▼『君の名は』 第6部 第52週(最終週)
原作:菊田一夫『君の名は』より
脚本:井沢満
音楽:池辺晋一郎 演奏:東京コンサーツ
題字:篠田桃紅
考証:松平 誠 考証協力:天野隆子
方言指導:佐渡稔、山中篤
大正琴指導:吉岡輝元
洋裁指導:大沢洋子
語り:八千草薫
出演
後宮真知子 鈴木京香
後宮春樹 倉田てつを
木村吾郎 大沢樹生
ギター弾き モト冬樹
小松 小池 榮 :バー・ピースのマスター
後宮千景 渡辺亜里沙 :春樹と真知子の娘(赤ちゃん)
鳳プロ
早川プロ
深野柳子 樹木希林
多比良良作 蟹江敬三
小野瀬綾 いしだあゆみ
制作:石井 愼
美術:岡本忠士 技術:渡部浩和 音響効果:田中正男
撮影:中村和男 照明:高橋伴幸 音声:篠根正継
記録・編集:田中美砂
演出:原嶋邦明
解説(副音声):関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
バー・ピース
流しが
赤いランプの終列車 を歌っている
♪さらばと告げて 手を振る君は~
そこに店でトラブルのあった綾が来る
多比良は、流しに
モーツアルトの子守歌 をリクエストするが
流しは
五木の子守歌 の替え歌で
おどまぼんぎりぼーんぎり ぼんからさーきゃ モーツァルトー と歌い
多比良から、大目のご祝儀をもらって去っていく。
流しはまだ髪の毛の多い (^^ゞ モト冬樹氏。
『こころ』の前『君の名は』に出てたのね~
「モーツアルトの子守歌、好きなの?」
「女房がね。 こんな稼業だけど、家、クラシックのレコードがスゴイのよ」
「どうしてた」と多比良
マスターは綾にタバコを頼まれて、外に買いに行く。外は雨だった。
「電話があったんで(ファッションショーから)解放されたんだと思ってた」
「全然。ヘタすりゃ、こっちが涙雨。 でも少し気が紛れた」
そして続ける綾。
「ね、あたし四柱推命で駅馬(えきば)なんだって。
各駅停車の“駅”に、牝馬の“馬”って書くのよ、途中で占ってもらったの。
年中お尻に火がついて忙しくて、ひとつところに落ち着けないんだって。
そういう星なのね」
「オイラも各駅停車のひとつなんですかね。♪さらばと告げて 手を振る君は~♪」
「手なんか振らないわよ~? 急行列車」
「最終駅はどこですかねー、この多比良駅にしてはもらえませんかね」
「もう止まっているでしょ? クラシックの好きな立派な列車」
「女房、今、家にいるよ。退院してきたんだ」
「おめでとうございます」
「いや、逆なんだ。先行きがもう‥‥。医者と相談して連れて帰った」
「そのこと、奥様」
「言ってない。でも悟ってるような気も‥」
「何してらっしゃるの?」
「埃をかぶってたレコード聴いている」
「こんなところで何してるの! 帰って」
「辛いんだよ」
「何、言ってんのー。女房でしょ?」
「怖いんだよ。俺は強い人間じゃなかった。
こんなこと言うつもりじゃなかったのに‥、君の話 聞こうと思ってたんだが」
「いいのよ」
「女房ね、死んだ子どもの話するんだ。一人いたんだ、男の子が。
6つで死なせちゃった。
一周忌を済ませてから、一切話さなかったのに、自分が近づくと思い出すのかね」
「あたしたち、このまま続くのかしら」
そこにマスターが帰ってくる
「途中でかなり降りましたが、今はあがりました。通り雨でした」
小川沿いの道
励ましがほしくて男と会った綾だった。
しかし自分は慰める側で、駅馬という星には孤独の運命が潜んでいないかと思うのだった
後宮家
春樹は、養護施設の実現に向けて、イメージを絵にしていた。
長屋の路地
出かけようとした真知子が柳子につかまり、話をしていると、物陰に男がいる。
帽子を目深にかぶりサングラスをかけマスクをした吾郎だった。
「どうしたの?」
吾郎はなんでもないとおどけて家に入るが、ケガだらけだった。
真知子は、吾郎のことも気がかりだったが梢のへ行ってみるのだった。
(つづく)
原作:菊田一夫『君の名は』より
脚本:井沢満
音楽:池辺晋一郎 演奏:東京コンサーツ
題字:篠田桃紅
考証:松平 誠 考証協力:天野隆子
方言指導:佐渡稔、山中篤
大正琴指導:吉岡輝元
洋裁指導:大沢洋子
語り:八千草薫
出演
後宮真知子 鈴木京香
後宮春樹 倉田てつを
木村吾郎 大沢樹生
ギター弾き モト冬樹
小松 小池 榮 :バー・ピースのマスター
後宮千景 渡辺亜里沙 :春樹と真知子の娘(赤ちゃん)
鳳プロ
早川プロ
深野柳子 樹木希林
多比良良作 蟹江敬三
小野瀬綾 いしだあゆみ
制作:石井 愼
美術:岡本忠士 技術:渡部浩和 音響効果:田中正男
撮影:中村和男 照明:高橋伴幸 音声:篠根正継
記録・編集:田中美砂
演出:原嶋邦明
解説(副音声):関根信昭
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

流しが

♪さらばと告げて 手を振る君は~
そこに店でトラブルのあった綾が来る
多比良は、流しに

流しは

おどまぼんぎりぼーんぎり ぼんからさーきゃ モーツァルトー と歌い
多比良から、大目のご祝儀をもらって去っていく。
流しはまだ髪の毛の多い (^^ゞ モト冬樹氏。
『こころ』の前『君の名は』に出てたのね~
「モーツアルトの子守歌、好きなの?」
「女房がね。 こんな稼業だけど、家、クラシックのレコードがスゴイのよ」
「どうしてた」と多比良
マスターは綾にタバコを頼まれて、外に買いに行く。外は雨だった。
「電話があったんで(ファッションショーから)解放されたんだと思ってた」
「全然。ヘタすりゃ、こっちが涙雨。 でも少し気が紛れた」
そして続ける綾。
「ね、あたし四柱推命で駅馬(えきば)なんだって。
各駅停車の“駅”に、牝馬の“馬”って書くのよ、途中で占ってもらったの。
年中お尻に火がついて忙しくて、ひとつところに落ち着けないんだって。
そういう星なのね」
「オイラも各駅停車のひとつなんですかね。♪さらばと告げて 手を振る君は~♪」
「手なんか振らないわよ~? 急行列車」
「最終駅はどこですかねー、この多比良駅にしてはもらえませんかね」
「もう止まっているでしょ? クラシックの好きな立派な列車」
「女房、今、家にいるよ。退院してきたんだ」
「おめでとうございます」
「いや、逆なんだ。先行きがもう‥‥。医者と相談して連れて帰った」
「そのこと、奥様」
「言ってない。でも悟ってるような気も‥」
「何してらっしゃるの?」
「埃をかぶってたレコード聴いている」
「こんなところで何してるの! 帰って」
「辛いんだよ」
「何、言ってんのー。女房でしょ?」
「怖いんだよ。俺は強い人間じゃなかった。
こんなこと言うつもりじゃなかったのに‥、君の話 聞こうと思ってたんだが」
「いいのよ」
「女房ね、死んだ子どもの話するんだ。一人いたんだ、男の子が。
6つで死なせちゃった。
一周忌を済ませてから、一切話さなかったのに、自分が近づくと思い出すのかね」
「あたしたち、このまま続くのかしら」
そこにマスターが帰ってくる
「途中でかなり降りましたが、今はあがりました。通り雨でした」

励ましがほしくて男と会った綾だった。
しかし自分は慰める側で、駅馬という星には孤独の運命が潜んでいないかと思うのだった

春樹は、養護施設の実現に向けて、イメージを絵にしていた。

出かけようとした真知子が柳子につかまり、話をしていると、物陰に男がいる。
帽子を目深にかぶりサングラスをかけマスクをした吾郎だった。
「どうしたの?」
吾郎はなんでもないとおどけて家に入るが、ケガだらけだった。
真知子は、吾郎のことも気がかりだったが梢のへ行ってみるのだった。
(つづく)