※なんとなく趣旨を察してください
「どうだい、今日は。すすんだかい」
こちらから連絡してみると、結城は電話の向こうでしきりに恐縮している。どうやら、仕事のほうでいっぱいいっぱいだったようだ。
「そうか、こんな時期だものな。…考えが足らなかったな。すまん」
「いや、気に掛けてもらえてありがたいよ。今月は旅行に行ったりもしたから、そのぶんしっかり取り返してやるつもりだったんだけれど。見込みが甘かったようだよ」
「最後に取り返せていればいいんだから。また、出来る範囲で報告を聞かせてくれるのを待ってるよ」
「ああ、ありがとう」
ふと、会話が途切れた。
おやすみ、と挨拶をして電話を切ろうとしていたのが、なんとなく言い出せないでいると。
「…そうそう。なあ、風見。あいつのことは、考えたかい?」
尋ねられて、昨日結城のところで見かけたとぼけた顔を思い出す。
「うーん…どうしたものかな。すまんが、待ってもらえるかな」
人にあれこれ言っておいて情けない話だと風見がぼやくと、そんなことないと結城は一生懸命に返してきた。
「我が家の有様は情けないものだけれど、手放すことにしたとはいえ、愛着のあるものばかりなんだ。その処遇について一生懸命考えてもらえるなんて、有り難いことだと思っているよ」
「…そんな」
「でも君、本気で迷っているだろう」
「はは、まあ、確かに。でも、そんなにおおげさな話じゃ無いよ」
「うん、おおげさな話じゃなくてもいいんだ。それでも、ちょっと、嬉しかったから」
おかしな奴だなあ。
もし、彼が「貰ってくれ」と頼んできたら、ふたつ返事でひきとるところなんだが。それはきっと、やらないのだ。
「それじゃあもう少し、お言葉に甘えて」
「ああ、ありがとう。それじゃあ、お休み」
ああ、お休み。
「どうだい、今日は。すすんだかい」
こちらから連絡してみると、結城は電話の向こうでしきりに恐縮している。どうやら、仕事のほうでいっぱいいっぱいだったようだ。
「そうか、こんな時期だものな。…考えが足らなかったな。すまん」
「いや、気に掛けてもらえてありがたいよ。今月は旅行に行ったりもしたから、そのぶんしっかり取り返してやるつもりだったんだけれど。見込みが甘かったようだよ」
「最後に取り返せていればいいんだから。また、出来る範囲で報告を聞かせてくれるのを待ってるよ」
「ああ、ありがとう」
ふと、会話が途切れた。
おやすみ、と挨拶をして電話を切ろうとしていたのが、なんとなく言い出せないでいると。
「…そうそう。なあ、風見。あいつのことは、考えたかい?」
尋ねられて、昨日結城のところで見かけたとぼけた顔を思い出す。
「うーん…どうしたものかな。すまんが、待ってもらえるかな」
人にあれこれ言っておいて情けない話だと風見がぼやくと、そんなことないと結城は一生懸命に返してきた。
「我が家の有様は情けないものだけれど、手放すことにしたとはいえ、愛着のあるものばかりなんだ。その処遇について一生懸命考えてもらえるなんて、有り難いことだと思っているよ」
「…そんな」
「でも君、本気で迷っているだろう」
「はは、まあ、確かに。でも、そんなにおおげさな話じゃ無いよ」
「うん、おおげさな話じゃなくてもいいんだ。それでも、ちょっと、嬉しかったから」
おかしな奴だなあ。
もし、彼が「貰ってくれ」と頼んできたら、ふたつ返事でひきとるところなんだが。それはきっと、やらないのだ。
「それじゃあもう少し、お言葉に甘えて」
「ああ、ありがとう。それじゃあ、お休み」
ああ、お休み。