監督: 沖田修一
出演: 高良健吾 、吉高由里子 、池松壮亮 、伊藤歩 、綾野剛 、柄本佑 、佐津川愛美 、堀内敬子 、井浦新 、國村隼、きたろう 、余貴美子
公式サイトはこちら。
吉田修一の原作は未読。やたら評判がいいので早々に行ってみました。(鑑賞からずいぶん経ってから日記書いてるけど。笑)
1987年大学入学という設定、結構自分でもリアル感覚に近いものがあってこの時代設定だけでかなり満足してしまう部分はありますね。
あの頃のあーあるある感覚。新宿駅前の様子とか、まだ「富士銀行」の看板があったりとかもうツボ過ぎ。女子の髪型とかそんなこんなが懐かしく。なので原作を読んでみたくもなる。
世之介を演じる高良くん自身も地方出身なだけに、この役は演じやすかったんじゃないかなという雰囲気がある。等身大の自分に近い、感情移入しやすい役だったんじゃないだろうか。
地方から大学進学と同時に上京して何も分からない青年が、1つ1つ手探りで東京に慣れていく過程。よくある話だし自分たちも経験してるから・・・ とリラックスした感覚で観ていい話だけど、それだけで終わらないのは世之介の人柄だったり祥子とのことが生き生きと描かれているから。
祥子は確かにお嬢様ではあるけど、気取らない、飾らない女の子。底抜けに明るい笑顔と笑い声があったら、こんな子を彼女にしたいと思うのだろう。それでも彼らのおふざけごっこが見ていて微笑ましく好感が持てるのは、自分たちで楽しみながらも今でいうところの「バカップル」にはならず、常識をわきまえているから。これは祥子の人格による所が大きいのだろう。
世之介の青春物語、とまとめてしまえば簡単になってしまうが、1人の人間の心境の変化や出来事はどんなに丁寧に描いても描き足りないはず。それがこの長尺になった故とも思う。
それでも世之介がどんな人だったのか、どうして皆に愛されたのか。自分が駆け抜けた一番輝いていた時間を封じ込めてそのまま保存しておきたい、誰でもそんな記憶があるはずだ。記憶の中の世之介を辿ることによって、観客も自分が一番きらめいていたことを思い出して行くのだろう。1人の人間はどんなにかたくさんの人に愛されている、そのことを思うだけでもう、胸がいっぱいになってくる。
★★★☆ 3.5/5点
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます