goo blog サービス終了のお知らせ 

gooブログはじめました?

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

『エミリア・ペレス』

2025-04-02 14:53:59 | 映画

『エミリア・ペレス』 2024年、フランス=ベルギー、2時間13分。を観た。

メキシコシティ。危険な街で弁護士の職を得ながら上司のための下働きに甘んじているリタの前に突然現れる泣く子も黙る麻薬王マニタス。リタの有能さを見抜いているマニタスは破格の報酬で極秘の依頼をするがリタには断る権利は無かった。

 

ネタバレ有り。

 

ミュージカルだったのが意外だった。メキシコの麻薬カルテル絡みという事で物騒になり過ぎるのを和らげるためなのかと思った。実際その効果は有ったと思うがそれよりも麻薬カルテルがそれほど絡んではこない。

ミュージカルなのも麻薬カルテルの事も想像していなかったが話自体も思ってもいなかった方向にどんどん進んでいく。

自分の観た限りでジャック・オーディアール監督作品は必ずハッピーエンドでいくら不穏な前触れが起きても安心して観れていたが本作はどう考えてもハッピーエンドは無理だと思えた。

実際ハッピーエンドでは無かった様に思えたが、しかしよくよく考えてみればエミリアはその町の人たちからしたら突然どこかから現れて豊富な資金力によって町の浄化を始めた聖人(聖母とは言わない方がいいのか)で、エミリアが現れてからは多分何ヵ月という感じだったと思うけどその成果は確実に出ていたその矢先にああいう事が起きた事で更にエミリアを周囲の人から見た聖人にしたのだろうと思う。エミリアが聖人になる事を望んでいたのかは分からないがこれもある意味でハッピーエンドなのかもしれない。『スカーフェイス』のトニー・モンタナの最期、誰も信じられなくなって屋敷に何台も防犯カメラを設置して厳重な警備を施してドラッグでラリってる中殺し屋集団の襲撃受けて重火器で応戦するけど蜂の巣にされる事からしたらやっぱりハッピーエンドではないか。

町の人たちはエミリアの聖人伝説を疑わないけど、その伝説の裏側には知る人は殆どいない想像もつかない物語が有ったと。裏側の重大な一部だけを知るのがリタと整形外科医。実際の聖人伝説を知らないけどどんな伝説にも知る人の少ない裏側が有るという事か。

情報過多な現代(自ら発信するという意味においても。それによって現実で本作の主演俳優の過去の行動が議論を呼んだ)では神聖な伝説は起こり得ないのかもしれないが、もし現代で起こり得るとしたら自分の過去を消したくてそれが完璧に出来る人物は麻薬王ぐらいだけなのかも。

ジャック・オーディアール監督はちょっとした日常描写が上手い監督だと思っている。本作ではメイド達が休憩時間にスキーゲームをする所。あれで雇い主のエミリアとメイドとの関係が良好なのが窺える。スイスでもメイドと言うかスタッフ(?)の人達と別れを惜しんでいるシーンが有って、こちらはエミリアではなく元妻だったけど人間関係が良好に築ける人物である事が窺えた。


『邪悪なるもの』

2025-03-23 20:48:15 | 映画
『邪悪なるもの』 2023年、アルゼンチン=アメリカ、1時間40分。を観た。
片田舎の村で下半身だけの死体を見つけた兄弟。翌日近隣の家を訪ねるとその死体の人物は悪魔憑きの処理人ではないかという事だった。その家の長男が悪魔に憑かれ処理人を依頼してから1年が経っていたが遂にその家に現れる事は無かった。悪魔憑きの処理は行政機関を通して正規の手続きの元行なわれなければならないが行政が当てにならない事を知る土地の所有者は悪魔に憑かれ腐敗した肉体を村から遠く離れた場所に遺棄するため兄弟の手を借りる。

ネタバレ有。

ここのところオカルト系の作品を観ても居眠りこかないので油断していた。本作では最後の方で多分がっつり寝てはいないがウトウトしてしまったのでどういう事だったのかよく分からなかった。救いは無かった様ではあった。

学校が春休みに入ったのか観客は高校生らしき人を含めて年齢層はそんなに高くなかった。巷じゃいわゆる若者向けの映画も公開されている中でどうやってこの映画に辿り着いたのだろう?公開から2カ月近く経ってるし有名スターは出ていないし。主役の一人がちょっとヒュー・ジャックマンには似てた。
本作を観た若者が将来もしかして映画を作る側になったら本作みたいな映画も作って欲しいなと思う。


『教皇選挙』

2025-03-23 20:31:41 | 映画
『教皇選挙』 2024年、アメリカ=イギリス、2時間。を観た。
ローマ教皇の死去により次期教皇を決めるための選挙が行われおじいちゃんたちが右往左往する。

神に仕える聖職者でも人間のする事はどうしようもないなと分からせてくれる。薄々知ってはいたが。
現代に合わせてちょとずつは変われるかもしれない。と、ちょっとだけ希望は有った様にも思えたけど本作で起きたような事が現実でも起きるかと言ったらどうなんだろうか。現実では起きそうもない事が起きない限り変われないんだったらやっぱり変われないんじゃ。


『Away』

2025-03-23 07:57:56 | 映画
『Away』 2019年、ラトビア、1時間21分。を観た。
島の一本の木にパラシュートが絡み身動きの取れない少年。やがて巨大な黒い影が現れ少年を飲み込むが寸手の所で逃れるもののその後も影は執拗に少年を追い続ける。少年は落ちていたリュックを拾いその中にあった地図を頼りに人里を目指す。

『Flow』のギンツ・ジルバロディス監督のデビュー作。『Flow』のアカデミー賞長編アニメ賞受賞と日本での公開を記念して新宿武蔵野館で再上映。初上映は2020年の12月。ポスターは印象に残っているがコロナの影響も有ったのかその時は観なかった。

本作は監督が一人で作り上げたのだとか。『Flow』ではアニメーション監督が別にいる。
どういう作り方をしたのか分からないが従来のアニメの作り方とは違う様な感じがした。
今、モンスターハンターとかみんなやっているみたいな話だけを聞く。モンスターハンターが何をするゲームなのか知らないけど恐らくモンスターを狩るゲームで、そのゲームの世界でモンスターを狩らずにゲームのキャラクターを使って何かの物語を作ったりする事も可能なのだろうか。この映画はそれをやった様な気がする。まずゲームの世界を作ってそこでキャラクターを動かしている様な。全然違うかも。
CG作品って例えば渋谷の街並みを一度作ったとして、それを1980年代だったり2100年代に出来たり、どこか別の国の街並みに変えたりも出来るのだろうか?京都の時代劇の屋外セットの様な色々使い回しが出来るのか?
セルアニメの美術背景はわずか数秒のために緻密に描き込まれるのも有るがそれらが再利用される事は無いのだろうか。テレビシリーズアニメではお馴染みの背景という感じで有るけど。

最後はどういう事だったんだろう?『Flow』に繋がる事も有るんだろうか?亀は何?


『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』

2025-03-21 15:37:02 | 映画
『映画おしりたんてい スター・アンド・ムーン』 2025年、日本、1時間17分。を観た。
行方不明になった親戚のお姉ちゃんコーラちゃんを探して欲しいとおしりたんていに頼むコアラちゃん。アイドル志望のコーラちゃんは大スターのスターまぶしが主催するアイドルコンテストに参加した後に姿を消した。スターまぶしが何らかの事情を知っていると睨んだおしりたんていはスターまぶしに接触する目的で自らコンテストに出場するため開催地のスターダス島へと向かう。
一方かいとうUはかつて所属していたかいとうアカデミーのボスかいとうGから月光石を取り戻そうとしていたがかいとうGの手下であるかいとう達の手によって脱出不可能とされる地下深くへ落とされる。地上からのゴミが降り積もるその地下ではかいとうGのDARK AGE(ダーク・エイジ)計画が進められていた。

映画版の『シリアーティ』から観始めたがその次の『さらば愛しきおしりよ』でも短編と中編の組み合わせの構成で短編と中編の物語がつながっているのが面白いと思っていて本作でもそれを期待していたけど今回は1本丸々の短めの長編作品になっていた。おしりたんていのスター編とかいとうUのムーン編で一つの物語になっている。
観終わってしばらくしてから主題歌流れたっけ?と記憶が定かでない。
作品内におしりを探すのはテレビの方でも定番で、最近クレヨンしんちゃんでもチョコビを探せをやってる。今回のは色的にカモフラージュされているのも有ったので全部は見つけられなかった。後、カモノハシの迷子を探せも加わっていて、それはそういうゲームだとは気付いていなくて何故かカモノハシが不自然に目につく所にいるなあと思いながら観ていた。
色々と言葉遊びが有って楽しい。それとメインのターゲットはちびっ子だけど付き添いのお父さんお母さん、そしておじいちゃんおばあちゃん向けの小ネタが有って、おじいちゃんおばあちゃん向けの小ネタが楽しい世代。マッチとかウィンクとか一世風靡セピアとか。
テレビの方は気が向いたら観るくらいの感じであまり気が向かないのでほとんど観ていない。テレビの方ではかいとうアカデミーはそれほどフィーチャーされていないのだろうか?本作で壊滅させたけどテレビの方にその影響は無いんだろうか?別の新たな悪の組織を出せば済む話ではあるけど。
シリアーティを永遠のライバルとすればいいのか。問題は福山さんが引き受けるのか。今回のスターまぶしはミッチー及川光博さんの案は無かったんだろうか。

ネタバレ有り。
マッチョな方のスターまぶしの横から見たフォルムがカッコ良かった。


『デビルズ・ゲーム』

2025-03-19 08:32:37 | 映画
『デビルズ・ゲーム』 2023年、韓国、1時間46分。を観た。
連続猟奇殺人事件を追う刑事。密告により主犯格と思われる男を山林に追い詰めるが二人とも行方不明になる。一か月後、捜索は打ち切られていたが突如二人揃って警察署に姿を現す。刑事の様子は何かが変わっていた。

ネタバレ有り。

作品紹介を読んで俺がアイツでアイツが俺での『転校生』的な感じなんだろうと勝手に思っていて(『転校生』未見)、それならコメディの方が合っているんじゃないだろうかと思ってもいたが『フェイス/オフ』の様にコメディではなく物事は進んでいってそれはそれで面白かった。猟奇殺人なので容赦なくえげつない。
関心は真相はどういう事なんだろう?という所に向かうがその真相もよくそんなの思い付くなと感心すると共によくそれを映画にしようと思って実際映画にしたなとそこでも感心するし羨ましくもある。日本もこういうのばっかり作ればいいのに。
最後は状況がちょっと複雑になって、アイツはアイツで俺は俺なんだけどアイツは俺を演じているのか俺もアイツを装わなければならない状況なのか?よく分からなくなってしまった。


『シンパシー・フォー・ザ・デビル』

2025-03-19 01:29:01 | 映画
『シンパシー・フォー・ザ・デビル』 2023年、アメリカ、1時間30分。を観た。
妻の出産に立ち会うため病院に来た男。車を駐車場に停めようとした時銃を持った男が乗り込んでくる。

『ロングレッグス』ではニコラス・ケイジ成分が足りなかったので本作を観た。『ロングレッグス』もインパクトは十分過ぎるくらいに有ったけどこちらはニコラス・ケイジそのものの成分がたっぷり。

本作も『ロングレッグス』もニコラス・ケイジがプロデューサー。プロデューサーとしてもベテランで主に自身の出演作品だけど自分が観たいニコラス・ケイジ出演作品を作っているようでもある。かつてのように大ヒット連発とはいかないかもしれないが、ニコラス・ケイジ主演という事だけが売りのアクションやサスペンスに出続けるよりもいいと思う。

巻き込まれ型のスリラー。1997年に『ゲーム』を観て以降は『ゲーム』の様なオチを想像してしまうしどこかで期待している所が有るが『ゲーム』以降であんなオチは自分が観た限りでは無かったしこの先も現れる事は無いのかもしれない。本作もやはり『ゲーム』ではなかったけど捻りは有って想像出来る範囲かもしれないが無いよりは全然良かった。


『ロングレッグス』

2025-03-18 12:48:08 | 映画
『ロングレッグス』 2023年、アメリカ、1時間41分。を観た。
1995年、オレゴン州。20年前の父親による家族皆殺し事件はその後も類似した事件が断続的に起こり続けFBIは全ての事件に関連している首謀者がいるものとして捜査するものの進展は見られずにいたが新たに加わった新人捜査官によって事態は急速に動き始める。

ネタバレ有り。

オカルトホラー。悪魔に目を付けられたら人間なんかに抗う術は無いと救いは無かったが、じゃあどうすればいいのかといったら神にすがるしかないと間接的に言われているのだろう。悪魔がいるのだとしたら神もいるんだろうし。初めから神を敬って悪魔を寄せ付けないのも大事だからお祈りしなさいと母親は娘に言い聞かせていて、かろうじてその点では母親はまともなままだった。そこら辺は悪魔もうっかり見逃していたのか。
そもそもが娘を守るために悪魔の言う事を聞かなければならなかったわけでそれは切なくもあったけど、娘を守るためには他の家族を犠牲にするのは人間らしいエゴで、そのエゴにつけこむのも悪魔の常套手段であるが簡単に屈してしまう人間は弱い生き物だなと思う。弱いから神が必要なのか。


『Flow』

2025-03-17 18:31:50 | 映画
『Flow』 2024年、ラトビア=フランス=ベルギー、1時間25分。を観た。
人の気配が消えた森の中で気ままに暮らす一匹の黒猫。ある日突然全ての動物に危機が訪れ気ままな黒猫も生き延びるためのサバイバルに身を置く事になる。

CGアニメ。どういったタイプのCGなのか詳しい事は分からないが様々な動物の生態をとことん観察した上で作られてキャラクター付けもされているようでありその動物達を観るだけでも価値が有ると思う。カピバラが舟の舵を取るのはどうなんだろうかと思ったけど面白かったから全然有り。
犬はアホだなあと思う。犬種や個体によって賢いのも当然いるけども動物別のタイプとしてはアホに分類されるのは納得がいく。アホだから存在を否定されるのではなくて犬はアホでいいしアホだから可愛い。

物語はサバイバルアドベンチャーではあるが全て動物目線から描かれるので何が起こって何故そういう事態になったのか詳しい事は分からない。
公式サイトなどには大洪水が起きたとあるがただの洪水とは思えなかった。恐らく地球が滅亡寸前までいったんじゃないだろうか。惑星の最後は膨張してから縮小するんだったか?膨張を一回してその時に人類は滅亡したかどっかに逃げたんだかしたのでは。魚が熱帯魚みたいにカラフルなのは相当温暖化が進んでいたという事だろう。そして縮小が起こって、その為に水位が急激に上昇したとか。チベットっぽい所の高山の寺院が有りそうな所で一瞬無重力状態になるのはその場所から神秘的な事が起こったとも思えるが地球の引力が弱まったために起きたとは考えられないだろうか。あの鳥はどこに行ったのか?宗教的にとか何かの意味が有りそうな感じだった。
地球は滅亡寸前までいったけど何故かその寸前で踏み止まる。そこに人間の姿はなく、地球の意志による人間の排除が起きたのかもしれない。


シネマシティにて。
現在放送50周年を迎えた『ガンバの冒険』の記念展示がされています。
_20250316_211741.JPG



『ANORA アノーラ』

2025-03-11 00:56:15 | 映画
『ANORA アノーラ』 2024年、アメリカ、2時間19分。を観た。
ニューヨークでストリップダンサーとして働くアニー。祖母の話すロシア語を耳にして育ちロシア語を理解出来たため客として来ていたロシア人ブルジョアのお坊っちゃまの相手をする事に。お坊っちゃまに気に入られたアニーはラスベガスへも同行しそこで二人は半ば衝動的に結婚する。

もっと深刻な話かと思っていたがアルメニア人トリオが出てきてからはアニーのパワフルさがより際立って4人でのドタバタなコメディになっていて面白かった。
もうちょっと短くても良かったんではないかと思わないでもないが、4人が最初に揃う時、揃う前も含めてはそのイザコザいつまでやんねんと思える長さが面白さでもあった。

お坊っちゃまのお目付け役の一人イゴールが最初なんかで観た事有るなあと思っていたが、すぐに『コンパートメントNo.6』に出ていた人だと気付いた。ユーリー・ボリソフ。戦車映画『T-34レジェンド・オブ・ウォー』にも出ているけどそっちはそういえば出てたといった感じで『コンパートメントNo.6』の方が印象が強い。作品としてはどちらも良かった。
本作での役柄もどこか『コンパートメントNo.6』での役柄に似ている様に思えて、表には出さないけど一人の人に対して不器用に一途な所が大変好印象。今年度のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされていたのは知らなかった。
アニーとお坊っちゃまとは肉体とマネーの欲望で結ばれていて、イゴールはお坊っちゃまとブルジョア家族の本性を知っていて、その上でアニーとお坊っちゃまの関係が崩壊してゆくのも目の当たりにしていて、最後それら全部をひっくるめてアニーの全てを受け止めようとしたのではないだろうか。映画としてはそれがアニーにとって幸せだったのかははっきりとさせなかったが。
本作がシンデレラストーリーのその後を描いているとすれば、本作のその後も当然有るわけで。本作のその後というのもなかなか厳しいのではないかと想像する。イゴールがロシア人ブルジョア家族の言い方は悪いが飼い犬として生きて行くならアニーと結ばれるのは難しい様に思えるし、飼い犬をやめるのならニューヨークのアルメニア人コミュニティからも離れなければならないとしたらイゴールがその道を選べるのかというのも難しいのではないかと思う。そんな事よりアニーがイゴールの事をどう思っているのかが分からないけど。

アニー役のマイキー・マディソンがアカデミー賞主演女優賞を獲得。ああいう役を色んな意味で堂々と演じられるガッツが有るがそれだけでの受賞でなく何より演技が上手いと思う。


『フライト・リスク』

2025-03-10 21:10:12 | 映画
『フライト・リスク』 2025年、アメリカ、1時間31分。を観た。
アラスカのモーテルに身を隠している会計士のウィンストン。ある裁判の重要参考人として出廷させるためハリス保安官補に身柄を拘束され裁判の行われるニューヨークに向けセスナ機で移送される。

池袋シネマ・ロサにて。

ネタバレ有。

メル・ギブソンが監督。監督デビュー作以降は大作のドラマ作品を選んでいたが本作は大作ではないサスペンスアクション。ほぼワンシチュエーションで監督としての技量がより試されるタイプの作品ではないかと思う。セスナ機に乗り込んでから残り1時間20分くらいは有って、あんな狭い空間でどうするんだろう?と心配になったがあの空間でやりきったのが流石だった。アカデミー賞監督賞受賞は伊達じゃない。
ドラマも有る事は有るがサスペンスとして楽しめた。マーク・ウォールバーグの顔面力がサスペンスを盛り上げていたと思う。最後のやられっぷりがただ跳ねられるだけじゃ終わらせないのがメル・ギブソン監督の真骨頂。
『リーサル・ウェポン』シリーズ5作目の監督もやるとかいう話も有るそうで。

声だけの出演者にあっと驚くキャスティングがされているのを期待したけどそうではなかったのはちょっと残念。メル・ギブソンの人脈ならジョディ・フォスターとか『リーサル・ウェポン』シリーズで言ったらレネ・ルッソとか。


「プロジェクト・サイレンス」

2025-03-04 22:48:42 | 映画
『プロジェクト・サイレンス』 2024年、韓国、1時間36分。を観た。
橋の途中で無謀運転による多重衝突事故が発生。数十台の車輌と搭乗者が橋に閉じ込められる。その中の軍のトラックはあるプロジェクトの後始末の最中だった。

シネマ・ロサにて。

韓国映画界はエンタメに対して貪欲だなあと思える映画だった。ジェイソン・ボーンシリーズの亜流とも言えるのではないかと思うが、しかしこの題材でエンタメ映画やろうと思った人がいる事が羨ましくもある。
CGが良く出来ていて96分で。これでもっと面白かったら最高だった。


『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

2025-03-04 17:10:48 | 映画
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』 2024年、アメリカ、2時間20分。を観た。
フォークシンガーとしてデビューしたボブ・ディラン。新人が通る道とされていた往年の名曲カバーソングでは注目を集められないでいたが、自作の歌を発表するとたちまちフォークソング界だけではなく1960年代混沌と波乱の時代の寵児としてもてはやされる。

ボブ・ディランを理解する上で重要と思えるキーワードが出てきていた。ボブ・ディラン自身が言っていたアーティストは"変人"であるべし。そして、エル・ファニングに言われていた"逆張り"。
"変人"と"逆張り"を示されていたのでボブ・ディランが当時のフォークソング界にとっては裏切り行為とも言える行動にも納得がいく。別にあのフェスティバルでなくて別の所でやっても良かったわけで、しかし変人で逆張りのボブ・ディランにしたらあのフェスティバルでやる事に意味が有って、それは一番注目を集めるからだったのかもしれない。注目を集めるのはアーティストにとって重要な事だろうし。

才能溢れるボブ・ディランは傲慢であり尊大であって。しかしそこにあまり嫌味を感じさせないのは演じたのがティモシー・シャラメであるからだろうと思う。何故かティモシー・シャラメにはイケメンなのに嫌味を感じない。歌唱シーンは吹き替え無しで全て自分でしかもその場での生演奏だったらしいが素晴らしかった。
エドワード・ノートンもそうだったのだろうか?女性フォークシンガー役の方も。
エル・ファニングも子役の頃から見ているので大人の女性で切なさと哀しさを背負わされた役を目にすると幼い頃の無邪気な姿が浮かんできて余計に切ない。


『セプテンバー5』

2025-02-27 06:49:57 | 映画
『セプテンバー5』 2024年、アメリカ=ドイツ、1時間35分。を観た。

1972年9月5日未明、ミュンヘンオリンピック選手村に銃声が響く。

日本にとって海外の事件が生中継されたのは1963年のケネディ暗殺だとか。それから9年後に本作の事件が起こる。
この事件以降テレビでの報道も利用した劇場型犯罪が増える事になるのだろうか。今現在ではSNSを利用した犯罪が増えているがそれは大っぴらにではなく膨大なやり取りの中に紛れて進行し重大化した時に公になる。といった感じで。
報道する事によってそれまで知る事の無かった犯罪を知り感化されて別の犯罪を生み出してしまう、いわゆる模倣犯が広めていく事になるのだろうけどその大元には報道も関係しているのでは。報道に携わる方達は正義を自認しているがその正義が悪を生み出す事にもなってしまう認識も必要なのかも。その報道によって正義の心が芽生える事も有ってそれは受け取る側次第なんだろうけど。それでも報道が正義だと自分達で酔いしれてはいけないのではないだろうか。


『ブルータリスト』

2025-02-26 09:25:50 | 映画
『ブルータリスト』 2024年、アメリカ=イギリス=ハンガリー、3時間35分。を観た。

第二次大戦下のホロコーストを生き延びたハンガリー系ユダヤ人の建築家ラースロー・トート。妻や姪と離れ離れになりながら新天地アメリカへとたどり着き様々な苦難を乗り越えながらブルータリズム建築家として世の中に見出されていく。

ブルータリズムは建築様式で、ブルータリストはブルータリズム様式の建築家。

波乱な半生が描かれるが安易なお涙頂戴にはなっていない。誰の人生も波乱に成り得るという事だろうか。その原因は戦争によって。ラースロー・トートの場合は建築家としての才能が有ったからドラマ映画にもなったわけだけど。
ブルータリズム建築は見た目コンクリート打ちっぱなしで無機質な印象だけど本作では出来上がるまでには幾多の苦難があって。でも建造物自体を目にしたり訪れたりしてもその苦難を思い浮かべる事は難しいんじゃないかと思う。単純に建築行程が大変だったろうなとは思うかもしれないが。ピラミッドだってなんにも知らないで見たら巨大な石が積み重なっているだけで、砂漠というシチュエーションが有るからミステリアスではあるが。
そこら辺が裏側の物語も見いだしやすい芸術品とは違う所ではないかと思うが、でも建造物として芸術的な価値も併せ持っているというのが特異であるのではないだろうか。

監督は『シークレット・オブ・モンスター』のブラディ・コーベットとは知らずに観ていたが、そうだと知ると本作の作風にも納得。
知らずに観ていた時にはヨーロッパ系の監督だと思っていたがブラディ・コーベット監督はアリゾナ出身のアメリカ人。元々子役からキャリアをスタートさせたとの事だけど後にミヒャエル・ハネケ監督作品やラース・フォン・トリアー監督作品に出演した事によってその影響を受けたのだろうか。
今年度のアカデミー賞には作品賞を含め複数ノミネートされているが近年エンタメ大作は選ばれない中で(最後は2003年の『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』か)有力なのではないだろうか。