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今日の記憶を一言半句

小津作品映画の奥深さ

昨夜放送のNHK-ETV特集「生誕120年・没後60年 小津安二郎は生きている」を観た方もいるでしょう。

12月12日が小津安二郎の生誕120年・没後60年にあたります。

 

 

小津作品を繰り返し見るほど大好きです。

20年前の生誕100年のとき、NHKが特集を組んだ映画のほとんどを録画し、それをDVD化したので時々繰り返し観ています。

海外の映画監督からも「東京物語」は世界一の映画だと評価されるほど。

最も日本的な映画監督だと思います。

 

今回のNHK特集番組は、小津作品を“戦争”という視点から具体的に読み解いています。

小津は、戦争という狂気の時代をはさみ、一貫して家族の物語を撮り続けた。

小津の映画には軍服を着た人間はただの一度も出てきません。

しかし、小津は紛れもなく戦争の真っただ中を生きた世代の人間で、中国戦線にも従軍し、惨たらしい戦争の悲惨さを体験しています。

 

「麦秋」のラストシーンで、移動ショット撮影を滅多に使わない小津なのに、めずらしく移動しながら麦畑を映し出している。

作家の平山周吉が小津映画と戦争について考察している。

1938年に出版された火野葦平の小説「麦と兵隊」の引用から、戦争で日本人がどう翻弄されたかをこの「麦秋」のラストシーンで描こうとしたのではと。

一緒に闘って戦死した戦友たちに捧げるために作った映画だと言う。

 

 

その「麦秋」を鑑賞しました。

NHK-ETV特集の掘り下げを参考に、繰り返しの鑑賞でしたが、また小津映画の奥の深さを感じた映画でした。

70年も前に描かれた家族の物語だが、それが今の家族に通ずるものもがあります。

「東京物語」もしかりです。

 

20年前の生誕100年に発行した「小津安二郎映画読本・東京そして家族」は大切な所蔵本です。

小津安二郎の回想や53本制作の中で現在実在している37作品を紹介しています。

 

 

表紙を開くと

「ぼくは「豆腐屋」だから豆腐しか作らない。

同じ人間が、そんなにいろいろな映画を作れるものではない。

何でもそろっているデパートの食堂で

うまい料理を食べられないようなものだ。

ひとには同じように見えても、

ぼく自身はひとつひとつに新しいものを表現して、

新しい興味で作品に取りかかっている。」

小津安二郎

 

と書かれています。

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