『SWAN 青い湖』 青い湖と桜貝の歌Ⅱ  ~☆羽生結弦選手応援ブログ☆~

🎉「プロローグ」、GIFT at Tokyo Dome、 notte stellata
大大大成功おめでとう💖♡

~記事の参考にさせてもらっています~【オーサーインタとハビのTV番組の書き起こし】

2017-07-04 17:38:56 | ブライアン・オーサー

オーサーインタ(TSL)
https://twitter.com/806coco/status/850527775979180032
【オーサーインタ書き起こし】
2時間のセミナーを教えた後に、ブライアンに来てもらいました~というイントロに対し、6時間だよと訂正するブライアン。
 

(ヘルシンキから帰ったばかりで、いつもあちこち行ってて、どうやってこんな生活を続けられるのか。)

教えることが本当に好きなんだ。一年を何区分かに分けていて、今はセミナーのシーズン。
教えるのがとても好き。大変だけど。それに、一番お金になる。ほかのことはお金にならないので。
トレイシーにも言っていたんだけど、11年教えていて今期が一番ストレスでいっぱいだった。オリンピックが近づいているせいかもしれないし、やることがいっぱいあるからかもしれないし、教えている選手が増えたので選手の緊張が伝わってきたのかも。


(ギャビーなど、心理的な面でのサポートはどうしているのかと聞かれて)

ギャビーは、もともと優れた選手だったけど浮き沈みがあった。今は試合の前にどういうことをすればいいかが分かった。彼女にいろいろ考える隙を与えないこと。落ち着かせること。今期はたくさん学ぶことがあった。フランス杯ではSPがうまくいってロシア人選手の後に次いで2位だったのに、FSの前に消えた。どうしたのかと思ったら、ハビに「すごく緊張してる」というメッセージを送っていた。ハビが我々に教えてくれた。それで、試合前には携帯は見ない、ハビにメッセージを送らない、言いたいことがあるなら我々に言うんだと指導した。


(ハビの今回のFSはたまたま?選手として一皮むけたと思ったのに)

たまたまだね。あんまりまだ話す機会がないけど、インタビューなどを聞いていると、他の選手の点を聞いて怖気づいてしまったみたいだね。直前が昌磨だったから彼の点を聞いたし、ユヅの点も。(ナーバスになったことを)僕が知っていたらなと思うよ。去年みたいにというか、去年ほどの演技じゃなくても勝てたのに。215点は十分に可能だった。技術的にも色々入っているし、素晴らしいプログラムだから。でも、僕たちは何かを学んだので、これをオリンピックに生かすだけ。
ユヅは勝つ必要があった。彼は2位になるのは好きじゃないし、世界選手権で最後に優勝したのはオリンピックの年。何回かハビの次になった。いくら友達だし、リンクメイトだといってもユヅは2番になるのは好きではない。彼は優勝する必要があった。彼が勝つべき頃合いだった。ドラマだよね。二人とも2回ずつ世界選手権のタイトルを取っててオリンピックに臨むんだから。
ハビはこのままのプランでやる。ハビの音楽はもう選んだ。ハニュウも。ハビの新しいFSは、もう月曜から取り掛かるよ。


(どうやって、あなたの教え子たちは怪我をしないようにしているのか)

昔ながらのトレーニング。ちゃんと教えてやる必要がある。選手がリンクに来た時に、今日は4回転はやらないべきだとわかる。あんまりプッシュしない。気が散っているときに練習してもアクシデントにつながる。僕たちは今のところラッキーだね。これからも健康で怪我をしないようにと願ってる。


(みんながSNSに4回転ルッツとかフリップを上げている時代に、どうやってそういうジャンプをさせないように対処しているのか)

うちにも12歳で4回転ルッツを飛ぶ選手がいるよ。ユヅなんかは拍手しながらオーマイゴッドって感じ。
ユヅが何を考えているか、分からない。今後、どういう計画を立てているかも。ただ、今季はルッツやフリップがなくても勝てるという完璧な証拠になった。ハビもユヅも正しい道を進んでいる。いいブログラムがあるし、いい振り付があるし、スケーティングスキルもトランジションも素晴らしい。僕たちは僕たちのやるべきことをやるだけ。しっかりと。
ただ、もし、オリンピック後も続けるなら、またそれは違う話。そしたら4回転ルッツとかをやらなくちゃいけないかもしれないね。

《おーさーが4Tも跳んでいたという話。4ルッツも挑戦したけど、できなかったと》
(選手としてではなくコーチとしてオリンピックに臨むのはどんな感じか。今から考えているか)
もう何か月もオリンピックのことを考えている。毎日考えることの一部になる。逃れることはできないし、逃れるべきでもない。音楽を選んで、振付師を選んで、プログラムを決めて、誰が誰とやって、どの国で誰が認定されて、とかいろいろあるんだ。ハビとユヅみたいな、今はギャビーもだね、メダル候補にとっては、これから10ヶ月オリンピック一色になるよ。


(今後、アメリカ人選手をコーチする可能性はあるか)

なんだって可能性はある。でも、いろいろな手続きがあり、アメリカの連盟のメンバーになったり、テストを受けたりと大変。(ブライアンだったら特別扱いしてくれるんじゃないかと言われて)それができないんだよ。それに特別扱いするべきでもないしね。

(休暇は取れるのか)
セミナーは、なるべく素晴らしいところでやるようにしている。去年はタイでやって、セミナーの後、5日間滞在した。今年はシンガポールで3日間教えてから、6日間休む予定。




スペイン番組より、オーサーインタビュー
【第一部】
https://www.youtube.com/watch?v=A7ZKvElHrJc

【ブライアン】:他のカナダ人の子供たちのように、僕もアイスホッケーを始めた。でもスケートがすごい下手だったからね。だから僕の両親がスケートが上達するようにふぃぎゃをやらせたんだよ。だから僕は冬にはどんな機会でもスケートした。だから湖を探したり…。どこか外で・・スケートする場所を。
早く滑るのが好きだった。ジャンプも好き、そして自由に滑るのが好きだった。スケートはもう僕の一部だったんだ。子供の頃はたくさんの子供たちからいじめられてつらかった。でも、スケートが好きだったんだ。

座席は官局で埋め尽くされて身を乗り出して観戦していた。メディアはそれを喜んだ。そしてそれは、素晴らしい物語だった。

それを公表する必要はなかった。もっと自分の人生の後半で、そう、プロとして働くときには必要だったかもしれない。自分がゲイである言う事実について。それで、カナダの素晴らしいところは、それが別に特に大きなこととして捉えられるってことがないってことさ。だから僕がカミングアウトした時、こんな感じだった。「へ~。」「・・それで、次はいつ滑るの?」それはクールだったよ。

ハビは僕が教えている他のスケーターより才能があった。でもそれをオーガナイズできていなかった。整っていなかった。ランダムで、これから彼がどうなっていくのか、誰にもわからなかった。そう、だから説得した。簡単だったね。

僕は普段代替アスリートのトレーニングを6月に始める。彼とその両親をここに6月に連れてこられるか?と聞いていたらみな冗談と思ったようだ。

ハビを7月の終わりにトロントに来させた。それがハビには早すぎたとしても。彼が来た。僕のオフィスに。
そして自己紹介をして獏は彼に聞いた。「どんな音楽で滑りたい?」「どんな方向に進みたい?」「一年後の自分を、どんな風に考えている?」「今季の目標は?」
ハビは「アイドントノー。」って言ったよ。全然わかっていなかったんだよ。考えてなかった。

僕たちがクリケットで初めからスタートできたって言うのは良かったと思う。ダイヤモンドの原石は、磨かれるのを待っていたんだよ。

【トレイシー】:特に考えたりしない、それは個々のパーソナリティーだから。彼のトレーニングのめちゃくちゃぶりは何もメソッドがなかったの。
もしやりたかったら、やる。でもやりたくなかったら、やらない。



【ブライアン】:ハビはスケジュールがセットされて管理されていることに気が付かなかった。僕はそれには結構厳しいんだ。もし12時に練習開始なら12時に氷上に.12時1分じゃダメなんだよ。

本当にぶつかり合ったこともあったね。
僕は彼らに叫んで叱った。だから、彼がクラブに残ったことに驚いているんだ。僕だったら、もうやめてるね。「アディオス」さ。

でも彼は初めて尾の試合に臨み、ショートで勝った。みんな泣いていたよ。三か月のトレーニングの成果さ。

彼が受け取った一番大きなメッセージは、僕、トレイシー、そしてディビッド「僕たちはハビを信じてる」ってことさ。


トップシークレットにしておいてくれ、と言われていた。全く知れなかった。誰が来るかをね。日本に連れていかれ、そしてホテルの一室へ案内された。プライベートミーティングヲした。部屋に入っていったら、そこにいたのが、ユヅル・ハニューだった。
僕にコーチを頼んでくることが、地球上で一番予想できない人物だったよ。

「どうして?なぜ僕のところに来たいの?」僕が彼に聞くと彼はただこう言ったよ。
「僕はあなたのリンクに行きたいです。そしてフェルナンデスとトレーニングを共にしたい」ふっふふ・・


【第二部】
https://www.youtube.com/watch?v=lXqDMDUPLNw&feature=youtu.be

【ブライアン】:「どうして?なぜ僕のところに来たいの?」僕が彼に聞くと彼はただこう言ったよ。
「僕はあなたのリンクに行きたいです。そしてフェルナンデスとトレーニングを共にしたい」ふっふふ・・

【ユヅル】:僕は凄くハビと練習を共にしたかったのです。理由は凄く楽しそうだから、そして試合ですごく音楽にこだわっているように感じたからです。

【ブライアン】:日本から戻ってきて、ハビに会った。そして彼に言ったよ。
「君と練習を共にしたいと言っているスケーターがいるからそれについて話したい。もし君にとってそれが可能かどうか」と。
ハビが「誰ですか?」と聞いたから「ユヅル・ハニューだよ」と言った。そしたら彼は特に気にかけた様子もなかった。
「別にいいよ。」と。どうでもいいみたいな感じだったよ。

二人は正反対。日本文化とスペイン文化を考えてみると・・
ユヅルは個々に彼の母と来て、凄く閉鎖的な空間で守られている、そして大学の勉強もしている。そして彼は全く社交的じゃない。

そしてハビはここに一人で住み、自分のアパートに暮らし、自分で料理をし自分で掃除をする。仲のいい友人もいて非常に社交的。週末には街に繰り出して飲みに行くこともできる。でも、ユヅはその反対だ。

【ユヅル】:ここに5年住んでいますが、普段変な感じがしますね。何故かというと僕は家族や友人とはいつも日本語で会話をしているからです。

【トレイシー】:ユヅルが初めて来たとき、ハビがリンクに来るところだった。スキージャケットを着たまま、エッジカバーを外して、コーヒーをすすってて、その横でユヅルがトリプルアクセルをやってた。
ハビはコーヒーを置いて、ジャケットを脱いだわ。さあ、やるのよ。やることをね。


【ブライアン】:彼らは両方とも伸びていける。お互いの存在のおかげで。ハビはより良い選手になった、ユヅがいるから。ユヅはより良い選手になった、ハビがいるから。

(オリンピックで旗手をしているハビの映像・・)
ハビが電話インタビューに答えていた時のことを思い出すよ。いつまでも話していたね。もう電話を切らせないといけないねと話していた。
でもまだ話していて、そしてある瞬間彼はこう言った。ゲイについてだね。それとロシアについて。もし彼らが来るなら、大人しくしていた方が良い、,みたいなことをね、言ったんだよ。そしてその発言に悪意なんてなかったんだよ。ハビは誰かを攻撃しようなんて意図は全くなかったんだよ。
彼は僕が知る限り、ゲイに対して最もフレンドリーなストレートな人物だよ。彼のコーチ陣はゲイだしね。彼が泣いてるのを見たのはその時一度きりだね。激しく泣いていた。
そしてすぐにそれを何とかしようとした。だからハビに言ったよ。
「これはその内誰も話題にしなくなるよ。今は爆発的に大騒ぎになるけど、数日すれば元通りになるから。」と。

でもそれが、この試合中ずっと彼の背中にのしかかっていたんだね。試合の始まりの瞬間からね。メディアが追っている、

【トレイシー】:突然氷上に出て行って戦う。コンディションは良い。でも疲れている。精神的に疲弊しきっている。国のみんなが自分を見ている、そしてハビは気にするの。彼は人々が自分をどう思うかと言うことをね。
それが重圧となって本当に疲れさせるのよ。


【ブライアン】:それで、おかしな一つのミスだけでメダルを逃すことになってしまった。
今振り返るととだけど、あの時もっと気をつけていればよかったなと思うね。ハビはこれで良いと思ってやっていたんだ。
だけど、数点差で銅メダルを逃すことになってしまった。

でもね、僕はコーチとして「気持ちが分かるよ。本当によく分かるんだよ。」とハビに声をかけてやることができる。何故なら、自分も同じ経験をして辛酸を舐めたから。


(オリンピックでブライアンの旗手の姿の映像)
【トレイシー】:私はオリンピックに2度出場したわ。そしてカナダでメダルも獲った。
当時、ブライアンはカナダで最大のスターだった。私は彼のチームメイトだった。
そしてカナダの国全体が、ブライアンが金メダルの期待の星、だと思っていたの。そしてみんな知っているでしょ。カナダは冬の国。そう、メダルが必要、とみんなが考えていた。


【ブライアン】:一年中、オリンピックのために生きた。
そう、すべてのことをオリンピックに捧げていた。例えばガソリンを入れた車をガソリンスタンドに入れると、そのスタンドはカナダのオリンピックチームのスポンサーだった。新聞を見ればどの新聞も・・そしてマクドナルドに行っても、とにかく何につけても、僕という人間がカナダの誰からも「金メダル確実」と期待されていた。もちろん、凄い重圧だったよ。
それで、もしそれが現実となっていたら物語の結末は素晴らしいものになっていただろう。
そうはならなかったわけだけどね。もしそうなっていたら、ファンタスティックだったけどね。

【トレイシー】:金を逃したわ。ブライアンは銀に終わった。
そして、彼はその経験と共に生きた。乗り越えた。乗り越えるのは本当に本当に痛みを伴った。雑誌の1ページ目に「ブライアン・オーサー“loser敗者”」と書かれてるのを見ながら生きるのはね。
でも、生き延びた。そして糧にすることができた。彼は素晴らしいお手本(ロールモデル」よ。大きな視野でとらえると。


【第三部】
https://www.youtube.com/watch?v=wjwaTShiVWE

【トレイシー】:金を逃したわ。ブライアンは銀に終わった。
そして、彼はその経験と共に生きた。乗り越えた。乗り越えるのは本当に本当に痛みを伴った。雑誌の1ページ目に「ブライアン・オーサー“loser敗者”」と書かれてるのを見ながら生きるのはね。
でも、生き延びた。そして糧にすることができた。彼は素晴らしいお手本(ロールモデル」よ。大きな視野でとらえると。


(練習風景)
特に疲れているときは上半身に気を使って動きを小さくまとめて。膝をよく使って。膝に意識を集中して。そしたら「そうしよう」と思わなくてもうまくいくから。

【ブライアン】:僕たちはハビをワールドチャンピョンにするためにトレーニングをしていた。そして僕たちは知っていたんだ。彼にはその能力がある。

Oh my gosh!
僕はハビは自分にまさかワールドタイトルが獲れるとか、信じていなかったと思うよ。

【トレイシー】:ハビが初めてワールドタイトルを獲った後にブライアンが私に言ったことを覚えているわ。「これが僕たちが成し遂げた最高のサクセスストーリーだね」「以前の彼から、今の彼にたどり着くまでの、本当に数多くの事柄についてね。」

【ブライアン】:技術の面では彼ら二人はほとんど同じだと思っているよ。
ハニューはハビよりも高く跳ぶ。彼は本当に『飛ぶ』ね。(He really flys!)
ハビはニューより氷上でリラックスしている。だから試合で良く戦えるんだよ。
そしてハニューは凄く目標にフォーカスし、強烈だ。少し激しすぎるくらいだね。これは僕個人の意見だけど。

【ユヅル】:プレッシャーがどこから来るのか分かりません。もしそのプレッシャーに打ち勝つことができたなら、それを僕はハビに感謝したいです。僕が緊張しているとき、彼は楽しい話をして和ませてくれます。僕もそんなふうになりたいです。

【トレイシー】:その調子、もう一度。止まらないで。はじめから。私たちに見せて。力を抜いて・・諦めちゃだめよハビ。もう一度やってみて。力まないで、タイミングが来たら受け入れて。わかるわよ。いうのは簡単よね。

ハビの成功の秘密は遊び心のあるところ、彼の喜び、彼の愛、それはピュアなものなの。
これがオリンピックでのハビの成功の秘密となるでしょう。これが、彼を特別な存在にしています。そしてそれこそが、彼が観客に、そしてジャッジ達から愛されるスケーターである理由なのよ。


【ブライアン】:ハビは勝つために必要なものは全部持っているよ。
《完》



 (2014年の)オーサーインタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=MYDcVOhpLHY
【動画からの書き起こしです】
コーチに就いて以来、羽生の心技体すべてを指導してきたオーサー氏が、彼だけが知る羽生の真実を語った。

ヨナに続き、ユヅルがソチで優勝すると、多くのコーチや選手、メディアから「どうやったら金メダルを獲らせることができるのか?」と聞かれました。私の指導を受けたら、金メダルが獲れる、皆さんそんなふうに思ったのでしょう。事実。ユヅルの優勝後、私のもとには世界中のスケーターから、指導の依頼が殺到しました。ただ、はっきり言っておきたいのですが、私に何か特別なスキルがあったために、ヨナとユヅルが優勝できたわけではありません。ユヅルには元々豊かな才能があり、日本でそれを育んだ上で私のところへやって来た。

確かに、ユヅルの4回転ジャンプの成功率が上がったのは、私が指導するようになってからですが、すでにトップスケーターとしての素養は持っていたのです。
日本のコーチ、トレーナー、そして家族、様々な人々のサポートによって、現在のユヅルは存在している。私の役割は彼が才能を開花させられる環境を整えたことに尽きます。
ユヅルからオファーが届いた日のことは、よく覚えています。‘12年の世界選手権の後のことでした。

ユヅルから「会いたい」と連絡が来たときは、正直驚きましたね。
彼は当時、17歳という若さでしたが、すでにトップスケーターの一人でした。そして私は、現在ユヅルと共に指導しているハビエル・フェルナンデスというスペイン選手のコーチを務めていた。
トップスケーターが、オリンピックを2年後に控えた時期に、ライバルコーチへオファーを出すということは、ほとんどあり得ません。対抗心によって自身の練習に集中できない。マンツーマンの場合のようなきめ細やかな指導が受けられない、と考えるものですからね。
そこで私は本心を聞くため、すぐにカナダから日本へ発ち、ユヅルに会いました。

内気な少年、というのが第一印象でしたね。
私は、「なぜオファーを出したんだい?」と聞いた。すると彼は、「僕はトロントへ行ってブライアンと練習したい」と一言。
つたない英語でしたが、それで十分でした。
その言葉だけで、彼の情熱が伝わってきたんです。後に詳しく聞いたところ、彼は4観点が得意なハビエルを見て、私の指導に秘密があると考えたみたいですね。

その後、ユヅルが私のもとへやって来たのは、‘12年の5月です。私たちはすぐに、トロントにあるホームリンクで、動きや滑りを試しました。とても刺激的な時間でした。
初めて見た時の印象は、とても才能があるが自分をコントロールできていない、というものです。ステップや繋ぎでミスをする甘さがあった。悪く言えば雑、よく言えばワイルドでしたね。それでも私は、前述のとおり、彼のスピリットに心を打たれた。結弦はスケートの情熱を持っていて、滑ってジャンプすることが大好きなんだと、ひと目でわかりましたよ。

私は、マンツーマンでつきっきりで指導するということはしません。振り付け、スケーティング、ジャンプなど、それぞれに長けたコーチたちと一緒に、「チーム・ブライアン」を組んで、細やかな指導は各分野のスペシャリストに任せているのです。もちろん私が直接指導に当たる場面も多々ありますが、あくまで私はチームの指揮をとり、責任を取る存在に過ぎません。

そのチーム・ブライアンでは、新しい選手が来た場合、必ず基礎トレーニングから始めます。結弦のようなトップスケーターでも、それは例外ではない。
彼は面食らったかもしれません。オリンピックまで2年しかない中、ジャンプを教えてもらおうと思ってはるばるやって来たのに、基礎的な指導から始まったわけですからね。
それでも、ユヅルにはそれが必要でした。というのも、彼はスケーティングが未熟で、それが体力のミロスにつながっていたからです。ユヅルは一つのジャンプが終わると、蹴ってけって、漕いで漕いで、次のジャンプをしていました。動きがぎこちないために、バランスが崩れ、その分ジャンプやスピンに移る際に、余分な力が加わってしまっていたんです。

ただ、基礎トレーニングの重要性を伝えると、「僕はこの反復練習をします。時間をかけて取り組みます」とすぐに納得してくれた。そういう素直なところも、ユヅルの美徳ですね。
我々のもとで卓越したスケーティングを身に付けた後は、スイスイと移動し、スムーズにジャンプできるようになりました。喘息もちでスタミナに課題があったユヅルはこうして無駄な筋力トレーニングや有酸素運動をすることなく、プログラムをやり通せるようになったのです。そして、技術力が上がったことは、精神面での成長にもつながりました。

よくメンタル面を鍛えることが、トップスケーターをさらに上のレベルへ導く、と主張する人がいます。しかし私は、そうは思いません。技術的なトレーニングこそが、選手の精神力を強くする。それが我々チームの共通認識です。
スケートが上手くなっていると自覚できれば、選手は自信をつける。その証拠に我々のもとで徹底的に基礎トレーニングを積んだユヅルは、「普段通りにやれば必ず勝てる」と思えるようになりました。

精神面での成長と言えば、チームメイトのハビエルの存在も大きかったかもしれません。
ハビエルは’13年と’14年の世界選手権で3位に入ったトップ選手ですがユヅルとは正反対の性格です。ユヅルはすべてに全力を尽くすタイプ。納得のいくまで練習をし続け、さほど重要ではない大会でも、すべて勝ちに行く。これは非常に日本人的な精神で、皆さんがユヅルを応援したくなる理由の一つだと思いますが、時には力を抜くこともプロの世界では必要です。その点、ハビエルは才能豊かですが、スペイン人らしく非常にマイペース。気分が乗らなければほとんど練習しませんし、転んでもさほど気にしません。

そんなハビエルとともに練習することで、ユヅルの心にゆとりが生まれました。タイプの全く違うライバルが同じチームにいることで、良い方向に化学反応ができたんです。
元々あった才能に、私のもとで技術と精神力が加わった。そうしてユヅルは、今年2月のソチ五輪で、金メダルを獲得できたのです。

ユヅルは五輪チャンピョンになったことで、さらに成長したと思います。彼は今や、世界のフィギュアスケート界を牽引していく存在になった。ユヅル自身にも、その自覚があります。だからこそ11月のNHK杯にも、出場を決意しました。
NHK杯は、直前の中国大会で怪我を負い、コンデションが整わない中での出場でした。トレーニングはしていましたが、「勝つため」ではなく、「回復させる」ためのものでしかありませんでした。
私は「NHK胚には出なくてもいい」と主張しましたが、彼は「絶対に出る」と譲らなかった。その決意を、私は止めることはできなかった。オリンピックチャンピョンとしてのプライド、より進化したいという情熱があったのでしょう。17歳だった少年は20歳になり、逞しい男性に成長したのです。

ですから、4位という結果は、悲観すべきものではありませんし、12日から始まるグランプリファイナルでは、皆さんが期待している通りの演技ができるはずです。怪我は癒えましたし、現在、トレーニングスケジュールもきっちりこなしていますからね。
ただ、グランプリファイナルはあくまで通過点であることも、皆さんには理解しておいてほしい。私たちが見据えているのはあくまで、4年後、平昌五輪での金メダルです。ユヅルも私に、「2つ目の金メダルを獲りたい」とはっきりと口にしました。だからたとえグランプリ・ファイナルで期待されたような結果が出なかったとしても、それはユヅルの進化の過程と捉えてほしい。今後、様々なことを試しながら、4年後にガッツポーズができるよう、トレーニングを続けていきますよ。

もちろん、まだまだ課題はあります。その一つはスタミナ面の向上です。ソチのときは時間がなく、基礎体力を上げるトレーニングができませんでしたが、平昌までは余裕がある。すでにユヅル用の特別プログラムを組み、過酷なトレーニングに取り組んでもらっています。
大人になってきたことに伴う、肉体的な変化にも注意が必要でしょう。彼は細く強いパーフェクトな身体を持っていますが、そこに筋肉がついてくると、バランスのとり方が変わってくる。さほど難しくはありませんが、変化の過程でユヅルが戸惑わないよう、サポートしていくつもりです。

また、彼は「ノー」ということも覚えないといけませんね。ソチの金メダルの後、多くの人がユヅルと関りあいを持とうとし、優しい彼はそのすべてに対応しようとした。時にそれは、トレーニングに支障をきたすほどでした。平昌五輪で勝ちたいのなら、時には「ノー」と言って自分の時間を大切にしなければなりません。英語ももっと上達してほしい。彼は「Yeah」(同意を意味する返事)が口癖なんですが、これを言うときは大体理解できていないときです。「Yeah」と言ったときは、いつも説明する前と同じミスをしていますからね。だから最近は、ユヅルが「Yeah」と言ったら「こっちに来い。話し合おう」というようにしています(笑)。そのかいあってか、ユヅルの英語力は日に日に上達していますね。

課題はありますが、ユヅルの今後に心配はしていません。オリンピックチャンピョンになると、モチベーションを失ってしまう選手も多いですが、彼は全くそうではありませんから。バンクーバーで金メダルを獲った後のキム・ヨナは、明らかに義務的に滑っていました。スケートを楽しんでいる様子は、まったくありませんでした。一方、羽生はまだまだスケートへの情熱があり、向上心があり、謙虚です。NHK杯後の、「悔しい」というコメント。あれこそが、ユヅルの人間性を象徴している。
ユヅルにはスターであることを楽しんでもらいたい。そして再び金メダルを獲ってほしい。ユヅルならそれができますし、私はそのための手助けを全身全霊でやっていきますよ。





動画主様、翻訳された方、いつもありがとうございます。
有難く参考にさせて頂きました。



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