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元高校教師のブログ[since2007/06/27]

地元仲間とのウォーキング、ハイキング、サイクリング、旅行の写真入報告。エッセイや意見も。

『光を見てはいけません』

2007-09-12 05:22:11 | 我が未刊詩集『蝉の死と』より
朝早く 外へ出ると 涙が出てくるのです拭っても 拭っても 出てくるのです悲しい わけではありません辛い わけではありません感動の涙 でもありませんいかなる感情も ありません あなたは 眼をこすりましたねと女医は言う。--はい。いけません。いけませんよ。痒いからといって つまんで揉むなんて  とんでもない。失明しても知りませんよ。あなたは 網膜が弱っているのです。 光を 見てはいけませ . . . 本文を読む

2007-08-16 10:15:01 | 我が未刊詩集『蝉の死と』より
         人間の歴史が始まった時   一人の男がはるかに山脈をのぞんだ   山の向こうへ行く一番の近道として   男は、その凹んだ所に目を向けた   そして それから ---   どれだけ多くの人間が   そこを通ったろう   人は 誰でも . . . 本文を読む

失われたもの(その2)

2007-07-28 03:56:25 | 我が未刊詩集『蝉の死と』より
 失われたもの(その2) 夕闇の 都会の雑踏の中で私だけが ひとり 方向を失った車にも 人にも 方向があった---焦点がぼけるとそれは 大河の流れとなって悪臭を放つごみが いたる所に浮いていたその中を横切ろうと小さな虫が もがいていた おーい 無限の草原(クサハラ)の風が起こすウエーブよー私は 心の中で叫んだ ---と、そのとき長い長い 灰色のコンクリートの 塀の中で苔むした 釣瓶がカラーン . . . 本文を読む

《雲に消えた黒点》

2007-07-02 08:11:10 | 我が未刊詩集『蝉の死と』より
 《雲に消えた黒点》   どこまでも続く大麦畑の その穂波の上を    東京ドームで起こる ウエーブのように   風が ざわざわと 音をたてて 駆け抜けて行く   その先に もくもくと湧き出た入道雲     浦里村への峠道で ぼくは   刻一刻と変化する その雲の乱舞を見ています    そのうち 太陽の黒点に似て   キャンバスの白い絵の具の中に  蟻のように 黒く動くものがあるのです    . . . 本文を読む