大型機の失速

実は大型機の失速は小型機の失速とは全く違います。
ジェット機の翼は高速での飛行に最適化されています。そのために一端気流が翼の表面からはがれてしまうとリカバリーが大変です。
過去の事故やインシデントの事例をみると、高空で失速した場合、１万フィートも高度を失った例があります。さらに失速からの回復操作の途中で、速度超過を起こしたり、過大なGをかけたために空中分解した例もあります。
大型ジェット機は失速に入れないことが、非常に重要です。

またスティックシェーカーが常に作動するとは限りません。ＦＡＡの基準によればフラップが出ているときは失速警報装置が先に作動しなければならないのですが、フラップが上がっているクリーンな状態では、失速警報装置または明確なバフェットが認識できれば良いとなっています。

メーカーのテストパイロットによると、７４７のフラップアップではバフェットが先にくるそうです。それも小型機のような周期の短いガタガタというバフェットではなく、ゴーンという揺れがあってしばらくしてまたゴーンという揺れがあるような感じだそうです。

もう一つの問題点は、高空に上がると速度が多すぎるとハイスピードバフェットが起きます。速度が少なすぎるとロースピードバフェットが起きます。バフェットが起きたときにどちらで起きているのかを見極めなければなりません。