働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

国民投票法改正案に抗議します ツイッター

2020年05月20日 | 国民投票法改正案
「国民投票法改正案に抗議します」ツイッターとは
「#国民投票法改正案に抗議します」というタグをつけたツイートが、2020年5月19日からツイッターの政治・トレンドとなっています。「コロナ禍で苦しい時に次々と襲い掛かる不要不急の安倍ワガママ法案」、「不要不急のことしかしない『安倍晋三と自民党』。検察庁法改正よりも、憲法改正よりも、コロナ対策と所得補償だろ!」、「国民の多くは混乱し、過去の問題・疑惑がうやむやにされる。そして政権は悪行すら正当化する」、「なんの冗談か? 検察庁法改悪案よりさらに最低な国民投票法改正案を出してきたのですね。支持率も落ち、安倍内閣破れかぶれに見えますが、断固として反対します」などといった「#国民投票法改正案に抗議します」というタグをつけた多くのツイートがツイッターで見受けれた。

「#検察庁法改正案に抗議します」とタグつきツイートを始めた笛美さんも「#国民投票法改正案に抗議します」というタグをつけて「広告の力を知っているからこそ、マス広告を憲法改正キャンペーンに使うのはやめてほしいです。予算が多い方が華やかな広告が作れるし、露出も増やせるので有利に決まっています。国民は広告よりも改正草案の中身を知らされるべきです。」とツイート。他の方も「広告し放題はまずいですね。次々と悪法を成立させようとする安倍政権と自民党。もういい加減にしてくれ」とツイート。

さらに「#国民投票法改正案に抗議します」というタグをつけたツイートだけではなく、「#国民投票法改正に反対します」というタグをつけたツイートもあり、「コロナ禍で こんなことをやる国が 日本以外、一体どこにあるのか 絶対に反対」とツイートされていた。

国民投票法改正案とは
国民投票法改正案とは、正式には「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」のこと。

「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」(国民投票法改正案)は2018年の通常国会に提出され、法案の内容は「議員等の選挙に関して投票環境の向上のために2016年に改正された公職選挙法の内容を、憲法改正に関する国民投票にも導入すること」など。また国民投票法改正案は、衆議院憲法審査会に付託されたが、通常国会中には審議が行われず継続審査となった。

医療崩壊、介護崩壊、また国民の生活崩壊寸前の「コロナ禍」の中、この国民投票法改正案に成立を急ぐ必要があるのか、不要不急の法案ではないのか。大いに疑問がある。

追記(2020年5月28日)
第1回「衆議院憲法審査会」が午前9時半から開催されたが、案件は「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件」(憲法改正国民投票法=国民投票法を巡る諸問題) 。この憲法審査会は、国民投票法改正に関する自由討議という形式で行われ、与党・野党各党が「国民投票の際における課題」などについて個々に意見表明。

TBS NEWS(電子版、5月28日11時23分配信)によると、自民党の新藤義孝・衆議院議員は「いかなる状況下においても政府の行為を監視し、適切な立法を行うといった国会機能を確保する観点から、本会議の定足数をめぐる憲法解釈上の論点や国会議員の任期に関する議論が早急に必要ではないかと提起しております」と述べた。

また、立憲民主党の山花郁夫・衆議院議員は「ネット広告については、なんらの規制がありません。流言飛語が跋扈(ばっこ)するおそれがあるなど、対応策の検討が必要ではないでしょうか」と語った。

このように衆議院憲法審査会では、国民投票の際のCM規制をめぐり、立憲民主党の山花議員は「資金量の多寡によって結果に影響を与えるおそれがある」と指摘したが、公明党の北側副代表は「ネット広告の規制は現実的には困難で、政党側で自主規制ルールを設けるべき」などと主張。

結局、国民投票法改正案は継続審議となっているが、衆議院憲法審査会で自民党は「早期採決」を求め、野党側は「採決には応じない」構え。

なお、BLOGOSに立憲民主党の大串博志・衆議院議員が「今週の衆議院憲法審査会」(2020年5月25日13時15分配信)と題した記事を投稿しているが、大串議員によると「国民投票法が作られた際、議論の中で民放連からはCM規制について量的な自主規制を行うとの明言がなされました。これを前提に作られたのが現在の国民投票法。ところがその後、一昨年になって民放連は量的な自主規制は行わないと、態度を一変」させた、とのこと。

そして「そうであれば、そもそも国民投票法が作られた時の前提が無くなってしまっているわけで、この点をまずはしっかり議論しなければなりません」、「ところが与党はこの議論には消極的です。それよりも、国民投票法の技術的な論点について改正を進めて、憲法改正に向けて『動いている感』を出したいという下心でしょう。このように、与野党間での原則的な意見の隔たりが大きくあります。採決などに至れる状況では全くありません。今は新型コロナウイルス対策に集中するべきです」と書いている。

追記(2020年5月29日)
共同通信は、5月28日に開催された衆議院憲法審査会で、自民党議員が早期採決を改めて訴えたのに対し、立憲民主党などの野党議員は「政党CM規制強化を含めた改正の同時実施」を主張したため、「双方は折り合えず、日程的に厳しい情勢となった」となり、「与党などが(20)18年6月に提出した憲法改正手続きの国民投票法改正案は、今国会成立が見送られる見通しとなった」と報じた。

「与党内に、成立までは不可能でも衆院採決を目指す声があり、今後の焦点となる。自民党幹部は改正案について『今国会成立は現実的に難しくなった』と言及。国対筋は『衆院採決までは持ち込みたい』と述べた。ただ公明党幹部は『成立しないなら衆院通過にあまり意味はない』との見方を示した。」(共同通信、2020年5月28日21時35分配信)

参考「“補正予算案と国民投票法改正案 今国会で成立を” 自民 公明」
自民・公明両党は今の国会で今年度の第2次補正予算案と国民投票法改正案の成立を目指す方針を確認しました。

自民・公明両党の幹事長と国会対策委員長らは(5月)19日、国会内で会談しました。そして新型コロナウイルスの感染拡大を受けて追加の経済対策を講じるため第2次補正予算案の早期成立を図るとともに、「地方創生臨時交付金」について緊急事態宣言が継続している地域に重点的に上積みするよう政府に求めていくことで一致しました。

また衆議院憲法審査会で継続審議となっている国民投票法改正案について「結論を出すべきだ」として、今の国会での成立を目指す方針を確認しました。自民党の森山国会対策委員長は記者団に対し「ずっと継続審議になっているのは、立法府としていかがなものかと懸念する。結論を出してほしい」と述べました。(NHKニュース、2020年5月19日 15時5分配信)


参考「論座」「『#国民投票法改正案に抗議します』拡散を機に改憲手続きをとことん考えた」((松下秀雄「論座」副編集長)抜粋
「これ(国民投票法改正案)は、ショッピングセンターなどに共通投票所を設けられるようにすることをはじめ、有権者が投票しやすくするための改正案だ。選挙ではすでにできるようになっており、これじたいはどうってことのない内容だ。野党も異論は唱えていない。けれど、『不要』ではなくても、絵に描いたような『不急』の改正なのだ。国民投票の実施が決まってから改正しても、何の問題もない。それなのに与党側は、本質的な問題に手をつけないまま、ここだけ取り出して改正を急いでいる。もしも『この改正で改憲手続きは整った』とみなし、改憲へと見切り発車するなら、ろくでもないことになる。」

「これは国会議員が国民の代表としてふるまうことを前提とした手続きといえる。国民投票では、国会がまとめた改憲案に賛成か反対か、どちらかにマルをつけることしかできない。それでも、国民代表がまとめた案を国民が承認するなら、『国民が憲法を改正した』とみなすことができる。『憲法とは、主権者である国民が権力を縛るもの』という近代憲法の理念に沿ったものになる。 ただし、国会議員は国民の代表のほかに、もうひとつの顔をもっている。憲法によって縛られる、権力者としての顔である。中でも与党は政権を支え、安倍政権下ではこれまで、与党議員が政権に異議を唱えることもめったになかった。与党議員が政権と一心同体の権力者としてふるまい、その立場から改憲を進めるとすれば、『憲法に縛られる権力自身が、国民に対して「私たちをこう縛ってください」と提案する』という奇妙な構図になる。いまの改憲の動きは安倍晋三首相自身が旗を振っていることからみても、ズバリこの構図にあてはまるのではないか。」

「主権者である国民が憲法を改めるのだから、国民が自由に運動できるようにしよう。国民投票法は、そういう思想のもとにつくられた。けれど、ほんとうにそうなっているだろうか。確かに運動規制は少ない。しかし、『規制がない』イコール『自由』なのか。これを自由というのなら、新自由主義的な『弱肉強食の自由』ではないか。ここでいう強弱とは資金力のことである。」

「いまのルールでは、使える資金に上限はない。政党は、もてる資金を集中投下するだろう。その多くは政党交付金、つまり税金によるものだ。改憲が発議され、国民投票がおこなわれる場合、賛成派は衆参両院で3分の2以上を占めているから、受け取っている政党交付金も多い。官房機密費だって使うかもしれない。賛成派は多額の税金を使って自由に運動することができ、反対派は不自由を強いられることになる。」

「そんな不公平を縮めるために設けられている仕組みが『広報』である。政党は、選挙のときの選挙公報や政見放送、新聞広告に類することを無料でできる。ここでは賛成、反対両派の主張を平等に扱うことになっている。ただ、何回放送するかといった回数や規模が決まっていない。規模が小さければ、不公平はさほど縮まらない。どれほど意味あるものになるかは、まだわからない。さらに、広報できるのは基本的に政党だけで、市民の運動への公的支援がない。他国に例があるように、公営の集会場を無償で利用できるようにするだけでも助かると思うのだが、そうした措置は設けられていない。」

「日本の改憲ルールは、主権者である国民の意思を映す仕掛けを欠いている。権力側が、自分たちに対する憲法の縛りを緩めるための改憲になるおそれがある。運動のルールをみても、与党を中心とする賛成派は多額の税金を使って自由に運動できるのに対し、反対派は厳しい状況に置かれる。市民の運動へ公的支援はない。これでは権力発の宣伝ばかり降りそそぎ、自由な言論空間がゆがめられないか。市民の『言論の自由』ではなく、権力の『宣伝の自由』を守る仕組みになっていないか。どう考えても、これはおかしい。」(「論座」「『#国民投票法改正案に抗議します』拡散を機に改憲手続きをとことん考えた」松下秀雄「論座」副編集長、2020年5月25日 配信)


追記(2020年11月11日)

毎日新聞は「自民党の森山裕、立憲民主党の安住淳両国対委員長は(11月)11日、国会内で会談し、衆院憲法審査会を19日、20日の両日に開催することで合意した。先の通常国会で積み残した自由討議や継続審議扱いになっている国民投票法改正案を審議する見通し。与党側は国民投票法改正案の今国会中の採決を目指すが、野党側が応じるかどうかは不透明な状況だ」と報じた。

森山氏は会談後、記者団に「長い間、暗礁に乗り上げた感のあった改正案だが、与野党の協議が整って審査を始めることができるということは大変ありがたい」と述べた。与野党は12日に衆院憲法審査会の幹事懇談会を開き、具体的な審議内容を詰める。

これまで野党側は「安倍政権下での憲法改正は認めない」と主張し、その手続き法の改正案の審議に難色を示してきた。しかし、国民投票法改正案の継続審議は2018年の通常国会以降、7回連続となっており、これ以上の議論の停滞は国民の理解を得にくいと判断。菅政権発足を契機に「(与野党が激しく対立せず)静かな環境の中、コンセンサスを作る」(安住氏)ことを条件に応じることにした。

ただ、採決については、森山氏が記者団に「言わず語らずご理解いただいていると思う」として今国会中の衆院通過に意欲を示したのに対し、安住氏は「与野党の筆頭幹事間でコントロールしてもらう」と述べるにとどめている。(毎日新聞、2020年11月11日18時4分配信)


追記(2020年11月13日)

朝日新聞は「国民投票法改正案の採決、応じてもいい」と国民民主党・玉木雄一郎代表が11月12日の記者会見で発言したと報じ、玉木代表の発言録を次のように掲載。

(与野党が合意して衆院憲法審査会が開かれることになったことについて)国民民主党は、毎週開くべきで、開かれれば参加して議論すると言ってきた。非常に良かった。

国民投票法改正案については賛成したい。だが裸で賛成ではない。ネット広告規制、外国人寄付規制など追加の法改正がいる。今の改正案の成立後、残りの問題を議論する約束がとれれば採決に応じてもいい。きちんとした文書にしたり、憲法審会長が議事録に明確に残る発言をしたりして、担保してもらえるなら、やぶさかではない。せっかく憲法審が開かれるのでいい議論をしたい。(朝日新聞デジタル、2020年11月12日21時39分配信)


追記(2020年11月20日)

NHKニュースは「国民投票法の改正案について、国民民主党の山尾・憲法調査会長は、党として求めていた条件が自民党に受け入れられたとして、採決に応じ、賛成する考えを示しました」と報じた。

国民投票法の改正案をめぐって、国民民主党は、インターネットの普及で広告規制は不断の見直しが必要だとして、採決したあとも衆議院憲法審査会で議論を続けることを条件に採決に応じる考えを示してきました。

19日の衆議院憲法審査会で、国民民主党の山尾・憲法調査会長は、与党側の筆頭幹事を務める自民党の新藤・元総務大臣に対応をただしたのに対し、新藤氏は、「審査会で議論を前に進めることを約束したい」と述べました。(NHKニュース、2020年11月17日17時59分配信)


追記(2020年11月25日)
時事通信は「衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を務める新藤義孝氏(自民)は24日、野党筆頭幹事の山花郁夫氏(立憲民主)に対し、憲法改正に関する国民投票の利便性を高める国民投票法改正案を26日に採決することを提案した。立憲などは慎重な姿勢を崩しておらず、25日の幹事懇談会で改めて協議する」と報じた。

これに先立ち、日本維新の会の遠藤敬国対委員長は自民、公明両党の国対委員長と国会内で会談。改正案の継続審議が2018年の提出以来続いていることに触れ、「いつまでも引っ張らず、決着をつけてほしい」として採決に踏み切るよう要請した。(時事ドットコムニュース、2020年11月24日17時09分配信)

追記(2020年11月26日)

読売新聞は「衆院憲法審査会は26日午前、憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案について初めての質疑を行い、実質審議入りした。この日は採決を行わない方針で、12月5日までの今国会中の成立は見送られる公算が大きい」と報じた。

改正案は改憲の国民投票の際、駅や商業施設に共通投票所を設けられるようにすることなどが柱で、自民、公明、日本維新の会などが2018年6月、通常国会に提出した。同年7月に衆院憲法審で趣旨説明を行ったが、質疑は行われないまま、計7国会にわたって継続審議となっていた。

この日は質疑に先立ち、改正案などをテーマに今国会2度目となる自由討議を行った。自民党の小林鷹之氏は、改正案について「投票環境を向上させるもので、速やかに実現させることが適切だ。憲法本体のあり方の議論も進めていく必要がある」と述べ、早期の採決を求めた。

日本維新の会の馬場幹事長は「(改正案という)当たり前の宿題はさっさと片づけて、肝心の憲法の中身に関する議論を粛々と進めるべきだ」と同調した。

一方、立憲民主党は改正案の内容に異論はないとしているが、テレビCMやインターネット広告の規制を優先して議論すべきだと主張している。立民の辻元清美副代表は、CM規制について、「先送りになるのではないか。国民投票法を改正をする機会を捉えて議論をしっかりするべきだ」と主張した。(読売新聞デジタル版、2020年11月26日12時091分配信)


追記(2021年6月9日)
読売新聞は「憲法改正の国民投票の利便性を高める国民投票法改正案は(6月)9日、参院憲法審査会で自民、公明両党などの賛成多数で可決された。自民、立民両党は今国会で改正案を成立させることで合意しており、(6月)11日の参院本会議で可決、成立する見通しだ」と報じた。

改正案には国民投票の際、商業施設や駅などで投票できる「共通投票所」を設けることや、洋上投票を航海実習中の学生らに拡大することなどが盛り込まれている。(読売新聞、2021年6月9日配信)


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