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水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

「アガサ・レーズンの困った料理」  M・C ビートン

2013-08-23 20:07:26 | 読書
コージーブックスというシリーズ名も
この表紙の絵も、
なんだか可愛らしいイメージだけど

読んでみると、なかなか本格ミステリー。

そしてミステリーの内容よりも
主人公のアガサ・レーズンという女性がとても魅力的に描かれているのが良い。

53歳、ミズ(ミセス?)アガサ・レーズン。

貧しい労働者階級で、とても愛情深いとは言えない両親に育てられたアガサ。
学校も途中でやめさせられ、仕事をさせられた彼女は
持前の向上心で親には内緒で貯金し、
ある日貯まったお金を持って家を飛び出す。
ウェイトレスをしながら学校に行き、
PR会社の秘書となる。
若気のいたりでロクデナシと結婚してしまうが
その男にも別れを告げ
その後自分でPR会社を経営するまでになり、
53歳のある日、
幼いころからの夢を叶えた。

それは、会社を売って、ロンドンの家も売って、
コッツウォルズ地方の快適なコテージに移住すること。


彼女のいかにも都会の仕事人間らしさと
攻撃的な仮面の下に隠した繊細さ。
それが生き生きと描かれている。

田舎に越して、のんびりと美しい人生を過ごしたい。

そんな夢を抱く人は多いかも。
都会の雑踏の中であくせくと自分を見失う毎日の中で
「これは一時的なもの。いずれはゆったりとした暮らしをする自分がいるはず。」
そんなことをふと思う。

で、温かく心地よいイメージだけを抱きながらある日田舎にやってくるのだ。

でも、そうはいかない。

田舎の人間関係は煮詰まっているだけに、
都会以上のドロドロがあるもの。
都会の人間は田舎の人間をちょっとバカにしてるのかもしれない。
癒される場所には癒されるものしかないはず。
そんな幻影を自分の中でどんどん膨らませてしまうのだ。

シウはこのアガサに共感できるところがたくさんで、
読んでいて彼女の気持ちが痛いほどわかる。

こんなところに友達なんて一人もいらない!と強がってみたり
でも親しく話しかけてくる人がいると、その人との関係を実際以上に深く感じてしまったり。
都会にいる時とは別な意味で、自分をかなり見失ってしまうのだ。
孤独との付き合い方がわからなくなってしまうのよね。

そんなアガサだから、
田舎のキッシュのコンテストに
ロンドンでも有名な専門店の一流のキッシュを取り寄せて
「私が作った」と出品してしまう。

ところが、アガサが“作った”キッシュを食べた人が死んでしまう。
警察はアガサに、警官の目の前でキッシュを作ってくれと迫り・・・。


M・Cビートンという作家は
実際にコッツウォルズに住んでいるそうで
本国では100冊以上もの著書のある有名な作家なのだとか。
このタイトルと表紙で
なんでシウが興味惹かれたのか、全然自分でもわからないけど
これは拾い物だった!

このアガサのシリーズも22作品出ているそう。
翻訳はこれを含めて3冊とのことなので
これからも楽しみ。
kindle版、出ないかな~。
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2 Comments

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Unknown (ライムグリーン)
2013-08-23 21:26:09
おっ!!

なんか面白そう…!!
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ライムグリーンさん (シウ)
2013-08-24 10:59:30
読んでみてほしいですが
世代によって、感想が分かれるかもしれないですね。
53歳のアガサっていう人に共感できるかどうかがカギ。
返信する

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