ある日唐突に異次元の黒魔女から挑戦状が濃姫子の下宿に送られてきました。
「呼ばれず!飛び出ず!ドンドロド~~~ン!
濃姫子をつくる前に、実験的に濃姫子Ver.0を作ってみたよ。
濃姫子Ver.0は、お前のお姉さんにあたる姉妹だよ。
金華山の麓の洞窟の信長ダンジョンの中に隠れているはずよ。
くやしかったらさがしてみな!」
挑戦状は物凄くへたくそな文字でそう書かれてありました。
「私にお姉さんがいたのね!探しに行かなくては!」
「でも信長ダンジョンってどこにあるの?」
淡姫子がいいました。
「金華山の麓にあるらしいわ」
「じゃあ、今すぐに金華山へ行きましょう!」
2人は金華山へ直行しました。
信長ダンジョンは織田信長が部下を訓練するためにどこかの洞窟の中に作られたらしいのです。
金華山麓の信長住居跡を探していると、おおきな穴が見つかりました。
「濃姫子ちゃん!ここに大きな穴があるわ!」
「ここが信長ダンジョンにちがいないわ!」
そういうと2人は穴の中へ入っていきました。
穴の中は真っ暗で何も見えません。
でも何かの気配がします。
穴の中を歩いていく2人の周りで何かがウロチョロしています。
「何かいるわね!」
濃姫子が手探りで何か生き物のようなものに触ってしまいました。
「はじめまして、ボクは大山椒魚のさらまんサンたろうです。ここのダンジョンの中に住んでいます、さらまんくんと呼んでね!」
さらまんくんは松明に火をつけ、真っ暗な洞窟を明るく照らしました。
「私たちは、濃姫子と淡姫子よ!お姉さんの濃姫子Ver.0を探しているのよ!」
「それなら僕がこのダンジョンの中を案内しましょう!」
「お姉さんは私たちと同じ顔をしているの、見たこと無い?」
「その顔には見覚えが・・・・・」
さらまんくんが言いました。
3人が暗闇を歩いていくと祠のようなものがあり、中に戒壇巡りがありました。
谷汲山華厳寺にあるような戒壇巡りでした。
卍形の真っ暗な通路を歩いていくと御本尊につながる極楽の錠前があって、触ると極楽にいけるというものです。
もし触ることができないと犬になってしまうとも言われています。
「こんな真っ暗な中を、また歩くのは怖いわ!」
「大丈夫ですよ、僕がついていますから!右手を壁につけて歩いていけばたどりつけます」
と、さらまんくんが元気づけます。
3人は卍形の通路を歩いていくと、濃姫子の手が極楽の錠前に触れました。
「やったわ!極楽の錠前に触ったわ!」
「えっ?どこどこ??」
淡姫子があわてています。
長い通路の終わりには、出口の小さな明かりが見えました。
濃姫子とさらまんくんが出口へ出ると、足の下を一匹の犬が走っていきました。
極楽の錠前に触れなかった淡姫子が犬になってしまったのでした。
「心配ありません、時間がたてば元に戻りますよ!」
さらまんくんが濃姫子に言いました。
戒壇巡りの出口には江戸時代の美濃の街並みが現れました。
その町はダンジョンをクリアできなかった人々が、昔から住み着いてしまった異次元の町だったのです。
大きな城下町の真ん中に大きなお城が建っています。
町はいろんな店があってにぎわっていました。
でもなんだか騒がしいのです。
毎年ナマハゲのような鬼が現れて、町一番の美人の娘をさらっていくのでした。
それが今日だったのです。
「まぁ!私が一番狙われるわね!」
濃姫子が言いましたが、みんなは聞いてないふりをしました。
「町一番の器量よしといえば蕎麦屋のおみっちゃんが、今年は狙われているそうだ!」
「おみっちゃんも災難だな・・・」
「しかし鬼には誰も勝てないよ!」
それを聞いていた濃姫子が言いました。
「その鬼を私が退治てくれよう桃太郎、ポポポポポ~~ン!」
いきなり大阪弁のおっさんが言いました。
「あんたは桃太郎侍でっか?」
「違いまぁ~す!濃姫子ちゃんでえぇ~す!」
「あんさんみたいな女の人が、鬼を退治できるんでっか?」
「鳴かせてみよう!ホトトギス!!」
草木も眠る丑三つ時、犬になってしまった淡姫子が遠吠えしています。
蕎麦屋のおみっちゃんの所へ、ナマハゲ鬼がやってきました。
「悪い子はいねがぁ~~!!」
そう叫ぶとナマハゲ鬼はおみっちゃんを連れ去っていきました。
「さぁ!匂いを嗅いで鬼を追跡するのよ!」
濃姫子は犬になった淡姫子に言いました。
「わんわん!」と吠えながら、淡姫子犬は鬼を追跡します。
鬼のアジトへつきました。
鬼はナマハゲのお面ををはずしました。
なんと、そのナマハゲのお面のしたの顔は濃姫子そっくりの顔だったのです!
「お姉さん?!」
濃姫子は影から飛び出して叫びました。
「そうよ!私は濃姫子Ver.0よ!濃姫子のお姉さんだから”濃濃姫子”と呼んでね!」
濃濃姫子はそう名乗ると濃姫子を抱きしめました。
「お姉さん!」
「妹よ!」
「でも、なんでナマハゲの格好なんかしているの?」
「これには深い訳があるのよ!」
「どんな深い桶?」
「桶じゃなくって、訳よ!」
濃濃姫子はナマハゲになったわけを話ます。
「ここの城主はすごくスケベでエロイの!毎年町一番の美人が手篭めにされてしまうの、だからナマハゲになって美女たちをすくっているのよ!
つれてきた娘たちは、裏山の隠れ里で平和に楽しくやってるわ!」
それを聞いて濃姫子は言いました。
「じゃあ、悪いのは城主なのね!では、城主にお仕置きしてやりましょう!」
濃姫子ちゃんは鮎菓子1個を食べ、濃姫子ゴージャスに変身!
町の真ん中のお城へ行き、城主に懇々とお説教を10時間もしました。
城主は、濃姫子のお説教にうんざりして改心しました。
そしてエロ城主を返上して、真面目で民思いの名君になることを人々に誓いました。
お城の裏には、岐阜の町へと続く大きな門があります。
「さらまんくん!ありがとう!おかげでお姉さんに会えたわ!」
濃姫子はさらまんくんにお礼をいい、そこから3人は長良温泉商店街へ帰ることにしました。
淡姫子も時間がたって犬から元の淡姫子に戻りました。
金華橋の欄干から、望遠鏡でこの様子をうかがっていた異次元黒魔女はくやしがりました。
「くそぉ!またちょっといい話で終わろうとしてるのね!くやしいわ!」
そこに欄干にへばりついていたコアラが言いました。
「あんた、なにやっとりゃーすの?悪もんとちがわへん!」
「いや・・わたしはただの通りすがりの黒魔女ですわ!オッホッホッ・・」
「でりゃー怪しいでかんわ!」
そういいながらコアラは黒魔女に頭突きをくらわせました。
黒魔女は橋から落ちて、長良川にドブンと落ちました。
「濃姫子め~!おぼえとりゃ~よ!!」
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