「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

★(小説「傾国のラヴァーズ」)作者・愛田莉久よりお知らせ

2023-05-10 10:44:00 | 日記
いつも小説をお読みいただきましてありがとうございます。
作者の愛田莉久です。

今日は珍しく午前中の更新となっております。
これからも時間帯まちまちのアップとなりそうですが、よろしくお願いいたします。

また、閲覧者さまの利便性向上のため、小説のタイトルの前に◆などのマークをつけることにしました。よろしかったらしおりの代わりにご利用ください。

また、更新情報はツィッターでもご確認いただけます。
作者のつぶやきも結構ひそんでますので、こちらもよろしかったらご利用ください。

それでは今後ともよろしくお付き合いくださいませ。







◆小説「傾国のラヴァーズ」その45・聖名のジェスチャー

2023-05-10 10:00:00 | 傾国のラヴァーズその41~50
 無言電話にこんなに緊張したことはなかった。
 しかし、聖名以外の人間が聖名のそばにいることをわからせてやろうと、もう一回言った。
 
「もしもし」

 すると、中年の女性の声で、

ーあの、鈴崎さんの携帯ではないですか?

「はい、鈴崎は弊社の社長ですが」

すると びっくりすることを言われた。

ー私、聖名の叔母の矢野と申します。聖名に代わっていただけませんか?

「おばさん?  矢野さんですか?」

 俺が驚いていると聖名はまた慌ててそれを引き取った。

「もしもし おばさん?  非通知だったからわからなくって…」

 楽しそうに話しながら聖名は俺をちらっと見て何事か
ジェスチャーを送ってくる。結構必死だ。

 あーなるほど。上半身にも服を着ろってことか。

 聖名 はこんな時もきちっとしてるな…




小説「傾国のラヴァーズ」その44・聖名の笑顔

2023-05-08 22:01:00 | 傾国のラヴァーズその41~50
 聖名の笑顔はリラックスしていたので 俺は安心して冷蔵庫に食材を入れ始めた。

 久しぶりの知人との商談は長電話になった。
 
 それで 夕食は俺が適当作ったのだが 、聖名は美味しいと言ってくれた。しかし、そんな事よりも商談のことばかり楽しそうに話していた。

 と、そこで何かを思い出したように、

「そういえば 土曜日って センパイは、休み?」

「いや、 この部屋で勤務だよ。あなたが行くところならどこへでもお供しますよ」
 それでさっきの電話の主のもとへ行きたいと言われた。
「もちろん、いいですよ」
 それを聞いた聖名の、ぱあっと広がった笑顔はいつも以上に輝いて見えた。

 こっちまで幸せな気分になった。


 しかし、俺がいつも通り 手早くシャワーを浴び終えて服を着ていると、洗面所のドアの向こうで聖名があたふたしているようなのが伝わってきた。

「聖名! どうした!」

 急いでドアを開けると聖名は、

「非通知!  携帯に!」

 と、怯えた表情で、自分の携帯を俺に渡してきた。嫌な思いを以前しているからだ。
 それでも、まだ若い会社なので社長の聖名は非通知でも出ないわけにいかない。
 そんな彼を守るためにも、俺はこの部屋に派遣されている。

 俺は携帯を受け取ると落ち着いて出た。

ーもしもし。

 電話の向こうは無言 だった。




小説「傾国のラヴァーズ」その43・聖名のセンパイ

2023-05-07 21:58:00 | 傾国のラヴァーズその41~50
 高橋さんとしては、心配していた怪しい事件でもあったのかと気になったのだろう。
 俺は安心してもらおうと、
「ゆうべは2人で動画を見て楽しんでいたんです」
 高橋さんはほっとした表情を浮かべ、
「そうなんだ。でも何かあったら絶対に教えてね」
「わかりました」


 帰りは約束した通り、スーパーに寄って帰った。

 俺が住み込んだことで聖名の家でかかる経費は、全て 聖名持ち ということになってはいる。
 でも「センパイ」としては 何だか申し訳ないので、聖名には辞退されたが、今回はせめても と、お菓子とノンアルコールビールを買った。
「この前の動画鑑賞が楽しかったからさ」
 チョコレートを選んでいた聖名は、一瞬驚いた様子で俺を見たが、
「心霊動画はまだまだあるから楽しみにしてね」
と、笑顔を見せてくれた。嬉しかった。
 
 …いかん。どうも聖名の前では「センパイ」気分になることが多くなってしまった。一週間でこのザマでは…予想外の悩みだった…


 家に帰ると家の固定電話に留守電が吹き込まれている最中だった。
 急いで俺が出ると、

ーそちらは 鈴崎社長の会社ではありませんか

「はい、 鈴崎オフィスです」

ー私は成北大学の野元と申しますが、鈴崎社長は…

 俺が復唱すると、すぐに聖名は、代わって、と受話器に手を伸ばしてきた。
「鈴崎です、お久しぶりです…3年ぶりですか…」
と、懐かしそうに話を始めた。




小説「傾国のラヴァーズ」その42・眠そうな二人

2023-05-06 22:25:16 | 傾国のラヴァーズその41~50
 …聖名は天を仰ぐと、てことはやっぱり一緒じゃなきゃだめか、と口をへの字にして悩む。

 そしてその横顔はちょっとやつれている。

 でも2人暮らしには耐えてもらうしかないし、ここまで 怪しい人物の接触がないのは幸いだったのだ。

(そういえば 会社のない土曜 日曜はどうすればいいんだろう…)
(ゆうべはあんなにはしゃいでいたのにな)

「じゃあ仕方ない 。2人で行こう」

 聖名の決断を聞いて、俺は ふと気づいた。

「もしかして 何か用事があったの? デートとか それだったら…」

「いや オレ今誰とも付き合ってないし」

 何だかすごい勢いだったので、びっくりしてしまったが、返って怪しいと思い、それに ショックを受けている自分にも驚く。

「それでは買い出しは一緒にということで、よろしく」

 俺も何か言ってやりたくなって、
「トイレにもついてった方がいいですか?」
すると 聖名は大笑いして、
「昼間は大丈夫です」
と、答えてくれた。


「2人とも眠そうですね」
 聖名が会議室に行っている間に、 高橋さんから心配そうに言われた。