※なんとなく趣旨を察してください
「やあ、風見…!」
ばたばたとこちらに結城がかけてくるので、風見は軽く手を上げてやる。
「結城。早速来たな」
「ああ。じゃあ、報告させてくれ」
「ああ」
まえの報告があれだったので、少しばかり身構えるような心持ちで、結城の言葉を待つ。
「今日はね、少し、雑誌と通販のカタログをひとまとめにくくって、処分してきたよ」
「お、意外と具体的じゃないか。どのくらいだい」
「そうだなあ、たぶん、8冊くらいかな」
と、答えてみてから、照れ笑いになる。
「…まだまだだな」
「いや、ちょっとずつでも良いんじゃないか。さっそく報告を聞かせてもらえて嬉しいよ」
「そうか」
結城はさらに照れながら、ほっとした様子である。正直先は思いやられるが、それは言わないでおく。
「通販のカタログか。何を買ったんだい」
「はは、恥ずかしいんだが、着る物がなくてね。店先を覗いても、何がいいのかいまいち分からないのだが、店員はあれもこれもと勧めてくるだろう。すっかり困ってしまって」
結城らしい話だ。
「な、たまには、一緒に店でも覗きに行こうか」
「それは、助かるよ」
「今日の報告は、そんなところかな」
「ああ。午後は、本の即売会に行って来たんだ」
ん?
「どこを覗いても意欲作ばかりでね。楽しくなって、ついつい長居をしているうちに、急に声を掛けられて、驚いたよ。ずいぶん昔の知り合いが…」
「そいつは何よりなんだが、ちょっと待て、お前まさか…」
嬉しそうに即売会での出来事を語っていた結城は、ようやくそこではっと気付いたような顔をして言葉を途切れさせた。
「そうだ…しまった…!」
それは結城の、心からの悔恨の声だった。
「風見…僕は、なんてことを」
と、落ち込む結城に、どうして良いやら風見もつかのま困惑したものの、開き直って肩に手を置いてやる。
「なあ、結城。お前が即売会を楽しめたんなら、いいじゃないか。また明日からも、俺に報告にしてくれるんだろう?」
「風見……」
結城はゆっくりとこちらを見上げて。
「…も、もちろんだ!」
(ああ、これは先が思いやられる)
とは、言わないでおいた。
「やあ、風見…!」
ばたばたとこちらに結城がかけてくるので、風見は軽く手を上げてやる。
「結城。早速来たな」
「ああ。じゃあ、報告させてくれ」
「ああ」
まえの報告があれだったので、少しばかり身構えるような心持ちで、結城の言葉を待つ。
「今日はね、少し、雑誌と通販のカタログをひとまとめにくくって、処分してきたよ」
「お、意外と具体的じゃないか。どのくらいだい」
「そうだなあ、たぶん、8冊くらいかな」
と、答えてみてから、照れ笑いになる。
「…まだまだだな」
「いや、ちょっとずつでも良いんじゃないか。さっそく報告を聞かせてもらえて嬉しいよ」
「そうか」
結城はさらに照れながら、ほっとした様子である。正直先は思いやられるが、それは言わないでおく。
「通販のカタログか。何を買ったんだい」
「はは、恥ずかしいんだが、着る物がなくてね。店先を覗いても、何がいいのかいまいち分からないのだが、店員はあれもこれもと勧めてくるだろう。すっかり困ってしまって」
結城らしい話だ。
「な、たまには、一緒に店でも覗きに行こうか」
「それは、助かるよ」
「今日の報告は、そんなところかな」
「ああ。午後は、本の即売会に行って来たんだ」
ん?
「どこを覗いても意欲作ばかりでね。楽しくなって、ついつい長居をしているうちに、急に声を掛けられて、驚いたよ。ずいぶん昔の知り合いが…」
「そいつは何よりなんだが、ちょっと待て、お前まさか…」
嬉しそうに即売会での出来事を語っていた結城は、ようやくそこではっと気付いたような顔をして言葉を途切れさせた。
「そうだ…しまった…!」
それは結城の、心からの悔恨の声だった。
「風見…僕は、なんてことを」
と、落ち込む結城に、どうして良いやら風見もつかのま困惑したものの、開き直って肩に手を置いてやる。
「なあ、結城。お前が即売会を楽しめたんなら、いいじゃないか。また明日からも、俺に報告にしてくれるんだろう?」
「風見……」
結城はゆっくりとこちらを見上げて。
「…も、もちろんだ!」
(ああ、これは先が思いやられる)
とは、言わないでおいた。