この村に来る可能性は十分にある。」
・・・驚きました。盗賊がこの村に・・・?
だから 村人は柵を作っていたんですね。

レミ「火族兵に助けを・・・って無理よね。それが出来たら こんな事には・・・。」
ロイ「・・・・・・。」
二人の間に 沈黙が流れます。王族はロクラルには 目もくれない事は誰もが知っていることです。

レミ「・・・もしも お兄ちゃんが来てくれたら・・・。」
ロイ「・・・・・・・・・。」
相変わらず鍋をかき混ぜながら つぶやくレミ。ロイは何も言いません。

レミ「・・・お兄ちゃん・・・今頃何をしているかな・・・。」
ロイ「・・・鍋・・・もういいんじゃないか?」
話をそらすように鍋を覗き込むロイ。今、何を考えているのでしょう?


3日後に村の柵が完成しました。盗賊の姿はまだありませんが、隣の村が盗賊に襲われたとの連絡はありました。
この村が襲われるのは間違いありません。

この先が気になりますが(お話の都合上)、時間を元に戻してレイの元に戻ります。

< 予告 >
盗賊の討伐に向かったレイがどうなったのか。
盗賊の本拠地に向かいます。

< 解説 >
ロクラルの一般的な家は、土壁で出来ています。雨がほとんど降らないので これで十分です。
広さは様々ですが 20人座るのに十分な広さがあります。
家の真ん中に囲炉裏があって、土の床の上に一枚の薄い布を置いて座ります。
ほとんどの家では 1人で一枚の布しかなく、そこに座ったり寝たりしています。
何かを運ぶ時に 包みとして利用することもあります。

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.6

2007年10月07日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第24回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の6回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~5 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.2 火族、地族 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~5( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


ここは戦場、火族との国境近くの地族の領土です。
レイがいる部隊が ここで戦いを始めて4日目の朝です。もう少し行くと地族の敵陣が見える場所にあります。

  キンッ! キンッ! ザクッ! ザクッ!
  クッ!  このッ!   ギャァーー!!
槍と槍がぶつかる音、地族兵士と火族兵士の戦いの声が こだまします。

レイ「・・・、・・・っ!」
レイの姿が見えます。向かってくる地族兵士に槍を突き立てます。

1日目、初めて人を殺しました。手に残る突き刺す感覚が レイが眠ることを許しませんでした。
2日目、死ぬ直前のゆがむ人の顔と叫び声が レイの心臓の高ぶりを抑えることを許しませんでした。
3日目、疲れ切った肉体と精神が レイの睡眠を妨げることを許しませんでした。

4日目の朝、何のためらいも無く槍を振るう レイの姿がありました。
目の前で死んでいく人々。それを当たり前のように感じながら 槍を突き立てます。
戦いがレイから考えることを奪っているように見えます。

しかし・・・。

地族兵「グラウンドトライデント!」
レイ「ライル! 危ない!!」
ライル「!!」
少し離れた場所で戦っていたライルに 地族兵の<グラウンドトライデント>がぶつかります。

ライル「ぐわぁ!」
レイ「ライル! きっ、キサマぁ!」
地族兵「わあああ!」
レイは地族兵に槍を突き立てます。
レイは初めて・・・相手が憎いと感じました。

レイ「ライル! ライルッ! 大丈夫か!」
ライル「・・・はっ・・・は・・・はは・・・失敗・・・しちまった・・・な。」

レイ「・・・ライル・・・傷は浅いぞ。」
ライル「・・・お前・・・嘘がヘタだな・・・俺でも分かるぞ。」

レイ「・・・すまん・・・ライル・・・。」
ライル「・・・レイ・・・頼みがある・・・。」

レイ「・・・何だ・・・言ってみろ。」
ライル「俺の・・・嫁と娘に・・・これを・・・。」
ライルは腰にぶら下げた袋と、靴の中から1通の手紙を取り出します。レイに見せた あの手紙です。

レイ「・・・これは・・・。」
ライル「・・・配給を受け取りに来る 俺の村人に渡してくれ・・・二度と配給を送れないことを許してくれと・・・。」

レイ「自分で渡せよ・・・自分の手で・・・村に帰って・・・直接渡せよ・・・。」
ライル「ああ・・・そうだな・・・そう出来たら・・・どんなに良かったか・・・敵陣を陥落させたら・・・一度村に帰ろうと思っていたんだ・・・本当に・・・そう出来たら良か・・・・・た・・・。」

レイ「・・・ライル・・・?」
ライル「・・・・・・。」
・・・ライルは・・・返事をしません・・・。
ライルの身体が 赤い光りに包まれます。そして、その姿が薄くなって消えてなくなりました。
死・・・です。

レイ「・・・・・・ライル・・・。」
レイは肩を震わせてライルの死を悼みます。
この場所が戦場であるということを忘れて・・・。


< 次回 >
以上で、ライルとの出会いと死で始まった最初の一週間を終わりにします。
半年前に戻した時間を再び進めます( 風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.2 )。
風国寄りにある無人の村で疲れ果ててうずくまるレイ。
次回はそこから始まります。

< 解説 >
この世界では 死ぬと身に付けていた物と共に消えて無くなります。死体は残りません。
風族では死ぬことを<風になる>と表現します。水族では<水に帰る>。地族では<土に帰る>。
火族では これらの呼び方は無く、<死ぬ>と直接的な表現をします。火族にとって死は特別なことでなく 日常的なことなので特別な呼び方はしません。

風族のフーイの世界 日常編 火族 ロクラル Part.5

2007年09月30日 | 風族のフーイの世界 火族の日常編
第23回目は 自作WWAゲーム 風族のフーイ(カゼゾクノフーイ)の火族の日常生活の5回目(風族のフーイの世界 日常編 Part.1~4 の続き)です。

物体と背景の円舞曲(ワルツ) >風族のフーイ ( カゼゾクノフーイ ) >大陸地図、 設定 ( BOOKMARK )。
風族のフーイ 戦闘編 Part.1 ( RECENT ENTRY )。
風族のフーイの世界 日常編 Part.1~4( RECENT ENTRY )。 を参照してください。


今日は、レイにとって初めての出陣の日。 一生忘れられない一週間の始まりです。

レイ「・・・・・・。」
黙々と武器の手入れを行うレイの姿が見えます。
同じように真剣な顔で武器の手入れをしているロクラル兵達。
第五兵達は、ずい分リラックスしています。談笑などして戦場に向かう兵士の顔ではありません。余裕・・・でしょうか。

レイ「・・・・・・!」
手を休めて周りを見回したレイが 何かに気づいたようです。
何でしょう? レイの視線の先には・・・。

レイ「! ロイ!」
いきなり立ち上がって駆け出します。どうやら、ロクラル兵の中にロイの姿を見つけたようです。

・・・え? 何でロイがここにいるのでしょう。信じられません!
レイの後を追いかけましょう。


レイ「ロイ! 何でお前がここにいるんだ!」
ロイに問い詰めます。ロイはそんなレイを見て驚いているようです。

・・・あれ? ちょっと待ってください。
・・・あれって ロイ・・・だと思いましたが、何か違うような・・・?

レイ「えっ? ライル?」
間違いに気づき、慌てて謝ります。
しかし、間違えるのも無理ありません。よく似ています。このライルという人物。ロイにそっくりです。


・・・これがレイとライルの出会いです。
そしてライルとの別れの始まりでもあります。


レイ「本当にすみません。ライル・・・さん。」
ライル「気にすんな。それに、呼び捨てでかまわんよ。俺もレイって呼んでいいか?」
ロクラル兵が集まっている場所の片隅で 仲良く話を始めたようです。
二人の会話を聞いてみましょう。

ライル「そんなに俺に似ているんか?」
レイ「ああ、そっくりだ。あいつは故郷の村にいるけどな。」

ライル「そりゃあ、一度会ってみたいもんだな。俺にそっくりな ロイって男に。」
レイ「そうだな、いつか紹介してやるよ。俺の妹も一緒に。」

ライル「妹がいるのか。俺にもいるぞ。妹でなくて嫁だけどな。」
レイ「・・・嫁・・・結婚しているのか。」

ライル「ああ、誰よりも大切な 嫁と娘がな。俺の村は 食料も手に入りにくくて ロクラルの中でも最も貧しいと言われていてな。兵士になれば少しだが、配給がある。それを家族に送るんだ。そんな生活を一年も続けている。」
レイ「・・・家族には会えるのか? 今、配給を送るって・・・。」

ライル「・・・ああ、村を出て一度も帰っていない。時々村の奴が来て そいつに手渡すんだ。手紙と一緒にな。」
そう言ってライルは 靴の中から一通の手紙を取り出します。中を開くと子供が描いたと思われる絵が出てきました。
多分、ライルが描かれているのでしょう。丸 棒 グルグル ピッカピカ です。
文章では表すことが出来ないのが残念です。とにかく、小さな子供が 生まれて初めて描いたような絵です。

レイ「・・・それはライル・・・なのか?」
確かめるように問い掛けます。
・・・気持ちは分かります。

火族兵「ロクラル兵! 何をボサッとしている! 行くぞ!」
火族兵の言葉に促されて レイ達は立ち上がります。

ライル「さあ、行こうか。大切な家族のために。」
レイ「・・・・・・。」
自分に言い聞かせるように 武器を持って歩き出すライル。
そんな ライルの後ろ姿を見つめながら、レイは気持ちを 新た にするのです。

レイ「さあ、始まりだ。」


< 次回 >
ライルの死を見つめます。


< 解説 >
ライルは配給を家族に送っていると言いました。配給とは食料の事です。ちょっとした穀物と 小動物を乾燥させた物が主です。もちろん これだけでは家族を養うことは出来ませんが、送られてから数日間は どん底の生活からは 少しだけ抜け出せます。何も食べる物が無い という状況から少しだけですが。

配給を受け取りに来る村人は、報酬(配給の一部)を生活の糧にしています。この仕事は とても過酷です。道中盗賊に襲われることもあります。それでも兵士として戦うよりは生き残る確率は高いので、この仕事は無くなりません。

・・・そしてライルは知りません。配給を手渡した相手が ライルの家族には配給の半分しか渡していないことを・・・。