『勤務地シンガポール』

残りの人生どう生きるか迷い続けてこのまま終わってしまいそうです

何枚も上手なインド人の交渉力

2006年11月17日 | 日々雑感

 一見穏やかそうに見える私も怒るときはあります(笑)。でも流石にこれまでの営業人生でお客さんの前で怒ったといいますか、心の内側の感情を表に出したことはあまりないはずです。少なくともシンガポールに来て以来はないと思います。

 ですが、先日あるインド系IT企業のカルカッタ出身のインド人社長と今後の人材サーチと採用コンサルティングの契約内容を詰めた時は、先方のこちらの事情/感情完全無視の申し出や姿勢に、自分でもはっとするくらい怒りを感じてしまいました。いや、怒りを感じた程度ではなく、多分顔は怒っていたでしょう(笑)。むこうも怒ったように話すのでこっちもつられてしまいます。瞬間、「だめだ、このままでは交渉に負ける。」と完璧にむこうのペースにはまっている自分をかろうじて客観的に見ることが出来ました。でもだめですね。こちらがカウンターオファーを出す段になって、特に数字系に対して頭がまわりません(笑)。それにむこうは、「このまま交渉を打ち切って止めにしてもいいだ!」というではないですか。私も、こんなクライアントならあえてお願いしなくてもいいかな、なんて思考が弱気に振れます。そんなとき、先方の一杯お茶を飲もう、という言葉に救われました。

 部屋に一人残されて電卓でこちらのオファー金額を計算していたとき、もうこんな交渉はやめて帰ろうかという気持ちと、いや、確かに彼はタフだけど彼と付き合うことによって自分も成長できるかも知れない、という二つの思いがこころの中で交差します。最終的に、彼から学べることがあるかもしれない、もう少し踏ん張ってみよう。という思いの方が勝ち、私は帰らずに交渉を再開しました。この企業を紹介して下さった私のお客様にも申し訳ないし。(←これこそ日本人的発想ですが:笑)結果、何とか合意点を見つけて双方アグリーしました。もう夜も9時半。こっちもそうでしたが、むこうも疲れた感じに見えました。

 今回のこのインド人クライアントに限らず、インドの人たちはとても交渉が上手です。ああ言えばこう言うの果てしない繰り返しと応酬に長けています。我々日本人の場合そうなってしまったら最後、もう信用も信頼もまったく無くなって交渉なんて空中分解ですが、彼らの場合は、そこからが本当の交渉のスタートのようです。相手をあえて怒らせて、正常な思考が出来ないようにしてこっちのペースで交渉を運ぶスタイルとでもいったらいいのでしょうか。計算してそうしているのか、あまりにも自然すぎて分かりません。

 この会社、インドの上場企業で私がお会いしたアジアパシフィックの社長はまだ20代後半か30代前半でしょう。お会いしてから2、3日は、どうも何かが心に引っかかってというか、自分に対する情けなさもあってか、すっきりしなかったのですが、今はこうしてブログに書けるようになりました(笑)。後日談として。このクライアントを紹介して下さった私のお客様に最近、「実は、折角ご紹介頂いたのに、交渉決裂寸前でした。今まで営業をしてきてクライアントの前で感情的になったことは殆どないのですが、今回はミーティング中、こみ上げてくる怒りを抑えることが出来ず、爆発寸前でした(笑)。」と打ち明けたところ、なんとそのお客様もこうおっしゃるではないですか!「いやー実は自分も今では彼とは家族ぐるみの付き合いをしているけど、最初の方では怒りまくっていたよ(笑)。あるときそれが爆発して大勢いる中で彼に対して怒りをぶちまけ罵倒してしまったことがあるよ。でもあっちはなんとも思っていないのかなあ。それからだね今のように親しい付き合いが始まったのは(笑)。」なんと!私だけではなかったのでした(爆)。恐るべし、コミュニケーション能力と交渉力、それにアンガー・マネジメント能力!


 写真は、穏やかなインドの神様たち。

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