中学には入学それぞれがなれてきた頃、先輩たちの魔の手が近づいてきていましたが直也たちは気づきませんでした。いつものようにしていれば良い、それだけです。
「直也、今日はどうする?」
「みんなでマックでも行こうか、それとも、すき屋か、モスでも良いな」
「いや、ドムドムバーガーにしよう」
「なんでよー、ドムドムか?」
仲間の一人が、その日は金曜日で先輩たちもマックやモスと国道沿いにいることを知っていました。
「ドムドムなら、駅前だし交番もあるし、先輩たちも手は出せないだろ」
学校が終わると、いつもみんなで、どこで集まるか、そんな会話が飛び交います。そんな遊びの話をしていると必ずクラス委員長の由子は言ってくるのです。
「あんたたち、少しは勉強する気持ちはないの?いっつも遊びの話ばっか」
直也やその仲間たちは何も言わず、ただ、頭をかいてるしかなかった。クラス委員長は女子ですが彼らはトップクラスの彼女に頭が上がらないのです。彼女から逃げるように教室から出て下駄箱で遊ぶさんだんをします。
「うるせい女だよなー」
「でもよ、なんか、へんだよな、直也、そうだろ」
「そうか?」
「ぜってぇ、変だよ、アイツ、いつも直也の方ばっか見てるしよ」
「なぁ、なぁ、直也君よ、お前はどうなんだ」
「うるせぇなぁ、そんなことはねぇよ、オレらが馬鹿に見えるんじゃねぇの」
「言えてるよな、ハハハ」
こんな会話のあとに直也は仲間たちの誘いを断ります。その日、直也は遊ぶ気分じゃなくなっていましたが、どうしてかはわかりません。でも今日は一人で帰りたい気分だったのです。
直也は前日の夜、嫌な夢をみていました。久美子が何かを話しているのだが声が聞こえなくて気分が落ち込んでいたのです。
和志は仲間たちに無理に誘うことはやめようと声をかけます。
「和志に言われちゃしょうがねぇよな」
仲間たちは和志の言うことにしたがうことにしました。
「直也、気をつけろよ、先輩たちに見つかるなよ」と和志は直也に言います。
直也は頷き仲間たちから離れて一人でふらふらしていたとき遮断機のない踏み切りの近くの道路、車は通れない道を歩いていた時タイミング悪く後ろから先輩があるってきました。直也は一人の先輩の姿を確認していました。どうして一人で歩いてると先輩たちに会うんだよと思いながら足早に歩って行きます。ここの道は自転車とバイクしか通れない道で大通りへ急いだが正面からは二人の先輩たちが歩ってきました。
「大島直也くーん、今日は一人かい?」
ニヤつきながら先輩たちは余裕な表情で直也に声をかけます。
「うっ、やっば、三人だと無理だぞ、どうする?」直也は胸のうちで思いました。
「これ少しかしてくれよ、これこれ、三千円」先輩たちは指三本を立てて静かに直也に声をかけます。
「やるしかないか?先輩、持ってないよって言ったらどうする?」
「持ってないなら、仲間呼んで来いよ、一緒に仲間のとこに行こうか」
「ふざけるな!」
余裕そうな顔をして囲まれると苛立ち怒りと憎しみの直也の姿になりはじめました。拳(こぶし)を握りしめるが3対1じゃ直也でも少しびびりはじめますが深呼吸をすると開き直ります。先輩三人の頭(リーダー)は、そこにはいなかった。頭がいれば独り目当てに、その頭をボコボコにすれば、もう関わってこないはずだと直也は考えていました。一人の先輩が肩に手をかけたとき直也は拳(こぶし)を振り上げ周辺に置かれた自転車はドミノのように倒れていきます。
「くそやろう、オレに手をかけるのは十年はえいよ」
「なんだと、もう一回言ってみぃや、どうなるかわかってるだろうな」
「うるせぇ、シンナーくせぇんだよ、てめぇらよ」
直也と先輩たちが言い争いしていた時にバイクの走る爆音が近づいてきたのです。
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