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それもある意味散歩

画風が極端すぎる「ネズミ駆除剤」のパッケージ

画風が極端すぎる
「ネズミ駆除剤」のパッケージ
村中 貴士

ネズミと聞いて、何をイメージするだろうか。

おそらく多くの人は、「ミッキーマウス」や「トムとジェリー」など、かわいらしいキャラクターを思い浮かべるだろう。

しかし、現実の世界におけるネズミは「害獣」である。実は筆者も、かつて勤めていた会社の倉庫にネズミが出て苦労したことがある。その際は駆除業者さんに対応してもらったのだが、実物のネズミの死体は極めて気持ち悪いものであった。

 

ネズミの被害に苦慮している人は意外と多い。その証拠に、ドラッグストアやホームセンターへ行くと、ネズミ対策商品がたくさん並んでいる。

それらを見ているなかで、ネズミの描き方が気になった。商品によってネズミの表現に差がありすぎるのだ。

そこで今回は、ネズミ駆除剤(ネズミ捕り、忌避剤、殺鼠剤など)のパッケージにおける画風を分析することにした。かわいい系から順に紹介し、後半につれてリアルなタッチになっていく。

※すべて市販されている商品ですが、人によっては気持ち悪いと感じるものがあるかもしれません。苦手な方はご注意ください。

筆者だけだと主観になってしまうため、知人でデザイナーの大内さんにも参加してもらい、パッケージについてコメントをもらうことにした。

(以下、筆者:村中、デザイナー:大内

 

■擬人化 ~服を着るネズミたち

最初に目についたのが、ネズミを擬人化した描き方だ。

村中:これはダイソーで売っていたネズミ忌避剤です。

大内:ふだんネズミ退治商品なんて見たことがなかったけど、ダイソーにあるくらいポピュラーなものなんですね。

村中:服を着てるけど、擬人化するためには服を着せる必要があるってことかな。

大内:全体的にかわいらしいパッケージデザインですね。商品名も「チューバイチュー」だし。

村中:「ねずみ!出てってクレヨン」。なぜダジャレ?と思ったら、忌避剤の形がクレヨンでした。

大内:泣きながら白旗を挙げてる。一つ前のもそうだけど、「泣き」の描写が入ってますね。

 

■キャラクター(ファンシー系)

擬人化の続きで、かわいらしいキャラクター系のパッケージを紹介しよう。

村中:フリー素材チックなネズミ。「波形塗布」「特殊誘引」「自在折目」と漢字4文字で揃えているのもポイントです。

大内:子どもが好きそうなフォルムですね。そのままキャラクターグッズにできそう。

大内:この手の商品って「プロ用」「業務用」をつけがちですよね。

村中:「プロ仕様」の「業務用」って、なんとなく同じ意味の言葉を繰り返しているだけのような気もするけど。”効きそう”感の演出としての「プロ仕様」「業務用」なんでしょうね。

村中:ちょっと意外なパターンで、CGっぽいネズミです。CG系はこの商品だけでした。

大内:CG系アニメ映画の1シーンっぽいですね。本来の商品名は「スーパーネズレス」だけど、「怖くて逃げる」の押しが強い。

村中:”ネズミに本能的恐怖を与える”ってコピーも強すぎる。本能的恐怖は嫌だなあ。

 

■シルエットで魅せる

ネズミの形をシルエットで表現しているパターンも意外と多かった。

村中:ネズミ用のアースレッドです。

大内:なんか一気に怖くなりましたね。

村中:さっき「スーパーネズレス」がありましたが、これは「ネズレスプロ」です。

大内:あれ、ネズミはどこに?

村中:よく見てください。「ズ」の中にネズミがいます。

大内:これはちょっとカワイく見えますね。「ネズミがいなくなる=ネズレス」というネーミングも味わい深い。

村中:キャッシュレスの次はネズレスが流行る。

村中:ネズミ用ではないですが、近くにモグラ忌避剤「モグレス」もありました。

大内:これまたすごいインパクトのある絵だなあ。あと色づかいも特徴的ですね。黒、赤、緑の配色が毒々しさを醸し出してる。

村中:緑色が、自然の色というより農薬っぽい緑なんですよね。

村中:個人的に一番気に入っているのが、この「デスモア」です。死が近づいてきました。ちょっとキャトルミューティレーション感もある。

英語表記は普通に書くと「Death more」のはずだけど、「Dethmor」にしてるのは敢えて、なんですかね。

大内:デスがモア。「ねずみ!出てってクレヨン」との落差すごい。これも赤、黒、黄の色づかいが恐怖感を演出してますね。パッケージの色の使い方に着目してみると、何か傾向が出てくるかもしれません。

村中:同じくデスモアの8個入りです。背景が2次元から3次元になりました。

大内:地獄にいざなわれてますね。横で食べてるネズミはやや可愛らしいけど、そのあと地獄へ行くとはつゆ知らず……。

村中:かわいい方のネズミを見ちゃうと、ちょっと可哀想に思えてくるなあ。

村中:さらに上位バージョン、「デスモア プロ」です。

大内:出た、プロ仕様。デスメタルバンドでも付けない名前ですよ。デスがモアでプロ。

村中:化学式を描くことで、ケミカルに死に至らしめる感を演出してます。

 

■リアルに描くと怖い

最後は、シルエットをさらに進化させたリアル系のパッケージを。

村中:エンドキラー。ついに最終兵器が出ました。

大内:やっぱりリアルに描くと怖さが増しますね。

村中:ホームセンターには、昔ながらのネズミ捕りも売ってました。

大内:すごい、まだ売ってるんだ。餌を食べたらバチーン!ってなるやつですよね。

村中:このネズミも現実に近いイメージで描かれていますね。

村中:そしてラスト、一番怖かったのが「ネズミZ」です。

大内:ほぼホラーですね、これ。しかしなぜネズミ「Z」?

村中:アルファベットの最後=死、ってことでは? と思ったら「PROBUSTER ZONE」と書いてありました。ZONEか。ちなみに同じシリーズで「ヘビZ」「ダンゴムシZ」もありました。

大内:すごい。Z会だ。

 

■集計結果

ネズミ駆除剤のパッケージ(全31種類)で描かれている画風と配色を集計してみた。

擬人化+キャラクターを「カワイイ」系、シルエット+リアルを「怖い」系とすると、

カワイイ系が55%、怖い系が45%となった。

 

村中:カワイイ系と怖い系、もっと差がつくと思ってたけど、意外に半々くらいでした。

大内:もし私が買うとしたら「怖い系」のパッケージを選ぶと思います。なんとなく効きそうな気がするので。

色づかいも気になったので、各商品のパッケージに使用されている色(上位3つ)をピックアップし集計してみた。黒がダントツで1位。続いて黄、赤となった。

 

村中:黒、黄、赤……ゴキブリ対策の商品とかも同じような色づかいですよね。

大内:たしかに。ネズミ対策グッズのデザイン依頼がきたときは、上記を参考にさせていただきます。たぶん無いと思いますが。

 

■ネズミ駆除商品パッケージ まとめ

・ネズミの描き方は、カワイイ系が55%、怖い系が45%

・カワイイ系のネズミはたいてい泣いている

・怖い系はシルエット、白黒が多い

・「業務用」「プロ仕様」つけがち

・パッケージの配色は、黒・黄・赤が多い

・効果を強調するほど「死」のイメージに近づく

 

最後に、ネズミの描き方の”落差”を感じていただいて終わりにしよう。

改めて見ると、やはり同じ生き物とは思えない。

 
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村中貴士
大阪出身の編集者&ライター。性格は地味だが、人を笑わせたい意欲は常にある。
村中貴士の散歩 / Twitter

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