一昨日、名古屋から堺市に直行し、マザーハウス 山口さんの講演会へ参加してきました。
聴講者の年齢は老若男女問わず幅広く、中には北海道や沖縄からいらした方も居たようです。
(主催者である堺市側もびっくりしたそう・笑)
手話による同時通訳、要約筆記での対応もありましたので、
そういった方々も会場にいらしていたのでしょう。
マザーハウスの鞄を持った人も多く居ました(私もその一人ですが・笑)
講演は、山口さんの経歴とマザーハウスの歴史、今後のビジョンを約1時間半に渡って話されました。
色んな場所で講演されてる人なので、始まる前は「きっと話し慣れてるんだろうな」と思いましたが、
緊張してる雰囲気などはないものの、決して「上手な」話し方ではありませんでした。
私は仕事柄、色んな講演を聞きに行くことが多いんですが、
所謂 学者さんや“先生”と呼ばれている方の講演と比べると、
聴きづらい・(主語などが抜けて)分かりにくいといった部分が多かったです。
「やっぱり」って単語が多かったです。口癖なのかな?(笑)
でも、自分の言葉で、しっかりと自分の意志・信念を語る姿は
憧れるし、すごいと思います。
揺るぎない棒が1本、しっかりと自分の中に息づいている感じ。
印象深かったのは、昨年、バングラデシュの工場の大家さんから
「7日以内に出て行け」と突然言われた話。
工場から出て行けば生産がストップしてしまう。
何とかそれまでに次の引越し先を見つけないといけない。
「それを従業員に言えば、余計な動揺を与えてしまうので、
ひた隠しにして、色んな処へ電話をかけまくって、足を運んで引越し先を探しました」
7日で次の引っ越し先を決めるのは不可能だと判断し、
何とか10日間だけ間借り出来る部屋を見つけ、2トントラックで引っ越し。
しかしその場所は暗く、狭く、ものすごく劣悪な環境で
一目見て固まる従業員。
「正直、“明日来てくれるかな”って心配になりました(笑)」
でもその帰り、従業員の一人が山口さんにいきなり
買ってきたピーナツを渡し、「食べて」と言ってきたそうです。
「彼らの為にも、早く次の場所を探さないとと力が湧いてきました」
そうして見つけた次の工場は、きちんと床の整備をし、明るい照明を設置、
大きなガラスで区切ってどこからでもみんなの顔が見えるように。
そして工員全員に清潔なエプロンや上履きを支給、と、
働く場所として最高のものになるよう工夫したそうです。
一昨日の夜に、マザーハウスが取り上げられたTV番組が放映されていましたが、
映った工場はとても綺麗で清潔でした。
副社長の山崎さんのブログを拝見すると、医療保険や健康診断のコスト負担、
残業代はもちろん、年金制度まで取り入れているそうです。
働いてくれている人に出来るだけの、先進国では当たり前の福利厚生を。
そしてそこから最高の品質の商品を生み出していく。
(品質に関する話をされていましたが、ものすごくチェック体制が厳しいことも分かりました)
企業はまず働いてくれる“人”ありき、という
この会社の従業員に対する真摯な姿勢が見え、すごく感激しました。
昨今の企業の経営者に聞かせたい言葉だと思います。。
講演後の質疑応答も、すごく興味深かったです。
「マザーハウスが有名になればなるほど、真似する企業が出て来ると思うが
その場合の対策など考えていますか?」という質問に対して、
「実は、本当に真似されたことがあるんです(笑)」と。
全く同じデザイン、名前、バングラデシュのジュートで作成された鞄が
ネット販売されていたそう。
「副社長などは激怒して「抗議する!」って言ってましたけど、
私は「まあ、黙って見て居ようよ」って言いました。
それで、暫く様子を見てたら…潰れちゃったんですよね、その会社(笑)」
決して“潰れて嬉しい”というのではなく、
最初は彼女ひとりで立ち上げ、その後沢山のスタッフや工員、協力者によって育ってきた会社、
そこから生まれる商品に対して“絶対な自信と信頼”を持っているのだと思いました。
だからこそ、二番煎じの会社が現れても、気にしないで居られるのだと。
また、「現在、某有名服飾企業(実名挙げてましたけどここでは伏せときます・笑)が
バングラデシュで生産をしたいと訪れてまして、そこのトップの方と会食したことがあります」と。
でもそれは、“ビジネス”をする上で当たり前のことだと言っておられました。
山口さんが目指しているのは「途上国から世界へ通用するブランドを作」り、
「素晴らしい資源・可能性があることを伝」え、
「先進国と対等なビジネスで、途上国を発展させていく」ことです。
途上国発のブランドの先駆けとして試行錯誤でそれをやってきた結果、
様々な企業がその国へ進出して来ているのであれば、
それが山口さんの根本の目的に繋がるのだと思います。
もちろん、マザーハウスも多くの従業員を抱える『企業』であるからこそ、
そこから先は利益を生み出すための企業同士の競争(=ビジネス)となりますが、
途上国にビジネスの種があると知れば、他の企業が進出してくるのは当たり前。
途上国へ進出してきた企業、先進国にしかない企業、
いずれ生まれるであろう途上国発の他の企業をも相手取って“真っ当な”ビジネスをやっていく。
慈善事業ではなく、ビジネスを通じて、
最終的に“途上国”“先進国”という垣根を壊し、その言葉自体をなくしていく。
彼女の口から語られる壮大な志に、聴いていて舌を巻くばかりでした。
今後のビジョンも、壮大でした。
目的は「“途上国発”のブランド」なので、バングラデシュだけに留まらず、
今年は第2の国ネパールに進出する、と。
「バングラデシュでの実績があるので、応用できると思っていましたが
一筋縄ではいかなさそうです」
その理由なども述べてくださいましたが、それはもう、無知な私の感覚からしたら途轍もない話でした。。
国を根本から叩き直さないと“ビジネス”のビの字も通用しないようなところへ
身体ひとつで乗り込んでいっている彼女。
「必ず出来る。やってみせる」という強い光に満ちていました。
そして、いずれは生産国をアジア、アフリカなどにも広げ、
現在日本にしかない直営店を、ヨーロッパやアメリカにも作りたい、と。
もう、「すごい」としか言いようがなく、
また何もしていない(見つけていない・行動していない)自分が恥ずかしくなってしまいました。
我が身に置き換えた時、「私には何が出来るだろう」と考えてしまいます。
これから見つけられるだろうか。
いや、見つけて行かなきゃいけないんだ。
本当に、聴きに行って良かったです。
講演終了後、ロビーにてサイン会もしていただけました。
私も著作本の2冊目を購入し、サイン、握手、一緒に写真まで撮っていただきました。
間近で見た彼女は、小さくて手も華奢で、何処にでもいる普通の同年代の女性に思えました。
でもその内側のエネルギーは計り知れない。
力を貰えました。
ありがとうございました!!!!
聴講者の年齢は老若男女問わず幅広く、中には北海道や沖縄からいらした方も居たようです。
(主催者である堺市側もびっくりしたそう・笑)
手話による同時通訳、要約筆記での対応もありましたので、
そういった方々も会場にいらしていたのでしょう。
マザーハウスの鞄を持った人も多く居ました(私もその一人ですが・笑)
講演は、山口さんの経歴とマザーハウスの歴史、今後のビジョンを約1時間半に渡って話されました。
色んな場所で講演されてる人なので、始まる前は「きっと話し慣れてるんだろうな」と思いましたが、
緊張してる雰囲気などはないものの、決して「上手な」話し方ではありませんでした。
私は仕事柄、色んな講演を聞きに行くことが多いんですが、
所謂 学者さんや“先生”と呼ばれている方の講演と比べると、
聴きづらい・(主語などが抜けて)分かりにくいといった部分が多かったです。
「やっぱり」って単語が多かったです。口癖なのかな?(笑)
でも、自分の言葉で、しっかりと自分の意志・信念を語る姿は
憧れるし、すごいと思います。
揺るぎない棒が1本、しっかりと自分の中に息づいている感じ。
印象深かったのは、昨年、バングラデシュの工場の大家さんから
「7日以内に出て行け」と突然言われた話。
工場から出て行けば生産がストップしてしまう。
何とかそれまでに次の引越し先を見つけないといけない。
「それを従業員に言えば、余計な動揺を与えてしまうので、
ひた隠しにして、色んな処へ電話をかけまくって、足を運んで引越し先を探しました」
7日で次の引っ越し先を決めるのは不可能だと判断し、
何とか10日間だけ間借り出来る部屋を見つけ、2トントラックで引っ越し。
しかしその場所は暗く、狭く、ものすごく劣悪な環境で
一目見て固まる従業員。
「正直、“明日来てくれるかな”って心配になりました(笑)」
でもその帰り、従業員の一人が山口さんにいきなり
買ってきたピーナツを渡し、「食べて」と言ってきたそうです。
「彼らの為にも、早く次の場所を探さないとと力が湧いてきました」
そうして見つけた次の工場は、きちんと床の整備をし、明るい照明を設置、
大きなガラスで区切ってどこからでもみんなの顔が見えるように。
そして工員全員に清潔なエプロンや上履きを支給、と、
働く場所として最高のものになるよう工夫したそうです。
一昨日の夜に、マザーハウスが取り上げられたTV番組が放映されていましたが、
映った工場はとても綺麗で清潔でした。
副社長の山崎さんのブログを拝見すると、医療保険や健康診断のコスト負担、
残業代はもちろん、年金制度まで取り入れているそうです。
働いてくれている人に出来るだけの、先進国では当たり前の福利厚生を。
そしてそこから最高の品質の商品を生み出していく。
(品質に関する話をされていましたが、ものすごくチェック体制が厳しいことも分かりました)
企業はまず働いてくれる“人”ありき、という
この会社の従業員に対する真摯な姿勢が見え、すごく感激しました。
昨今の企業の経営者に聞かせたい言葉だと思います。。
講演後の質疑応答も、すごく興味深かったです。
「マザーハウスが有名になればなるほど、真似する企業が出て来ると思うが
その場合の対策など考えていますか?」という質問に対して、
「実は、本当に真似されたことがあるんです(笑)」と。
全く同じデザイン、名前、バングラデシュのジュートで作成された鞄が
ネット販売されていたそう。
「副社長などは激怒して「抗議する!」って言ってましたけど、
私は「まあ、黙って見て居ようよ」って言いました。
それで、暫く様子を見てたら…潰れちゃったんですよね、その会社(笑)」
決して“潰れて嬉しい”というのではなく、
最初は彼女ひとりで立ち上げ、その後沢山のスタッフや工員、協力者によって育ってきた会社、
そこから生まれる商品に対して“絶対な自信と信頼”を持っているのだと思いました。
だからこそ、二番煎じの会社が現れても、気にしないで居られるのだと。
また、「現在、某有名服飾企業(実名挙げてましたけどここでは伏せときます・笑)が
バングラデシュで生産をしたいと訪れてまして、そこのトップの方と会食したことがあります」と。
でもそれは、“ビジネス”をする上で当たり前のことだと言っておられました。
山口さんが目指しているのは「途上国から世界へ通用するブランドを作」り、
「素晴らしい資源・可能性があることを伝」え、
「先進国と対等なビジネスで、途上国を発展させていく」ことです。
途上国発のブランドの先駆けとして試行錯誤でそれをやってきた結果、
様々な企業がその国へ進出して来ているのであれば、
それが山口さんの根本の目的に繋がるのだと思います。
もちろん、マザーハウスも多くの従業員を抱える『企業』であるからこそ、
そこから先は利益を生み出すための企業同士の競争(=ビジネス)となりますが、
途上国にビジネスの種があると知れば、他の企業が進出してくるのは当たり前。
途上国へ進出してきた企業、先進国にしかない企業、
いずれ生まれるであろう途上国発の他の企業をも相手取って“真っ当な”ビジネスをやっていく。
慈善事業ではなく、ビジネスを通じて、
最終的に“途上国”“先進国”という垣根を壊し、その言葉自体をなくしていく。
彼女の口から語られる壮大な志に、聴いていて舌を巻くばかりでした。
今後のビジョンも、壮大でした。
目的は「“途上国発”のブランド」なので、バングラデシュだけに留まらず、
今年は第2の国ネパールに進出する、と。
「バングラデシュでの実績があるので、応用できると思っていましたが
一筋縄ではいかなさそうです」
その理由なども述べてくださいましたが、それはもう、無知な私の感覚からしたら途轍もない話でした。。
国を根本から叩き直さないと“ビジネス”のビの字も通用しないようなところへ
身体ひとつで乗り込んでいっている彼女。
「必ず出来る。やってみせる」という強い光に満ちていました。
そして、いずれは生産国をアジア、アフリカなどにも広げ、
現在日本にしかない直営店を、ヨーロッパやアメリカにも作りたい、と。
もう、「すごい」としか言いようがなく、
また何もしていない(見つけていない・行動していない)自分が恥ずかしくなってしまいました。
我が身に置き換えた時、「私には何が出来るだろう」と考えてしまいます。
これから見つけられるだろうか。
いや、見つけて行かなきゃいけないんだ。
本当に、聴きに行って良かったです。
講演終了後、ロビーにてサイン会もしていただけました。
私も著作本の2冊目を購入し、サイン、握手、一緒に写真まで撮っていただきました。
間近で見た彼女は、小さくて手も華奢で、何処にでもいる普通の同年代の女性に思えました。
でもその内側のエネルギーは計り知れない。
力を貰えました。
ありがとうございました!!!!