「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その43・聖名のセンパイ

2023-05-07 21:58:00 | 傾国のラヴァーズその41~50
 高橋さんとしては、心配していた怪しい事件でもあったのかと気になったのだろう。
 俺は安心してもらおうと、
「ゆうべは2人で動画を見て楽しんでいたんです」
 高橋さんはほっとした表情を浮かべ、
「そうなんだ。でも何かあったら絶対に教えてね」
「わかりました」


 帰りは約束した通り、スーパーに寄って帰った。

 俺が住み込んだことで聖名の家でかかる経費は、全て 聖名持ち ということになってはいる。
 でも「センパイ」としては 何だか申し訳ないので、聖名には辞退されたが、今回はせめても と、お菓子とノンアルコールビールを買った。
「この前の動画鑑賞が楽しかったからさ」
 チョコレートを選んでいた聖名は、一瞬驚いた様子で俺を見たが、
「心霊動画はまだまだあるから楽しみにしてね」
と、笑顔を見せてくれた。嬉しかった。
 
 …いかん。どうも聖名の前では「センパイ」気分になることが多くなってしまった。一週間でこのザマでは…予想外の悩みだった…


 家に帰ると家の固定電話に留守電が吹き込まれている最中だった。
 急いで俺が出ると、

ーそちらは 鈴崎社長の会社ではありませんか

「はい、 鈴崎オフィスです」

ー私は成北大学の野元と申しますが、鈴崎社長は…

 俺が復唱すると、すぐに聖名は、代わって、と受話器に手を伸ばしてきた。
「鈴崎です、お久しぶりです…3年ぶりですか…」
と、懐かしそうに話を始めた。





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