『ブラック・シー』
"BLACK SEA" (2014・イギリス=ロシア・1h55)
製作・監督 : ケヴィン・マクドナルド
出演 : ジュード・ロウ、ベン・メンデルスソーン、スクート・マクネイリー、ボビー・スコフィールド、グレゴリー・ドブリギン
海洋サルベージ会社を解雇された男は黒海に沈む金塊を積んだUボートを目指してイギリス・ロシアの混成チームを組み中古の潜水艦に乗り込む。
ネタバレ有。
潜水艦映画としてなかなかの秀作だったと思う。潜水艦映画は大半が戦争映画だけど本作ではそこを外して海底に眠るお宝を目指すトレジャーハンティング。
他国の領海内に沈んでいるUボートに極秘に近付くため密入国しなければならず、そのため艦内でアクシデントが起きても迂闊に海上には浮上できないという所に戦争映画のエッセンスも感じられる。
また深海映画でも有り、深海映画と言えば『アビス』で、本作も深海での作業といった所に『アビス』っぽさが感じられて嬉しく好印象。
艦内でのイギリスとロシアの対立が激化する中、なんとかしようと一人のロシア人につたないロシア語で話しかけるジュード・ロウ。
「ピロシキボルシチビーフストロガノフダーダー」
と、ロシア人は「なに言ってっか全然分かんねえ」と英語で答える。
「え、英語?英語しゃべれんの?」
「うん」
「なんでそれ言わないの?」
「うん、聞かれなかったから」
といった感じのやり取りが緊迫した状況の中で面白かった。
潜水艦内部が舞台になり、乗組員はむさ苦しい野郎たちなので明るく楽しい冒険譚にはならず、急造混成チームによるいざこざやいがみ合いがシビアに描かれ、艦内アクシデントや沈没の危機を乗り切ろうとする乗組員たちの姿がたくましく描かれる。
そのどぐされサブマリナーたちをまとめるリーダーがジュード・ロウ。最近は外見の変化に伴いマッチョなイメージも前面に押し出している様でカッコ良かった。
ほろ苦な結末もそのマッチョさゆえといった所でも有るのだろう。
2013年。ウィンブルドンでテニスを観戦中のジュード・ロウ。
潜水艦映画と言えば
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E8%89%A6%E3%82%92%E9%A1%8C%E6%9D%90%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E4%BD%9C%E5%93%81
古いのはほとんど観ていないが、『Uボート』『レッド・オクトーバーを追え!』『クリムゾン・タイド』がメジャーと言えるのではないだろうか。
マイナーな所では、デヴィッド・トゥーヒー監督、ダーレン・アロノフスキー脚本の『ビロウ』、韓国映画『ユリョン』、『スティング』(脚本)』『メジャーリーグ』(監督)のデヴィッド・S・ウォード監督によるコメディ映画『イン・ザ・ネイビー』(旧題『潜望鏡を上げろ』)が面白かった印象。
デヴィッド・S・ウォードは『イン・ザ・ネイビー』以降監督作は無い。つまりは『イン・ザ・ネイビー』がどういった作品なのかも推し量れるが。