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ポリシーレジェンド3話

2015-06-13 09:15:09 | 小説ポリシーレジェンド

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僕には幼い時期から遊びの中で仲間達と良く冒険をしたものだ。家族ぐるみで海に行って遊んだ、森の中では親に叱られながらも木登りや洞窟の中で遊んだ。危険な場所では遊んではいけない、それは良く解かっていた。しかし僕らは、好奇心旺盛で何でも出来ると思って怪我をするのを当たり前のように思っていた。でも、怪我をするたびに、僕と仲間達の母親は全員集合って感じで、でも僕らは叱られているとは思う事はなかった。きっとママ友が集まる理由で、それに付き合わされていたのかもしれない。そんな事を思い出していた時、声をかけられた。
「何してんの?ナオヤ」どこかで聞いた事のある声だった。
「なんだ、お前か、誰かと思ったよ」
顔を上げると目の前には傘をたたむユウコが立っていた。その姿を見て、僕は、マジで驚いた。初めて驚くという感覚を持った時だ。人を気にするようになっていた僕は、何でいるの?とユウコに聞いた。
「もういないと思ったけど、店から外見たらナオヤらしき姿、見えたんだよ」
「そうか、で、あいつらは?」
「もう帰ったよ」
「そうか、そうか・・・良かった」
「何?良かったって何?」
「あいつらに、見送りはされたくなかったから」
「そうなの?、らしくないね」
「照れるの嫌だし・・・」
ユウコにだけには素直になれた僕だった。
「ナオヤの席ってさ、駅の入口が良く見えるんだね」
「いつも、何考えてたの?」
「別に・・・特には何も・・・」
きっとユウコは、僕の過去全ての気持ちを知っていると思った時で、深く聞かれる事はなかった。
「ねぇ、一緒に見ようよ」
「ああ・・・」
こんな会話から僕とユウコは待合室で一緒に卒業アルバムを見る事になった。ユウコは僕を気づかってか仲間達には、僕が駅にいる事を言わなかった。僕とユウコとの関係は幼なじみの中、恋愛対象にはなってはいないと僕は思っていた。それだけに昔ながらの親しみから気持ちを楽にしてくれる存在であった。妹分のクミコが消えてしまってからはユウコが僕を支えてくれていた事は確かだったと思う。でも、僕の思いとは別にユウコにとっては違っていたのを気づいたのは、この待合室でアルバムを見ている時だった。ユウコの気持ちを知った時、僕は、もう遅いんだと胸の内で思うようにしていた。
「ねえ、苦しくて辛かったでしょ」見つめ合った時にユウコは言った。
「ああ、でもこれからは少しは楽になれるだろうし何か変われるべ」
僕が答えるとユウコは、さり気なくため息をつき、そうなんだねと笑みを浮かべて、強がりなんだと思ったのかもしれない。そんな雰囲気の中だった。名前を覚えていない事を話した時、僕は真面目に話していた、けどユウコは微笑みながら小さな手で口を押さえ小さな声で笑った。そしてユウコは、ちょっと少しだけ離れて僕の隣に座った。今まで、こんなに近くにいた事ないよな。この時の僕はユウコと一緒にいた、あの頃の事は忘れていた。僕は、ちょっと近すぎるだろと思った。そして僕の体は熱くなったような気がする。そんな時、ユウコは照れる事もなく、いつもの静かで冷静に声をかけてきた。
「そうだと思ってたよ、みんなさ、お前だったでしょ」
「知ってたのか?」
「知ってたというか、昔からそうだったでしょ」
「ん・・・?」
「仲間にならないと覚えられないのは、小さい頃から変わってないもの」
「変わってない、俺?」
「記憶喪失みたいね」と言われて、少しムカッ!としたが冷静でいられた僕だった。ユウコが保育園の頃から僕を見ていたのを知った時だったからだ。待合室で2人でいると緊張して身体が熱くなっていくような感じだ。僕には初めて感じるものだった。一緒にアルバムを見ながら、顔と名前を指で差しながら教えてくれた。ユウコはクラス委員のトップでクラスメイトの全員の名前と顔を知っていた。
「ねぇ、覚えられた?」
「今すぐには、わからねぇべ、俺は天才じゃないよ」
「ほう、そうなんだね」
僕は床を見ながらだったけど、ユウコは僕の横顔を見てニヤニヤしていたように思えた。そんな僕を見てユウコは何を考え思っていたのかは解からない。
「あんまり、見るんじゃねぇ」
「見てないよ、こっち向いてみなよ」
「いいや・・・お前の顔は見飽きたから」
「そうなの?・・・嘘つき・・・」とユウコは小さな声で呟いていた。時間は流れるが、その間ユウコへの思いは募っていたが自分の気持ちを伝える事は出来なかった。ユウコに僕の過去を背負わせたくはなかったからだと思う。これが一番楽しい時間なのか、と僕は思った。そして、この時間が長く続いて欲しい、電車に乗りたくないとも思った。15分が経過、上りの電車が駅に到着するのは、余裕を見て後35分はある。きっとユウコと話せるのは、この残りの時間だけだ。僕はそう思った。そして、本当の僕と本当の優子との出会いだったのか?と、そうも思った。
恋をしている自分が、恥ずかしかった。でも…好きだったのか?
ユウコの事や話せる残り時間の事を考えていた時、少しの間、僕とユウコの会話は無言で途絶えた。2度目の下りの電車が駅に到着し、20人くらいの地元の人が改札口から出て、駅の出口で足を止め傘をひろげ帰路へと歩いていく。地元の人に僕とユウコの顔は知られていたし、僕らは声をかられたくなかった。2人で待合室の床を見ながらじっと動かずにいた。静かに2人だけで話をしたかった。何となくユウコの気持ちが見えるように感じていた僕だった。改札口からの足音が消え、待合室のベンチに座った人も消え、僕とユウコは2人だけになる。そして卒業アルバムを閉じて見つめあい、互いに笑みを浮かべるとユウコは僕に声をかけてきた。
「どうして、床を見てたの?」
「お前と同じだよ」
僕がユウコの言葉に答えた。
そして互いに照れくさそうに肩と肩を触れ合った。
「床見てた時、何考えてた?」と僕はユウコに聞いた。
「小さい頃の事」ユウコは答える。
「オレは保育園の時だな」
「どうして?」
「お前さ、オレがふられるとこ、見てたろ、思い出したんだ」
懐かしさの中にいた僕だったがユウコの横顔を見ると赤ら顔で照れてる感じだったと思う。そしてまた互いに照れくさそうに肩と肩を触れ合った。
お互いの気持ちの表れだったのかも。僕の隣でユウコは、何度か深呼吸をしながらベンチから立ち上がり、座るという事を繰り返した。そんな女性的なユウコを見るのは初めてだった。格闘技をはじめた頃は、強い人間だと思ってユウコの言うがまま僕は格闘技の試合に望んでいた。そんなユウコの姿を見て、時間の流れは人を変えるんだと思った。あの親子と出会って今のユウコを見て僕はそう思った、そして僕も変われるんだと。
変われると信じてみようと思った。そして、自分の本当の気持ちを持っているのだと気付いた。
そんな時ユウコも同じように思ってくれていたようにも感じていた。だってユウコもソワソワしてたし。


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