エネルギー・原子力政策に関わったことがある経産省キャリアは、こう語る。
「経産省の中にも、特定の電力会社による電力供給体制を見直し、発電と送電を分離して、電力自由化を
目指すべきという意見はあります。でも、省内でその話が出ると、いつの間にか潰されてしますのです」
2003年に経産省の若手官僚が、核燃料サイクルには実は19兆円ものコストがかかることを突き止め、
「国民に事実を知らせないまま電気料金に上乗せするのは問題がある」として、告発しようとした。
ところがこの官僚は将来を嘱望されたエリートだったのに、すぐ左遷され、まもなく退職を余儀なくされてしまった。
現役経産相キャリアの古賀茂明氏はこう語る。
「東京電力を中心とする電力会社は、政治家、官僚、マスコミ、学会をほぼ支配してます。
省内で電力自由化の議論をすると、理屈の上では最初、反対は少ない。
ところが、時間が経つと審議会に呼んだ自由化論者の学者も次々と電力会社に篭絡(ろうらく)されていき、
最後に残るのはたいてい一人。学会でも干されてしまう。
東電を敵に回すと、知らないうちに省内で孤立して行くんだと改革派と言われた同僚が言ってます。
改革派と言われた幹部が電力会社の圧力で、部下に「自分の身は自分で守れよ」言って
梯子を外したというひどい話も聞きました。
経産省の歴史は、電力会社と戦った官僚が排除されてきた歴史でもあるのですよ」
たとえば前出の経産省キャリアはこう証言する。
「ある人が、将来の次官ポストでもある資源エネルギー庁電力・ガス事業部長に就任した際、
官房長に呼ばれ「お前は電力と酒を飲んで遊んでればいい」と言われた。
でもその人は骨のある人だったので、あまり電力会社の言う事を聞かなかった。
すると、次官候補だったのに、次のポストを最後に退官することを余儀なくされました。
やめる際、東電の役員から「すまん、悪かった、悪かった」などと声をかけられ、
その時初めて、自分が東電の逆鱗に触れたため切られたことに気づいたそうです」
さらに、今回の事故では原発や電力会社に規制をかけ、指導する立場の原子力安全・保安院の無機能ぶりが
露になっているが、これも身内の官僚らからすれば「当たり前」だという。
規制する保安員と、推進する側の原子力政策課の間で言ったり来たり異動が行われるのですから、どうにもなりません。
それに、保安院に行くと、電力会社の扱いが凄い。
たとえば原発の定期検査に行くと、制御室のコントロールパネルに、「ココを押してください」と
ボタンまで赤いテープが貼られている。
そのボタンを押すと、「ピープーピープー」と音がして緑のランプがつきます。
すると、周りにいる電力会社の社員が一斉に「ありがとうございます!」と言って拍手するんですね。
それが”定期検査”なんです。まで
週間現代より
計画停電 狙いは原発存続?
電力不足キャンペーン情報操作
東電が持つ売れる資産
追:何となく分かっているつもりでしたが、あらためて聞くと醜いことこの上なしといった感じです。