世紀末の詩

無駄な競争は心を貧しくする

東電値上げとボーナス/年収へのリアクション

2011年09月20日 | 原発関連
東電値上げとボーナス/年収へのリアクション/増沢 隆太
INSIGHT NOW!2011年9月19日(月)22:10
原発事故対策も含め、東京電力の電気料金値上げスキームが報道されました。震災対策を含めた消費税増税への理解も進む中、東電料金値上げは出来るのでしょうか。根本的に事態を飲み込めていない役人根性はおよそ説得力を持ちません。

原発事故の責任を取って、東電会長や社長は年収の50%削減を宣言しました。社員も階層毎に減給、ボーナスも半減ということです。海江田前経産相によれば、東電の役員報酬は2009年度で平均3700万円、社長は約7200万円とのこと。
もちろん事故が起きるまで、東電は日本を代表する超大企業であり、一流企業の象徴でもあった訳で、賃金コンサルタント等の意見からすれば、企業規模に比して、これらの役員報酬は高くはない、とのことです。
そーなんでしょうか?

そもそも東電という存在をソフトバンクやソニーや日産と比較するのは間違っていると思います。なぜなら東電は一民間企業ではおよそないからです。ソニーがなくなっても、影響は大きいものの代替する電機メーカーは存在します。ソフトバンク、日産も同じ。しかし東電は違います。代わりとなる電力会社は存在しません。
インフラ事業なので、準公務員的存在で特別な保護がなされている(一部上場企業ではあっても)事自体は理解できますが、そうだとすればこのベラボーな年収はどうなのでしょう。

日産もソニーも自らのリスクを背負って儲けを出し(今季は赤字だったりするかもですが)その上で役員報酬を決めています。民間企業として成否はともかく間違っていないと言えます。この業績でゴーンさんが8億は無いだろうとは思いますが、報酬決定に違和感は感じません。
東電は同じでしょうか?絶対に違います。

このような大災害がなければ事実上絶対につぶれない、超巨大企業は公務員と同じです。それなのに今回このような大事故を起こし、しかも東電側に相当な瑕疵があるにもかかわらず、その損害を料金値上げで対処しようというのは、およそ理解を得られるとは思えません。

結局民主党政府は東電を潰さず、その責任を事実上免責するかのごとき救済スキームを決めた菅政権・枝野官房長官は、全面的にその責を負わなければなりません。
株主と従業員を保護する、というのは間違いでしょう。なぜなら民間企業であり、上場企業だからです。そうしたリスクを踏まえて株を上場している訳で、それを政府が助けるというのは全く整合性がありません。私は個人的には会社更生法が適すると思います。その上で再建会社として、既得権を剥がされた新東電と送電分離等、新たなスキームを作っていくのが筋でしょう。

要するに東電は、事実上の公務員待遇としての絶対安全保障の権利と、民間企業としての超高給待遇という、相反する利権を両方維持しているのです。
公務員の待遇が悪すぎる等のブログやコラムがありますが、全く立場/安全度の異なる公務員と、民間を同じ土俵で給与比較することが全く理に適っていません。

元に戻しますと、今回電気料金を3年間値上げするものの、被害対策が3年で終わればまた社員ボーナスも元に戻すことで痛みを分かち合っているという主張のようです。
本当は倒産すべき会社が、無理やり政治の力で生き残れているのです。倒産会社でボーナスが出ること事態が異常なのです。社員の給与は一気に削減は難しいでしょうが、ボーナスはゼロとしなければ納得など得られる訳がありません。
東電は倒産会社ですから。

東電に投資していた個人株主も無数にいることでしょう、全財産が1/10になってしまった方もいるとか。当然ですね。東電株は貯金ではありません。株式投資です。株で損してもそれを政府が保証してくれるなら、それは株式投資ではなく、政府によるカネの支給です。そんな資本主義の根幹を揺るがすような無法が認められて、なおかつボーナスや、異常な高給が保証されるという事態の認識を、あらためて倒産会社としての認識の無さっぷりに非常に憤激をいたしました。


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