無明長夜もかくばかり…

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手探りをしながら、書き綴っていきたいと思います。

愛のカタチ-2

2005-09-07 | 映画


日本テレビでやっている「キスだけじゃイヤッ!」という番組をよく観る。
特別ファンというわけじゃないく、なんとなく
「他に観るものがないから観ている」程度の観方なのだが
観始めてしまうと、結構釘付けになったりする。
大抵の出演者は、10代後半から20代前半のカップルで
揃いも揃って何かしら「問題」を抱えている。

彼氏や彼女が浮気をしているとか、両方とも浮気をしてるとか
その相手が、彼氏や彼女の親友だったり、兄弟だったり…
もちろん番組的にも、平和なカップルよりは爆弾を抱えているくらいのほうが
面白いだろうから、そういうカップルを優先的に選んでいるのだろう。
観る方も他人事だから、そういう方が面白いしね。
仲睦まじいカップルの惚気なんざ、「聞きたかぁねぇ」ってのが本音だし。

「なんでこんなヤツとくっついているんだろう」とか
「彼女はなんでこんなひどい目にあっていながら彼を許すんだ?」とか

もちろん当人同士のこと。
第三者には分からない、古い言葉で言えば「赤い糸」でもあるのだろう。
自分の身辺で起こっている問題でない以上、
他人様の恋愛に口を出すほどヤボではないつもりだ。

先日の「カレンダーガール」と同様、
録画しておきながら、ずっと観ていなかった
「バッファロー'66」をようやく観た。
何年か前、ミニシアター系でロングラン上映をしていて
話題になっていたのは知っていた。
オレとしては、むしろ劇中にイエスや
キング・クリムゾンの曲が使われているというだけで
なんとなく心のどこかで「観なきゃ」と思っていた映画だった。
しかし、オレはこの手のオシャレで通ウケするようなタイプの映画が苦手だ。
つまり、観てもいないのに勝手に「そういう映画」と思いこんでいた。
録画しておきながら、しばらく放っておいたのも
そんな先入観があったのかも知れない。
しかも本作で監督、脚本、主演、音楽の4役をこなした
ヴィンセント・ギャロの、よく見ると二枚目なのに
ヨレッとした格好で不精ヒゲを生やした「汚な系」の容姿が拍車をかける。


“最悪な俺に、とびっきりの天使がやってきた”

この映画のキャッチコピーだ。

フットボールの賭けで多額の負債を追ったビリー(ヴィンセント・ギャロ)は
その落とし前で、犯してもいない罪をかぶり服役をしていた。
映画は、5年振りに出所するシーンからはじまる。
しかし、故郷の両親にはそのことを隠していたばかりか、
政府の仕事に就き、恋女房とリッチに暮らしていると嘘をついていた。
出所後、家に電話をすると「女房を連れてこい」という。
仕方なく通りすがりのレイラ(クリスティーナ・リッチ)を拉致し
両親の前で妻の役を演じろと脅迫する。

連れて行かれたビリーの家庭、一人息子にまるで無関心な父と
フットボール狂の母という、複雑な家庭。




贔屓のチームが最後に優勝した年にビリーを生んだ為
その試合を見ることが出来なかった。
「生まなければ見ることが出来たのに」とまで言い放つ。

ビリーには出所後、しなければならないことがあった。
フットボールの賭けに負けたのは、チームのキッカーが
八百長をしたからだという噂を聞いた。
自分の人生をメチャクチャにした、そのキッカーに復讐をすることだった。

拉致されたレイラにしても、逃げようと思えばチャンスはいくらでもある。
なのに、我が儘で自己中心的なビリーに逆らうでもなく、黙って従ってしまう。

この映画は、おそらく好き嫌いの別れる映画だろう。
とにかく、このビリーというのが、実に嫌なヤツ。
同じ事をしつこく繰り返すもの言いは粘着質で、ウンザリされる方も多いだろう。
正直、自分の廻りにいたらかなり鬱陶しい存在である。
しかし、彼の育った家庭環境を知ると、その屈折した性格も頷けてしまう。
両親に愛されなかったが故か、誰かに愛されたいという思いは人一倍強いのに
それを旨く相手に伝えられず、体を見られることも触られることも拒んでしまう。
では両親を恨んでいるのかと思うと、服役中も両親にバースデーカードを送ったり
レイラとインスタント写真を撮り、それを両親に贈ろうとしたりする。
ちなみに、このインスタント写真を撮るシーンが最高に面白い。



「両親に贈る写真だ。バカ面するな!」
「変な人」と呟くレイラ。



「ベタベタ触るな!俺を愛しているフリだけでいい」
ふてくされたレイラの表情が面白い。




競演する俳優も、ビッグスターがほんのワンシーンだけ出てたりする。


ビリーのボスに、ミッキー・ローク


ボウリング場のオーナーにジャン=マイケル・ヴィンセント


ビリーの初恋の人に、ロザンナ・アークエット




大好きだったウェンディ(ロザンナ・アークエット)の
当てこすりのような行動に、ビリーはレイラに当たり散らしてしまう。
そしてレストランのトイレで泣きながら呟く。



裏切り者のフットボール・プレイヤーへ復讐に行く前のシーン。
安ホテルで休むビリーとレイラ…
頑なに体に触られることを拒むビリーは
ふくよかで母性溢れるレイラの胸に顔を埋め、子どものように眠る。






復讐の時間が来た。
「ココアを買ってくる」とホテルを出ようとする。
ビリーの決心を察したかのように、レイラが言う。

「抱きしめて」



映画の内容で触れられるのはここまで…

クリスティーナ・リッチ演ずるレイラが、実に可愛い。
ふっくらと太った体から醸し出す母性。
我が儘で屈折した子ども・ビリーの全てを受け入れ包み込んでしまう。



レイラの言葉は駄々っ子をあやす母親の言葉のようにも聞こえる。
身も心もボロボロに傷ついたときに、突き放す優しさはいらない。
傷口を舐めてくれる母猫の優しさ、
ひたすら抱きしめてくれる母親の暖かさが必要なのである。
嫌なヤツと思いこんでいたビリーが、次第に可愛く見えてくるのは
レイラの“大きさ”があればこそだと思う。





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なぜか (ゆうこ)
2005-09-12 13:26:31
ストーリーとか全然知らないのに、ホテルのベッドのシーンだけ見たことある。

どこで見たんだろう?
多分… (さとし)
2005-09-12 17:01:15
ゆうこさん



テレビのCMじゃないでしょうか。

当時は結構話題になったようですから。



それか…



天井の鏡に写るご自分のお姿だったのでは(笑)

もちろんご主人とですよ!
天井の鏡っ? (ゆうこ)
2005-09-14 00:19:59
ラブホでしか見たことのない、そーゆーやつ、さとしさんのおうちには標準装備なんですかっ?

ちなみにウチは床が鏡貼りです(うっそぴょーん)。
ラブホ? (さとし)
2005-09-14 02:16:49
ゆうこさん



さぁ、ワタシにはトンとわかりませぬ…



ちなみにウチは壁4面鏡張りで

ベッドが回るヤツです(今時ないですね)

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