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月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.248 映画「リトル・リチャード アイ・アム・エブリシング」

2024-04-16 01:12:35 | 映画

今週も気になる映画を見る為に地元の映画館へ。

今回、見に行ったのは「リトル・リチャード アイ・アム・エブリシング」

上映が終了している所も多い中、ようやく地元で公開されました。

 

「シャラップ」と言っても許される唯一のアーチストである

リトル・リチャードは、チャック・ベリー、ファッツ・ドミノ、

ボ・ディドリー等と並んで、ロックの土台を築いた偉大なるオリジンです。

「トゥッティ・フルッティ」、「のっぽのサリー」、

「グット・ゴリー・ミス・モリー」、「ルシール」といった曲は、

オールデイズを聴いてきた人なら、間違いなく知っている曲ばかりです。

迫力を感じさせる歌い方に、叩きつけるようなピアノの演奏、

更にピアノの上に乗ったりする破天荒なパフォーマンス、

これらは後のロッカーにも大きな影響を与えています。

例えば『のっぽのサリー』。

デビュー前のビートルズの共演した時もあり、確実に

ポール・マッカートニーは影響を受けていますね。

 

 

 

インタビューが中心かと思っていましたが、予想以上に本人による

コメントが多かったです。しかしながら、

やはりリチャードが黒人であるという事、更に早くから自分がゲイである事を

公表しており、差別的な扱いを受け続けていたのは、想像に難くないです。

それでも時には叫び、時には化粧をし、ユーモア溢れる言動を続けていきます。

この映画は、彼がクイア・カルチャーの先駆者だった事について

多くを割いています。当時は異性装や同性愛は違法だった時代、

そんな中で堂々と活動するのは、何とロックな生き方だろうかと。

 

しかしながら、この生き方は自分自身を縛り付け苦しんでいく事にもなり、

人気絶頂期に一度引退し、信仰の道へと歩むことになり、

信仰上、同性愛は否定することになります。

そしてゴスペルに転向したかと思えば、またロックへと戻って来る。

『自分がロックの創設者だ』みたいなビックマウス、更に薬物への依存。

正当な印税が支払われなかったのではないかという発言等、

その一貫性のなさは、なかなか説明するのは難しいです。

 

デビューして半世紀、グラミー賞にも縁がなかったリチャードですが、

第24回アメリカンミュージックアワードでようやく功労賞を受賞。

長年の功績がようやく認められたのは感動的なシーンでした。

 

 

この時はもう還暦をとっくに過ぎているのに、

このあり余るパワーは何なんでしょうね?流石レジェンドというべきか。

思っていたようなドキュメンタリーとは違いましたが、

別の意味で見応えのある映画でしたね。

 

 


NO.245 映画「オスカー・ピーターソン」

2024-04-07 00:34:15 | 映画

平日の休みを利用して、久々に音楽映画を見てきました。

NO.230で紹介した映画ですが、近所の映画館では、まとめて上映されることに。

今日からは「フレディー・マーキュリー THE SHOW MUST GO ON」

「オスカー・ピーターソン」「ボブ・マーリー LAST LIVE IN ジャマイカ」

一日のタイムスケジュールに入っています。スクリーンが一つだけだから、

しょうがない事ですが。

その中で選んだのは、「オスカー・ピーターソン」です。

流石に3本連続で見るのは自分的には無理ですので。

 

自分はジャズは詳しくないですが、そんな中でも名前を知っている位の

アーチストですので、この機会に詳しく知ろうかと。

オスカーと言えば、驚異的とも言える早弾き。体格もいいのに、

よくあんなに指が動くものだと思います。アドリブを交えた演奏は、

聴く人を幸せにするとはよく言ったものです。

 

音楽プロデューサーのノーマン・グランツによってアメリカに進出。

(オスカーはカナダ人)数々のアーチストと共演し、知名度を上げていきます。

ビリー・ジョエルやクインシー・ジョーンズ、ハービー・ハンコックといった

著名なアーチストのインタビューを交えながら、本人のインタビューや演奏も

多く盛り込まれて、その演奏に引き込まれます。

 

後半は公民権運動に関わる話も。黒人でもあるオスカーは、

色々と差別を受けてます。今から50数年前までは、白人優遇で

黒人が差別されてきたのが信じられないですが。

そんな中、「自由への讃歌」という曲が、キング牧師に触発される形で

作られます。当時の公民権運動だけでなく、

後の世にも影響を与えることになります。

 

 

後年、この曲に歌詞が付けられることになります。

こちらはコーリー・バトラーによるピアノと、ジャッキー・リチャードソンによる演奏。

 

 

他に印象的だったのが、「ラブバラード」。

 

 

本人の演奏だけでなく、トリビュートバンドの演奏も含まれますが、

このバンドも実力者ばかりで、聴いていて気持ちのいいものです。

ドキュメンタリーですが、演奏に見入ってしまったりと

良質な映画だと思いました。選んでよかったなと。

 

そしてNO.169で紹介した「ボブ・マーリ― ONE LOVE」ですが、

2024年5月17日から公開となります。これも見たいですね。

 

 


NO.230 今後注目の音楽映画

2024-01-28 00:03:18 | 映画

自分がよく行く映画館ですが、老朽化も進み、経営もかなり厳しいようです。

昨年暮れには料金も値上げし、更に寄付を募っています。

大手では扱わない映画を上映してきましたので、

何とか踏ん張ってもらいたいですね。

そう言いながら、映画を見る機会も減ってきていますので、

近日上映予定の音楽映画を調べてみました。

 

ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死

 

謎の死を遂げたブライアン・ジョーンズは殺されたのではないか?

という疑惑に関して追求していくドキュメンタリー。

数年前の作品になります。上映中の劇場が少ないですが、

今後増えるのでしょうか?ちょっと気になります。

 

 

フレディ・マーキュリー The Show Must Go On

 

昨年、紅白にも出場したクイーン+アダム・ランバート。

未だに日本でも人気の高いクイーンですが、

最新のフレディのドキュメンタリーが2月16日から日本でも公開されます。

世界に先駆けての公開だそうですが、1時間に満たない作品ですので、

少々物足りないかも。でもファンならチェックでしょうね。

 

 

オスカー・ピーターソン

 

自分はジャズに関しては詳しくないですが、それでも名前は知っているのが

オスカー・ピーターソンです。彼のピアノは確かに独創的です。

もうすぐ生誕100周年を迎える、彼の伝記的映画です。

多くのロッカー達にも影響を与えてきた人ですので、

これはじっくりと見てみたいですね。

 

 

ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ

 

NO.169で紹介しているボブ・マーリーの映画の続報はまだですが、

嘗て公開されたボブ・マーリーの映画のデジタルリマスター版が

2月9日から順次公開されますね。予習に見るのもいいかも。

 

 

リトル・リチャード アイ・アム・エブリシング

 

NO.211の映画で映像も見たのですが、兎に角インパクトが強かった

リトル・リチャード。ビートルズやストーンズ、そして多くのミュージシャンに

影響を与えてきたレジェンドに関する映画です。

3月以降に公開となりますが、地元にはいつ来るのだろうか?

これは見たい映画ですね。

 

 

COUNT ME IN 魂のリズム

 

レジェンドドラマー達がドラムへの熱い思いを語る

一風変わったドキュメンタリー。これは興味ありますね。

3月15日以降、順次公開です。

 

 

モンタレー・ポップ

 

1967年6月に行われたモンタレーポップフェスティバルの映像を

4K・5.1CH版でレストアしたものです。

日本で正式に劇場公開されるのは、今回が初だという事です。

参加メンバーが凄いです。ジャニス・ジョプリン、ママス&パパス、

サイモン&ガーファンクル、ジェファーソンエアプレイン、

アニマルズ、フー、ラヴィ・シャンカール、オーティス・レディング、

そしてジミ・ヘンドリックス。

この豪華メンバーの映像が、かなり綺麗になっているので、

是非、劇場で見てみたいです。3月15日以降、順次公開です。

 

 

 

そして日本公開は未定ですが、公開されたら絶対見たい映画が

ミスター・ジミーです。

これは、レッド・ツェッペリンのトリビュートバンドをやってきた

ジミー桜井さんの渡米してからの行動を映画化したドキュメントです。

ジミー・ペイジになりきり、この年代にはどういうギターを奏でたか

自分にインプットして演奏するという徹底ぶりで、

ジミー・ペイジ本人にも認められるほどです。

 

 

現在、ジョン・ボーナムの息子のジェイソンと共にJBLZEで

ツェッペリンのトリビュートバンドをやっています。

日本人が活躍している映画なんだから、すぐに日本でも公開してほしいですが、

マスコミも音楽事務所も、自分の所にうま味が無いものは

相手にしないんでしょうね。まぁ何か大きな賞を取ったりで

話題になったら別でしょうが。

兎に角、早く日本でも公開してくれる事を切に願います。

 

 

 


NO.211 映画「リバイバル69 伝説のロックフェス」

2023-11-13 00:48:04 | 映画

本当に今年はミュージシャンが多く亡くなっています。

先日もHEATHさんが亡くなったと思っていたら、

大橋純子さんも亡くなったとの報道が。気分が滅入ります。

そんな今年ですが、ローリングストーンズが久々のアルバムで

現役をアピールしたり、ビートルズが最後と言われる新曲を出したりと

嬉しいニュースもあったりします。

しかも54年ぶりの全英シングルチャート1位とか。

 

そんな中、今回の映画を見に行くことになりました。

「トロント・ロックンロール・リバイバル」というイベントの

ドキュメントで、プラスティック・オノ・バンドの

実質デビューライブが行われた重要なイベントでもあります。

ジョン・レノンが単独での行動をした事で、

ビートルズの解散が見えてくる事になります。

この時の演奏は、「平和の祈りをこめて」というアルバムで聴けますが、

後半のオノ・ヨーコさんの色が強い前衛的な演奏は、

なかなか理解しずらかったでしょう。

 

このイベントについては、あまり詳しく知らなかったのですが、

チャック・ベリーやリトル・リチャード、ボ・ディドリーといった

ロック創成期のレジェンドが登場したり、

シカゴやアリス・クーパーが参加していたりと見どころは多いですね。

ただレジェンドと言われた人達もこの当時は時代遅れとされていたようで、

当初はチケットがまるで売れなかったと。ここからどう逆転していくのか?

その辺りのエピソードは、なかなか面白く、見入ってしまいました。

今では考えられない破天荒さだと。

当時、人気だったドアーズまで参加させることに成功し

(残念ながら撮影は拒否されたとかで演奏シーンがないのが残念)

でもそれでもダメで、ギリギリになってジョンを参加させる事が出来たのは

奇跡に近いかも。そして当日、ドタキャンになりそうな所はハラハラさせます。

 

演奏シーンは、もっとじっくりと見れればよかったですが、

エピソード自体が面白いので、退屈さは感じなかったですね。

何より、チャック・ベリーやリトル・リチャードのレジェンド達の

カッコよさを再確認出来たのがよかったです。

 

 

余談ですが、ビートルズ関連の番組では、NHK総合にて

11月16日(木)午後10時~午後10時45分に

THE COVERS ザ・ビートルズナイト が放送されますね。

見てみようかな。

 


NO.197 映画「シーナ&ロケッツ 鮎川誠~ロックと家族の絆~

2023-10-03 00:19:49 | 映画

自分はロッカーというものは孤独で家族の理解は得られないという

イメージを持っていました。例外と言えるのが

シーナ&ロケッツの鮎川一家ですね。

この映画は、今年亡くなった鮎川誠さんに関するドキュメントに

インタビュー等を加えたものとなっています。

 

黒のレスポールカスタムを相棒に、サングラスに革ジャンのスタイルで

ギターを弾きまくる姿はどこまでもカッコいいのです。

しかしながら家庭では、妻のシーナと3人の娘を大事にしている姿が。

3人の娘たちは、ロックし続けている父親を尊敬している様子が

映像から見てとれます。

 

インタビューも、大きな影響を受けたという、

元ブルーハーツの甲本ヒロトさん、

元ルースターズの花田裕之さん等、思い出話を披露してくれています。

鮎川さんの人柄を感じさせてくれますね。

 

妻のシーナさんが亡くなった後も、シーナ&ロケッツは演奏を続け、

3女のLUCY MIRRORがシーナさんの代わりにボーカルを受け継いだのも

家族の強い絆を感じましたね。

当初はポップ過ぎるのではと賛否両論だった「ユー・メイ・ドリーム」

それでもシーナ&ロケッツには最も重要な曲ですね。

娘に歌い継がれていったのは感無量だったのではと思われます。

 

自分自身は、結局、シーナ&ロケッツを見る機会がありませんでした。

この映画に使われているライブ映像を見て、

一度は生で見たかったなぁと思えたのでした。