どんな女でも、ほめられると
うれしいものだ。ただし、自分
で知っている長所をほめられて
も、これはたいしてうれしくは
ない。
あきらかに美人をつかまえて、
「あなたはきれいだ」と言って
みても効果ない。インテリ女に
対して、「インテリですね」とか
「知的だな」とか言えば、軽蔑
の眼で睨み返されるのが落ちに
きまっている。
これは逆であって、たとえ嘘
でも美人に対して、知的であると
ほめるべきだ。
「きみはきれいだけど、ただ美人
っていうんじゃないね。そう、知
的なんだ。知性がキラキラして
眩しいみたいだよ」
頭のいい女は、絶対に姿形を
ほめてやること。とうていほめ
られないような顔でも、たとえ
ゲジゲジ眉でも「ブルックシー
ルズ(だいぶ古いが)みたいな
黒々した眉だ」などと言う。
いくら考えても顔がどうにも
ならなかったら、手がきれいだ
とか、足首がいいとか、鎖骨の
くぼみ具合がなんともいえず
セクシーだとか、要するに肉体
のどこかをほめること。
どこもかしこも全部駄目なら、
声をほめるとか、着ているもの
をほめるとか、靴をほめるとか、
字をほめるとか。それで完全に
駄目なら、おまえのような女は
居ない方が世の中の為にいいの
だ、と言うかわりに、
「君といるだけで、ほっとする」
と嘘をつく。そうすれば世の中
安泰なのである。