私には、忘れてしまったものが
一杯ある。だが、私はそれらを
「捨てて来た」のではない。
忘れることもまた、愛すること
だという気がするのである。
私には、忘れてしまったものが
一杯ある。だが、私はそれらを
「捨てて来た」のではない。
忘れることもまた、愛すること
だという気がするのである。
心細いような、心許せないような、
こんな嵐の夜には、どこからかあ
の人の声が聞こえてくる。
時間も距離もかるがると超え、わ
たしはあの頃に連れ戻されてしまう。
―――大丈夫だよ。キミはなにも、
心配しなくていいから。
―――俺に任せておいて。何もかも
ちゃんとするから。
―――キミは俺の大事な宝物。簡単
に別れないよ。
わたしを弄んだ、なつかしい、わた
しの昔の恋人。
あれは、あまりにも手痛い失恋だっ
た。そえゆえに、それはガラスに刻
まれた文字のように、わたしの心に
残っている。痛みは、静かな嵐のよ
うにやってきて、樹木をたまわせ、
木の葉を震わせ、わたしの根源を
揺るがせようとする。
でも、大丈夫、絶対に、大丈夫。
言い聞かせながら、わたしはひとり、
暗闇の中で、嵐が通りすぎていくの
を待っている。どんなに激しい雨が
降っても、わたしはもう「過去」を
迎えに行ったりしない。
わたしの心はさらわれていかない。
吹き飛ばされはしない。わたしに
は今、愛しい待ち人がいる。
言葉を友人に持ちたいと
思うことがある。
それは、旅路の途中で自分が
たった一人だということに
気づいたときである。
たしかに言葉の肩をたたく
ことはできないし、言葉と握手
することもできない。だが、
言葉にも言いようのない、
旧友のなつかしさがあるもので
ある。
ひとつだけ願いが叶うとしたら。
金か。愛か。才能か。
いっそ透視能力。予知能力。
世界的なヒーローになるとか。
なるなら透明人間の方が、い
や、私利私欲に走らず世界の
平和を・・・・。
そうか。まずは、
いくつも願いが叶うように、
願えばいいのか。
https://www.youtube.com/watch?v=mHrjM6oVez0
赤茶けた祖父の日記。
古ぼけた子どもの頃
の愛読絵本。
図書館に眠る町の
いつかの史料。
頁をゆっくりめく
っていると、
その時代に遡ったような
気分になることがあります。
きっと紙は情報といっ
しょに時間を閉じ込めて
いる。
きっと人は絵を描きながら、
文字を記しながら「いま」
を刻もうとしている。
デジタルの時代であっても、
私たちはこれからも紙を
使い人々の歴史が作られ
ていくであろう。
仕事や新ウイルスを防ぐ
誇りが、顔よりも表われ
ていました。
運ぶ。切る。押す。拭く。
結ぶ。たたむ。
仕事のほとんどは、手で
始まり、手で終わる。
考えてみると、手のひと
つひとつの動作が、
仕事をささえているので
すね。
まいにち、まいにち。
だから、そんな手をもっと
大切にしてほしい。
いたわってほしい。
がんばる手に、もっと
感謝を。
あなたからの電話がうれし
くて(留守番に入った電話)
折り返し電話できないでいた。
もったいなくて
後生大事にしたくて
一体、何だろうと
いつまでも楽しい空想を
していたくて
電話できないでいた。
ほら、一回、自分から電話
する権利を
手に入れたわけだし
と言っているあいだに、外は朝。
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見す
かしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に
対しても
人を人とも思わなくなった
とき
堕落が始まる 堕ちてゆくの
を
隠そうとしても 隠せなく
なった人を何人も見ました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどきどき
していいんだな
震える弱いアンテナが隠されて
いる きっと・・・・
わたしもかつてあの人と
同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです
素敵な女のひとと会いました
そのひとは私の背のびを見す
かしたように
なにげない話に言いました
初々しさが大切なの
人に対しても世の中に
対しても
人を人とも思わなくなった
とき
堕落が始まる 堕ちてゆくの
を
隠そうとしても 隠せなく
なった人を何人も見ました
私はどきんとし
そして深く悟りました
大人になってもどきどき
していいんだな
震える弱いアンテナが隠されて
いる きっと・・・・
わたしもかつてあの人と
同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです
一日もはやく私は結婚
したいのです
結婚さえすれば
私も人一倍生きていたく
なるでしょう
かように私は面白い男である
と私もおもうのです
面白い男と面白いであると
私もおもうのです
面白い男と面白く暮らした
くなって
私をおっとにしたくなって
せんちめんたるになっている
女はそこらにいませんか
さっさと来て呉れませんか
女よ
見えもしない風を見ている
かのように
どの女があなたであるか
知らないが
あなたを
私は待ち侘びているのです