監督: 李相日
出演: 渡辺謙 、柄本明 、佐藤浩市 、柳楽優弥 、忽那汐里 、小池栄子 、國村隼 、近藤芳正 、滝藤賢一 、小澤征悦 、三浦貴大
試写会場: ヤクルトホール
映画『許されざる者』 公式サイトはこちら。(2013年9月13日公開)
明治13年。開拓が進められている北海道に、かつて人斬り十兵衛との異名を持ち恐れられていた幕府軍残党・釜田十兵衛(渡辺謙)がいた。十兵衛は愛する女性と出会ってから刀をしまい、子どもをもうけた。幸せも束の間、妻は早世し、男は幼い子どもを抱えて貧しく厳しい生活をしていた。そこへ、かつての仲間がやってくる。そして、無残にも切りつけられた女郎のこと、街を牛耳る暴力的な支配者がその事件に関して深追いさせないこと、女郎は支配者に逆らい仲間たちとともに賞金を作り敵を討ってほしいと懇願していることを話す。十兵衛は自分のためではなく他の者のために、あらゆる覚悟を背負い、再び刀を手にするという苦渋の決断をする……。(Movie Walkerより)
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クリント・イーストウッド版は未見。 お話としては大体このオリジナルと同じようですね。
1880年のワイオミング州と、明治13年の蝦夷ということで、厳しい自然環境や時代設定もほぼ同じ。
許されざる者 (1992年の映画) wiki
蝦夷の地に流れ着いた者たちにその過去を尋ねても、食い詰めたり追われたりといったケースも多かったのだろう。
「赤貧洗うが如し」という言葉がまさに当てはまる十兵衛の暮らし。綺麗事だけじゃ子どもを養っていけない、そのために亡き妻に誓った、人殺しをしないという禁忌を解いてしまう。
この、蝦夷地での暮らしぶり。これはリアリティありました。これじゃ実際生きてはいけないというレベルの貧しさがよく伝わってくる。当時の開拓民の現実的な部分を再現したのだろう。
結局「許されざる者」とは誰か?と考えてみる。
「亡き妻との誓いを破った十兵衛」
「警察署長の名のもとに極悪非道な圧政をしていた大石」
「十兵衛に誓いを破らせるきっかけを持ちこんだ馬場金吾」
「そもそもの大元の原因を作った掘田兄弟」
「賞金稼ぎに各地からやって来る侍崩れ共」
こんなところだろうか。
もちろんそれぞれに言い分はあるのだろう(大石と堀田兄弟は身勝手方向に傾くけど)。そして他を苦しめている者を成敗して金を貰うのもまた十兵衛たちの正義。正義と正義のぶつかり合いなのだけど片方からみればもう片方は「悪」となる。
誰を「許せない」と思うのかは観ている側からでも意見が分かれるのだろうが、多くの人は不条理に苦しめられている人間を見過ごせないと考えるので、十兵衛は当然ヒーローとなる。
オリジナル版がどのような結末なのかが分からないまま書いていくが、結局正義と自分が信じているものの前にはどんな敵対者も悪となるのだろう。それが前提となるのが西部劇なので、それ以上のことは言えないのだけど。
静かに、わからないように十兵衛は準備しているつもりなのだけど、よそ者がいない地域なので彼らが賞金稼ぎであることは一目瞭然バレている。西部劇の掟として闘いがある訳なのだけど、その前に十兵衛の決起をいよいよ促すような大きな出来事がある(これもお約束?)。この「闘い」が前提なだけにどんな風にしてくるのかと観ていたら、案外あっさりとしている。あれだけやられて十兵衛はよく倒せるね・・・ とも思わなくもないのだけどそこはお約束なのだろうか。
十兵衛のその後について、予測可能な最期なのかもしれないし、はたまた想定外のハッピーエンドなのかもしれないが、そこも詮索しないのがお決まりなのだろう。
比較してしまうのも適当ではないのかもしれないが、復讐劇とか殺陣なども『十三人の刺客』などの方が面白かったかも・・・と考えてしまう。あくまでもリメイクとしてどうなのか?と考えないといけないと思うので、オリジナルを観ないことには何とも言えないが、恐らくリメイクとしてはよくできているのだろう。しかしそれとは別に「この作品にあなたの心を動かしたものがあったか?」と問われたら、少し考えてから回答しないといけないかな、とも思う。
★★★ 3/5点
大筋オリジナルを踏襲していますが
何点か改変があり、それが弱点(欠点?)になっていると思います。
roseさん&まっつぁんさんとも同感ですね。
私はつい先日の午後のロードショーでやっていたオリジナル版を見ましたが、ほぼ同じでビックリするくらい。
なのに、微妙に変えている部分がなんとも欠点なのです。
クリントイーストウッド版でも、違和感が全くないわけではないのですが、何故かごく自然で納得できちゃう。
こちらはどうも気になりますね。
やっぱりオリジナル観ないと何とも言えなさそうですよね。
自然にできているか、そうじゃないかは映画の出来に関係あると思います。
個人的にはそこを見せて欲しかったです。
十兵衛の凄さって、過去の出来事を語るセリフでしか表現されてなかったですよね。
殺陣でも大石とはあんな感じの対決でしたし。
消化不良感とでも言えばいいのかな。
筋書きは本当にオリジナルを踏襲していて驚きました。
ただ、そんな環境で観たせいかどうか、似たような印象になってしまって、
これは逆効果だったかもしれません。
それよりも、わたしにとってはどちらも、
ヒーローものでも西部劇でもなく、
タイトルが示す通り、また、roseさんも挙げられている通り、
誰が?誰に?許されない者なのだろう?と考える作品だったと思いました。
>誰が?誰に?許されない者なのだろう?
そこがあまりしっかり出てなくて、でもそれは各自で考えるんだろうな・・ と思いながら観ていました。
ワタシは五郎のキャラがいちばんよかったので彼をもっと話の中にくわえて欲しかったです。
伝説って意外と尾鰭が付いてまわるので十兵衛の実力って案外あんなモノなのかも。
当時の北海道での生活というものに一番興味をひかれました。
本当に貧しい・・・広がる荒れ地、視覚的にも当時の生活がリアルに感じられる作りだったと思います。
アイヌの人々の扱いも。
大石が思ってるよりあっけなかったのと。
涙もろい私が泣かなくて、一緒に観てた友達に逆にびっくりされたり・・・まぁ、そんな受け取り方だったかなと。。。